福岡高等裁判所那覇支部 平成12年(行コ)3号 判決 2002年1月31日
控訴人
株式会社A
右代表者代表取締役
甲
右訴訟代理人弁護士
照屋寛徳
同
宮國英男
被控訴人
沖縄税務署長
山城文雄
右指定代理人
金田仁史
同
金子健太郎
同
松本広次
同
島袋和夫
同
我那覇隆
同
年本年三
同
我那覇安昭
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第一請求
一 控訴人
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が控訴人に対してした次の各処分を取り消す。
(一) 平成3年4月8日付けでした昭和62年8月1日から昭和63年7月31日までの事業年度以降の法人税の青色申告承認取消処分
(二) 平成3年4月9日付けでした昭和62年8月1日から昭和63年7月31日までの事業年度分の法人税の所得金額を2億5450万9692円と更正した処分のうち8601万8847円を超える部分及び重加算税賦課決定処分
(三) 平成3年4月9日付けでした昭和63年8月1日から平成元年7月31日までの事業年度分の法人税の所得金額を4億9500万2493円と更正した処分のうち3258万5715円を超える部分及び重加算税賦課決定処分
3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文と同旨
第二事案の概要
次のとおり加除、訂正するほかは、原判決の「第二 事案の概要」欄記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決4頁3行目の次に改行して次のとおり加える。
「本件は、控訴人が、被控訴人が控訴人に対してした青色申告承認取消処分、法人税の更正処分のうち申告所得金額を超える部分及び重加算税賦課決定処分の取消を求めた事案である。」
2 同5行目の「である。」を「であり、被控訴人から青色申告の承認を受けていた。」と改め、同9行目の「確定申告」の次に「(青色申告)」を加え、同6頁9行目、同10行目の各「国税不服審判所」をいずれも「国税不服審判所長」と、同7頁2行目の「処分」から同3行目の「請求」までを「処分に対する控訴人の審査請求を棄却した。
すなわち、青色申告承認取消処分、昭和六三年七月期についての更正処分及び重加算税賦課決定処分に対する審査請求」と各改める。
3 同9頁4行目から同5行目までを削除し、同11行目の「原告は」を「同人を右取引の当事者とする契約書を作成したり、同人名義の預金口座を利用するなどして、控訴人が」と改め、同10頁2行目の「適法であり」の次に「(所得金額、課税土地譲渡利益金額、納付すべき税額(差引合計税額)及び重加算税額等の内訳は、原判決添付別表2(以下「別表2」という。)のとおりである。)」を加える。
第三当裁判所の判断
当裁判所も、控訴人の本訴請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は、次のとおり加除、訂正するほかは、原判決の「第三 当裁判所の判断」欄記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決13頁9行目の「できない状態」を「困難な状態」と改め、同14頁1行目から同2行目の「以上になるため」の次に「(争いのない事実)」を加え、同15頁8行目の「売却している」を「売却したことになっている」と改め、同17頁9行目の「物件五」の前に「弟である」を、同18頁4行目の「株式会社B」の次に「(以下「B」という。)」を各加え、同7行目の「C」を「B」と改め、同10行目から同11行目の「認めており」の次に「(乙三の二・三)」を加える。
2 同19頁4行目の「乙司法書士」の次に「(以下「乙」ともいう。)」を、同8行目の「丙」の次に「(以下「丙」という。)」を各加え、同20頁3行目の「丁が」を「丁も」と、同9行目の「乙九の二七」を「乙九の二七、一〇の三〇・三一」と、同11行目の「の関係上」を「売買の交渉をしていた関係上、控訴人が入札に参加する訳にはいかなかったことから」と各改める。
3 同22頁9行目の次に改行して次のとおり加える。
「なお、控訴人は、当審において、丁から三一〇〇万円を借用して物件六を競落し、戊への売却による利益八〇〇万円を受け取っているから、当初の供述(乙六の五)が真実であり、変遷後の供述は虚偽のものであるとするD作成の平成一二年一一月五日付けの陳述書(甲一五)を提出するが、右書面は原審での証言後に作成されたものである上、当初の供述が真実であり、変遷後の供述が虚偽であるとして縷々述べる点は首肯するに足りない不自然・不合理なものであって、右陳述書の記載内容をそのまま信用することはできない。」
4 同23頁2行目の「会計処理上は、」の次に「同月三〇日、」を加え、同9行目の「三〇〇〇万円」を「合計三〇〇〇万円」と、同24頁8行目から同9行目の「処理されている」を「処理している」と、同26頁7行目の「定期預金」を「定期貯金」と、同行目の「乙一八」を「乙五の八、一五、一七、一八」と各改め、同27頁9行目の「戊に貸し付け、」を削除し、同28頁2行目の「返済を受けた」の次に「として処理している」を加え、同9行目の「九〇〇〇万円で売った方が」を「九七七一万円で売った方が、税金対策上」と、同29頁4行目から同5行目の「EとFは」を「Fと」と、同6行目の「昭和六三年中旬」を、「昭和六三年三月中旬」と、同8行目の「だいたい」を「だいたいの」と各改める。
5 同30頁6行目の「乙四の二、四」を「乙四の二・四」と、同31頁2行目から同3行目の「認めるべきである」を「認めるのが相当である」と各改め、同10行目の「G」の次に「(以下「G」という。)」を加え、同32頁2行目の「HでGとFと丁の3人が会った」を「同人と会わなければ話がまとまらないとの返事であったため、HでFと一緒に丁と会った」と、同3行目の「乙四の三、乙四の四」を「乙四の三・四」と、同9行目の「G」を「G」と、同11行目の「乙四の三、四」を「乙四の三・四」と各改める。
6 同33頁8行目の「それでも」を「それでもいい」と、同10行目の「乙四の五、六」を「乙四の五・六」と各改め、同34頁1行目の次に改行して次のとおり加える。
「4 Fは、G、F、戊、丁がI支社で会った際、Gが本件取引の決定を渋ったところ、丁らは、売買を成立させるため、保証金として三〇〇〇万円及び担保として丁が所有する丁物件の権利証、委任状、印鑑証明書を差し入れるとの提案をし、第一回目の代金決済の時、Iは、丁から右権利証等を受け取るとともに、三〇〇〇万円の保証金を売買代金五億六〇〇〇万円から差し引いて受け取った旨申述し(乙四の一)、丁もIとの取引が始まる前に丁物件の権利証等を預けたと供述(甲一三、控訴人代表者)しており、保証金三〇〇〇万円の外に、丁は、同人所有の丁物件の権利証等をIに差し入れるまでして本件取引の成立を図っている。」
7 同35頁5行目の「J」の次に「(以下「J」という。)」を、同36頁10行目の「乙七の六」の次に「、弁論の全趣旨」を各加え、同37頁5行目の「一二月二九日」を「一二月一九日」と改め、同8行目の「K」の次に「(以下「K」という。)」を加え、同10行目の「乙六八」を「乙五九、六八、戊証人」と改め、同38頁2行目の「近距離にあるが」の次に「(乙七三)」を加え、同39頁7行目の「乙四〇」を「乙七の二・八、一九、四〇」と、同40頁1行目の「乙三九」を「乙二一、三九」と、同6行目の「七六の一ないし三」を「乙七六の一ないし三」と各改める。
8 同41頁6行目の「認められる」を「認めるのが合理的である」と、同43頁2行目の「第三回」を「第四回」と、同3行目の「乙六九の一、二」を「乙六九の一・二」と、同10行目の「乙一九」を「乙七の四、一九」と各改め、同44頁5行目の「分割された」の次に「(乙七の一・三)」を加え、同45頁6行目の「乙一三の三・六、七頁」を「乙一三の三・六頁、七頁」と、同10行目から同11行目の「株式会社B(以下「B」という。)」を「B」と各改める。
9 同48頁10行目の「普通預金口座」を「戊名義の普通預金口座」と、同11行目の「乙三の六、五三、五四」を「乙二の一、三の六、五三、五四、戊証人」と、同49頁3行目の「平成二年分所得税」を「平成二年度分の所得税」と、同8行目の「乙五九」を「乙五八、五九」と各改め、同50頁2行目の「三月に」の次に「前記のとおり」を加え、同5行目の「L司法書士」を「乙司法書士」と、同52頁6行目から同7行目の「乙九の一九、二〇」を「乙九の一九・二〇」と、同53頁1行目の「更正請求取下げの申入れ」を「更正請求及びその取下げの申入れ」と各改め、同9行目の「乙四五」の次に「、弁論の全趣旨」を加え、同10行目の「K」を「K」と改める。
10 同54頁4行目の「と言われ」を「などと依頼され、その際、言葉の端々に更正請求を取り下げてもらえないかというような意味の話をしてきたので」と、同55頁11行目の「残金」を「残債務」と、同56頁1行目の「Mのころ」を「Mに関わっていたころ」と、同5行目の「乙二の一、二の二、一一、四四」を「乙二の一・二、一一、四四、六八」と、同7行目の「六三年七月期」を「昭和六三年七月期」と、同60頁10行目の「戊名義口座」から同11行目の「あったので」までを「丁が戊名義の口座を作っていたので」と各改める。
11 同61頁1行目の「乙二の二」を「乙二の二・三」と、同2行目の「乙二の二・八、一〇」を「乙二の一・三・八・一〇」と、同63頁3行目の「他の証拠」から同4行目の「戊を」までを「控訴人の会計帳簿上の処理についても、控訴人から支出された資金をことさら戊に貸し付けて、同人を」と、同64頁8行目の「更正請求をした事実」を「更正請求をし、これに対し丁がN土地の処分を委ねることの見返りにその請求の取下を申し入れた事実」と各改める。
12 同65頁4行目の「重加算税が」から同5行目の「右のとおり」までを「重加算税を課すことができる。さらに、控訴人は、前記のとおり、物件一についてはO商事から、物件二についてはPからそれぞれ買い受け、Iに譲渡したにもかかわらず、戊を中間取引人として介在させ、同人がIに転売したかの如く取引を仮装し、その譲渡益を除外して」と、同7行目の「本件」から同8行目までを「本件青色申告承認を取り消すことができるというべきである。」と、同66頁1行目の「所得金額」から同2行目までを「所得金額、課税土地譲渡利益金額、納付すべき税額(差引合計税額)及び重加算税額は、別表2の「昭和六三年七月期」欄のとおりとなる。」と、同8行目の「認めるが」を「認め」と、同9行目の「除くから」を「除外すると」と、同10行目の「所得金額」から同行末尾までを「所得金額、課税土地譲渡利益金額、納付すべき税額(差引合計税額)及び重加算税額は、別表2の「平成元年七月期」欄のとおりとなる。」と、同67頁3行目の「本件」から同4行目の「認められるが」までを「本件では合名会社O商事とすべきところを合資会社O商事と誤記したものにすぎない上」と、同8行目の「認められない」を「認められないから、右主張は理由がない」と各改め、同9行目の「被告が」を削除する。
13 同11行目から同68頁7行目までを次のとおり改める。
「前記1において説示したとおり、本件青色申告承認取消処分は適法であるということができるから、右取消後になされた本件更正通知書に理由の記載がないことをもって本件更正処分及び重加算税賦課決定処分が違法となるものではないし、また、本件全証拠によるも、本件更正通知書に理由の記載がないことが、法人税法一三〇条二項の規定の趣旨を潜脱する違法なものであると認めることはできない。
6 前記2、3において説示したとおり、控訴人の昭和六三年七月期及び平成元年七月期の所得金額、課税土地譲渡利益金額、納付すべき税額(差引合計税額)及び重加算税額は別表2のとおりであるから、本件更正処分及び重加算税賦課決定処分(前記審査請求による一部取消後のもの)は適法であると認められる。」
第四結論
よって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 大谷正治 裁判官 松下潔 裁判官 大野勝則)