立川簡易裁判所 平成3(ハ)169 労働事件裁判例
主 文
一 原告の請求を棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第一 請求
被告は、原告に対し、金七九、一〇〇円及び別紙「賃金カット額」欄記載の各金
員につき、別紙各「賃金カット日」欄記載の日の翌日から支払ずみまで年五分の割
合による金員を支払え。
第二 事案の概要
Ⅰ請求の原因
A 原告の年次有給休暇請求権の存在
一 当事者
1 被告は、日本中央競馬会法に基づいて競馬の開催等を行う法人であるが、右事
業を実施するため、東京競馬場、中山競馬場等一二カ所(ただし、二カ所は現在使
用されていない)の競馬場を設け、各場内に場内勝馬投票券発売所(以下、場内投
票所という)を有し、更に東京を中心とした関東地区には、後楽園、錦糸町等一一
カ所に場外勝馬投票券発売所(以下、場外投票所という)を有している。
2 原告は、昭和四八年四月から東京競馬場内投票所において、また、同年九月か
らは後楽園場外投票所(中山競馬場開催時に従事)においても、各競馬場開催時で
ある土・日曜日に、投票所従事員として勝馬投票券発売の業務に従事してきた者で
ある。
二 パートタイム労働者(以下、パートという)の年次有給休暇(以下、年休とい
う)の趣旨
1 労働基準法(以下、基準法という)の改正(昭和六二年法律九九号・昭和六三
年四月一日施行)前の取扱
イ 改正前基準法は、パートのような労働形態を予想していなかったことから、同
法三九条一項、二項のパートへの適用には、種々の論議がなされていた。
ロ 昭和五七年、労働省はパートの労働条件保護の観点から、「パートとして取り
扱われている労働者であっても、一年間継続勤務し、かつ、所定労働日数が週五日
以上である者については、法三九条の定めるところにより所定の日数の年休を付与
すべきものであること」また、所定労働日数が週四日の者についても、「同様の取
り扱いがなされることが望ましい」(昭和五七年・一二・一七基発七九〇号)との
通達を発した。
ハ 右通達は、所定労働日数が週四日より短いパートについては言及していない
が、これは年休の付与を不要とする趣旨ではない。同省の諮問機関である労働基準
法研究会は昭和五九年八月二八日に中間報告において、「当該パートタイム労働者
の前一年間における一週平均所定労働日数に相当する時間の有給休暇を付与すべ
き」ものと、比例的付与方式を提示している。
2 改正基準法三九条の意味
イ 改正基準法は、全体として労働時間の短縮を目的とし、この趣旨から年休につ
いても、一年間継続勤務した労働者の最低付与日数を年間六日から一〇日に引き上
げるとともに、三項において、従前から議論のあったパートについて、比例的付与
を明文化した。
ロ 同条三項一号は、「一週間の所定労働日数が命令で定める四日以下の労働者」
を、二号は、「週以外の期間によって所定労働日数が定められている労働者で、一
年間の所定労働日数が命令で定める二一六日以下の労働者」と規定し、所定労働日
数が週で定められている者については、これを基準に、それ以外の定められかたを
している労働者については、年間所定労働日数を基準にすることとしている。
ハ すなわち、週以外によって所定労働日数が定められている労働者の年休につい
ては、年間の所定労働日数のみが付与の基準(付与日数の基準ではなく)とされて
いるのであり、同法を受けて発せられた施行規則二四条の三においても、比例定期
付与の基準をして採用されているのは、週ないし年間の各所定労働日数と勤続年数
のみである。
三 改正法三九条の「継続勤務」の意味
1 労働省は、継続勤務の意義につき「労働契約の存続期間、すなわち在籍期間を
いう」としつつ、「継続勤務か否かについては、勤務の実態に即し実質的にすべき
ものであり、次に掲げるような場合を含むこと。この場合、実質的に労働関係が継
続している限り勤務年数を通算する」として、定年退職後引き続き嘱託として再採
用された場合や、基準法二一条に定める日々雇い入れられる者、二箇月以内の期間
を定めて使用される者、季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者等に
ついても、実態として引き続き使用されていると認められる場合は、継続勤務に該
当するとの通達を発している(昭六三・三・一四基発一五〇号)。
2 右の如く、基準法三九条にいう継続勤務は、形式的雇用契約の形態によって決
せられる訳ではなく、実質的にみて労働関係の継続を認定できるか否かによるので
ある。
四 原告の勤務実態
原告は、昭和四八年四月以降被告中央競馬会(以下、競馬会という)に勤務して
きたが、同会に勤務する開催従事員(以下、従事員という)の勤務実態は以下に述
べるとおりである。
1 原告の勤務形態は、競馬の年間開催日数が二八八日と定められている中で、右
年間計画は、毎年運営審議会の決定により前年末までに定まり、右計画に従って原
告らの勤務日程も自動的に定まり、翌年の勤務の所定人数に組み込まれる。
前年末には翌年の第一回通知書が原告らの元に送付されており、過去一八年間の
勤務期間中、全く変わっていない。
イ 原告はいわゆる二場勤務者で、東京・中山の両者につきそれぞれ年間四〇日、
合計八〇日間勤務している。
ロ 原告の場合、毎年年末に次年度の年間競馬開催日割りを貰い、次年度に勤務す
べき日が特定される。
ハ 具体的勤務日は、開催前に送付される「開催通知書」により明確になるが、こ
れは年末に渡される開催日割りと同一の日で設定されており、突発的事態が生じな
い限り変更されることはない。
ニ 開催通知書の送付は、原告が競馬会で働くようになった昭和四八年以降必ず行
われており、途中で途絶えたことはない。
ホ また、夏期開催される福島競馬についても、昭和五五年の東京一開催減に伴う
補償措置として、二場勤務者にも二年に一回割合で勤務の機会が与えられている。
ヘ 右の勤務形態に照らせば、原告らの契約は自動的に更新されているものと解す
るのが自然である。
2 また、被告競馬会自身も、従事員の労働条件につき、勤務を年単位で捉え、勤
務年数に応じた、以下のような諸制度を導入しているが、これも継続勤務を前提と
しているものである。
イ 日給について、前年勤務実績に応じて増額基準を設定し、毎年度の増額を行っ
ている。
ロ いわゆる賞与に該当する「特別手当」について、年二回以内の支給を定め、現
実には、年二回支給している。
ハ 慰労金の支給に関し、勤続期間の計算を「従事員となった日から除籍された
日」までを基準にして行っている。
ニ 就業規則上は雇用しない基準とされているものの、実質的には六五才定年制を
採用している。
3 なお、従事員各人に対して永久番号を付与し、制服・ロッカーについては、開
催毎にこだわらない支給がなされている。これらは、従事員の継続勤務を当然の前
提とした取り扱いに他ならない。
4 以上のとおり、原告の勤務は、長年安定した状態のうちに継続してなされてき
たものであるから、基準法三九条の継続勤務の要件を充足するものというべきであ
る。
五 基収一四〇号通達の不当性と問題点
1 原告は基準法の改正以前から、同法は原告のようなパートに対しても年休を保
障したものであるとして、年休の取得を求めて来たが、昭和六三年四月改正法が施
行されて以降は、改正法に基づく権利として取得を求めて来た。
しかし、被告競馬会は開催毎雇用に固執し、これを拒否したため、労働基準監督
署、労働基準局、労働省に基準法違反を訴え続けた。
その結果出されたのが、通達一四〇号である。
2 右通達は、被告競馬会に勤務する者の他、地方競馬、競輪等に勤務する者等全
競争事業従事員を対象としており、中には地方公営企業法の適用をうける従事員も
存し、開催主体、雇用形態はさまざまである。
このような従事員を一括して「競争従事員」として括り、要件を策定すること自
体に無理がある。
3 原告の勤務日は、毎年度決定される競馬の開催日に合わせて自動的に決定さ
れ、右開催日に合わせて被告から送付される「開催通知書(身分証明書として機能
している)」に従って原告は勤務し、被告は従事員からの申し出のない限り、六五
才まで勤務させている。
被告の右の勤務実態からは、その間競馬開催期日の関係上一ケ月以上の空白期間
が生じても、労働関係は継続しているとみるべきである。
4 ところで、同通達には継続勤務の要件として「概ね毎月就労すべき日が存する
こと」という要件が設定されているのは、「通常の賃金計算等の単位である一ケ月
に一日就労するということを継続勤務といえるための条件とした」ためとされてい
るが、原告らの場合月単位での賃金計算はなされておらず、他の競争事業において
も通常月単位の賃金計算を行っていないのであるから、根拠が薄弱である。
5 なお、右通達をそのまま適用すると、年間労働日数が四八日以上の者は、例え
ば五二日の者でも毎月勤務すれば年休が付与されるのに、原告のような二場勤務者
の場合、年間八〇日の勤務日があるにもかかわらず、年休が付与されない不合理な
結果となる。
そればかりでなく、同じ新潟競馬を担当する場合も、前半を担当すれば年休付与
の要件が発生するのに、後半を担当した場合は、同じ日数を担当しているのにかか
わらず発生しないという結果になる。
このような矛盾が生じたのは、右通達が被告競馬会に勤務する従事員の勤務実態
を無視して発せられた結果である。
6 以上のように、本通達は競争事業にたずさわる従事員の実態を踏まえない不合
理なものであるから、少なくとも被告競馬会に勤務する原告には適用されるべきで
はない。
六 和解との関係
原告は、東京地方裁判所における、被告競馬会と訴外日本中央競馬会開催従業員
労働組合(以下、従事労という)との間の和解当事者になっておらず、また、従事
労に原告の年休権の取り扱いを委ねた事実もない。
また、右訴訟においての争点は、昭和六三年度及び平成元年度の年休取得に伴う
賃金カット分であり、原告が本件訴訟で請求している平成二年度と年度を異にする
ものである。
したがって、本件請求が信義則違反となることはない。
七 以上、原告の一四年に及ぶ勤務の実態からすれば、基準法三九条三項及び同法
施行規則二四条の三をそのまま適用して、年休が付与されるべきことは当然であ
る。
Ⅱ 年休の請求と賃金カット
原告は、改正基準法に基づき、平成二年分の年休を別表のとおり請求したが、い
ずれもこれを拒否され、原告が就労しなかったことを欠勤として別表記載の、次に
より算出した金額をカットされた。
(1) 被告は、毎年四月、労働組合とベースアップの交渉を行い、その妥結後ベ
ースアップ分は、その年の一月一日まで遡って、既支給賃金額との差額を清算して
いる。
(2) 平成三年のベースアップは日額で五六〇円であり、同年四月以前の賃金と
の清算は同年九月二九日に行われた。
(3) したがって、原告の年休取得が認められた場合、同人に支払われるべき金
額は、ベースアップ分を加算した額となる。
Ⅱ よって、原告は、被告に対し、「第一 請求」記載のとおり、未払い賃金及び
基準法一一四条による付加金の支払を求める。
(二) 被告の主張
Ⅰ 原告と被告競馬会との間の雇用契約に関する、両者の合意の内容・性質・実態
一 原告の法的地位
1 原告のような従事員は、各競馬開催の実施にあたり、その都度必要となる主と
して投票券の発売、払戻等の業務に従事するため、各競馬開催毎に競馬会に採用さ
れるが、その採用は各競馬場長の権限において、自場における各開催毎に行われ
る。
したがって、従事員としての地位は各開催期間のみに限定されるのであって、換
言すれば、その雇用は原則として土曜日・日曜日・祝日に限った八日間の一開催単
位の間であって、右期間の経過により雇用は満了する。
イ 就業規則一六条には、「従事員の雇用期間は、一競馬開催(競馬が連続して開
催される場合は、その連続した競馬の開催)を単位とし、その回の全日または特に
指定する日」と、また、同一八条二項には「雇用期間が満了したとき、従事員の雇
用は終了するもの」との旨の各規定がある。
ロ 既に失効しているが、原告の所属組合である従事労との旧労働協約一六条にも
「従事員の雇用期間は原則として一競馬開催(競馬が連続して開催される場合はそ
の連続した競馬の開催)を単位」とする旨規定されていた。
2 しかし、一方競馬会にとっては、従事員の業務は投票券の発売、払戻等の如く
定型的なものであるも、限られた時間内に、同時的に窓口に集合する大衆を相手に
集中的に事務処理をする必要があり、しかも、その間に多額の現金を取り扱うもの
であるから、或る程度の経験を有し、信用度や人物人柄等についても、未知の者よ
り既知の者の方が望ましいという実情にある。
他方従事員にとっても、稼働日は原則として休祝日に限られ、賃金も一般のアル
バイトの場合に比較して相当高額であるから、主婦のアルバイトとしては好適で、
引き続き希望する者が多い。
3 右のような事情から、東京・中山両競馬場とも前回開催までに従事した従事員
については、① その都度就労者名簿を作成し、② 次回開催に当っては、右名簿
に登載された個人宛に就労の希望の有無を照会し、③ 就労の申込があれば、原則
としてこれらの者に各場長から開催通知書を送付し、その到達により従事員との雇
用契約が成立し、④ その結果採用するという処置が慣行的にとられてきた。
ただ、その場合でも採用の都度新たな手続きがとられ、かつ雇用期間はあくまで
も当該競馬開催単位であり、右競馬開催終了と共に満了となるという基本原則は一
貫している。
二 従事員の採用手続
1 新規採用の場合は、競馬会の「募集∥申込の誘引」、それに対する従事員の
「応募∥申込」、各競馬場長の「採用決定∥承諾」によって雇用契約が成立する。
2 前開催に就労した者の中から採用する場合は、「前記一の3」参照。
なお、右のような東京・中山の採用方式を採るようになったのは、昭和四三年頃
からで、それ以前は往復葉書により採用を希望するか否かの問い合わせを行ってい
た。しかし、一万人前後の従事員にその都度往復葉書を郵送していては莫大な費用
と労力を要するため、右のように手続きが簡素化されたのである。
3 以上のような採用手続きは、ここ数十年反復継続されてきたものである。
4 このように、競馬会と従事員との雇用関係は当該競馬開催毎の有期のものであ
る。その点を無視して、その採用が通常反復されている点を捉えて、「期間の定め
のない雇用契約」であるとか、これに準ずる「継続的雇用関係」であると解するこ
とは誤りである。
5 要するに、原告と競馬会との雇用関係は、競馬開催毎の短期の契約であるが、
実態として前回の競馬開催に採用された者が次回の競馬開催においても、反復して
採用されていることは事実である。
しかしそれは、「採用・満了消滅」、「採用・満了消滅」が相当の間隔をおいて
複数回行われたというに止まり、「契約の更新」には当たらないのである。
労使の本件契約に対する意識は、競馬開催毎の有期の雇用関係ということで一貫
してきている。
三 競馬会の構成
1 日常的な構成 基本的な事項及び会の日常的な業務に従事する為の職員をもっ
て構成する。
2 競馬開催実施の為の臨時的な組織 「競馬開催団」ともいうべき、開催毎に臨
時的に現場の組織を構成する。
開催委員長(一名・競馬会の理事が当たる) 投票・競争等の一二部門の委員(競
馬会の管理職を充当) 開催執務員(競馬会の職員が、平日の地位とは別に配属)
イ 委員以下の員数は規模により一様でなく、三〇〇 四〇〇名からなる。
ロ 臨時的に従事員を雇用し、実際の発売・警備等の業務に充当。
ハ この組織は、当該競馬開催の終了とともに解体され、各配属の職員は本来の職
位に復する。従事員はその役割を解消し、開催を単位とする雇用契約は終了する。
四 原告の勤務の実態(請求の原因Ⅰの四)に対する反論
1 原告の各開催毎の繰り返し採用は、継続勤務に該当するか
イ 競馬法は、全国各競馬場の開催日数は、最大で二八八日であるとの上限を定め
ているに過ぎない。年度によりこの日数は減少することもある。昭和六三年度は中
山競馬場改築のため、東京七開催五六日・中山二開催一六日であった。
ロ 事業計画による従事員の勤務日程や業務について、例年の如く従事員を充当す
る旨の方針決定は、全て計画段階のことである。
① 従事員の数は、各競馬開催毎に売上金や入場人員が異なるので、これに併せて
変化する。
② 採用予定従事員の人員決定の手順は、「理事長の場内外等の投票券発売所の指
定(年四回)」に基づき「開催毎の発売所において使用する発売窓口・その窓口に
配置する人員(各発売所の規模・実績等を考慮し、更に欠勤率を見込んで算出)を
決定する。
③ 右決定により、各場長が、各開催毎に従事員を採用し、前記「開催団」に組み
込むのである。
④ 勤務日程や所定人員が開催日割により、当然に決まるということはない。
ハ 原告の年間就労日が八〇日であったとしても、それは「年間を通じての単一の
雇用契約」によってそうなったのではなく、短期契約を通じて年間の就労日の合計
が、たまたまその日数になったにすぎない。
2 従事員には、いわゆる定期昇給・ボーナス等の制度は存在しない。
競馬会の設けている、「開催従事員日給増額基準」による日給の増額や「特別手
当」の制度は、いずれも良好な出勤状況を確保せんとするものであって、本人の成
績や能力に基づく定期昇給制度や、各人の成績等を基準にして生活保障的意味を持
つ賞与制度とは異質のものである。
3 永久番号は、競馬会が従事員の給与の支払い等に関する事務を、全てコンピュ
ーターにより処理するための必要によるものである。
4 慰労金の支給は、永年繰り返し採用された者が、今後採用されなくなった際、
その労に謝意を表明する趣旨で支給するものであって、退職金のような賃金後払い
的性格や、退職後の生活保障的要素を持つものではない。
5 従事員の定年制というものは存在していない。既に失効している労働協約一八
条に、「定年退職」の文言が使用されてはいたが、右条項の趣旨は採用に関する年
齢的制限を定めたもので、通常期間の定めのない雇用契約の消滅事由の一つとされ
ている定年制とは内容性格を異にするものである。
6 二開催にまたがる開催通知書の送付は、就業規則の規定上開催が連続する場合
に、例外的に二開催の雇用契約が結ばれる(一三条)とされていることによるもの
であって、一開催の雇用契約の原則に影響を及ぼすものではない。
7 制服の二年に一度の支給やロッカーの固定は、反復採用される従事員に対し、
その都度貸与する手続きの煩雑をさけるためである。
8 源泉徴収票上の給与支払者名義を、開催場が異なるのに「東京競馬場」として
いるのは、便宜的措置にすぎない。
三 基準法三九条の継続勤務について
1 基準法三九条は、年休取得の要件の一として、当該労働者が「一年間継続勤
務」することを規定している。
同条の継続勤務とは一般に同一使用者のもとに一年間ないしそれ以上在籍してい
たこと、すなわち同一使用者との間に引き続き雇用関係を締結している関係にある
ことを意味すると解されている。
有期の雇用契約の場合、形式的には期間満了により雇用契約が消滅したとされて
も、その後も同一使用者のもとに引き続き右雇用契約が締結され、同様の雇用関係
が存続する時は、条件の如何によっては契約の更新が行われたと解され、年休制度
の関係でも在籍しているとして法三九条の要件を充足すると解される場合がある。
しかし、新旧契約の間に空白期間がある時は、新契約を旧契約の更新とみるか、
別の新たな契約とみるか問題となる。
2 従事員の場合も、労使双方の事情により反復採用される事例が多く、一見期間
満了の都度無条件に契約の更新があり、継続勤務の要件を具備すると考えられる
が、競馬会と従事員との雇用関係は、就業規則上も実際の運営面からも開催単位で
あって、年間を通じて在籍するという関係にはない。
3 しかも、本件の場合前後契約締結の間に、空白期間が約三カ月間も存する場合
もあり、かつ、次回契約するか否かは、全く従事員の自由意思に任せられている。
なお、新旧契約の間の空白期間が比較的短期間で、かつ、空白の存在に合理性が
ない場合は、右期間の設定が脱法的な意図によるものとされ、両期間を通じて在籍
とされる場合はある。しかし、右空白期間の存在が、法的に決定された競馬開催の
日程に基づいたものである本件では、脱法的意図などとは無縁である。
年間中に一カ月にも及ぶ不就労日が存在する本件の場合の如きは、三九条の一年
間継続勤務するとの要件は失われたと解すべきである。
4 労働者を常時的な労働から解放して心身の疲労を回復させ、文化的な生活を実
現する機会を与えるという年休制度の目的は、休日以外の週日の大半を労働に費や
す常用労働者には容易にその趣旨を理解し得る。
改正法は、この制度をパート等にまで拡大したが、付与の要件が一年以上継続勤
務という点に変わりはない。
しかし、パート等の就労形態は多種多様であるので、年休制度の目的からいかな
る基準によりその対象を確定するかは、難かしい問題である。
行政当局の説明の趣旨によると、パート等への年休制度の採用は、それについて
の社会的要請に加えて通常の労働者との均衡と有給休暇により連続した休養を取る
ことが可能ならしめる等の理由が挙げられている。
5 原告の如く、土・日曜日のみに就労するのみであり、しかも年間二・三か月の
不就労期間を利用すれば、容易に連続の休日を取ることが可能であるから、単に通
常の労働者との均衡という理由で年休を付与する必要性は乏しい。
6 以上のとおりで、原告の勤務は継続勤務に該当しない。
四 基収一四〇号通達について
1 競争事業(中央・地方各競馬、競輪、競艇、オートレース)の従事員の年休付
与問題については、法改正後労働省においても混乱がみられたが、この通達により
同省の見解を示した。
2 通達と同時期に行われた説明会によると、法三九条の継続勤務の要件を具体的
に示したが、通常の賃金計算等の単位である一か月に少なくとも一日就労するとい
うのは、継続勤務の最低要件である、また、すでに毎年この期間は開催しないとい
うことが、季節的要因によって確定しているものは継続勤務に該当しないという趣
旨の説明がなされた。
3 要するに、法三九条三項の所定労働日数は、年休付与日数決定の基準であり、
基収一四〇号は、同法同条一項の継続勤務の要件である。
4 以上のとおりで、本通達からも、原告の勤務は継続勤務に該当しない。
五 東京地方裁判所における和解について(省略する)
(三) 争点
原告の勤務は、基準法三九条一項の「一年間勤続勤務」に該当し、したがって、
同条三項及び同法施行令二四条の三第三項による所定の年休を付与すべきか否かで
あるが、その前提としての問題点は次の諸点である。
① 原告の勤務は、年間を通しての勤務か、それとも一開催(連続して開催される
場合は、その連続した開催。以下、開催毎という)単位の勤務か。
② 被告競馬会は、原告等従事員に対し、年単位の継続勤務を前提とする取り扱い
をしているか。
③ 基収一四〇号通達の「概ね毎月就労すべき日の存すること」という要件の妥当
性
第三 当裁判所の判断
(一) 競馬会の競馬開催と原告の勤務の実態
一 競馬法三条は、中央競馬会の競馬の「① 年間開催回数、② 一競馬場当たり
の年間開催回数、③ 一回の開催日数、④一日の競争回数につき、農林水産省令で
定める範囲を超え、又は日取りに反して、開催してはならない」旨規定し、同省令
(競馬法施行規則)一条の二は、「① 年間開催回数は三六回、② 一競馬場当た
りの年間開催回数は五回、③ 一回の開催日数は八日、④ 一日の競争回数は一二
回」と規定している。
二 夏期の七月及び八月の二か月間は、東京・中山の各競馬場における競馬は開催
されていない(甲一・二号証、乙六号証)
三 原告は、昭和四八年四月以来東京競馬場内投票所及び後楽園場外投票所に勤務
してきたものであるが、乙一七号証によると、各年間の勤務状態は次のとおりで、
昭和四八年に採用されて以来これまで途切れることなく毎年、かつ、昭和四九年か
ら六二年までは、その年の競馬開催の期間をフルに勤務していることが認められ
る。
① 昭和四八年:五〇日 ② 同四九年~五三年:八八日
③ 同五四年~六二年:八〇日 ④ 六三年:七二日
四 基準法三九条一項の「一年間継続勤務」の継続勤務とは、労働契約の存続期間
すなわち事業場における在籍期間を意味する(労働省労働基準局編「労働基準法
上」)。
(二) 従事員の雇用関係
一 証拠(乙一五号証の〇・一五号証の一ないし九)によると次の事実が認められ
る。
1 競馬開催に至までの経過は、次のとおりである。
① 競馬会の各年度の事業計画の樹立、② 開催回数の決定(運営審議会の議
決)、③ 農水大臣の認可により開催の決定
2 開催の実施については、① 農水大臣に開催の二〇日前に届出、② 開催の実
行(開催団の組成)、③ 開催の終了(開催団の解消)、④ 農水大臣に終了後一
五日以内にその届出)の順で行われる。
3 開催団(註、この語が社会的に熟した慣用されている語であるか否かは不明で
あるが、組織の実体を示しているので使用する)は、次のような組織体である。
イ 競馬会の業務を大別すると、平常業務(基本的な事項及び会の日常的な業務に
従事する為の職員をもって構成する日常的な編成)と開催業務(現実に競馬を開催
実施するために多数の従事員を含む編成)に分けられるが、開催団は後者に属す
る。
ロ 理事長が任命する委員長(理事が就任)の下に、東京・中山で職員数四〇〇名
福島・新潟で三〇〇名位で編成される。
ハ 例えば東京競馬場開催の場合、中心は東京の職員がなるが、開催編成はそれで
は不足なので、全国の競馬場の事業所から出張して、各部門を担当する。
ニ 更に、開催従事員を採用して各部門の不足を補充する。
具体的には、レースは三〇分間隔で施行されるが、投票券の発売・払戻等の業務
は短時間に正確かつ迅速に行われなければならず、殆どの窓口業務は従事員が担当
する。
従事員の必要人員は機械台数、入場人員等を勘案して算出される。
ホ 平成二年第一回の京都競馬開催の職員の編成表(乙一五号証の八)によると、
① 職員の所属は全国に散らばっている、② 開催のためだけに編成する興行団の
様なものなので、通常の職制とかかわりなく開催執務分担が編成されてい、③ 京
都競馬場の警備課の職員が部長担当となっており、部員として粟東の営繕課長や本
部の副長が配置されている、④ 他にも平常の組織では管理職である者が、開催団
では部長である部下の下で執務するという、立場が逆転していることは、通常みら
れるケースである。
ヘ 場外についても、組織上は東京・中山のそれぞれに管轄の場外があるが、一度
開催団ということで開催編成が組まれると、管轄の場外を超越して組織されること
になる。すなわち、各場外発売所の人的管理・物的施設が開催競馬場の場長の管轄
下に入り、その指揮命令に従うことになる。
ト 従事員の雇用は二種類あり、① 開催日以外の平常勤務の者と、② 開催日勤
務の者である。平常勤務の従事員の採用は、管轄の各場長の権限であるが、開催団
に組み込まれる従事員の採用は、その開催編成団の場長に権限がある。
後楽園場外の場合、職員数は所長以下一一名であるが、開催時は応援を入れて二
二名で編成される。
また、従事員の数は、平常勤務者は一〇名から二〇名で、払戻等に当っている
が、開催時は約一四〇〇名から一五〇〇名を採用する。
チ この京都競馬開催の職員の編成表(乙一五号証の八)による分担も、競馬開催
の終了とともに消滅し、任務終了により解散する。
リ 従事員についても、開催日に合わせて採用しているので、開催団の消滅により
雇用関係も終了する形になる。
二 従事員の採用手続(初度採用は除く)については、証拠(乙一六号証の〇・同
号証の一ないし一三)によると次のとおり認められる。
1 反復の採用で、東京・中山の就労者の場合は、その就労中に次回の開催に希望
するかどうかの意思の確認を行う(申込の誘因)。採用希望を申し出(申込)れ
ば、次回開催の直前に競馬場の方で採用決定し、採用通知状を発送(承諾)するこ
とにより労働契約の成立という手順になる。
2 意思の確認は、最終節に打合せ等の際に行う。
出勤簿(乙一六号証の三)の左端「次回出欠」欄の「○印は次回の採用を希望す
る意思を有する」ことを示し、「欠は次回の採用を希望しない意思を有する」こと
を示す。
この記載は、班長が行っているものと思われる。
3 東京・中山の場合は開催通知書(乙一六号証の五)を、新潟の場合は採用通知
書(乙一六号証の四)を各開催別に通知している。
4 東京・中山も従前は採用通知書で通知していたが、昭和四七年の労働協約改訂
の際に、従事労から呼称の変更の申し出があり、競馬会としても呼称の変更だけな
らばということで、開催通知書に変った。
5 東京・中山も従前は採用の希望調査を往復ハガキで行っていたが、約一万名の
従事員を各開催毎に採用しており、一々往復ハガキで行うことは手間や時間もかか
るので、現在の方法に簡略化した。
新潟については夏の期間に、一ないし二開催しか行われていない。その間に次年
度の希望調査をしても、競馬会にとっても不確かな希望しか取れないし、また、申
し込む方にしてもはっきりした申込意思を確認出来ないので、往復ハガキによる申
し込みの方法を続行している。
6 東京・中山競馬場臨時従事員就業規則(乙一六号証の六)一六条には、「従事
員の雇用期間は、原則として一競馬開催」と明記されている。
東京・中山・新潟を問わず一旦従事員に採用されると、各競馬場毎に作成される
就労者名簿に登載される。
名簿登載者は、いわゆる予約権的利益の取得ともいうべき、当該開催期間中に、
次回の開催に採用を希望するかどうかの問い合わせを受ける立場に立つ。もし、そ
の従事員が採用を希望するという意思表示をすれば、次開催の前に開催通知書を発
送する。
この様な取り扱いをするようになった理由は、投票業務についての経験者を採用
することは、競馬会にとっては業務面の実行や信頼関係等も生じ都合が良く、従事
員にとっても次回希望者が多いということから、慣行として一度採用された者が、
繰り返し採用されるようになっている。
7 就業規則一四条には、「六五才以上の者は雇用しない」と規定されているが、
これは、定年制を意味するものではない。
雇用期間は一開催を単位として雇用契約を結んでいるが、従事員の有する期待権
ないし予約権的利益の面から、特段の事情のない限り六五才まで採用を繰り返すと
いう年齢である。
なお、六五才という年齢は、投票業務等技能的側面やサービス業と言う側面に対
応できるかどうかということを考慮して設定されたものである。
(三) 従事員に対する諸給与等の支給及びその他の諸待遇
一 競馬会は、従事員の労働条件につき、年を単位としての諸制度、① 日額につ
いての増額、② 年二回の特別手当ての支給、③ 慰労金の支給、④ 六五才まで
の採用、⑤ 永久番号制、⑥ 制服やロッカーの支給等を設定している。
二 証拠(乙一六号証の〇、同号証の六・七、二九号証)によると次のことが認め
られる。
1 開催従事員給与要綱(乙一六号証の七)の「別表(2)日額の増額基準」は、
前年度の開催日数に対する出勤率による増額基準である。
これは、定期昇給制度とは考えられていない。
競馬会は、家庭の主婦や自営業の方を、休日である土・日曜日に必要な、多数の
人員を確保しなければならず、その為に設けられた制度である。
昇給制度のような、継続的雇用関係にある者とは異なる取扱となっている。
2 右要綱一二条の特別手当ては、年二回支給される。
これは開催日を、上期と下期に分けているので、大体年二回位支給される。
世間一般のボーナスは利益配分的あるいは生活保障給的要素をもつが、この特別
手当てにはその様な要素はない。
出勤の奨励のため、出勤率による格差を設けている。
3 二一条の慰労金はいわゆる退職金と異なる。
繰り返し従事員として勤務してくれた、長年の功労に対する謝意として、場長か
ら支給している。
六五才で止めた、約三〇年以上勤めた従事員で、五〇万円前後の額である。
4 就業者名簿に付与される永久番号制については、一つの事業所で数千人の従事
員を採用し、開催の最後の日に現金で給与を支給しているので、計算機で管理しな
い限り、給与の支払いは不可能である。
このようなコンピューター処理の必要性から永久番号制が採用されている。
5 制服を二年に一度支給していること・ロッカーを固定していることは、弁論の
全趣旨により、繰り返し採用される従事員が多いので、本来ならば、その都度なす
べきである手続きの煩雑を回避するためにとられている、便宜的な措置であると認
められる。
(四) 基収一四〇号通達について、証拠(乙二六号証、二八号証、二九号証、a
書面)によれば、次のことが認められる。
1 従来から労働組合の主張として、公営競技、あるいは中央競馬会の契約形態に
ついて、「期間の定めのない契約、要するに継続勤務に当たる」という主張がなさ
れていた。
2 労働省基準局は、労働契約の法的性格については労使間の主張に隔たりがあ
り、いずれとも決し難いので、その点についての判断はせず、この通達において
は、実態的に繰り返し同一の事業所、同一の事業主の下に繰り返し就労しているこ
とに着目して、継続勤務に当たるかどうかの判断を示した。
したがって、通達は、基準法三九条にいう継続勤務に該当するためには、どのよ
うな要件が必要かを具体的に示したものである。
3 少なくとも、毎月就労日が存在することがなければ、継続勤務とはいい難い。
パートや短時間労働者の年休の比例的付与という制度の精神、また、通常の賃金
計算等の単位である、一カ月に一日就労するというのは、継続勤務の最低要件であ
るとの考え方に基づくものである。
4 「概ね」と入れたのは、例えば騒擾事件・競馬場施設の改装・たまたまその年
について、二ー三カ月休む場合等に、その時点で全て打切りにすることはどうかと
考えられることや、開催日が、土・日曜日を中心とした日に限られるので、一カ月
と一日でもその間就労していなければ継続勤務にならないのかということもあり、
その辺に多少の考慮の余地があるということで入れた。
5 「概ね毎月」の解釈については、毎年、冬期の一カ月または二カ月の期間は開
催しないことが、季節的要因によって確定しているものは、継続勤務に該当しない
ものと考えられている。
(四) 以上の事実を総合すると、次のとおり認められる。
1 原告ら従事員の雇用は、年間を通しての採用ではなくて、一競馬開催毎の採用
である。
したがって、その勤務も年間を通しての勤務ではなくて、一競馬開催毎の勤務で
ある。
ただ、繰り返し採用されている結果、契約の更新=継続勤務が行われているかの
様に見られているに過ぎない。
2 競馬会は、その年度事業計画において、東京・中山競馬場については、七月及
び八月の二カ月間は恒常的に競馬を開催しないこととしている。
したがって、この期間に関しては原告ら従事員の採用を行わないことが、当初か
らの既定の事実となっている。
その結果、仮に従事員の繰り返しの雇用を目して契約の更新であると解したとし
ても、この空白期間の存在により、競馬会と従事員との間の雇用契約は中断される
こととなり、また、「継続勤務=在籍」ということも出来なくなると解される。
3 競馬会が、年を前提として採用している諸制度は、従事員が一競馬開催毎では
あるが繰り返し採用された結果、その採用の期間の長短(=業務の熟練度)に差異
を生じて来る。その様な事情を考慮することなく、形式的に一率に取り扱うことは
却って平等を欠くことになるので、それを避け、かつ、競馬会に必要な多数の従事
員を確保するために取られているのに外ならない。
これらの制度の存在をもって、原告の勤務は年間を通じての勤務であると即断す
ることは出来ない。
4 基収一四〇号通達の内容については、年休制度の本来的意義である「労働者の
心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るため、休日のほかに毎年一定日数
の有給休暇を与える」という趣旨や、また、競馬会は年度開催計画において、東
京・中山については夏期の二か月間は全く競馬を開催しないこととしている等の事
情を考慮すると、その内容について特段の不当性はない。
原告の主張する「年休付与についての不合理な結果(第二・(一)・I・五・
5)」の発生は、年休付与の要件として基準法上「継続勤務」と規定されているこ
とに由来するものであって、本通達が従事員の勤務実態を無視して(註、その事実
の有無は明白ではない)発せられたことに起因するものではない。
けだし、本通達は「継続勤務の要件」の解釈基準を示したものに外ならないから
である(a作成「平成三年(ハ)第一六九号事件に係る証人尋問に対する回答」の
「八・九・一〇」)。
右の原告の非難は当たらない。
5 原告の、「週以外によって所定労働日数が定められている労働者の年休につい
ては、年間の所定労働日数のみが付与の基準(付与日数の基準ではなく)とされて
いる(第二・(一)・I・二・2)」との主張は、基準法三九条一項の規定に照ら
しても明白のとおり、独自の見解であると認められるので、取ることが出来ない。
6 してみると、原告の競馬会における従事員としての勤務は継続勤務に当たらな
いので、基準法三九条一項に該当せず、したがって、同条三項及び同法施行令二四
条の三第三項による年休の請求権は、これを認めることが出来ない。
(五) なお、付言すると、基準法の改正により年休制度がパートにも適用される
様になったが、パートの勤務形態は多様なものであるため、基準法は年休の比例的
付与を規定した。
その結果、一方「一年間継続勤務」した者は、「一年間の所定労働日数が四八
日」の者でも年休付与の対象者になるのにかかわらず、他方原告の様に年間八〇日
間を勤務した者でも、「一年間継続勤務」の要件に該当しない者は、年休付与の対
象者にないという現象を生じることとなる。
法適用の場合、いわゆるボーダーラインにある者について、往々にしてこの様な
結果を招来することは、止むを得ないことと思われる。
しかし、年休制度の有する本来の意義である前記内容も、年休制度のパートへの
適用ということにより、かなり変貌したものと思料される。
原告の抱く不公平感を除くため、労務政策的な観点から、年休付与を図ることが
必要であると考慮される所以である。
東京地方裁判所における、「一年間の所定労働日数が四八日以上の者にも平成三
年一月一日から年休を付与する。この付与は雇用契約の本質についての当事者間の
従来の主張に影響をあたえるものではないことを確認する。」旨の和解は、極めて
意義深いものがあると言わなければならない。
別紙省略