大判例

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福岡高等裁判所宮崎支部 昭和30年(う)215号 判決

被告人 平原和男

弁護人作成名義にかかる控訴趣意書記載の控訴趣意第一点について。

少年法並びに少年院法の規定に徴すれば、少年院は家庭裁判所から保護処分として送致された者を収容し、これに矯正教育を授ける施設であり、しかして、家庭裁判所が少年院に保護処分として送致する少年は、罪を犯した者等非行ある少年であつて、刑事処分を適当としない者ではあるが、かような少年を少年院に收容する所以のものは、結局国家が非行ある少年を社会に適応させるべく、一定期間強制的に社会から隔離し、性格の矯正及び環境の調整を図るためであつて、右国家の措置は、司法に関する国権の作用に外ならないというべきである。しかして、元来、刑法第一〇〇条は、司法に関する国権の作用を妨害するものを処罰する趣旨の規定であるところ、少年院に保護処分として送致収容された者が逃走したときは、よしんば、逮捕等の言葉を使用せず所論のように、少年院法第一四条に連れ戻し得る旨の規定があるとしても、なお、その收容は、前説示するように、実質的には、司法に関する国権の作用による強制的收容であるから、その收容者は、刑法第一〇〇条に、いわゆる法令により拘禁された者で、本罪の対象たり得るものと解するのが相当である。そこで、今、所論に鑑み、原判示第一掲記の事実につき、原判決の挙示する証拠を綜合すれば、原判示佐田義孝は、昭和二八年六月一二日福岡家庭裁判所小倉支部の中等少年院に送致する旨の決定により、同年七月九日頃少年院たる人吉農芸学院に收容されたことが明らかであるから、同人は前説示するところにより、法令により拘禁せられた者にあたるものとみるべく、しかも、被告人は、同人を同院より逃走させる目的をもつて、原判決認定のとおりの所為に及んだいきさつが認められるので、被告人の本件所為は、同法第一〇〇条第一項に問擬して処断すべきが相当である。されば、所論事実に対する原判決の認定乃至法令の適用には何等間然するところはないから、論旨は、採用するに由ない。

(裁判長裁判官 山下辰夫 裁判官 二見虎雄 裁判官 長友文土)

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