大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福島地方裁判所 昭和60年(行ウ)3号 判決

原告

櫻木左久雄

右訴訟代理人弁護士

堀切真一郎

目黒鷹雄

本田哲夫

船木義男

被告

福島県南会津郡下郷町選挙管理委員会

右代表者委員長

星竹造

右訴訟代理人弁護士

渡辺健寿

右指定代理人

湯田和男外四名

訴訟参加人

星平八

右訴訟代理人弁護士

高橋一郎

右訴訟復代理人弁護士

渡辺和子

主文

一  原告が昭和六〇年二月二日に行つた福島県南会津郡下郷町長解職請求者署名簿の署名の効力に関する異議の申出に対し、被告が同年同月一七日別紙署名目録記載の各署名についてなした決定のうち、同目録記載の署名中番号14ないし16、24ないし26、35、40、43、44、47、53、54、56、58、64、69、73、79に関する部分を取り消す。

二  別紙個別異議申出目録(一)のうち、番号4、9記載の各異議申出人が同目録記載の日に行つた右署名簿の署名の効力に関する異議の申出に対し、被告が同年同月一六日になした各決定をいずれも取り消す。

三  別紙署名目録記載の署名中番号14ないし16、24ないし、26、35、40、43、44、47、53、54、56、58、64、69、73、79の各署名及び別紙個別異議申出目録(一)記載の署名中番号4、9の各署名がいずれも無効であることを確認する。

四  原告のその余の請求をいずれも棄却する。

五  訴訟費用(参加費用を含む)は、これを一〇分し、その一を被告及び訴訟参加人の負担とし、その余を原告の負担とする。

事実

第一  当事者双方の求める裁判

一  原告

原告が昭和六〇年二月二日に行つた福島県南会津郡下郷町長解職請求者署名簿の署名の効力に関する異議の申出に対し、被告が同年同月一七日別紙署名目録記載の各署名につきいずれも異議の申出を棄却し、各署名を有効とした決定及び別紙個別異議申出目録(一)ないし(四)記載の各異議申出人が同目録記載の日に行つた右署名簿の署名に関する異議の申出に対し、被告が同年同月一六日に同目録記載の各署名につきいずれも異議の申出を棄却し、各署名を有効とした決定をいずれも取り消す。

右各署名はいずれも無効であることを確認する。

訴訟費用は被告の負担とする。

二  被告

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

第二  請求原因

一  訴訟参加人は、昭和五九年一一月二八日、被告に対し、福島県南会津郡下郷町長である原告の町長解職請求書を提出し、請求代表者証明書の交付を申請した。

被告は、同年一二月一日右証明書を訴訟参加人に対し交付し、同時にその旨の告示をした。

二  訴訟参加人らは、同町の有権者に対する署名収集の活動を開始し、昭和六〇年一月一日までに同町有権者総数七一一〇名中法定数二三七〇名を超える二六五六名の署名を得たとして、同日右署名簿六四冊を一括して被告に提出し、右署名簿の署名者が同町の選挙人名簿に記載されている者であることの証明を求めた。

これに対して、被告は右署名簿の審査を行い、同年同月二七日署名総数二六五六名、有効署名数二五七二名、無効署名数八四名と決定し、同年同月二八日より同年二月三日まで下郷町役場において右署名簿を縦覧に供した。

三  原告は、同年二月三日被告に対し、被告において有効と決定した別紙署名目録記載の各署名を含む合計四四八名の署名に関して異議の申出をした。

被告は、同年同月一七日、別紙署名目録記載の各署名について、いずれも異議の申出を棄却する旨の決定をした。

しかし別紙署名目録記載のうち、番号27星富江を除くその余の各署名は、すべて自署でないから無効であり、星富江の署名は、受任者でない者が収集したもので無効である。

ただし原告は、星富江の署名についても、本訴において、当初はそれが自署でない旨主張した。

四  別紙個別異議申出目録(一)ないし(四)の各署名者氏名欄記載の者は、それぞれ同目録異議申出年月日欄記載の日に、被告に対し、被告において有効と決定した自己の署名について、それぞれ異議の申出をした。

五  被告は、同年同月一六日、右の各異議申出に対し、いずれもこれを棄却する旨の決定をした。

六  しかし右目録(一)ないし(四)記載の各署名は、いずれも次の理由により無効である。

1  同目録(一)記載の各署名

(一) 番号1星ゼン子の署名については、その押印は同人がしたものではなく、第三者がしたものである。署名者が自ら押印することは、署名の有効要件であり、これを欠く右署名は無効である。

その余の署名は、いずれも自署でないから無効である。

(二) 仮に右各署名が自署であつたとしても、番号9小林鶴代を除くその余の署名は、いずれも詐偽によるものであつて、無効である。

2  同目録(二)記載の各署名

同目録無効理由欄記載のとおり、詐偽又は強迫によるものであつて無効である。

3  同目録(三)記載の署名

受任者でない五十嵐栄一或は受任者でない第三者が署名の収集に訪れたものであるから無効である。

4  同目録(四)記載の署名

髙橋豊子は、昭和五九年一二月一五日頃、受任者である玉川俊光に対し、自己の署名の取消しを申し出たが、玉川俊光はこれを拒否し、放置したものであり、同署名は無効である。

5  ただし原告は、個別異議申出目録(一)記載のうち番号9小林鶴代、番号10室井ユキ子を除くその余の者、個別異議申出目録(二)記載のうち番号3渋谷勝義、番号21玉川名美子、番号49室井夏、番号51室井マツノ及び個別異議申出目録(三)記載の五十嵐アサヲの各署名については、本訴において、当初それらがいずれも自署でないとのみ主張した。

七  よつて、本件異議申出を棄却した被告の昭和六〇年二月一七日付及び同年同月一六日付の各決定はいずれも違法であるから、原告はその取消し及び本件各署名が無効であることの確認を求める。

第三  被告の答弁及び主張

一  本案前の主張

原告の本件訴えは、地方自治法七四条の二第八項及び同法八一条により解職請求者署名簿の署名の効力を争う訴訟である。右訴訟は、「町長リコールの成否をきめる有効投票数を争うもの」ではなく、あくまでも個々の署名の効力を争うもので、リコールの成否は、訴訟によつて個々の署名の効力が確定されることにより結果的に認められるものである。本件訴訟は、各署名毎になされた異議申出に対して被告がなした決定の取消しを求めるものであり、被告の決定は署名毎になされているのであつて、対象となる署名の数に相当する決定処分がある。本件訴訟においては、対象となる署名が複数あり、個々の署名についての請求が併合されているのであつて、結局「決定」の取消しを求める署名の数に相当する訴訟物があるものと解すべく、本件訴訟の訴額は、九五万円に署名数を乗じた額となる。原告は訴訟物の価額を九五万円とし、これに対する印紙を貼用するにとどまるから、必要な印紙の貼用を欠くものとして、本件訴えは却下されるべきである。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因一、二の各事実は認める。

2  同三の事実のうち、原告がその主張の日に異議の申出をしたこと及び被告が原告主張の日に原告主張のとおりの決定をしたことは認める。本件署名が自署でなく又は受任者でない者の収集によるものであることは争う。

3  同四の事実は認める。

4  同五の事実は認める。

5  同六1ないし4の事実は争う。

別紙署名目録記載の署名、個別異議申出目録(一)ないし(四)記載の署名は、いずれもこれを無効とすべき理由はなく、有効である。

第四  訴訟参加人の主張

一  本件訴訟は、地方自治法七四条の二第四項に基づく署名の効力に関する異議の申出について、被告が同条五項によりなした決定に対し、原告がその取消しを求めるものであつて、署名の効力に関する原処分たる同条一項の決定に対し、その取消しを求めたものではない。

したがつて本件訴訟は、行政事件訴訟法三条三項に規定する「裁決の取消しの訴え」であるところ、本件署名の効力に関する決定について、「原処分に対しては出訴を許さず、異議の申出に対する決定に対してのみ出訴することができる」旨の規定は特に存しないから、原告は本件訴訟においては、地方自治法七四条の二第五項の「決定に固有の違法事由」を主張することはできるが、「原処分たる同条一項の決定の違法」を理由として主張することはできない。したがつて、これに反する原告の本訴請求は主張自体失当である。

二  原告は、別紙個別異議申出目録(一)記載の署名(ただし、番号9小林鶴代を除く)につき、これが仮に自署であつたとしても詐偽、強迫による署名として無効である旨主張する。

しかし詐偽、強迫により署名者が錯誤に陥つたか否か、畏怖の念を生じたか否かは、本人の内心に関する事柄であり、地方自治法七四条の三第一項に規定する無効事由のように外形的事実によつて判定することができるものとは異なる。同法は別個に同条二項を設け、当初の署名審査においては、詐偽、強迫による署名を無効とはせず、詐偽、強迫を理由とする異議の申出があつて、はじめてこれを審査するものとし、右申出が正当であれば、これを無効とする旨規定している。

したがつて、署名者本人が署名の効力に関し異議申出をした場合においても、その理由として、詐偽又は強迫による旨を主張していない以上、選挙管理委員会は、たとえその署名が詐偽、強迫に基づいたものと認めても、これを理由として右署名を無効とすることはできない。しかし右署名者らは異議申出においてそのような主張をしていなかつたのであるから、第三者である原告がこれを主張することはできない。

三  個別異議申出目録(一)記載の番号9小林鶴代は、被告に対し異議申出をするに際し、自署でなかつたことを理由としていなかつた。

異議申出に際し、異議理由として掲げなかつた事由を本訴において主張することはできない。

第五  訴訟参加人の主張に対する原告の反論

一  訴訟参加人の主張一について

地方自治法七四条の二は、直接請求制度において最も紛争の因をなす署名簿の署名の審査及びその効力に関する争訟手続を定めたものであり、昭和二五年の同法の改正は、本案の新設とともに、同法二五五条の二(現行二五五条の五)を新たに規定した結果、署名簿の署名の効力に関する訴訟は、本条の訴訟手続による以外には行い得ないこととしたものである。

同法七四条の二で予定された署名の効力に関する争訟は、選挙管理委員会に対する異議申出、これに対する選挙管理委員会の決定、これに対する訴訟提起という構造を持つものであり、特に明文の規定はないが、同条一項の決定に対して直接出訴することは、同条の予定するところではないというべきである。

原告は同条一項の決定に対しては、直接出訴することはできないのであるから、同条五項の決定に対してあらゆる違法事由を主張し得ると解すべきである。

二  訴訟参加人の主張二について

署名者からの異議申出が全くなされていないものについて、第三者が詐偽、強迫を主張することはできないが、署名者がいかなる理由であれ異議申出をしたものについては、署名者の署名を取り消したい旨の意思が外部に表示されたものであり、異議申出が棄却された後に取消訴訟を提起した者が、当初主張された異議事由は存しないが、詐偽等の事実を発見した場合には、これを主張して訴訟を追行し、署名の無効確認を得るのが当該署名者の意思にそうものである。被解職請求者はすべての署名について利害関係を有するものであり、一旦異議申出のなされた署名については、あらゆる無効事由を主張して争えると解するべきである。

三  訴訟参加人の主張三について

訴訟の段階においては、異議申出の際の異議理由と異なる理由を主張しうるというべきである。すなわち

1  本件訴訟は、異議申出に対する選挙管理委員会の決定の当否を争うものであるが、選挙管理委員会の決定手続と訴訟手続とを、いわば事後審的構造を持つものとして捉える必然性はなく、むしろ控訴審と同様続審と考えるのが、行政訴訟も民事訴訟の一類型であることからしても妥当である。

2  異議申出段階においては発見できないような重大な無効事由が訴訟段階で初めて発見されたとしても、全くこれを斟酌できないのでは、具体的妥当性を欠くこととなる。

3  本件訴訟の究局的趣旨は、個々の署名の有効・無効を確定するという点にあり、ある特定の無効事由の存否を確定することが目的ではない。

以上の諸点に鑑みると、訴訟の段階において異議事由を変更することは許容されるべきものである。

第六  証拠関係<省略>

署名目録

番号

署名簿番号

署名番号

署名者氏名

1

3

247

星カヅエ

2

〃

272

星孝子

3

〃

277

佐藤ウメ子

4

〃

279

室井ツネヨ

5

4

331

室井義一

6

7

580

田沼ミツ子

7

8

641

小山内久米吉

8

〃

645

佐藤喜代子

9

〃

649

佐藤ヨネ

10

〃

664

二宮シカ

11

〃

671

星和子

12

〃

693

数本ふく子

13

13

1085

芳賀ツヤ子

14

〃

1087

芳賀義長

15

〃

1092

室井キヨイ

16

〃

1107

五十嵐トラノ

17

〃

1112

玉川タケヨ

18

14

1208

小山満枝

19

18

1482

藤原艶子

20

19

1567

渡部義弘

21

20

1689

渡部初美

22

〃

1690

渡部トクノ

23

〃

1701

五十嵐長子

24

〃

1703

五十嵐熊吉

番号

署名簿番号

署名番号

署名者氏名

25

21

1973

藤原キヨイ

26

〃

2016

星尚邦

27

24

2278

星富江

28

〃

2283

星スミエ

29

〃

2269

星カツ子

30

25

2346

弓田俊夫

31

〃

2354

湯田シノブ

32

〃

2355

弓田シズ子

33

〃

2361

星シヅイ

34

〃

2387

星キサ

35

26

2439

星マサ

36

〃

2446

星稲代

37

〃

2449

星勝

38

27

2502

鈴村勝江

39

〃

2504

室井トミヨ

40

〃

2507

宮川タケノ

41

〃

2528

星須美子

42

28

2593

室井洋明

43

29

2748

玉川栄一

44

〃

2804

藤原ツギ

45

30

2842

伊藤イツノ

46

32

3038

室井チトセ

47

〃

3043

佐藤ワイ

48

〃

3044

室井長一

番号

署名簿番号

署名番号

署名者氏名

49

33

3133

加藤キヨシ

50

34

3291

玉川ミツエ

51

〃

3307

星サツキ

52

〃

3309

五十嵐佳代子

53

35

3442

渡部トメノ

54

〃

3443

渡部カ子

55

37

3659

小川タケノ

56

39

3851

星ハツイ

57

〃

3852

藤原玉枝

58

〃

3866

フジワラカネ

59

〃

3873

五十嵐ケイ子

60

40

3985

二瓶竹子

61

〃

3992

浅沼みよ子

62

〃

3993

浅沼隆

63

41

4050

(湯田正子)

YUDA MASAKO

64

42

4118

小椋トモ

65

〃

4121

星留雄

66

〃

4123

渡部サツキ

67

〃

4128

渡部はよ子

68

〃

4143

小椋ユウ子

69

〃

4148

吉田ヤス子

70

44

4269

湯田モリイ

71

47

4435

小玉ヒサノ

72

〃

4482

猪股英造

番号

署名簿番号

署名番号

署名者氏名

73

47

4483

猪股ワイ

74

48

4568

荒井禎一

75

〃

4569

荒井昭夫

76

〃

4572

荒井正史

77

51

4789

星宗一

78

52

4842

渡部ミチヨ

79

〃

4884

佐藤徳長

80

〃

4885

佐藤ミサヲ

81

54

5000

鹿目雅子

82

56

5082

渡部笑子

83

〃

5095

室井ハルヨ

84

〃

5096

室井マサ

85

58

5238

湯田千秋

86

59

5286

星ヨシ

87

〃

5301

菊地フミ子

88

〃

5302

菊地隆光

89

〃

5403

斉藤ツヨ子

90

61

5485

荒井康晴

91

〃

5490

佐藤幸二

92

63

5627

玉川照子

93

〃

5647

五十嵐友徳

94

〃

5653

玉川新一

95

〃

5657

佐藤ツルヨ

理由

一本件訴訟の訴額について

原告は、異議申出にかかる署名のうち一八二名の署名に関する被告の棄却決定に対し、本訴をもつてその取消しとその署名の無効確認を求めるものであるが、その訴訟物の価額を民事訴訟費用等に関する法律四条二項に則り九五万円とし、その相当印紙八二〇〇円を貼用していることが記録上明らかである。

ところで地方自治法八一条、七四条の二により地方公共団体の長の解職請求の署名の効力に関し、署名者及び被解職請求者らから申し出られた異議につき、選挙管理委員会がこれを正当として修正決定をし、あるいは正当でないとして棄却する決定は、各署名ごとにそれぞれ別個の処分であり、これに対する不服の訴えもまた各署名ごとに各別の訴えをなすものと解せられるが、右各異議を棄却する決定に対して被解職請求者がその取消しを求める訴訟の目的は、右決定の行政処分としての個数が各署名ごとに複数であるとしても、地方公共団体の長の解職請求成否の基礎事実である有効署名数の確定ということに尽きると解される。

したがつて、右の訴えを数個の非財産権上の請求を併合したものとしても、なお右訴えの特殊な目的から、その訴額については、これを実質的に解し、各別の請求の擬制訴額を合算すべきものではないと解するのが相当である。

また右請求に署名無効確認の請求が併合されても、その請求の利益は別個独立のものではなく、右請求の利益と重複するものであるから、これに吸収されるものと解せられる。

そうすると、原告が本訴において貼用した印紙額は、相当といわなければならない。

二請求原因について

1  請求原因一、二、五の各事実、同三の事実のうち原告がその主張の日に異議の申出をしたこと及び被告が原告主張の日に原告主張のとおりの決定をしたこと、同四の事実のうち原告主張の署名者が原告主張の日に被告に対し自己の署名についてそれぞれ異議の申出をしたことは、原告と被告との間においては、争いがなく、原告と訴訟参加人との間においては、訴訟参加人が明らかに争わないから自白したものとみなす。

2  訴訟参加人の主張一について

地方自治法二五五条の五は、普通地方公共団体における直接請求の署名簿の署名に関する効力は、同法に定める争訟の提起期間及び管轄裁判所に関する規定によることによつてのみこれを争うことができる旨規定するから、右署名の効力に関する争訟は、同法七四条の二において定められた不服申立方法によつてのみなしうるもので、同条一項の決定に対し、直接出訴することはできないといわなければならない。したがつて本訴においては、行政事件訴訟法一〇条二項の制約はなく、署名の無効事由を審理しうるものである。

したがつて、この点に関する訴訟参加人の主張は採用できない。

3  別紙署名目録記載の署名について

(一)  証人星カヅエ(番号1の署名に対する証人、以下番号のみにより対応する署名を表示する)、同星孝子(2)、同佐藤ウメコ(3)、同室井ツネヨ(4)、同室井義一(5)、同田沼ミツ子(6)、同小山内久米吉(7)、同佐藤喜代子(8)、同佐藤ヨネ(9)、同二宮シカ(10)、同星和子(11)、同数本ふく子(12)、同芳賀ツヤ子(13)、同玉川タケヨ(17)、同小山満枝(18)、同藤原艶子(19)、同渡部義弘(20)、同渡部初美(21)、同渡部トクノ(22)、同五十嵐長子(23)、同星スミエ(28)、同星カツ子(29)、同弓田俊夫(30)、同湯田シノブ(31)、同弓田シズ子(32)、同星シヅイ(33)、同星キサ(34)、同星稲代(36)、同星勝(37)、同鈴村勝江(38)、同室井トミヨ(39)、同星須美子(41)、同室井洋明(42)、同伊藤イツノ(45)、同室井チトセ(46)、同室井長一(48)、同加藤キヨシ(49)、同玉川ミツエ(50)、星サツキ(51)、同五十嵐佳代子(52)、同小川タケノ(55)、同藤原玉枝(57)、同五十嵐ケイ子(59)、同二瓶竹子(60)、同浅沼みよ子(61)、同浅沼隆(62)、同湯田正子(63)、同星留雄(65)、同渡部サツキ(66)、同渡部はよ子(67)、同小椋ユウ子(68)、同湯田モリイ(70)、同小玉ヒサノ(71)、同猪股英造(72)、同荒井禎一(74)、同荒井昭夫(75)、同荒井正史(76)、同星宗一(77)、同渡部ミチヨ(78)、同佐藤ミサヲ(80)、同鹿目雅子(81)、同渡部笑子(82)、同室井ハルヨ(83)、同室井マサ(84)、同湯田千秋(85)、同星ヨシ(86)、同菊地フミ子(87)、同菊地隆光(88)、同斉藤ツヨ子(89)、同荒井康晴(90)、同佐藤幸二(91)、同玉川照子(92)、同五十嵐友徳(93)、同玉川新一(94)、同佐藤ツルヨ(95)の各証言によれば、別紙署名目録記載の署名のうち、同目録番号1ないし13、17ないし23、28ないし34、36ないし39、41、42、45、46、48ないし52、55、57、59ないし63、65ないし68、70ないし72、74ないし78、80ないし95の各署名は、いずれも本人によつてなされたものと認められる。

証人玉川タケヨの本件署名簿の署名(甲第一三号証の六)、証人室井マサの本件署名簿の署名(甲五六号証の三)、証人菊地隆光の本件署名簿の署名(甲第五九号証の三)、証人湯田モリイの本件署名簿の署名(甲第四四号証の一)、証人五十嵐友徳の本件署名簿の署名(甲第六三号証の四)、証人佐藤ツルヨの本件署名簿の署名(甲第六三号証の三)を当裁判所における当該各証人の宣誓書の署名と対比しても、右各証人にかかる署名に関する右認定を覆えすに足りない。

証人室井洋明の証言によれば、同証人の署名(甲第二八号証の一)は自らなしたことが明らかであるが、同証人の妻室井クニ子の署名(同号証の一〇一)は、同証人がなしたものかは明らかでなく、右両署名を対比しても、同一人の筆跡とまでは認め難い。また証人二瓶竹子の証言によれば、同証人の署名(甲第四〇号証の三)は同証人が自らなしたことが明らかであり、同証人の夫二瓶好男(同号証の一〇三)は二瓶好男が自らなしたことが認められる。両署名を対比しても、同一人の筆跡と認めることは困難である。なお仮に同一人の筆跡と認められる場合であつたとしても、署名の効力の決定は個々の署名につきなされるべきものであり、署名の効力についての争訟においても、個々の署名の効力がその対象となるものであるから、裁判所は、訴訟の対象となつた署名が自署として有効と認められる限り、その有効であることを宣言すべきものであり、選挙管理委員会がすでに同一筆跡の他の署名を有効と判定している事実があつたとしても、この事実は訴訟の対象となつた署名の効力の判断に影響を及ぼすものではない(最高裁判所昭和三三年六月一〇日判決、最高裁判所民事判例集一二巻九号一三九七頁参照)。

そして他に前記認定を左右すべき証拠はない。

(二)  ①証人芳賀ツヤ子の証言によれば、番号14芳賀義長の署名(甲第一三号証の二)は同人が出稼に他県に出て自宅に不在であつたため、出稼先に電話を掛け同人の了解を得て、署名収集者が代筆したこと、②証人室井キヨイの証言によれば、番号15室井キヨイの署名(甲第一三号証の四)は、同人が白内障のため目が見えないのでその署名を代筆してもらつたこと、③証人五十嵐トラノの証言によれば、番号16五十嵐トラノの署名(甲第一三号証の五)は同人の夫五十嵐龍太が代筆したこと、④証人五十嵐長子の証言によれば、番号24五十嵐熊吉の署名(甲第二〇号証の四)は、同証人が代筆したこと、⑤証人藤原キヨイの証言によると、番号25藤原キヨイの署名(甲第二一号証の一)は、他人である星新市が代筆し、押印のみを同証人がしたこと、⑥証人星太治の証言によると、番号26星尚邦の署名(甲第二一号証の二)は、知能が低いことにより同人において字を書くことができないため、父親である同証人が署名を鉛筆で下書し、同人をしてこれをボールペンでなぞらせ、姓の部分「星」は同証人が手をそえて書いたこと、⑦証人宮川タケノの証言によれば、番号40宮川タケノの署名(甲第二七号証の二)は、同証人が字を書くことができないため孫の宮川ひろみが代筆し、押印のみを自らしたこと、⑧証人玉川栄一の証言によれば、番号43玉川栄一の署名(甲第二九号証の一)は、同証人が書いたものではなく、同証人は全くこれを知らないこと、⑨証人藤原ツギの証言によれば、番号44藤原ツギの署名(甲第二九号証の二)は第三者が代筆したこと(同証人の右認定に反する証言の一部は措信できない)、⑩証人佐藤ワイの証言によれば、番号47佐藤ワイの署名(甲第三二号証の二)は孫の佐藤喜子が代筆し、押印のみを自らしたこと、、⑪証人星ハツイの証言によれば、番号56星ハツイの署名(甲第三九号証の三)は、同証人の息子星計一が代筆したこと、⑫証人小椋トモの証言によれば、番号64小椋トモの署名(甲第四二号証の三)は孫の小椋弘康が代筆し、押印のみを自からしたこと、⑬証人吉田ヤス子の証言によれば、番号69吉田ヤス子の署名(甲第四二号証の二)は、同証人が風邪で寝ていたため息子の吉田安夫が代筆し、押印のみを自からしたこと、以上の各事実を認めることができる。

証人玉川俊光の証言によつても、右認定を左右するものではなく、他に右認定を覆えすような証拠はない。

右認定事実によれば、右各署名は自筆によるものではなく、したがつて無効といわなければならない。

次に①証人渡部トメノの証人としての宣誓書の署名と番号53渡部トメノの署名(甲第二五号証の一)とを対比すると、両署名は相異し、同一筆跡ではないと認められるから、渡部トメノの本件署名(後者の署名)は、同証人の自筆とは認め難く、右認定に反する同証人の証言の一部は措信し難い。

②証人渡部カネの証言によれば、同人は自己の名を「カネ」と書き、「カ子」と書くようなことがないことが認められるところ、同証人の署名とされる番号54の本件署名(甲第三五号証の二)は、「渡部カ子」と書かれており、またその筆跡も同証人の宣誓書の署名の筆跡とも異なることが認められるから、同証人の本件署名も同証人の自署によるものとは認められない。

③証人藤原カネの証言によると、同証人は旧姓「玉川カネ」と書くことはあるが、番号58の本件署名(甲第三九号証の二)のように「フジワラ」姓を書くことはないことが認められ、他方本件署名(甲第三九号証の二)と同証人の宣誓書の署名とが同一筆跡と認め難いことに徴すると、本件署名は藤原カネの自署とは認められない。

④番号35星マサ、番号73猪股ワイ及び番号79佐藤徳長の各署名が自署であることを認めうべき証拠はない。

そうすると、以上の各署名も自署と認められず、無効といわなければならない。

(三)  <証拠>によれば、星富江の署名がなされた本件下郷町長解職請求者署名簿第二四号の署名収集受任者は星宏侑、星正吉、星吉松、星實の四名であつたことが認められる。

個別異議申出目録 (一)

番号

異議申出年月日

署名簿番号

署名番号

署名者氏名

1

60.1.30

3

283

星ゼン子

2

〃.2.3

7

583

松本文子

3

〃.1.30

8

673

渋谷キミ

4

〃.〃.〃

〃

749

小山内久市

5

〃.〃.〃

12

985

玉川シマ子

6

〃.〃.31

〃

1001

星重宣

7

〃.2.3

26

2438

星亀三

8

〃.1.30

28

2615

室井清

9

〃.2.1

35

3490

小林鶴代

10

〃.1.30

36

3590

室井ユキ子

個別異議申出目録 (三)

番号

異議申出年月日

署名簿番号

署名番号

署名者氏名

1

60.1.30

47

4428

五十嵐アサヲ

個別異議申出目録 (四)

番号

異議申出年月日

署名簿番号

署名番号

署名者氏名

1

60.1.30

29

2777

高橋豊子

ところで証人星富江の証言中には、本件署名を集めに来訪した者は「星まつより」である旨の供述部分がある。しかし同証人の右証言は不確かなものでにわかに措信し難く、弁論の全趣旨によれば、本件町長解職請求者署名の収集は収集受任者が手分けをし、他の協力者を同伴することもあつたが、受任者がその署名収集を行つていたことが推認できることに徴すると、本件においても、右受任者のいずれかが、星富江に対し、本件署名を求めたものと推認するのが相当である。

そうすると星富江の本件署名は有効というべきである。

なお星富江の署名については、原告は当初それが自署によるものでないとだけ主張していたことが、本件訴訟上明らかである。

地方自治法七四条の二第四項、第八項に基く争訟の目的は、個々の署名の有効・無効を迅速に確定することであり、同条五項、一一項はその審理期間について特別の定をなすものであるが、その無効事由の主張については、特段の制限規定もなく、その訴訟の目的は、当該署名の有効・無効を確定することにあることを鑑みると、詐偽、強迫を理由とする場合はその事柄の性質上、後記4(二)に説示の制約を受けるものの、その他の事由については、それが訴訟上時機に遅れた攻撃防禦方法として民事訴訟法一三九条に基づき却下されることのあるのは別として、なお追加、変更を許容しうるものと解するから、原告が星富江の署名について、後日、前記の無効事由に主張を変更したこと自体は適法である。

4  別紙個別異議申出目録(一)記載の署名について

(一)  証人星ゼン子(ただし、後記措信しない部分を除く、番号1の署名に対する証人、以下番号のみにより対応する署名を表示する)、同渋谷キミ(3)、同玉川シマ子(5)、同星重宣(6)、同星亀三(7)、同室井清(8)、同室井ユキ子(10)の各証言によれば、別紙個別異議申出目録(一)記載の署名のうち、同目録番号1、3、5ないし8、10の各署名は、いずれも本人によつてなされたものと認められる。

証人星ゼン子の証言中には、押印は同証人がしていない旨の供述部分があるがにわかに措信し難い。

<証拠>を総合すると、星ゼン子、渋谷キミ、玉川シマ子、星重宣、星亀三、室井清、室井ユキ子はいずれも前記認定のとおり、自ら本件署名をしたものであるが、原告側である町長派の切りくずし活動により、本件署名後それが自署でないものとして、被告に対し異議申出をしたことが認められる。したがつて右各証書(異議申出書)の異議申出の理由欄には、それぞれ同人らが署名を自署していない旨記載されているが、措信できず、他に前記認定を左右すべき証拠はない。

<証拠>を総合すると、番号9松本文子は本件署名(甲第七号証の三)について昭和六〇年一月三一日付をもつて、被告に対し自署していないことを理由とする異議申出書を提出したが、被告の調査に対し、電話で応答し、自署であることを認めたことが認められる。

以上によると、右各署名はすべて自署によるものとして有効といわなければならない。

(二)  原告は、仮に右署名者らが本件署名を自署したとしても、詐偽によるもので無効である旨主張する。

しかし前記各証言によると、右署名者らはいずれも町長をやめさせる運動の署名であることを知りながら署名したことが認められ、詐偽による署名とは認め難い。

のみならず地方自治法七四条の三第二項は、同条第一項とは別に「詐偽又は強迫に基く旨の異議申出があつた署名で市町村の選挙管理委員会がその申出を正当であると決定したものは、これを無効とする」と規定するが、その趣旨は詐偽又は強迫は署名者本人の内心にかかわる事柄であつて、外形的事実のみにより容易に判定することができないものであるから、署名者本人のその旨の異議申出のある場合に限り、その理由の存否を判断する趣旨と解せられ、署名者本人がそのような異議申出をしていない場合は、たとえ被解職請求者であつても、署名者以外の第三者としてこれを主張しえないものというべきである。

右認定のとおり、右各署名者はいずれもその異議申出にあたつて、自己の署名を自署したことがないことのみを異議理由としたもので、詐偽によることはその理由としていなかつたものであるから、右各署名者については、原告の右予備的主張は許されないものである。

(三)  ①番号4小山内久市の署名(甲第八号証の九)については、これを本人が自署したものと認めうべき証拠がない。かえつて成立に争いのない甲第六七号証、乙第一一号証の二及び右乙号証の同人の署名と本件の署名とを対比すると両署名が同一筆跡とまで認め難いことに徴すれば、番号4小山内久市の署名は同人の弟である小山内久二が代筆したものであつて、小山内久市本人の自署でないことが認められる。

②番号9小林鶴代の署名(甲第三五号証の五)については、証人渡辺政市の証言中に、右署名は小林鶴代本人がなした旨の証言部分があるが、同証人の記憶が確かか疑いがあり、右署名と当裁判所における小林鶴代の証人としての宣誓書の署名とを対比すると、両署名が同一筆跡とまで認め難いこと及び証人小林鶴代の証言に照らし、措信し難く、他に小林鶴代の本件署名が本人の自署によることを認めうべき証拠はない。

なお訴訟参加人は、小林鶴代は被告に対し異議申出をするに際し、自署でなかつたことを理由としていなかつたものであるから、異議理由として掲げられなかつた事由を本訴において主張することはできない旨主張する。しかし前記3(三)に説示のとおり訴訟参加人の右主張を採用することはできない。

以上によれば、小山内久市及び小林鶴代の本件署名は本人の自署とは認め難く、無効といわなければならない。

5  別紙個別異議申出目録(二)記載の署名について

(一)  右目録番号5五十嵐弘美の署名について

乙第二五号証の二の異議申出の理由欄には、五十嵐弘美が本件署名について異議申出をする理由として、原告を救済するための嘆願書だと思つて本件署名をした旨の記載があり、証人五十嵐弘美の証言中には、本件署名運動は原告に自主的に辞めてもらうように勧める運動だと思つていたが、強制的に辞めさせる署名とは思つていなかつた、異議申出書(右乙第二五号証の二)の理由に嘆願書だと思つて書いたというのは、強制的に辞めさせるという意味で書いたのではないということでそれを嘆願書と表現した旨の供述部分がある。

しかし右供述部分はにわかに措信し難く、したがつて右乙第二五号証の二の理由記載も措信し難い。

のみならず仮にそのような事実があつたとしても、これによつて五十嵐弘美が詐偽によつて本件署名をしたものということはできず、他に五十嵐弘美が詐偽によつて本件署名をしたことを認めうべき証拠はない。

(2) 右目録番号6星利雄の署名について

乙第二六号証の二の異議申出の理由欄には、星利雄が本件署名について異議申出をする理由として、リコールの内容がわからないまま本件署名をした旨の記載があり、証人星利雄の証言中には、本件署名簿の表紙は別に読まなかつた、署名の意味がよくわからずに署名した旨の供述部分がある。しかし右証言は措信し難く、したがつて右乙第二六号証の二の理由記載も措信し難い。のみならず仮に右のような事実があつたとしても、星利雄が詐偽によつて本件署名をしたものということはできず、他にこれを認めうべき証拠はない。

(3) 右目録番号8星武三郎の署名について

乙第二九号証の二の異議申出の理由欄には、星武三郎が本件署名について異議申出をする理由として、署名簿の意味も知らされず、無理に本件署名をさせられた旨の記載があり、証人星武三郎の証言中には、リコールの趣旨がわからないまま本件署名をした旨の供述部分がある。しかし右証言は措信し難く、したがつて右乙第二九号証の二の理由記載も措信し難い。他に星武三郎が詐偽、強迫によつて本件署名をしたことを認めうべき証拠はない。

(4) 右目録番号9星クニの署名について

乙第三一号証の二の異議申出の理由欄には、星クニが本件署名について異議申出をする理由として、リコールの意味がわからずに本件署名をした旨の記載があり、証人星クニの証言中にも同趣旨の供述部分がある。しかし右証言はにわかに措信し難く、したがつて右乙第三一号証の二の理由記載も措信し難い。のみならず仮にそのような事実があつたとしても、星クニが詐偽によつて本件署名をしたものということはできず、他に星クニが詐偽によつて本件署名をしたことを認めうべき証拠はない。

個別異議申出目録 (二)

番号

異議申出

年月日

署名簿

番号

署名

番号

署名者氏名

無効理由

1

60.1.31

1

28

渡辺うめ子

詐偽

2

〃.2.3

〃

41

渡部友一

〃

3

〃.1.30

2

108

渋谷勝義

〃   町を良くするための署名であると欺罔された。

4

〃.〃.31

〃

127

星兵四郎

詐偽

5

〃.〃.30

〃

134

五十嵐弘美

〃   嘆願書だと欺された。

6

〃.〃.31

〃

141

星利雄

詐偽

7

〃.2.2

〃

154

湯田新吾

〃   「町を明るくする会」の署名だと欺罔された。

8

〃.1.31

3

291

星武三郎

強迫、予備的に詐偽

9

〃.〃.30

〃

292

星クニ

詐偽

10

〃.2.3

5

384

玉川キミ子

〃

11

〃.〃.〃

〃

385

玉川正

〃

12

〃.〃.〃

7

576

弓田利雄

〃

13

〃.1.29

〃

587

渡辺広芳

〃

14

〃.〃.〃

〃

590

渡辺広美

〃

15

〃.2.3

8

643

佐藤嘉昌

〃   「明日の下郷町を創る会」の会員署名と欺罔。

16

〃.〃.〃

〃

646

佐藤玉枝

〃   嘆願書だと欺罔された。

17

〃.1.31

〃

726

室井ミツ子

詐偽

18

〃.〃.30

〃

735

玉川タミ子

〃   嘆願書だと欺罔された。

19

〃.2.3

9

777

星真一

詐偽

番号

異議申出年月日

署名簿番号

署名番号

署名者氏名

無効理由

20

60.1.31

12

975

江森欣吾

〃   嘆願書だと欺罔された。

21

〃.〃.30

〃

994

玉川名美子

〃   署名は公表しない旨欺罔された。

22

〃.〃.〃

14

1215

渡部一子

強迫

23

〃.2.1

〃

1218

佐藤利始枝

詐偽 全部落民が協力したと欺罔された。

24

〃.〃.〃

〃

1223

渡部義昭

詐偽、強迫

25

〃.〃.〃

15

1302

小山新一郎

詐偽 「明日の下郷町を創る会」の署名と欺罔された。

26

〃.〃.〃

〃

1304

小山恵子

詐偽

27

〃.〃.〃

〃

1306

渡辺トセ

〃

28

〃.〃.3

17

1405

星春男

〃   「明日の下郷町を創る会」の署名と欺罔された。

29

〃.〃.〃

〃

1406

星美代子

〃 〃

30

〃.〃.〃

〃

1412

渡部キミエ

詐偽

31

〃.1.31

〃

1428

小沼佑一

〃   嘆願書だと欺罔された。

32

〃.2.2

〃

1429

小沼千枝子

詐偽

33

〃.1.31

〃

1439

星ノブ子

〃   「明るい下郷町を創る会」の署名と欺岡された。

34

〃.〃.28

19

1579

児山明子

詐偽、強迫

35

〃.〃.31

21

1998

星ヨシ

詐偽

36

〃.〃.〃

〃

1999

星幸四郎

〃

37

〃.2.3

〃

2020

五十嵐ミエ子

〃

38

〃.1.31

23

2227

阿部智徳

〃

(5) 右目録番号12弓田利雄の署名について

乙第三五号証の二の異議申出の理由欄には、弓田利雄が本件署名について異議申出をする理由として、署名簿の意味についての話もなくだまされた、署名は公表しない絶対に秘密を守るとうそをいわれた旨の記載があり、証人弓田利雄の証言によれば、弓田利雄はリコール運動の署名と理解して本件署名をしたが、署名収集者からその署名は誰れにも見せないといわれたことが認められる。しかしながら地方自治法七四条の三第二項に規定する詐偽とは、署名の目的を偽つて署名を求めるような行為を指し(量高裁判所昭和二八年一一月二〇日判決、最高裁判所民事判例集七巻一一号一二五五頁)、単にその署名を誰れにも見せないといわれ、地方自治法七四条の二第二項による縦覧に供されることがわからなかつたからといつて、これをもつて同法七四条の三第二項に規定する詐偽による署名ということはできない。

(6) 右目録番号13渡辺広芳の署名について

乙第三六号証の二の異議申出の理由欄には、渡辺広芳が本件署名について異議申出をする理由として、リコールの話など全くなくだまされて署名した旨の記載があり、証人渡辺広芳の証言には、リコールの署名と聞いたがよくわからないで本件署名をした旨の供述部分がある。しかし右証言は措信し難く、したがつて右乙第三六号証の二の理由記載も措信し難い。他に渡辺広芳が詐偽によつて本件署名をしたことを認めうべき証拠はない。

番号

異議申出

年月日

署名簿

番号

署名

番号

署名者

氏名

無効理由

39

60.2.1

23

2229

二宮治一

詐偽 「明日の下郷町を創る会」の署名と欺罔された。

40

〃.1.29

25

2397

星竹広

詐偽

41

〃.2.1

〃

2401

小椋八重子

〃

42

〃.〃.〃

〃

2402

佐藤初子

〃 署名は公表されることはない旨欺罔された。

43

〃.1.29

〃

2409

湯田忠義

詐偽

44

〃.2.1

27

2508

坂内惣一

〃

45

〃.1.30

〃

2509

坂内ミサオ

〃

46

〃.2.3

〃

2516

三沢喜子

〃

47

〃.〃.〃

〃

2517

三沢安雄

〃

48

〃.1.30

28

2590

都筑トキ子

〃 署名は公表されることはない旨欺罔された。

49

〃.〃.〃

〃

2591

室井夏

詐偽

50

〃.〃.〃

29

2767

大竹ソヨ

〃

51

〃.〃.〃

〃

2796

室井マツノ

〃

52

〃.〃.〃

〃

2802

室井いつ子

〃

53

〃.2.3

30

2846

渡部コト

〃

54

〃.〃.〃

〃

2847

仲田ヨシイ

〃

55

〃.〃.〃

31

2904

室井花江

〃

56

〃.1.29

〃

2922

堀井喜美男

〃 「町を明るくする会」の署名と欺罔された。

57

〃.2.1

〃

2925

佐藤サヨ

詐偽

番号

異議申出

年月日

署名簿

番号

署名

番号

署名者

氏名

無効理由

58

60.2.1

33

3148

室井勇喜

詐偽

59

〃.〃.〃

〃

3149

室井ヨシ

〃

60

〃.〃.〃

35

3453

佐藤正

〃

61

〃.1.30

〃

3486

佐藤美枝

〃

62

〃.2.3

37

3699

星秀雄

〃

63

〃.〃.〃

38

3767

五十嵐清助

〃 原告において任期満了まで町長を務めてもらうための署名と欺罔された。

64

〃.〃.〃

〃

3797

五十嵐貞子

〃 署名は公表されることはない旨欺罔された。

65

〃.1.30

44

4258

佐藤薫

〃 「町をよくする会」の署名と欺罔された。

66

〃.2.3

〃

4277

小椋金光

詐偽

67

〃.〃.〃

45

4386

室井キミノ

〃 嘆願書だと欺罔された。

68

〃.1.28

〃

4392

室井兼一

〃 〃

69

〃.〃.31

47

4472

原田正二

詐偽

70

〃.〃.30

48

4567

荒井禎子

〃

71

〃.2.3

49

4664

渡部幸恵

〃

72

〃.1.31

57

5157

星ナツヨ

〃 「明るい下郷町を創る会」の入会署名である旨欺罔された。

73

〃.〃.30

58

5233

都筑和信

〃 〃

74

〃.〃.〃

61

5501

青山数雄

〃 公表しないものだと欺罔された。

75

〃.〃.29

〃

5504

星みつ子

〃 嘆願書だと欺罔された。

(7) 右目録番号22渡部一子の署名について

乙第四六号証の二の異議申出の理由欄には、渡部一子が本件署名について異議申出をする理由として、強要され、無理やりに本件署名をさせられた旨記載されている。しかし証人渡部一子の証言によれば、渡部一子は本件署名を無理に書かされたようなことはなく、異議申出書(右乙第四六号証の二)の右理由欄の記載は、右異議申出書を持参した星勘一から異議申出書の提出を求められた際、渡部一子がその記載を星勘一に委ね、星勘一が適当に記載したにとどまることが認められるから、右記載を措信することはできず、他に渡部一子が強迫により本件署名をしたことを認めうべき証拠はない。

(8) 右目録番号23佐藤利始枝の署名について

乙第四七号証の二の異議申出の理由欄には、佐藤利始枝が本件署名について異議申出をする理由として、全部落民が協力したとうそを言われた旨の記載があり、証人佐藤利始枝の証言によれば、署名収集者から村の者が皆んな署名してくれていると言われ、佐藤利始枝は村の者からつまはじきにされることをおそれ本件署名をしたこと、しかし佐藤利始枝は、別段署名の趣旨を偽罔されたものではないことが認められる。しかしながら、右のような事実においては佐藤利始枝が詐偽によつて本件署名をしたものということはできず、他にこれを認めうべき証拠はない。

(9) 右目録番号25小山新一郎の署名について

乙第四九号証の二の異議申出の理由欄には、小山新一郎が本件署名について異議申出をする理由として、町長リコールの話は全くなかつた、明日の下郷町を創る会の署名と思つて本件署名をした旨の記載があり、証人小山新一郎の証言中には、署名収集者芳賀正雄は下郷町をきれいにしなければならない、誰れにも見せないと言い、同証人がリコール運動でないかを確認したが返事を得られなかつた、明日の下郷町を創る会があるのかと思つて本件署名をした旨の供述部分がある。しかし証人芳賀正雄の証言によれば、同証人は小山新一郎に対し、原告である町長のリコールの趣旨を説明し、小山新一郎はその趣旨を理解して本件署名をしたことが認められ、右乙第四九号証の二の理由記載及び証人小山新一郎の右証言の一部は措信し難く、他に小山新一郎が詐偽により本件署名をしたことを認めうべき証拠はない。

(10) 右目録番号26小山恵子の署名について

乙第五〇号証の二の異議申出の理由欄には、小山恵子が本件署名について異議申出をする理由として、署名収集者がリコールの話など全くしないで下郷町を創る会のことばかりの話であつた旨の記載があり、証人小山恵子の証言中にも、署名を集めに来た芳賀正雄は明日の下郷町を創る会の署名として本件署名を求めた、下郷町を良くするという運動が起きており、町が良くなるならと思つて署名をした旨の供述部分がある。しかし証人芳賀正雄の証言によれば、同証人は小山恵子に対しても町長のリコールの趣旨を説明し、小山恵子はその趣旨を理解して本件署名をしたことが認められ、右乙第五〇号証の二の理由記載及び証人小山恵子の右証言の一部は措信し難く、他に小山恵子が詐偽により本件署名をしたことを認めうべき証拠はない。

(11) 右目録番号28星春男の署名について

乙第五二号証の二の異議申出の理由欄には、星春男が本件署名について異議申出をする理由として明日の下郷町を創る会の署名と思つて本件署名をした旨の記載があり、証人星春男の証言中にも、内容をよく聞かずに明日の下郷町を創る会の署名だと思つて何の気もなく本件署名をした旨の供述部分がある。しかし証人星金三郎の証言によれば、星春男は町長リコールの署名とわかつて本件署名をしたことが認められ、右乙第五二号証の二の理由記載及び証人星春男の右証言の一部は措信し難く、他に星春男が詐偽により本件署名をなしたことを認めうべき証拠はない。

(12) 右目録番号31小沼佑一の署名について

乙第五五号証の二の異議申出の理由欄には、小沼佑一が本件署名について異議申出をする理由として、嘆願書だと思つて署名した旨の記載があり、証人小沼佑一の証言中には、署名収集者からリコールの問題について村のためになるから協力してくれと言われて、リコールの意味もわからず署名した、当時町長が悪いことをしたので辞めて貰うという話があつたので、この署名はその反対の署名、町長を救うための署名と思つた旨の供述部分がある。しかし証人星金三郎の証言によれば、署名収集に行つた平井三郎及び星金三郎は、原告である町長のリコール署名であることを話して、小沼佑一にその署名を求めたことが認められ、右乙第五五号証の二の理由記載及び証人小沼佑一の右証言の一部は措信し難く、他に小沼佑一が詐偽により本件署名をしたことを認めうべき証拠はない。

(13) 右目録番号42佐藤初子の署名について

乙第七五号証の二の異議申出の理由欄には、佐藤初子が本件署名について異議申出をする理由として、リコールの署名とは考えていなかつた旨の記載がある。しかし証人佐藤初子の証言によれば、佐藤初子はリコールの署名であることをわかつて本件署名をしたことが認められるから、右理由記載を措信できない。右証人の証言中には、署名の縦覧はないということであつたので本件署名をした旨の供述部分があるが、措信し難いのみならず、たとえそのような事実があつたとしても、前記(5)に説示のとおり、これをもつて詐偽による署名ということはできない。他に佐藤初子が詐偽によつて本件署名をしたことを認めうべき証拠はない。

(14) 右目録番号48都筑トキ子の署名について

乙第八一号証の二の異議申出の理由欄には、都築トキ子が本件署名について異議申出をする理由として、リコールの署名とは言われていない旨の記載がある。しかし証人都筑トキ子の証言によれば、リコールの署名であることをわかつて本件署名をしたことが認められるから、右理由記載を措信できない。右証人の証言中には、署名者が後日呼び出されることはない、署名は誰れにも見せることはないということで本件署名をした旨の供述部分があるが、措信し難いのみならず、たとえそのような事実があつたとしても、前記(5)に説示のとおり、これをもつて詐偽による署名ということはできない。他に都筑トキ子が詐偽によつて本件署名をしたことを認めうべき証拠はない。

(15) 右目録番号61佐藤美枝の署名について

乙第九五号証の二の異議申出の理由欄には、佐藤美枝が本件署名について異議申出をする理由として、リコールの署名とは知らなかつた旨の記載があり、証人佐藤美枝の証言中にも趣旨がわからないまま本件署名をした旨の供述部分がある。しかし証人渡部政市の証言によれば、佐藤美枝は町長リコールの趣旨をわかつて本件署名をしたことが認められ、右乙第九五号証の二の理由記載及び証人佐藤美枝の右証言の一部はいずれも措信できない。そして他に佐藤美枝が詐偽によつて本件署名をしたことを認めうべき証拠はない。

(16) 右目録番号63五十嵐清助の署名について

乙第九九号証の二の異議申出の理由欄には、五十嵐清助が本件署名について異議申出をする理由として、リコールということがわからなかつた、署名簿の意味内容も知らされなかつた旨の記載があり、証人五十嵐清助の証言中には、町長が任期満了まで勤める趣旨で署名をした旨の供述部分があるが、右記載及び証言部分は措信し難く、他に五十嵐清助が詐偽によつて本件署名をしたことを認めうべき証拠はない。

(17) 右目録番号64五十嵐貞子の署名について

乙第一〇〇号証の二の異議申出の理由欄には、五十嵐貞子が本件署名について異議申出をする理由として、署名を絶対秘密にする、公表しないということで本件署名をした旨の記載があり、証人五十嵐貞子の証言中にも、署名収集者が署名を秘密にするということであつたので同証人は本件署名をした旨の供述部分がある。しかしたとえそのような事実があつたとしても、前記(5)に説示のとおり、これをもつて詐偽による署名ということはできない。他に五十嵐貞子が詐偽によつて本件署名をしたことを認めうべき証拠はない。

(18) 右目録番号65佐藤薫の署名について

乙第一〇四号証の二の異議申出の理由欄には、佐藤薫が本件署名について異議申出をする理由として、嘆願書と思つて署名した旨の記載があり、証人佐藤薫の証言中には、大竹彰が何回も来たので、リコールの署名とはわからず義理で本件署名をした旨の供述部分がある。しかし証人大竹彰の証言によれば、佐藤薫はリコールの趣旨をわかつて本件署名をしたことが認められ、右乙第一〇四号証の二の理由記載及び証人佐藤薫の証言の一部は措信できず、他に佐藤薫が詐偽により本件署名をしたことを認めうべき証拠はない。

(19) 右目録番号71渡部幸恵の署名について

乙第一一四号証の二の異議申出の理由欄には、渡部幸恵が本件署名について異議申出をする理由として、何もわからないまま署名した旨の記載があり、証人渡部幸恵の証言中には、深い意味もなく、訳けもわからずに本件署名をした旨の供述部分がある。しかしたとえ右のような事実があつたとしても、これにより渡部幸恵が詐偽によつて本件署名をしたものと認めることはできず、他にこれを認めうべき証拠はない。

(20) 右目録番号72星ナツヨの署名について

乙第一一六号証の二の異議申出の理由欄には、星ナツヨが本件署名について異議申出をする理由として、嘆願書だと思つて本件署名をした旨の記載があり、証人星ナツヨの証言中には、明日の下郷町を創る会の会員勧誘と誤解して本件署名をした旨の供述部分がある。しかし証人湯田久治の証言によれば、星ナツヨは町長解職請求の署名であることをわかつて本件署名をしたことが認められ、右乙第一一六号の二の理由記載及び証人星ナツヨの右証言の一部は措信し難い。他に星ナツヨが詐偽により本件署名をしたことを認めうべき証拠はない。

(21) 右目録番号74青山数雄の署名について

乙第一一八号証の二の異議申出の理由欄には、青山数雄が本件署名について異議申出をする理由として、公表しないから署名をしてくれと言われ署名した旨の記載がなされており、証人青山数雄の証言中には、リコールの署名をしても一切公表しないと言われて本件署名をした旨の供述部分がある。しかしそのような事実があつたとしても、前記(5)に説示のとおり、これをもつて詐偽による署名ということはできない。他に青山数雄が詐偽によつて本件署名をしたことを認めうべき証拠はない。

(二)  右(一)以外の署名について

右目録番号1ないし4、7、10、11、14ないし21、24、27、29、30、32ないし41、43ないし47、49ないし60、62、66ないし70、73、75の各署名については、右各署名者が証人として、①署名の説明を受けずに本件署名をした、②リコールの署名とわからずに本件署名をした、③何も考えずに本件署名をした、④署名を他人に見せないと言われたので本件署名をした、⑤町を良くするための署名と思つて本件署名をした、⑥明日の下郷町を創る会の署名と思つて本件署名をした、⑦嘆願書だと思つて本件署名をした、⑧明るい町づくりの署名と思つて本件署名をした、⑨町長がかわいそうと思つて本件署名をした等と供述するが、<証拠>によると、原告の刑事事件を発端として、昭和五九年一〇月中頃には、本件リコール運動の準備等が各新聞・テレビ等で報道されるようになり、町民がひろくこの運動がなされていることを知る環境にあつたものであり、本件町長解職請求のための署名収集受任者らも、いずれも本件署名が町長解職請求のためのものであることを話して署名を求めていたことが認められ、前掲各署名者の証人としての証言はにわかに措信し難いうえ、その供述内容の事実をもつてただちに同署名者らが詐偽ないし強迫によつて本件各署名をしたものとはいい難い。右各署名者が被告に提出した異議申出書(<証拠略>)にも右①、②、④ないし⑧の態様により、あるいはだまされ、強要されて本件署名をした旨の記載がなされているが、措信し難いものというべく、他に右各署名者が真実詐偽又は強迫によつて本件各署名をなしたことを認めうべき証拠はない(なお、<証拠>によれば、番号21玉川名美子、番号49室井夏、番号51室井マツノは、いずれも自己の署名は本人がなしたものではない旨主張して被告に異議を申し出たもので、原告が本訴において主張するような詐偽による署名を理由に異議申出をしたものではないから、前記4(二)に説示のとおり、第三者である原告は右各署名については、もはや詐偽による署名との主張をすることは許されないものである)。

(三)  そうすると別紙個別異議申出目録(二)記載の署名については、原告が主張するような詐偽ないし強迫は認め難く、すべて有効な署名といわなければならない。

6  別紙個別異議申出目録(三)記載の署名について

<証拠>によれば、五十嵐アサヲの署名がなされた本件下郷町長解職請求者名簿第四七号の署名収集受任者は渡部留好一名であつたことが認められる。

ところで証人五十嵐アサヲの証言によれば、五十嵐アサヲに本件署名を求めて来訪した者は五十嵐栄一外何名かであつたことが認められる。右証言中には、渡部留好の名前が述べられていないが、弁論の全趣旨によれば、前記3(三)のとおり、本件町長解職請求者署名の収集は収集受任者が手分けをし、他の協力者と同道してその署名収集を行つていたことが推認できることに徴し、本件においても、署名収集受任者渡部留好が五十嵐栄一と同道していたものと推認するのが相当である。

したがつて五十嵐アサヲの本件署名は有効というべきである。

7  別紙個別異議申出目録(四)記載の署名について

<証拠>によれば、高橋豊子は本件署名収集受任者玉川俊光及び星誠から本件署名を求められ昭和五九年一二月八日その署名をしたが、その後一週間後位で右署名簿が被告に提出された昭和六〇年一月五日(被告代表者本人尋問の結果によつて認められる)より以前に、玉川俊光に対し口頭でその取消しの意思表示をしたことが認められる。

しかし署名の取消しは、地方自治法施行令九五条に従い、解職請求代表者である訴訟参加人を通じて、これをなしうるものの、取消しの意思表示を受領する権限のない署名収集受任者に対する取消しはその効力を生じないものといわなければならない。

そうすると、高橋豊子の本件署名はなお有効といわなければならない。

三結 論

以上によれば、原告の本訴請求は別紙署名目録記載の署名中番号14ないし16、24ないし26、35、40、43、44、47、53、54、56、58、64、69、73、79に関する部分及び別紙個別異議申出目録(一)記載の署名中番号4、9に関する部分は理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからいずれもこれを棄却し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九二条、九三条一項本文、九四条後段を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官小林茂雄 裁判官山口 忍 裁判官寺内保惠)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!