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福岡高等裁判所那覇支部 平成12年(行コ)2号 判決 2001年2月06日

控訴人

株式会社A

右代表者代表取締役

右訴訟代理人弁護士

立岡亘

被控訴人

那覇税務署長

宮城秀雄

右訴訟代理人弁護士

渡嘉敷唯正

右指定代理人

松本広次

島袋和夫

小岩井利恵

鍋内幸一

外間克己

我那覇隆

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一請求

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が平成5年5月26日付でした、控訴人の平成元年4月1日から平成2年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分(ただし、平成8年6月26日なされた裁決で取り消された部分を除く。)のうち、課税土地譲渡利益金額3億1989万5000円、これに対する税額9596万8500円及び差引所得に対する法人税額1億7725万9700円のうち8129万1200円を超える部分をいずれも取り消す。

3  被控訴人が平成3年6月26日付でした、控訴人の平成元年4月1日から平成2年3月31日までの事業年度の法人税の過少申告加算税賦課決定処分(ただし、平成8年6月26日なされた裁決で取り消された部分を除く。)を取り消す。

4  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文と同旨

第二事案の概要

次のとおり加除、訂正するほかは、原判決の「第二 事案の概要」欄に記載されたとおりであるから、これを引用する。

1  原判決6頁4行目の「右処分」を「本件更正処分」と改め、同7行目の「事案である。」の次に「ただし、本件更正処分につき、控訴人は原審でその全部の取消しを求めていたが、当審において、控訴の趣旨第2項記載のとおり、取消しを求める部分を限定した。」を、同11行目の「法人」の次に「有限会社」を各加える。

2  同8頁1行目の「経由された」の次に「(ただし、同目録104及び106記載の土地については、昭和63年8月12日付けで、昭和62年6月9日売買を原因とする所有権移転登記が経由された。乙六号証の一〇四、一〇六)」を加え、同3行目の「30億3676万円」を「30億3676万6000円(本件各土地の砂の代金6億円を含む。)」と、同4行目の「本件66ないし106の各土地」を「本件1ないし65の各土地」と、同6行目の「平成元年」を「平成2年」と、同8行目の「本件1ないし65の各土地」を「本件66ないし106の各土地」と、同10行目の「所有権移転登記」を「共有者全員持分全部移転登記」と各改める。

3  同9頁2行目の「2億6648万0089円」の次に「(同年3月26日に2億円、同年5月17日に6648万0089円)」を、同6行目の「被告は、」の次に「平成3年6月26日付け法人税の更正処分、」を、同7行目の「原告は、」の次に「平成3年8月23日及び平成5年7月23日、」を、同12頁10行目の「なった。」の次に「その後、出資の払戻し及び追加出資があり、最終的に控訴人を含めた本件共同体の五社(以下「本件五社」という。)の出資金額は、各1300万円となった。」を各加え、同15頁9行目の「本件各土地取引」から同11行目までを「業務の執行をBに一任していたことによるものにすぎず、本件共同体の構成員として本件各土地の取得及び譲渡の当事者であることに変わりはない。」と改める。

4  同28頁6行目の「所得日」を「取得日」と改め、同29頁5行目の「3」の次に「控訴人が、」を加え、同30頁5行目の「現実」を「実現」と、同33頁2行目の「本件金員」を「平成3年3月に2億円」と各改め、同6行目から同8行目までを削除し、同9行目の「(五)」を「(四)」と、同38頁7行目の「清算」を「精算」と、同39頁3行目の「本件賦課決定」を「本件賦課決定処分」と各改める。

第三争点に対する判断

次のとおり付加、訂正するほかは、原判決の「第三 当裁判所の判断」欄に記載されたとおりであるから、これを引用する。

1  原判決51頁9行目の「F」の次に「とB」を加え、同58頁1行目、同62頁5行目の各「本件1ないし65の各土地」を「本件66ないし106の各土地」と各改め、同58頁3行目の「登記がされ」の次に「(ただし、原判決添付別紙物件目録104及び106記載の土地二筆に限っては、昭和63年8月12日付けで、昭和62年6月9日売買を原因とする所有権移転登記が経由されているが、その経過は不明である。)」を加え、同行目、同62頁7行目から同8行目の各「本件66ないし106の各土地」を「本件1ないし65の各土地」と各改め、同58頁9行目の「Bが」の次に「売買代金のうちから」を加える。

2  同66頁3行目の「右同日」を「同年5月17日」と改め、同67頁7行目の「回答した。」の次に次のとおり加える。

「実際にも、右四社で本件各土地の取引に関係した乙、丙、丁及び戊は、いずれも、本件五社が共同事業として出資して本件各土地を共同で取得し、これを処分してその利益を分配したとの認識を持っている。」

3  同67頁10行目から同71頁3行目までを次のとおり改める。

「右一で認定した本件事業共同体の成立の経緯や控訴人を含む本件事業共同体を構成する本件五社がした均分の出資と利益分配、右共同体の独立した経理関係等の事実に鑑みると、右五社は、その損益を共通にする目的で、本件各土地を均分の割合で取得したうえ、これを売却したものであり、本件金員は、本件事業の執行を専ら担当していたBが、控訴人に対して配分した本件各土地の譲渡利益であり、甲も、乙や丁からこれらの経過についての報告を受け、その趣旨を理解して本件金員を受領したと認めることができ、(一)甲が本件各土地を取得する際に売買契約の仲介手数料を受領せず、丙の借入金について連帯保証したこと、(二)B、C、D及びEが、沖縄国税事務所に対してした回答の内容や関係者の認識、右四社がした税務申告の内容、(三)Bが保管していた本件売買契約書の買主欄に付加された「他四社」との記載も、右認定を裏付けるものということができる。

したがって、控訴人は、本件各土地につき共有持分(五分の一)を有し、本件各土地が譲渡されたことによって持分相当の譲渡利益を得たものというべきである。

これに対し、控訴人は、Bとの間で、リゾート開発事業に関する匿名組合契約を締結して出資し、これに対する利益配当を受けたにすぎず、本件各土地についての持分を取得したことも、その譲渡利益を受け、あるいはその旨認識したこともなかった旨主張し、控訴人代表者甲はこれに沿う供述をする。しかしながら、甲の供述を前提とすると、甲は、本件各土地を取得する際の売買の仲介を依頼されて奏功したのに、Bのために仲介手数料2278万円を放棄したうえ、具体的な内容が定まっていないBのリゾート事業計画に1250万円の出資をし、Bの関係者にすぎず面識すらない丙の本件各土地の購入資金の借入金4億2000万円について連帯保証人となり、その一方で、右リゾート事業計画に殆ど関心を示さず、その進捗状況も知らなかったにもかかわらず、Bに求められるまま、出資の返還や追加の出資に応じ、Bが本件金員を送金した際には、右金員の趣旨も判らず、Bに確認することもないまま、銀行口座を開設し、振り込まれた2億円をすぐさま引き出して甲個人の口座に移して控訴人と甲との間の債権債務等の処理に充て、控訴人の経理については、その内容を理解していない本件精算書一及び二の記載に従った処理をした、ということになるのであって、これら甲の供述する一連の内容は著しく不自然かつ不合理なものというべきであって、到底これを信用することはできない(なお、控訴人は、本件事業共同体が民法上の組合に当たらないとしてその根拠を縷々主張するが、その前提とする甲の供述内容が右のとおり信用できないものであるうえ、前記認定のとおり、本件事業共同体は、本件五社において損益を共通とする目的で結成され、本件各土地を均分の割合で取得したうえでこれを売却したことが明らかであるから、その法的性質は組合ないし組合類似の契約ということができる。そして、Bは、控訴人を含めた各構成員の承諾を得てその業務を執行していたのであるから、控訴人とCやEとの間には必ずしも直接の交渉がなかったこと、あるいは、本件売買契約や本件各土地の不動産登記上、控訴人の名義が現われていないことは、右認定の妨げとはならない。)。」

4  同72頁2行目の「16日付けで」の次に「(104及び106の土地を除く。)」を、同74頁3行目の「四」の次に「控訴人が、」を各加え、同76頁4行目の「解される。)」を「解される。)。」と、同10行目から同77頁10行目までを「しかしながら、前記のとおり、甲は、本件金員がBから送金された当時、右金員の趣旨を理解していたものと認められるから、右供述はにわかに信用し難い。」と各改め、同80頁7行目の「とおりである」の次に「(ただし、別紙の一丁表6行目の「27日」を「26日」と、同二丁裏5行目の「計算」を「計算)」と各改める。)」を加える。

第四結論

よって、控訴人の本訴請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大谷正治 裁判官 松下潔 裁判官 大野勝則)

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