福岡高等裁判所宮崎支部 昭和28年(う)172号 判決
原判決を調べてみれば、原判決が、原判示第三の(一)乃至(三)掲記の事実認定の資料として、原審相被告人増田源七の公判廷における供述を引用していることは、まことに所論のとおりである。しかし、記録によれば、被告人は増田源七と共同被告人として審理を受けたものであり、しかも、原審相被告人増田源七の公判廷における供述については、反対尋問をして防禦権を行使すべき機会は十分与えられていたものと認められるので、その共同被告人たる原審相被告人増田源七の公判廷における供述を目し、直ちに、証拠能力を欠くものということはできないものと解するのが相当である(昭和二六年(れ)第二五四号同年九月一三日第一小法廷判決参照)。しかして、原判決は、原審相被告人増田源七の公判廷における供述を補強すべき証拠を十分に挙示し、それにより、その供述の真実性は優に裏書されているから、原判決が公判手続を分離し原審相被告人増田源七を証人として被告人の反対尋問にさらすことなく右供述を、その補強証拠と共に被告人の本件所為に対する断罪の資料とすることは、前説示するところにより一向差支ないものといわざるを得ない。さすれば、原判決には何等採証上の違法はない。
(後略)