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福島家庭裁判所 昭和39年(少)656号 決定 1965年1月11日

少年 K・K(昭二七・一・二八生)

主文

少年を福島県平児童相談所長に送致する。

少年に対しては昭和四〇年一月一一日から向う二年六月を限度としてその行動の自由を制限する強制措置をとることができる。

理由

少年は小学四年生の頃父母が離婚し、母親は情夫と共に、親権者たる父親もまた少年を旅館に置き去りにした儘それぞれ行方を晦まして終つた。以来少年は児童相談所の保護により、昭和三七年一〇月一六日里親委託、昭和三八年二月七日養護施設白河学園に、次いで同年一〇月一九日教護院福島学園に収容され、それぞれ補導措置を受けたが、その間いずれの箇所でも他人の金品を屡々窃取し、或は無断外出して窃盗・放浪の非行を重ね殆んど改善の兆候を示さずいよいよ悪化の傾向を辿るものと認められたため、昭和三九年一二月一六日福島県平児童相談所長より、刑罰法令に触れる行為をする虞があり、その矯正教育の目的を達するためには、少年の行動の自由を制限する強制措置をとる必要があるとして、児童福祉法第二七条の二により当裁判所に送致されたものである。

当裁判所の調査の結果、少年は幼少から両親の不和・離別、次いで両親から遺棄されて天涯の孤独となり、従つて肉親との愛情涸かつ・不信感、延いて社会性を喪失して自閉症に罹患したものと認める。

果然初発非行は早く、しかも既に習癖化している上に放浪性を帯びるに到つているので、かかる少年に対しては長期間身柄を保全し、その行動に対し外的規制を加えて矯正教育を施す必要を認める。

よつて少年法第一八条第二項により主文のとおり決定する。

なお、少年は昭和三八年四月ジフテリヤに罹患し、現在後遺症として心臓機能不全の疑があるので精密診断が必要と思料される。

(裁判官 河内雄三)

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