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福岡高等裁判所那覇支部 平成12年(行コ)4号 判決 2001年9月20日

控訴人

A株式会社

同代表者代表取締役

同訴訟代理人弁護士

宮良晧

被控訴人

北那覇税務署長

牧野秀次郎

同指定代理人

西郷雅彦

金子健太郎

瑞慶山良宗

小岩井利恵

我那覇隆

主文

1  本件控訴を棄却する。

2  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第1請求

1  控訴人

(1)  原判決を取り消す。

(2)  被控訴人が、控訴人の平成4年8月12日から同年10月31日までの事業年度及び同年11月1日から平成5年10月31日までの事業年度の法人税についてした平成7年12月22日付け更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分並びに平成5年11月1日から平成6年10月31日までの事業年度の法人税についてした平成7年12月22日付け更正処分のうち確定申告による所得金額510円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。

(3)  被控訴人が、控訴人の平成4年8月12日から同年10月31日までの事業年度及び同年11月1日から平成5年10月31日までの事業年度の法人特別税についてした平成7年12月22日付け法人特別税更正処分をいずれも取り消す。

(4)  訴訟費用は第1、2審とも被控訴人の負担とする。

2  被控訴人

主文と同旨

第2事案の概要

次のとおり付加、訂正するほかは、原判決の「第2 事案の概要」欄記載のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決3頁7行目の「という。」の次に「ただし、同目録3の「種類」欄を「公衆浴場・店舗・居宅」と改める。」を加える。

2  同4頁1行目の「平成4年10月期」を「平成4年8月12日から同年10月31日までの事業年度(以下「平成4年10月期」という。)」と、同2行目の「平成5年10月期」を「同年11月1日から平成5年10月31日までの事業年度(以下「平成5年10月期」という。)」と、同行目から同3行目の「平成6年10月期」を「同年11月1日から平成6年10月31日までの事業年度(以下「平成6年10月期」という。)」と各改める。

第3当裁判所の判断

次のとおり付加、訂正するほかは、原判決の「第3 当裁判所の判断」欄記載のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決5頁19行目の次に改行して次のとおり加える。

「 (以下、認定した事実は、個別に掲記した証拠のほか、弁論の全趣旨により認められる。)」

2  同6頁4行目の「塩害等の腐食」を「塩害等による腐食」と、同11行目の「乙証人」を「証人乙」と各改め、同7頁6行目の「取得後に」の前に「本件売買契約による」を、同8頁13行目の「いない」、同9頁5行目の「おらず」の次にいずれも「(控訴人代表者)」を各加え、同11頁2行目から同3行目の「駐車場を賃借」を「駐車場として隣接土地を賃借」と改め、同14頁11行目の「丙」の次に「。以下個人を指す場合は「丙」という。」を、同16頁11行目の「あったこと」の次に「(控訴人代表者)」を、同17頁2行目の「B銀行」の前に「株式会社」を各加える。

3  同19頁16行目の次に改行して次のとおり加える。

「 これに対し、控訴人は、当審においても、本件土地建物の購入時には本件建物を貸店舗として利用する目的であった所以を、独自の見解に立って縷々主張する。しかしながら、その主張や控訴人代表者の供述を前提としても、設立手続中の会社が初めての事業として売買代金額が1億3000万円を超える土地建物を購入し、建物の価値に着目してこれを貸店舗として利用する目的を有していたのであれば、建物の状態、改装等の必要性を調査検討し、負担すべき費用を見積もった上で、市場性等についても調査し、採算性を確保するため、それなりの事業計画、損益の見通しを立てるのが当然であると考えられるにもかかわらず(ましてや、話を持ち込んだ仲介業者はそれまでに殆ど面識がなく、売主も破産状態にあったというのであるからなおさらである。)、甲は、以前から食事等で良く利用し内部も見ていた建物であり、地域的にも特飲街で良好であるというだけの理由で、十分に貸店舗営業が可能であると確信し、いとも簡単に購入を決めたというのであって、既に10か月にわたって建物が利用されておらず、電気の供給も停止されていたのに、購入に際して上記の調査や計画立案、建物内部の点検をした形跡がないというのは、事業者として極めて不合理かつ不自然な行動というほかなく、この点に関して控訴人から首肯できる説明が殆どなされていないのであるから、控訴人の上記主張は理由がないことが明らかであり、前記認定の、控訴人の取得時における本件建物の状況、本件売買契約の締結に対する控訴人の姿勢、料亭Cにおける駐車場の必要性、本件土地建物の価額に加え、本件建物取得とその取壊しの時間的近接性といった客観的な諸事情に鑑みると、控訴人は、明らかに本件土地を料亭Cの駐車場として利用する目的で取得したものと優に認められるのであり、控訴人が原審において提出した証拠のほか、当審において提出する証拠にも上記認定を左右するに足りるものは見当たらない(その一部につき付言しておくと、一級建築士の作成に係り、補強工事の可能性から本件建物を無価値とは断言できないとする意見書である甲63によっても、本件建物の補強に必要な工事の内容や費用は明らかではなく、かえって、本件売買契約の締結当時に控訴人がかかる検討をしなかったことは、控訴人が本件建物の価値に着目していなかった証左であるということができる。

また、本件土地は料亭Cの顧客の駐車場として利用されていない旨の近隣住民や料亭Cの従業員らの陳述書である甲61、68の1ないし11は、一方で従業員の駐車場として継続的に利用されている旨をも記述しており、料亭Cで駐車場の確保の必要性が高かった事実を裏付けるものとなっている。)。」

4  同19頁20行目の「以上の事実をもとにすると」を「以上の事実に、甲25の1ないし3、26の1、2、27の1ないし3、28の1ないし4、29の1ないし3、33及び弁論の全趣旨を併せると」と改め、同21頁12行目の次に改行して次のとおり加える。

「 なお、その他、本件更正処分等に違憲ないし違法な点があることを窺わせるような事情や証拠は存在しない。」

第4結論

よって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大谷正治 裁判官 松下潔 裁判官 大野勝則)

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