福島地方裁判所 昭和56年(わ)10号 判決 1981年5月08日
(一)
本店所在地 福島県双葉郡富岡町大字本岡字本町一〇八番地
商号
宇佐見建設株式会社
代表者氏名
宇佐見俊巳
(二)
本籍 福島県双葉郡富岡町大字本岡字王塚五六七番地
住居
右同所
職業
会社役員
氏名
宇佐見金重
生年月日
大正一三年三月二七日
右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官中澤正博出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人宇佐見建設株式会社を罰金一、二〇〇万円に、被告人宇佐見金重を懲役八月に、それぞれ処する。
被告人宇佐見金重に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人宇佐見建設株式会社(以下被告会社という)は、福島県双葉郡富岡町大字本岡字本町一〇八番地に本店を置き、一般土木建築業を営むものであり、被告人宇佐見金重は、昭和三七年から昭和五五年一二月まで、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人宇佐見は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一 昭和五二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が五二、五四三、八三七円で、これに対する法人税額が一九、九〇四、三〇〇円であるにもかかわらず、工事収入の一部を除外し、あるいは架空又は水増し外注費を計上し、これによって得た資金を架空名あるいは無記名の預貯金にするなどの行為により、右所得金額中三四、八六五、七四一円を秘匿したうえ、昭和五三年二月七日、同県相馬市中村字曲田九二番地の二所在の相馬税務署において、同税務署長に対し、当該事業年度の所得金額が一七、六七八、〇九六円で、これに対する法人税額が五、九七九、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により法人税一三、九二五、〇〇〇円を免れ、
第二 昭和五三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が五三、一二四、四二七円で、これに対する法人税額が一九、六一九、四〇〇円であるにもかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中一八、二五一、八五九円を秘匿したうえ、昭和五四年二月一日、前記相馬税務署において、同税務署長に対し、当該事業年度の所得金額が三四、八七二、五六八円で、これに対する法人税額が一一、三六七、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により法人税八、二五一、五〇〇円を免れ、
第三 昭和五四年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が七四、五四五、四三五円で、これに対する法人税額が二八、一七九、〇〇〇円であるにもかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中四七、八四一、三九六円を秘匿したうえ、昭和五五年二月四日、前記相馬税務署において、同税務署長に対し、被告会社の所得金額が二六、七〇四、〇三九円で、これに対する法人税額が八、五五六、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税一九、六二二、九〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
記録中の証拠等関係カード(検察官請求分)における左記番号欄の標目記載と同一であるから、これを引用する。
判示事実全部について
14、18、19、20、23、24、25、31、36、37、38、43、44、46、47、48、50乃至57、61、64、67、70、75、80乃至110
判示第一の事実について
1、5、6、7、11、15、29、33、39、41、42、45、49、58、62、71、76、78、79
判示第二の事実について
2、9、12、15、22、29、34、59、63、69、71、72、73、77
判示第三の事実について
3、10、13、16、17、21、22、27、35、40、42、60、65、66、68、72、73、74
(法令の適用)
判示各所為は、被告会社の関係ではいずれも法人税法一六四条一項、七四条一項二号に該当し、被告人宇佐見金重の関係ではいずれも同法一五九条、七四条一項二号に該当するところ、被告会社の以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により所定罰金額を合算した金額の範囲内で被告会社を罰金一、二〇〇万円に処し、被告人宇佐見金重については、判示各罪につきいずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は同法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役八月に処し、同被告人に対し情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
よって、本文のとおり判決する。
(裁判官 青野平)