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福島地方裁判所 平成4年(行ウ)7号 判決 1992年6月15日

福島県いわき市常磐下湯長谷町道下二九番地五

原告

株式会社ジャパンオール

右代表者代表取締役

市川之一

右訴訟代理人弁護士

鈴木謙吉

福島県いわき市平字菱川町六-三

被告

いわき税務署長 高橋良一

主文

本件訴えを却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

一  本件訴状には、原告は、「原告の昭和六一年一一月二〇日から昭和六二年一〇月三一日までの事業年度分について被告税務署長のした次の各処分を取り消す。(一)平成元年三月二八日付「法人税額等の更正通知書及び加算税の賦課決定通知書」及び同年八月二二日付「法人税の加算税の賦課決定通知書」をもって法人税額を更正し、重加算税並びに過少申告加算税を賦課した更正決定処分、(二)平成元年八月二二日付「源泉所得税の加算税賦課決定通知書」をもって加算税を徴収するとした決定処分。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、請求原因として、右各処分は違法であり、事実を誤認している旨の記載がある。

二  しかしながら、原告の本件訴えは不適法であり、かつ、その欠缺を補正することはできない。

すなわち、<1>被告は、原告の昭和六一年一一月一〇日から昭和六二年一〇月三一日までの事業年度分について、(一)平成元年三月二八日付で法人税額等の更正処分、重加算税及び過少申告加算税の賦課決定処分を、平成元年八月二二日付で過少申告加算税の賦課決定処分をし、(二)平成元年八月二二日付で源泉所得税の納付告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分をした、<2>原告は、右(一)(二)の各処分について被告に対する異議申立て(被告による異議決定)を経たうえ、国税不服審判所長に対し審査請求をした。<3>同所長は、平成二年六月二六日付けで審査請求をいずれも棄却する旨の裁決を行い、右裁決書謄本は同年六月二八日付けで原告に送達された、<4>原告は、平成二年九月二五日、当庁に対し、右(一)(二)の各処分の取消訴訟(平成二年(行ウ)第七号)を提起したが、平成四年三月二日の経過により訴えの取下があったものとみなされた(休止満了)、<5>原告は、平成四年五月一一日、当庁に対し、再び本件訴えとして右(一)(二)の各処分の取消訴訟を提起した、という事実は、当裁判所に顕著であり、本件訴えが、出訴期間である裁決があったことを知った日から三か月を経過して提起されたものであることは明らかであって、行政事件訴訟法一四条一項に違反して不適法であり、かつ、その欠缺を補正することはできない(同条二項により、右出訴期間は不変期間とされている。原告は、訴状中に前訴の平成二年(行ウ)第七号事件は原告代理人の不測の事故により休止満了になったので再訴を提起する旨記載しているが、右事由は、同法七条、民事訴訟法一五九条一項に定める訴訟行為の追完事由にもあたらない。)。

三  よって、原告の本件訴えを却下することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 武田平次郎 裁判官 手島徹 裁判官 渡辺勇次)

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