秋田家庭裁判所 昭和36年(家イ)84号 審判 1961年7月20日
申立人 熊倉情治(仮名)
相手方 熊倉マツ(仮名)
主文
申立人と相手方とを離婚する。
申立人、相手方間の子保(昭和二十二年一月十七日生)の親権者を相手方と定める。
申立人は相手方に対し金五万円を分与し、これを昭和三十六年九以降昭和三十七年一月まで毎月末日限り金一万円宛分割して支払え。
本件手続費用は申立人の負担とする。
理由
(本件申立理由の要旨)
申立人は相手方と昭和九年七月十四日婚姻した夫婦であるが、この間四男一女をもうけた。然しながら相手方は昭和十九年秋頃から昭和三十四年秋頃までの間申立外山田一男或いに川井某と不倫の関係を継続した挙句、病弱の申立人を置去りにして肩書住所に立去り爾来帰来しない。よつて相手方との離婚を求めるというのである。
(当裁判所の判断)
当家庭裁判所調査官藤原三四郎の調査の結果によると当事者は申立人との離婚及び四男保の親権者を相手方と定めることに同意しているが、相手方が財産分与として金一〇万円を要求しているのに対し申立人は調停委員会の席上金五万円の分割支払の能力しかない旨述べている。しかして相手方が当裁判所に出頭できないので調停は成立しないけれども当裁判所は当事者双方のため衡平を考慮し、一切の事情を観て申立人と相手方と離婚し、未成年の子保の親権者を相手方と定め、且つ申立人が相手方に対し金五万円を財産分与し、これを昭和三十六年九月以降昭和三十七年一月まで毎月一万円宛分割して支払わせることを相当と考え、家事審判法第二四条により主文のとおり審判する。
(家事審判官 浜秀和)