秋田地方裁判所 昭和53年(ワ)243号 判決 1978年12月26日
主文
一 被告金信長は原告に対し、金九八万二、七七四円およびこれに対する昭和五二年一〇月一日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告の被告金信長に対するその余の請求および被告斎藤政悦に対する本訴請求をいずれも棄却する。
三 訴訟費用は、
1 原告と被告金信長との間で生じた分はこれを一〇分し、その三を原告の、その余を同被告の、
2 原告と被告斎藤政悦との間で生じた分は全て原告の各負担とする。
四 本判決は、第一項に限り仮に執行することができる。
事実
第一 当事者の求めた判決
一 原告
1 被告らは原告に対し、連帯して、金一三二万二、九五五円およびこれに対する被告斎藤政悦は昭和五二年七月一九日から、被告金信長は同年一〇月一日から、各支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告らの連帯負担とする。
3 仮執行の宣言。
二 被告ら
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
第二 当者事の主張
一 請求原因
1 事故の発生
日時 昭和五一年八月一二日午後二時五分ころ
場所 秋田市茨島三丁目一番六号先
加害車 普通乗用自動車(被告金運転)
被害車 自転車(原告乗車)
態様 被害車が国道七号線歩道を新屋方向へ進行中、右交差する道路を国道から横切つてきた加害車が衝突。
2 責任原因
(一) 被告金は加害車運転中、前方等不注視の過失により本件事故を起したものであるから民法七〇九条の責任。
(二) 被告斎藤は加害車を所有し、被告金に貸与し、或は右車両を被告金において容易に使用できうる状態で保管していたため、同被告が本件事故を起したものであるから自動車損害賠償保障法三条の責任。
3 損害
(一) 受傷
第一二胸椎圧迫骨折、右下腿打撲
(二) 治療経過
(1) 昭和五一年八月一二日から同年一一月一〇日まで(九一日間)市立秋田総合病院入院
(2) 同年一一月一一日から同月一二日まで(二日間)同病院通院
(三) 損害額 計二二〇万二、九五五円
(1) 治療費 五七万七、〇九〇円
(2) 附添費 計一三万九、五〇〇円
八月一二日から同月一五日まで(四日間)近親者
二、五〇〇円×四=一万円
同月一六日から九月二一日まで(三七日間)附添婦
三、五〇〇円×三七=一二万九、五〇〇円
(3) 入院雑費 五万四、六〇〇円
六〇〇円×九一=五万四、六〇〇円
(4) 治療期間中の慰藉料 八〇万円
(5) 休業損害 六二万二、三三五円
原告は酒類販売業を営む者であるが、賃金センサス昭和五〇年度男子労働者の平均賃金(学歴計)に五パーセント加算して昭和五一年度の年間の右平均賃金を算出して、これによる。
二四八万九、三四〇円×〇・二五(三カ月)=六二万二、三三五円
(6) 附添人寝具使用料 五、三三〇円
一三〇円×四一=五、三三〇円
(7) 診断書料二通 二、五〇〇円
(8) 事故証明書手数料 一、六〇〇円
4 損害の填補 計一〇一万円
自賠責保険から 一〇〇万円
加害者から 一万円
5 弁護士費用 一三万円
6 よつて、原告は被告らに対し、共同不法行為に基づく損害賠償として、連帯して、一三二万二、九五五円およびこれに対する訴状送達の日の翌日である、被告斎藤に関しては昭和五二年七月一九日から、被告金に関しては同年一〇月一日から各支払済みに至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。
二 請求原因に対する認否
1 被告斎藤
(一) 請求原因1のうち、事故の態様を除きその余の事実は認める。右態様は争う。
(二) 同2の(二)のうち、加害車が被告斎藤の所有であることは認める。その余の事実は否認する。
本件事故は、被告金が、自己の従業員である被告斎藤所有の加害車を無断で持ち出した際発生したものであり、被告斎藤には運行供用者責任はない。
(三) 同3のうち、(一)、(二)の各事実は知らない。(三)の事実は争う。
(四) 同4の事実は認める。
(五) 同(五)の事実は争う。
2 被告金
(一) 請求原因1の事実は認める。
(二) 同2の(一)の事実は認める。
(三) 同3ないし5の各事実は知らない。
三 抗弁
1 被告斎藤
本件事故発生に関しては、原告にも進路の前方左右を確認しないで進行した過失がある。
第三 証拠(省略)