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福岡高等裁判所那覇支部 平成9年(行コ)5号 判決 1997年12月04日

那覇市首里大中町一丁目四一番二号

控訴人

山岸洋一

東京都千代田区霞が関一丁目一番一号

被控訴人

右代表者法務大臣

下稲葉耕吉

右指定代理人

倉本正博

右同

宮良智

右同

玉栄朋樹

右同

郷間弘司

右同

荒川政明

右同

富村久志

右同

古謝泰弘

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  控訴の趣旨

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人は控訴人に対し、金一四五万五三三〇円を支払え(以下「本件一の訴え」という。)。

3  固定資産税及び相続税の時価評価制度廃止を妥当とする(以下「本件二の訴え」という。)。

4  被控訴人は、可及的速やかに法制審判所を設け法制審判訴訟法を制定せよ(以下「本件三の訴え」という。)。

なお、控訴人は、当審において、「住民税所得割を近似固定額とし当年徴収制度に改めるのを妥当とする。」との訴えを取り下げた。

二  控訴の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二事案の概要

本件の事案の概要は、次のとおり加除、訂正するほか、原判決事実及び理由「第二 事案の概要」のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決三頁九行目及び同四頁四行目の各「請求の趣旨第一項」をいずれも「本件一の訴え」と訂正する。

2  同三頁一〇行目の「住民税所得割」から同行ないし同一一行目の「(同第二項)、」までを削除する。

3  同一一行目の「同第三項「を「本件二の訴え」と訂正する。

4  同四頁一行目の「同第四項」を「本件三の訴え」と訂正する。

5  同六行目の「住民税」の前に「前年度の」を加える。

6  同八行目の「所得控除目」を「所得控除項目」と訂正する。

7  同五頁一〇行目から同六頁二行目までを削除する。

8  同三行目を「2 本件二の訴え」と訂正する。

9  同九行目の「請求の趣旨第三項記載の」を「本件二の訴えのとおりの」と訂正する。

10  同一〇行目を「3 本件三の訴え」と訂正する。

11  同七頁一行目の「請求の趣旨第四項記載の」を「本件三の訴えのとおりの」と訂正する。

12  同九行目末尾の次に改行して次のとおり加える。

「また、市・県民税の重複課税を主張する部分については、そもそも地方税の課税権は、地方公共団体が有し、右課税権に基づいて課税徴収された租税収入は、当該地方公共団体に帰属するのであるから、控訴人の右主張部分は主張自体失当である。」

13  同一〇行目の「2ないし4」を「2及び3」と訂正する。

14  同八頁二行目及び同九頁一一行目の各「請求の趣旨第二項ないし第四項」をいずれも「本件二、三の各訴え」と訂正する。

15  同八頁八行目の「1ないし3」を「1及び2」と訂正する。

16  同一〇行目の「島根県」を「鳥取県」と訂正する。

17  同一一行目の各「土地」をいずれも「土地、建物」と訂正する。

18  同九頁一行目の「土地」を「集合住宅」と訂正する。

19  同二行目の「請求の趣旨第二項及び第三項」を「本件二の訴え」と訂正する。

20  同六行目ないし七行目の「請求の趣旨第四項」を「本件三の訴え」と訂正する。

21  同一〇行目を「1 本件課税に関する不当利得の成否(本件一の訴え)」と訂正する。

第三争点に対する判断

一  争点1(本件課税に関する不当利得の成否)について

控訴人の本件一の訴えのうち、平成六年度市・県民税における重複課税五〇万三二三〇円の返還を求める部分については、右税金はいずれも国庫に帰属するものではないから、国が利得を得たとはいえず、したがって、右部分に関する控訴人の主張は、主張自体失当である。

また、乙第一号証及び弁論の全趣旨によれば、控訴人は、平成六年二月一七日、平成五年度の所得税につき、一二二二万四六〇九円の所得があるので、所定の控除をしたうえで所得税額を算出すると、一七二万八九〇〇円となる旨の確定申告を行った結果、右税額が確定したものの、その後、本件において、被控訴人が徴収した右税額のうち九五万二一〇〇円については、納付した市・県民税及び固定資産税に対して重複して課税されたものであるとして、その返還を求めるに至ったことが認められるところ、所得税法等において、地方税として納付した金額を課税対象から控除できる旨の規定はないのであるから、右所得税の課税が適法であることは明らかである。

控訴人は、住民税等の納税額をさらに重複して課税対象とすることは条理に反すると主張するが、これが条理に反するとは認められず、立法政策の問題というほかないから、控訴人の右主張は失当である。

したがって、本件課税に関し不当利得が成立する余地はなく、本件一の訴えは理由がない。

二  争点2(本件訴訟の法律上の争訟性)

本件二、三の訴えは、租税法令の効力や解釈に関する自己の見解の正当性の確認を求め、あるいは、租税法令ないし法制度の制定・改廃を求めるものであり、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であるとはいえないから、裁判所法三条にいう「法律上の争訟」に該当しない。

したがって、本件二、三の各訴えは不適法である。

三  結論

右のとおり本件一の訴えは理由がないのでこれを棄却し、本件二、三の各訴えはいずれも不適法であるのでこれらを却下すべきであるから、これと同旨の原判決は相当である。

よって、本件控訴は理由がないから、これを棄却し、控訴費用の負担につき、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岩谷憲一 裁判官 角隆博 裁判官 吉村典晃)

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