大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福島家庭裁判所郡山支部 平成5年(少ロ)1号 決定 1993年3月08日

本人Y・H(昭52.3.7生)

主文

本人に対し、金7万6000円を交付する。

理由

当裁判所は、本人に対する平成4年少第260号殺人未遂保護事件について、平成4年9月14日、本人は事件当時心神喪失による責任無能力の状況にあり、結局本人には少年法規定の審判事由が無いことになるとして審判不開始の決定をした。同事件の記録によれば、本人は、送致事実と同一の被疑事実に基づき同年6月13日緊急逮捕、同月15日勾留され、同年7月3日に上記保護事件が東京家庭裁判所に送致されるとともに同裁判所において観護措置決定を受けて同日少年鑑別所に収容され、同月6日の同裁判所の決定により当裁判所へ事件が移送された後、同月28日の当裁判所の決定により観護措置が取り消されるとともに鑑定留置され、鑑定終了により同年8月27日に当裁判所において鑑定留置が取り消され即日執行されたことが認められる。

そこで、本人に対する補償の要否について検討すると、前記記録によれば、本人には少年の保護事件に係る補償に関する法律3条各号に規定する事由は認められないので、前記の身柄拘束の日数計76日間について補償すべきである。

そして、前記記録によれば、少年が送致事実に及んだこと自体は認定できること、捜査及び観護措置の全期間を通じて身柄拘束が引き延ばされたような事情は見当たらないことなどの事情に照らすと、本人に対しては1日1000円の割合による補償をするのが相当である。

よって、本人に対し、補償の対象となる全期間につき、上記割合による補償金合計7万6000円を交付することとし、前記法律5条1項により主文の通り決定する。

(裁判官 加藤学)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例