秋田地方裁判所 平成9年(行ウ)13号 判決 2000年4月28日
甲事件原告兼乙事件原告
鈴木正和
外八名
乙事件原告
高橋忠
甲事件原告ら及び乙事件原告ら訴訟代理人弁護士
沼田敏明
同
虻川高範
同
菊地修
甲事件被告
A
外二三名
乙事件被告
Y
外四名
甲事件被告Tを除く甲事件被告ら及び乙事件被告ら訴訟代理人弁護士
柴田久雄
同
長岐和行
甲事件被告Tを除く甲事件被告ら訴訟代理人弁護士
面山恭子
主文
一 別紙1「認容金額目録」記載の甲事件被告らは、それぞれ、秋田県に対し、同目録記載の各甲事件被告に対応する金額及びこれに対する平成九年一一月二三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 乙事件被告秋田県知事及び同秋田県議会事務局総務課長が、別紙2「第四九回全国都道府県議会議員軟式野球大会参加者一覧表(議員)」の「氏名」欄記載の秋田県議会議員ら及び別紙3「第四九回全国都道府県議会議員軟式野球大会参加者一覧表(職員)」の「氏名」欄記載の秋田県議会事務局職員らに対し、右各表の「実支出金額」欄記載の各議員ないし各職員に対応する金額を支払えとの請求をすることを怠ることは違法であることを確認する。
三 甲事件原告らの甲事件被告U、同V、同W、同Xに対する各請求をいずれも棄却する。
四 乙事件原告らの乙事件被告Y、同Z及び同aに対する各請求をいずれも棄却する。
五 訴訟費用は、これを四分し、その三を別紙1「認容金額目録」記載の甲事件被告ら、乙事件被告秋田県知事及び同秋田県議会事務局総務課長の、その余を甲事件原告ら及び乙事件原告らの各負担とする。
六 この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第一 請求
一 甲事件
1 主文第一項と同旨。
2 甲事件被告U、同V、同W及び同Xは、秋田県に対し、各自金一四七万三九〇〇円及びこれに対する平成九年一一月二七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 乙事件
1 主文第二項と同旨。
2 乙事件被告Y、同Z及び同aは、秋田県に対し、各自金二七八万四五一〇円及びこれに対する平成一〇年一一月一五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二 事案の概要
本件は、秋田県の住民である甲事件原告らが、平成八年に広島県で開催された第四八回全国都道府県議会議員軟式野球大会に秋田県議会議員が参加し、同県議会事務局職員がこれに随行するに当たって旅費が支出されたことが違法であると主張して、秋田県に代位して、右野球大会に参加した同県議会議員を被告として不当利得の返還を、同県議会事務局長らを被告として不法行為に基づく損害賠償を、それぞれ求めた事案(甲事件)と、同じく秋田県の住民である乙事件原告らが、翌平成九年に大阪府で開催された第四九回全国都道府県議会議員軟式野球大会に同県議会議員が参加し、同県議会事務局職員がこれに随行するに当たって旅費が支出されたことが違法であると主張して、秋田県に代位して、秋田県知事と同県議会事務局総務課長を被告として、右野球大会に参加した同県議会議員とこれに随行した同県議会事務局職員に対する右旅費の返還請求を怠ることが違法であることに確認を、同県議会事務局長らを被告として、不法行為に基づく損害賠償を、それぞれ求めた事案(乙事件)である。
一 争いのない事実等(証拠によって認定した事実については、括弧内に証拠を掲げた。)
1 当事者
(一) 甲事件原告ら及び乙事件原告らは、いずれも秋田県の住民である。
(二) 後記3(一)の本件支出1当時、甲事件被告Uは秋田県議会事務局長、同Vは同県議会事務局次長、同Wは同県出納局会計課長、同Xは同県議会事務局総務課長、その余の甲事件被告ら二〇名(以下「甲事件被告議員ら」という。)はいずれも秋田県議会議員(以下「議員」という。)の各職にあったものである。
(三) 後記3(二)の本件支出2当時、乙事件被告Yは秋田県議会事務局長、同Zは同県議会事務局次長、同aは同県議会事務局総務課長の各職にあったものである。
2 全国都道府県議会議員軟式野球大会(以下「野球大会」という。)の開催
(一) 第四八回全国都道府県議会議員軟式野球大会(以下「第四八回大会」という。)の開催と議員らの旅行
第四八回大会は、平成八年八月三一日から同年九月二日まで、全国都道府県議会議長会(以下「議長会」という。)及び広島県議会の共催により、秋田県議会を含む全国四七の都道府県議会のチーム(選手である都道府県議会議員約一四四〇名、随行者らを含めて約二二〇〇名)が参加して、広島市等において開催された。
秋田県議会議長は、平成八年四月一五日付けの第四八回大会の開催通知を受けて、右大会に同県議会から甲事件被告議員ら及び議員鈴木俊夫を派遣することを決定し、同年五月二二日ころに参加申込みをし、同県議会事務局長(甲事件被告U)らは、同県議会事務局職員ら一二名(以下「甲事件職員ら」という。)を甲事件被告議員らに随行させることを決定した(乙第二号証の一ないし四、第三、第四号証、弁論の全趣旨)。
甲事件被告議員らは、第四八回大会に参加するため、別紙4「第四八回全国都道府県議会議員軟式野球大会参加者一覧表(議員)」記載のとおり、広島市に旅行し(弁論の全趣旨)、甲事件職員らは、甲事件被告議員らに随行するため、ほぼ同日程で広島市に旅行した。
(二) 第四九回全国都道府県議会議員軟式野球大会(以下「第四九回大会」という。)の開催と議員らの旅行
第四九回大会は、平成九年八月二三日から同月二五日まで、議長会及び大阪府議会の共催により、秋田県議会を含む全国四七の都道府県議会のチーム(選手である都道府県議会議員約一三三〇名、随行者らを含めて約一九五〇名)が参加して、大阪市等において開催された。
秋田県議会議長は、平成九年五月一四日付けの第四九回大会の開催通知を受けて、右大会に同県議会から別紙2「第四九回全国都道府県議会議員軟式野球大会参加者一覧表(議員)」の「氏名」欄記載の同県議会議員ら二一名(以下「乙事件議員ら」という。)を派遣することを決定し、同年六月四日に参加申込みをし(弁論の全趣旨)、同県議会事務局長(乙事件被告Y)らは、別紙3「第四九回全国都道府県議会議員軟式野球大会参加者一覧表(職員)」の「氏名」欄記載の同県議会事務局職員ら一一名(以下「乙事件職員ら」という。)を乙事件議員らに随行させることを決定した。
乙事件議員らは、第四九回大会に参加するため、別紙2「第四九回全国都道府県議会議員軟式野球大会参加者一覧表(議員)」記載のとおり、乙事件職員らは、乙事件議員らに随行するため、別紙3「第四九回全国都道府県議会議員軟式野球大会参加者一覧表(職員)」記載のとおり、それぞれ大阪府に旅行した。
3 本件支出
(一) 第四八回大会の旅費
(1) 甲事件被告議員らについて
平成八年八月二八日、甲事件被告議員らが第四八回大会に参加するための旅行について、甲事件被告議員らに対し、別紙4「第四八回全国都道府県議会議員軟式野球大会参加者一覧表(議員)」の「旅費」欄記載の各甲事件被告議員に対応する金額が、航空賃、日当、宿泊料等として、概算払により支出された。なお、これに含まれる日当及び宿泊料の各日数は、同表の「日当」欄及び「宿泊料」欄記載のとおりであった。すなわち、甲事件被告E、同H、同M及び同Sの日当は四日分、宿泊料は三泊分であり、同Lの日当は五日分、宿泊料は四泊分であり、その余の甲事件被告議員らの日当及び宿泊料は五泊五日分であった。
(2) 甲事件職員らについて
同年八月二八日、甲事件職員らが右(1)の甲事件被告議員らに随行するための旅行について、甲事件被告Lに随行する甲事件職員一名に対し、同月二九日から同年九月二日までの四泊五日の旅行に係る航空賃、日当、宿泊料等として一三万四一五〇円が、同年八月二九日、その余の甲事件職員ら一一名に対し、同月三〇日から同年九月二日までの三泊四日の旅行に係る航空賃、日当、宿泊料等として合計一三三万九七五〇円が、それぞれ概算払により支出された。
(3) 右(1)(2)の支出を合わせて、以下「本件支出1」という。
(二) 第四九回大会の旅費
(1) 乙事件議員らについて
平成九年八月二〇日、乙事件議員らが第四九回大会に参加するための旅行について、乙事件議員らに対し、別紙2「第四九回全国都道府県議会議員軟式野球大会参加者一覧表(議員)」の「支出金額」欄記載の各乙事件議員に対応する金額が、航空賃、日当、宿泊料等として、概算払により支出された。その後、旅行日程の変更により、同表の「返納金額」欄記載の各乙事件議員に対応する金額が返納された結果、乙事件議員らに対して、同表の「実支出金額」欄記載の各乙事件議員に対応する金額(合計一九二万三五九〇円)が支出されたことになった。
(2) 乙事件職員らについて
平成九年八月二〇日、乙事件職員らが右(1)の乙事件議員らに随行するための旅行について、乙事件職員らに対し、別紙3「第四九回全国都道府県議会議員軟式野球大会参加者一覧表(職員)」の「支出金額」欄記載の各乙事件職員に対応する金額が、航空賃、日当、宿泊料等として、概算払により支出された。その後、旅行日程の変更により、同表の「返納金額」欄記載の各乙事件職員に対応する金額が返納された結果、乙事件職員らに対して、同表の「実支出金額」欄記載の各乙事件職員に対応する金額(合計八六万〇九二〇円)が支出されたことになった。
(3) 右(1)(2)の支出(実支出金額)を合わせて、以下「本件支出2」という。
4 議員出張旅費等の支出規定
(一) 「県議会議員の報酬および費用弁償等に関する条例」(昭和二二年秋田県条例第一〇号。平成九年秋田県条例第五〇号による改正前のもの。以下「議員報酬費用弁償条例」という。)には、次の規定がある(不要な部分を一部省略した。)。
四条一項「議員が、職務を行うため旅行したときは、費用弁償として旅費を支給する。」
同条二項「前項の旅費の額は、内国旅行にあっては別表第一に定める額とする。」
右別表第一「日当(一日につき)三〇〇〇円」「宿泊料(一夜につき)甲地方一万四八〇〇円、乙地方一万三三〇〇円」(なお、同別表の備考等に照らすと、秋田市・広島市に宿泊する場合は乙地方の、大阪市に宿泊する場合は甲地方の宿泊料がそれぞれ適用される。)
同条三項「招集に応じて議会又は委員会に出席したときの旅費の額は、別表第一に定める額とする。ただし、招集地に居住する者が出席したときの旅費の額は、一日につき往復の車賃に九六五〇円を加えた額とする。」
五条「前条に定めるもののほか、費用弁償の支給に関しては、一般職員の旅費の支給方法の例による。」
(二) 右(一)の内容の議員報酬費用弁償条例は、平成六年秋田県条例第二号による改正後のものであるが、右改正前の四条三項は、次のような規定であった。
四条三項「議会、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会に参会したときの旅費の額は、居住地から招集地までの往復一回分の車賃、鉄道賃、船賃、日当及び宿泊料並びに滞在中の日当及び宿泊料を支給する。ただし、招集地に居住する者については、開会期間中出席一日につき宿泊料の半額及び日当を支給する。」
(三) 「職員等の旅費に関する条例」(昭和二八年秋田県条例第六三号。以下「職員旅費条例」という。)には、次の規定があり(不要な部分を一部省略した。)、一般職員の旅費の支給方法を定めている。
三条一項「職員が出張し、又は赴任した場合には、当該職員に対し、旅費を支給する。」
八条一項本文「旅費計算上の旅行日数は、旅行のため現に要した日数による。」
5 秋田県の損失ないし損害と、甲事件被告ら及び乙事件被告らの責任
(一) 甲事件について
(1) 本件支出1が違法であるとすれば、甲事件被告議員らは、支給された旅費相当額について、法律上の原因なく利得を受け、これによって秋田県はその合計相当額の損失を受けたことになる。
(2) 甲事件被告Uは、秋田県議会事務局長として、同Vは、同県議会事務局次長として、本件支出1当時、それぞれ同県議会事務局を指揮・統括する立場にあった。
甲事件被告Wは、本件支出1当時の同県出納局会計課長として、本件支出1に係る概算払の支出命令を行った。
甲事件被告Xは、本件支出1当時の同県議会事務局総務課長として、本件支出1に係る概算払の精算確認を行った。
本件支出1が違法であり、甲事件被告U、同V、同W及び同Xにこれについて故意又は重大な過失があったとすれば、右の甲事件被告らは、不法行為に基づく損害賠償として、秋田県に対し、少なくとも各自一四七万三九〇〇円(本件支出1のうち、甲事件職員らに支給された旅費の合計額)を賠償する義務があることになる。
(二) 乙事件について
(1) 本件支出2が違法であるとすれば、乙事件議員ら及び乙事件職員らは、支給された旅費相当額について、法律上の原因なく利得を受け、これによって秋田県はその合計相当額の損失を受けたことになる。
この場合、乙事件被告秋田県知事及び同秋田県議会事務局総務課長は、乙事件議員ら及び乙事件職員らに対して不当利得返還請求権を行使する権限を有する者であるから、右請求をすることを怠ることは違法となる。
(2) 乙事件被告Yは、秋田県議会事務局長として、同Zは、同県議会事務局次長として、本件支出2当時、それぞれ同県議会事務局を指揮・統括する立場にあった。
乙事件被告aは、本件支出2当時の同県議会事務局総務課長として、本件支出2に係る概算払の支出命令及び精算確認を行った。
本件支出2が違法であり、乙事件被告Y、同Z及び同aにこれについて故意又は重大な過失があったとすれば、右の乙事件被告らは、不法行為に基づく損害賠償として、秋田県に対し、各自二七八万四五一〇円(本件支出2の合計額)を賠償する義務があることになる。
6 監査請求の前置
(一) 甲事件原告らは、平成九年八月二〇日、秋田県監査委員に対して、本件支出1が違法であるとして、甲事件被告議員らに対して支給された旅費についての不当利得返還請求及び甲事件職員らに対して支給された旅費についての損害賠償請求による損害の補填を求めて、住民監査請求をした。これに対し、同監査委員は、同年一〇月一七日付けで、甲事件被告議員らのうち前泊及び後泊に係る旅行が命じられた者について、前泊及び後泊の事実を確認の上、その事実がない場合には返還等の所要の措置を講ずることを勧告したに止まり、その余の監査請求を棄却した。
(二) 乙事件原告らは、平成一〇年八月五日、秋田県監査委員に対して、本件支出2が違法であるとして、乙事件議員らに対して支給された旅費についての不当利得返還請求及び乙事件職員らに対して支給された旅費についての損害賠償請求による損害の補填を求めて、住民監査請求をした。これに対し、同監査委員は、同年一〇月五日付けで右監査請求を棄却した。
二 争点及び当事者の主張
1 議員の野球大会参加のための旅行が「職務を行うために旅行した」場合(議員報酬費用弁償条例四条一項)に、職員の随行のための旅行が「出張」(職員旅費条例三条)に、それぞれ該当するか(野球大会の職務性)。
(一) 甲事件原告ら及び乙事件原告らの主張
(1) 甲事件被告議員ら及び乙事件議員らの旅行について
野球大会は、都道府県議会議員有志の交流、親睦、レクリエーション等を目的とするものであって、これに参加することは議員の職務とはいえないから、議員がこれに参加するために旅行することは、「職務を行うために旅行」する場合には当たらない。
(2) 甲事件職員ら及び乙事件職員らの旅行について
右(1)のとおり、議員について野球大会参加の職務性が否定される以上、職員がこれに随行するために旅行することも、「出張」には該当しない。
(3) まとめ
したがって、本件支出1及び2は、いずれも違法である。
(二) 甲事件被告ら及び乙事件被告らの主張
(1) 甲事件被告Tを除く甲事件被告ら及び乙事件被告らの主張
① 甲事件被告議員ら及び乙事件議員らの旅行について
都道府県議会は、議決機関としての機能を適切に果たすために必要な限度で広範な権能を有し、合理的な必要性があるときはその裁量により議員を国内外に派遣できる。
野球大会は、国民体育大会(以下「国体」という。)に協賛し、あわせて議員相互の親睦とスポーツ精神の高揚を図り、地方自治の発展に寄与することを目的として、議長会及び国体を開催する地の都道府県議会の共催によって行われている公式行事である。これは、全国の都道府県議会議員が一堂に会し、地域や政治的立場の違いを超えて交流できる貴重な機会であって、参加議員は、そこでの意見交換や情報収集により、フォーマルな機会によるものとは異なった人間関係を樹立でき、また、実際に国体の会場となる施設や大会の運営の状況について身をもって経験すると共に、周辺の体育施設を視察することにより、その経験を自ら属する都道府県における施設の整備や維持管理、諸大会の運営についての施策に生かすことができる。また、住民の代表である議員が、我が国の最も大衆的なスポーツである野球を通じて国体を盛り上げ、スポーツを奨励することは、住民の福祉の向上を目的とする地方自治の発展に寄与するところが大きいというべきである。
以上のようなことから、甲事件被告議員ら及び乙事件議員らは、秋田県議会議長の派遣決定に基づき、議会活動の一環として、職務として野球大会に参加したものであって、その派遣について、秋田県議会に裁量権の逸脱又は濫用はなかった。
② 甲事件職員ら及び乙事件職員らの旅行について
秋田県議会事務局職員の出張については、同県議会事務局長らの裁量に委ねられている。
そして、右①のとおり、甲事件被告議員ら及び乙事件議員らの野球大会への参加は議員の職務として行われたものであり、甲事件職員ら及び乙事件職員らは、野球大会において、大会本部との連絡調整、用具の運搬管理、大会・試合の記録、昼食等の手配、準備体操の補助、移動手配等の必要不可欠な役割を担ったものである。また、随行人数が他の都道府県と比べて特に多いわけでもない。
したがって、甲事件職員ら及び乙事件職員らの随行について、秋田県議会事務局長らに裁量権の逸脱又は濫用はなかった。
③ まとめ
したがって、本件支出1及び2は、いずれも違法ではない。
(2) 甲事件被告Tの主張
前記(1)①とほぼ同旨。
したがって、本件支出1は違法ではない。
2 出発日前日の日当及び宿泊料並びに帰着日の宿泊料の支給の適法性(甲事件)
(一) 甲事件原告らの主張
前記一3(一)(1)のとおり、秋田市以外に居住する甲事件被告議員らについては、平成八年八月二九日(出発日前日)分の日当及び宿泊料と同年九月二日(帰着日)分の宿泊料が支給されているが、これらはいずれも不必要なものである。これは、秋田市以外に居住する甲事件被告議員らの大半が、現実には右両日とも秋田市に宿泊していないことからも明らかである。
議員に対する費用弁償の支給に関しては、一般職員の旅費の支給方法の例によるところ、右の日当及び宿泊料の支給は、旅費計算上の旅行日数は旅行のため現に要した日数によるとする職員旅費条例八条一項本文に反し、違法である。
(二) 甲事件被告らの主張
(1) 甲事件被告Tを除く甲事件被告らの主張
議員報酬費用弁償条例四条一項の解釈運用としては、同条三項の解釈運用(平成六年秋田県条例第二号による改正後も、右改正後の同条項の文言及び支給実態を踏襲して、議会又は委員会の開会日の前日分の日当及び宿泊料並びに閉会日分の宿泊料を支給する慣行であった。)に準じて、出発時刻までの集合を確実なものにするために出発日前日分の日当及び宿泊料が、到着時間や解散時間が遅くなる場合の議員の健康等を考慮して帰着日分の宿泊料が、それぞれ支給される慣行となっていたものであるところ、平成八年八月二九日分の日当及び宿泊料並びに同年九月二日分の宿泊料についても、これに従って支給されたものであるから、違法ということはできない。
なお、甲事件被告Oは、平成八年八月三〇日の主将会議に出席するため、同月二九日に二ツ井町を出発し、同日広島市に宿泊しているから、同日分の日当及び宿泊料の支給を受けて当然であるし、甲事件被告A、同J及び同Oは、帰着日の翌日の同年九月三日に開催された食糧費等調査特別委員会に委員として出席したものであるから、議員報酬費用弁償条例四条三項(前記のとおり、平成六年秋田県条例第二号による改正前の同条項の文言及び支給実態を踏襲していた。)に基づき、右食糧費等調査特別委員会の前日である同年九月二日分の宿泊料の支給を受けて当然である。
(2) 甲事件被告Tの主張
甲事件被告Tは、平成八年八月二九日と同年九月二日の両日とも秋田市に宿泊していないから、同年八月二九日分の日当及び宿泊料並びに同年九月二日分の宿泊料について、いずれも不当利得となることは争わない。
第三 当裁判所の判断
一 事実関係
甲第二号証の一、二、第八号証、乙第一号証、第二号証の一ないし四、第三ないし第五、第七、第二四ないし第二六号証及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
1 野球大会について
野球大会は、国体に協賛し、あわせて議員相互の親睦とスポーツ精神の高揚を図り、地方自治の発展に寄与することを目的とするとして開催されてきたもので、昭和二四年、国体開催地の都道府県が国体の主催団体に加わった第四回国体に時期を合わせて、東京都議会の主催により第一回大会が開催され、それ以来、毎年一回、国体開催地の都道府県において開催されてきた。当初、主催者は、国体開催地の都道府県議会であったが、昭和五二年から議長会がこれに加わり、昭和六〇年代からは、四五以上の都道府県議会が参加するところとなった。
秋田県議会は、野球大会に、第一回大会から第四九回大会まで、第五回大会及び第六回大会を除いて毎回参加してきた。
2 第四八回大会について(月日はいずれも平成八年)
(一) 第四八回大会の日程は次のとおりであった。
(1) 八月三〇日
午後一時から、広島市のリーガロイヤルホテル広島において、主将会議(組合せ抽選等)。
(2) 八月三一日
午前九時から、広島市の広島県立総合体育館大アリーナ(グリーンアリーナ)において、入場式及び出場者等表彰式。
午前一一時から、広島市民球場外七会場において、一回戦。
(3) 九月一日
午前九時三〇分から、二回戦及び準決勝戦。
(4) 九月二日
午前九時から、決勝戦。
正午(決勝戦終了後)から、広島県立総合体育館大アリーナ(グリーンアリーナ)において、閉会式。
(二) 甲事件被告議員ら(主将会議に出席した甲事件被告L及び同Oを除く。)及び甲事件職員らの日程は次のとおりであった。
(1) 八月三〇日
午前八時五〇分、秋田県議員会館(以下「議員会館」という。)集合。議会バスで秋田空港へ移動。
午前一〇時、秋田空港発。
午後三時一五分、広島空港着(羽田空港経由)。
(2) 八月三〇日から九月一日まで
広島市の三井ガーデンホテル広島に宿泊。
(3) 九月二日
午後四時、広島空港発。
午後七時、秋田空港着(羽田空港経由)。議会バスで議員会館へ移動。
午後七時四五分、議員会館着。解散。
(三) 甲事件被告議員ら(主将会議に出席した甲事件被告L及び同Oを除く。)の実際の行程は、概ね右(二)のとおりであったが、秋田県議会チームは、二回戦で福島県議会チームに敗れたため、九月二日の日程を早め、午前九時に広島空港を出発し、羽田空港を経由して午前一一時五五分に秋田空港に到着し、午後一時ころに議員会館で解散となった。
3 第四九回大会について(月日はいずれも平成九年)
第四九回大会の日程は次のとおりであった。
(一) 八月二二日
午後一時から、大阪市のホテルニューオータニ大阪において、主将会議(組合せ抽選等)
(二) 八月二三日
午前九時から、大阪市の舞洲アリーナにおいて、入場式及び出場者等表彰式。
午前一一時から、舞洲ベースボールスタジアム外七会場において、一回戦。
(三) 八月二四日
午前九時三〇分から、二回戦及び準決勝戦。
(四) 八月二五日
午前九時から、決勝戦
正午(決勝戦終了後)から、舞洲アリーナにおいて、閉会式。
4 第四八回大会及び第四九回大会の日程並びにこれに参加する議員の日程は右のとおりであり、この他に、参加した議員同士の意見交換や情報収集等を目的とした行事や、体育施設ないし大会運営状況の視察などの日程は予定されていなかった。
二 議員の野球大会参加のための旅行が「職務を行うために旅行した」場合(議員報酬費用弁償条例四条一項)に、職員の随行のための旅行が「出張」(職員旅費条例三条)に、それぞれ該当するか(野球大会の職務性)。
1 甲事件被告議員ら及び乙事件議員らについて
(一) 普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の議決機関として、その機能を適切に果たすために必要な限度で広範な権能を有し、合理的な必要性があるときは、その裁量により、議員を国内外に派遣することができ、このような議員の派遣については、原則として議会の裁量に委ねられているというべきであるから、議員派遣の目的、態様、効果、更には目的と態様及び効果との関連性等に照らし、これが著しく合理性、必要性を欠いている場合に限り、裁量権を逸脱又は濫用したものとして、違法になると解するのが相当である。
(二) ところで、野球大会は、各都道府県議会の議員によって構成された野球チームが、それぞれ試合を行って勝敗を決するというものであるから、それ自体としては、参加議員が野球というスポーツを行うにすぎないものというべきであり、この点のみからみれば、野球大会は参加議員にとってのレクリエーションにすぎないという基本的性格を有するものといわざるを得ない。
したがって、このような野球大会の基本的性格に照らすと、これに議員が参加することは、一般的に、その職務を行うものとはいい難いところである。
(三) 他方、甲事件被告ら及び乙事件被告らは、前記第二・二1(二)(1)①のように、秋田県議会が野球大会に議員を派遣したのは、議員の職務として参加させたものであり、この点において同県議会の裁量権を逸脱又は濫用したものではないと主張するので、以下、前記一で認定した事実を前提として検討する。
(1) まず、野球大会の目的は前記一1のとおりであるが、究極的な目的は地方自治の発展に寄与することであり、その具体化として、国体への協賛、議員相互の親睦及びスポーツ精神の高揚が掲げられているもので、この限りでは一定の合理性を有しているということができる。
(2) 次に、野球大会の態様、効果及びこれらと右目的との関連性等について検討する。
① 甲事件被告ら及び乙事件被告らは、野球大会は、全国の都道府県議会議員が一堂に会し、地域や政治的立場の違いを超えて交流できる貴重な機会であって、参加議員は、そこでの意見交換や情報収集により、フォーマルな機会によるものとは異なった人間関係を樹立できると主張し、甲事件被告A(以下「甲事件被告A」という。)本人尋問の結果(以下「甲事件被告A本人」という。)及び乙第二四号証中にもこれに沿う供述ないし記載部分がある。
第四八回大会及び第四九回大会の各日程は前記一23のとおりであるが、これによると、右大会に参加した議員が他の都道府県議会の議員と交流し、意見を交換したり情報を収集したりすることを目的とした行事は一切計画されていなかったということができるし、弁論の全趣旨によれば、そのような行事は実際にも全く催されなかったことが認められる。そうすると、甲事件被告議員ら及び乙事件議員らにおいて他の都道府県議会の議員と交流することが可能な場としては、主将会議、開会式、試合の合間、閉会式、試合後等が一応考えられ、甲事件被告Aは、第四八回大会において、試合の合間ないし試合後に、宿泊先の食堂等で、自らが所属する都道府県の最近の状況、問題等について他の都道府県議会の議員と話をしたと供述する。
しかしながら、そもそも、右のような場では、地方自治の発展に寄与するような重要な課題について、意見を交換したり情報を収集したりすることは到底期待できないし、甲事件被告A本人が、第四八回大会における交流の具体的な内容として述べるのは、「あそこの道路はどうなった」「知事はどうだ」「議会はどうだ」「自民党は強いか」「これからの政局はどうなるか」などということに止まり、これらは挨拶ないし世間話程度のものと評価せざるを得ず、このような交流が、フォーマルな機会によるものとは異なった人間関係の樹立に役立つとも思われない。なお、甲事件被告A本人及び弁論の全趣旨によれば、第四八回大会での試合終了後、甲事件被告議員ら及び甲事件職員らにおいて懇親会を行ったことが認められるが、このような秋田県議会の議員ないし職員同士の交流は、野球大会の機会になされなければならないものではなく、甲事件被告ら及び乙事件被告らにおいて主張する交流とはいえない。
② 次に、甲事件被告ら及び乙事件被告らは、野球大会においては、実際に国体の会場となる施設や大会の運営の状況について身をもって経験すると共に、周辺の体育施設を視察することにより、その経験を自ら属する都道府県における施設の整備や維持管理、諸大会の運営についての施策に生かすことができると主張する。
しかしながら、前記認定によると、甲事件被告議員ら及び乙事件議員らには、大会会場となった施設の説明を受けたり、周辺の体育施設を視察したりする機会は一切なかったのであるから、甲事件被告議員ら及び乙事件議員らが主張する右のような効果は期待できないというべきである。
この点、確かに、甲事件被告議員ら及び乙事件議員らは、野球の試合を行い、競技者の立場で大会会場となった施設を利用し、これに伴う開会式等(乙第二五号証及び弁論の全趣旨によれば、国体に倣う形で行われたことが認められる。)の式典にも出席しており、また、移動等に際して、野球大会の開催地の空港や交通システムを利用するなどしたものであるが、これらは野球大会に参加することによって副次的に得られる経験であって、甲事件被告議員ら及び乙事件議員らが、この経験を、秋田県における施設の整備や維持管理、諸大会の運営についての施策に生かすべきものとして立案されたものでないことはいうまでもなく、そうすると、このような経験による効果としては、甲事件被告議員ら及び乙事件議員らにおいて漠然とした感想を抱くことくらいしか考えられないというべきである。これは、現に甲事件被告Aが、第四八回大会で印象に残っている点として、新空港、高速道路等の交通システムを挙げ、広島県がアジア大会に向けて躍進している姿がすごい、羨ましい、勉強になったなどと抽象的に述べるに止まっており、秋田県における諸施策に反映することを意識していなかったといわざるを得ないことからも明らかである。
③ 最後に、甲事件被告ら及び乙事件被告らが、住民の代表である議員が、我が国の最も大衆的なスポーツである野球を通じて国体を盛り上げ、スポーツを奨励することは、住民の福祉の向上を目的とする地方自治の発展に寄与するところが大きいと主張している点についてであるが、国体が広く国民に認知された一大行事であるのに対し、野球大会の認知度は必ずしも高くはなく、近年の住民のスポーツに対する意識は既に相当に高まっていると思われること等を考慮すると、いくら議員が住民の代表であるといっても、同一の日時に同一の会場に集合して、野球の試合を行って勝敗を争い、それに伴う開会式等の式典を行うというだけで、前記①②のとおり、その他には格別の行事が予定されているわけではない野球大会では、必ずしも国体を盛り上げたりスポーツを奨励したりすることにはつながらないし、地方自治の発展に寄与するともいえないというべきである。
④ なお、甲事件被告Aは、第四八回大会について供述しているものであるが、第四九回大会の日程は第四八回大会とほぼ同様であり、本件全証拠によっても、第四九回大会において、第四八回大会と特に異なった試みがされるなどの事情を認めることはできないから、甲事件被告Aの供述について先に説示したところは、基本的には第四九回大会についても妥当するというべきである。
(四) 以上によれば、野球大会は、その目的には合理性が認められるものの、その態様、効果及びこれらと右目的との関連性等において、これに職務として議員を参加させることは、著しく合理性、必要性を欠いているといわざるを得ず、これに議員を派遣することは、議会の裁量権を著しく逸脱したもので、違法というべきである。
2 甲事件職員ら及び乙事件職員らについて
職員の出張については、旅行命令権者である秋田県議会事務局長らの裁量に委ねられているものであるが、甲事件職員らは、甲事件被告議員らが第四八回大会に参加するに当たっての随行のため、乙事件職員らは、乙事件議員らが第四九回大会に参加するに当たっての随行のため、それぞれ旅行したものであるから、前記1のとおり、甲事件被告議員ら及び乙事件議員らを野球大会に派遣すること自体が違法である以上、甲事件職員ら及び乙事件職員らがこれに随行することは正当性の根拠を失い、裁量権を逸脱したものとして、違法であるということになる。
3 まとめ
したがって、本件支出1及び2は、「職務を行うために旅行した」場合(議員報酬費用弁償条例四条一項)ないし「出張」(職員旅費条例三条)に該当しない旅行について支出されたもので、いずれも違法である。
三 出発日前日の日当及び宿泊料並びに帰着日の宿泊料の支給の適法性について
(甲事件)
1 前記二のとおり、甲事件被告議員らが野球大会に参加すること、甲事件職員らがこれに随行することがいずれも違法とされる以上、甲事件被告議員らないし甲事件職員らに対し、出発日前日の日当及び宿泊料並びに帰着日の宿泊料を支給することが違法となることは明らかである。
2 なお、甲事件被告らは、甲事件被告A、同J及び同Oについては、帰着日の翌日の平成八年九月三日に開催された食糧費等調査特別委員会に委員として出席したものであるから、議員報酬費用弁償条例四条三項(平成六年秋田県条例第二号による改正前の同条項の文言及び支給実態を踏襲していた。)に基づき、右食糧費等調査特別委員会の前日である同年九月二日分の宿泊料の支給を受けて当然であると主張する。
しかしながら、平成六年秋田県条例第二号によって議員報酬費用弁償条例四条三項が改正された後に、右改正前の同条項の文言及び支給実態を踏襲することの適否はさておき、右旅費はあくまでも第四八回大会に参加するためのものとして支出されたものであって、食糧費等調査特別委員会に出席するためのものとして支出されたものではないから、その違法性に変わりはないというべきである。
四 被告らの責任
(一) 甲事件について
(1) 甲事件被告議員ら
前記二のとおり、本件支出1は違法であるから、甲事件被告議員らは、秋田県に対し、不当利得として、別紙4「第四八回全国都道府県議会議員軟式野球大会参加者一覧表(議員)」の各被告に対応する「旅費」欄記載の金額を返還する義務がある。
(2) 甲事件被告U、同V、同W及び同X
前記二のとおり、本件支出1は違法である。
しかしながら、前記一1のとおり、野球大会は、国体に協賛し、あわせて議員相互の親睦とスポーツ精神の高揚を図り、地方自治の発展に寄与することを目的とするとされているもので、昭和二四年、国体開催地の都道府県が国体の主催団体に加わった第四回国体に時期を合わせて、東京都議会の主催により第一回大会が開催され、昭和五二年からは国体開催地の都道府県議会と議長会の共催となり、昭和六〇年代からは四五以上の都道府県議会が参加するところとなった伝統行事であって、秋田県議会は、野球大会に、第一回大会から第四九回大会まで、第五回大会及び第六回大会を除いて毎回参加してきており、また、乙第一、第六、第二四ないし第二六号証及び弁論の全趣旨によれば、野球大会の役員には各都道府県議会議長が参与として名を連ねるなど、様々な公的な装いがされている上、多くの都道府県において、議員及び職員が野球大会に参加するための旅費を支給していたことが認められる。
以上の諸事情を考慮すると、本件支出1に当たって、甲事件被告U及び同Vが秋田県議会事務局を指揮・統括するについて、同Wが概算払の支出命令を行うについて、同Xが右概算払の精算確認を行うについて、本件支出1が違法な支出であると認識していたとはいえず、また、これを認識しなかったことにつき重大な過失があったともいえないと解するのが相当であり、他に、右甲事件被告らの本件支出1の違法性について故意又は重大な過失があったとすべき事実を認めるに足りる証拠はない。
したがって、甲事件被告U、同V、同W及び同Xには、秋田県に対する不法行為に基づく損害賠償責任はない。
(二) 乙事件について
(1) 乙事件被告秋田県知事及び同秋田県議会事務局総務課長
前記二のとおり、本件支出2は違法であるから、乙事件議員ら及び乙事件職員らに対して不当利得返還請求権を行使する権限を有する者である乙事件被告秋田県知事及び同秋田県議会事務局総務課長が、右請求をすることを怠ることは違法となる。
(2) 乙事件被告Y、同Z及び同a
前記二のとおり、本件支出2は違法である。
しかし、前記(一)(2)で掲げた諸事情を考慮すると、本件支出2に当たって、乙事件被告Y及び同Xが秋田県議会事務局を指揮・統括するについて、同aが概算払の支出命令及び精算確認を行うについて、本件支出2が違法な支出であると認識していたとはいえず、また、これを認識しなかったことにつき重大な過失があったとはいえないと解するのが相当であり、他に、右乙事件被告らに本件支出2の違法性について故意又は重大な過失があったとすべき事実を認めるに足りる証拠はない。
第四 結論
以上のとおりであって、甲事件原告らの甲事件被告議員らに対する各請求並びに乙事件原告らの乙事件被告秋田県知事及び同秋田県議会事務局総務課長に対する各請求はいずれも理由があるから認容し、甲事件原告らの甲事件被告U、同V、同W及び同Xに対する各請求並びに乙事件原告らの乙事件被告Y、同Z及び同aに対する各請求はいずれも理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官・杉本正樹、裁判官・貝原信之、裁判官・品田幸男)
別紙1認容金額目録<省略>
別紙2第49回全国都道府県議会議員軟式野球大会参加者一覧表(議員)<省略>
別紙3第49回全国都道府県議会議員軟式野球大会参加者一覧表(役員)<省略>
別紙4第48回全国都道府県議会議員軟式野球大会参加者一覧表(議員)<省略>