福島家庭裁判所会津若松支部 昭和45年(少)283号・昭45年(少)377号
主文
少年を医療少年院に送致する。
理由
(非行事実)
少年は、昭和四五年四月八日午前一時ごろ、少年○塚○夫と飲酒の上、帰宅の途中、福島県○○郡○○○町○○町××××番地先路上において、先に、少年が料理店で女給の乳房をつかむなどのことをしたことから口論になり、少年において、右○塚の顔面を数回手拳で殴打する暴行を加えた。
(少年の性格および環境など)
一 少年の知能は限界域に属する(IQ七五新制田中B第一式)。少年の情緒は不安定で、その性格は無気力、陰湿、偏執的である。現実場面の吟味力は弱く、その判断は自己中心的、主観的である。また、対人接触は非協調的で、不満が多く、違和感、弧独感を有する。総じて、少年には、内閉性、自己不確実性、管志欠如性を中核とした精神病質の疑いがもたれる。
二 少年は中学校在学当時、級友になじめず、学習意欲なく、担任教師もその指導に腐心してきた。卒業後家業の農業を手伝うこともあつたが、ほとんど無為徒食の生活をしてきた。この間、蓄膿症を病んで入院手術を受けたことがある。
三 少年は長ずるにつれて、女性に興味を覚え始め、昭和四四年四月ごろから、中学校在学時の同級生の女性の家を夜間訪れたり、家の囲りを徘徊したりしていたが、同年一二月ごろ、近隣の女性の後をつけ、やにわに乳房をつかんだり、同四五年三月ごろには、やはり近隣の女性の後を追いかけたりするなどし、近隣の女性からは変質者として恐れられていた。前記非行事実も少年の右のような行動性向の中に位置ずけることができる。
四 少年の父は、少年を○○教○○会などに入会させ少年の補導に努めようとするが、その効なく手を余している。少年の母は、少年を盲愛し、少年をかばうばかりで積極的な保護体制を築くことができない。
(結論)
少年の前記非行事実は刑法二〇八条に該当するが、該非行もさることながら少年の性格および環境などをあわせ考えると、少年は、少年法三条一項三号所定の自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖を有し、将来罪を犯すおそれがあるものというべく、その性格を若干とも矯正し、基本的な社会生活訓練を体得せしめることが肝要であると認められ、少年法二四条一項三号、少年審判規則三七条一項により主文のとおり決定する。
別紙 審判に付すべき事由(ぐ犯事実)
一 少年は知能程度こそ低いが異性に対しては異状な悪癖者で保護者の正当な監督には反抗的な性格から素直に服そうとせず、昭和四四年一二月頃から住居地である○○○町内を昼夜となく徘徊して、昭和四四年一二月頃の午後六時頃には勤めから帰宅途上の
住居○○郡○○○町○○○○字○○××××
店員○沢○ツヱ(二〇歳)
を、また昭和四五年三月頃の午後七時三〇分頃には勤めから帰宅途上の
住居○○郡○○○町字○町××
事務員○巣○津子(二三歳)
をいずれも路上で待伏せ追いかけるなど、その他被害者は外聞をはばかつて未届が多いが、この種の自己又は他人の徳性を害する行為を反覆しているものであるほか保護者もその監護にはさじをなげている状況で少年は警察における取調べに対しても何等自己の非行に対して反省するところがないもので以上の性格、素行及び諸環境等からみて将来も、この種非行を為す虞れか特に大と認められる。