福島地方裁判所 昭和60年(わ)166号 判決 1985年12月12日
本店の所在地
福島市黒岩字榎平六〇番地の一
法人の名称
有限会社ニュースター
代表者
星山南之助、李南洙こと 李南之助
国籍
韓国
住居
福島市鳥谷野字芝切七番地の五
会社役員
星山南之助、李南洙こと李南之助
一、九二五年九月二五日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官河野芳雄出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人有限会社ニュースターを罰金二、四〇〇万円に、被告人李南之助を懲役一〇月に処する。
被告人李南之助に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人有限会社ニュースターは、福島市黒岩字榎平六〇番地の一に本店を置き(なお、被告人会社の本店所在地は、昭和五一年五月一〇日から同五六年四月二七日までの間は福島県会津若松市神指町大字黒川字湯川東一五七番地、その後同五六年六月二二日までの間は肩書本店所在地に、その後同五六年九月十九日までの間は前記会津若松市神指町大字黒川字湯川東一五七番地に、その後は肩書本店所在地に各移転されている。)遊技場の経営(パチンコ業)等の業務を営むものであり、被告人星山南之助、李南洙こと李南之助は、被告人会社の代表取締役等として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人李南之助は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上を除外して計上するなどの方法により所得を秘匿した上、
第一 昭和五五年四月一日から同五六年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が三、一七七万七、〇八五円で、これに対する法人税額が一、一八五万六、三〇〇円であったのにかかわらず、同年五月一六日、福島県会津若松市城前一番八二号所在の会津若松税務署において、同税務署長に対し、当該事業年度の所得金額が五九七万八、八九四円で、これに対する法人税額が一六五万九、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出(但し、国税通則法二一条二項により、所轄福島税務署長に提出したものとみなされる。)し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告人会社の右事業年度の正規の法人税額と右申告法人税額との差額一、〇一九万六、九〇〇円を免れ、
第二 同五六年四月一日から同五七年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が六、九〇一万三五円で、これに対する法人税額が二、八〇〇万二、六〇〇円であったのにかかわらず、同年五月三一日、福島市桜木町四番一一号所在の福島税務署において、同税務署長に対し、当該事業年度の所得金額が四九〇万四九七円で、これに対する法人税額が一四四万八、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告人会社の右事業年度の正規の法人税額と右申告法人税額との差額二、六五五万四、二〇〇円を免れ、
第三 同五七年四月一日から同五八年三月三一月までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一億二、三二二万七、九七二円で、これに対する法人税額が五、〇七七万三、三〇〇円であったのにかかわらず、同年五月三一日、前記福島税務署において、同税務署長に対し、当該事業年度の所得金額が一、七〇〇万二、八五四円で、これに対する法人税額が六一五万八、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告人会社の事業年度の正規の法人税額と右申告法人税額との差額四、四六一万四、五〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実について
一 被告人李南之助の当公判廷における供述
一 被告人李南之助の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書一五通
一 矢吹健の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書一三通
一 遠藤哲夫(二通)及び小林春夫の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 遠藤哲夫(八通)及び目黒和夫作成の各上申書
一 宍戸正和作成の回答書
一 大蔵事務官作成の銀行調査書及び脱税額計算書説明資料
一 国税査察官作成の調査報告書
一 登記官作成の商業登記簿謄本四通(但し、うち三通は閉鎖登記簿謄本)
一 押収してあるノート一冊(昭和六〇年押四七号の一)、荒利益計算書一綴(同号の三)
判示第一の事実について
一 大蔵事務官作成の未納事業税額計算書(昭和五五年度分)及び脱税額計算書(同年度分)
一 押収してある総勘定元帳二綴(昭和六〇年押四七号の四、七)、法人税の確定申告書一綴(同号の一二)
判示第二、第三の事実について
一 ノート一冊(昭和六〇年押四七号の二)
判示第二の事実について
一 大蔵事務官作成の未納事業税額計算書(昭和五六年度分)及び脱税額計算書(同年度分)
一 押収してある総勘定元帳二綴(昭和六〇年押四七号の五、八)、法人税の確定申告書一綴(同号の一一)
判示第三の事実について
一 大蔵事務官作成の未納事業税額計算書(昭和五七年度分)及び脱税額計算書(同年度分)
一 押収してある総勘定元帳二綴(昭和六〇年押四七号の六、九)、法人税の確定申告書一綴(同号の一〇)
(法令の適用)
被告人有限会社ニュースターの判示各所為はいずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項、被告人李南之助の判示各所為はいずれも同法一五九条一項に該当するところ、被告人会社に対する右各罪の罰金刑については情状により同法一五九条二項を適用して各免れた法人税の額に相当する金額以下の金額とすることとし、被告人李については所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上はそれぞれ刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については刑法四八条二項により各罪についての前記罰金を合算し、被告人李については刑法四七条本文、一〇条により、犯情の重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした各刑期及び金額の範囲内で、被告人会社を罰金二、四〇〇万円に、被告人李を懲役一〇月に処し、被告人李については情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予することとする。
(裁判官 若杉立身)