大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

西条簡易裁判所 平成16年(ハ)94号 判決 2004年12月21日

愛媛県<以下省略>

(送達場所 愛媛県<以下省略>)

原告

上記訴訟代理人弁護士

菅陽一

東京都品川区<以下省略>

被告

CFJ株式会社

上記代表者代表取締役

主文

1  被告は,原告に対し,18万9219円及び内金18万5808円に対する平成16年9月22日から支払済みまで年6パーセントの割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  この判決は,仮に執行することができる。

事実及び理由

第1請求

主文と同旨

第2事案の概要

1  請求原因の要旨

本件は,消費者金融会社から金員を借り入れていた原告が,消費者金融会社を統合して設立された被告に対して,一連の取引により,別紙計算書のとおり利息制限法所定の制限利率(以下,「制限利率」という。)に基づく利息を超える約定利息を支払った結果,過払金が生じているとして,民法703条及び同704条に基づく過払金と過払日の翌日から支払い済みまで商事法定利率年6分の割合による利息の支払いを求めている。

2  争点

(1)  被告は,悪意の受益者か否か。

(2)  利息発生の起算日及びその利率

第3争点に対する判断

1  証拠(甲第1,2号証)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。

(1)  被告は,消費者金融を主な業務内容とする貸金業者である。

(2)  原告は,被告との間で制限利率を超える利息及び損害金を定めた金銭消費貸借契約(以下,「本件貸金契約」という。)締結し,別紙計算書の各「借入金額」及び「弁済額」欄に各記載のとおり継続的に取引を行った。

(3)  被告は,本件貸金契約に基づき,原告から制限利率を超える約定利息等を受領していた。

(4)  被告は,貸金業の規制等に関する法律43条のみなし弁済の抗弁について,何ら具体的な主張立証をしない。

2  以上の事実によれば,

(1)  争点(1)について

ア 本件両貸金契約の利息及び損害金についての約定は,制限利率を超える部分については無効であるが,原告の超過部分の支払いは,貸金業の規制等に関する法律43条のみなし弁済(以下「みなし弁済」という。)の規定の要件を充足した場合には,例外的に,これに基づく支払いを有効な利息の債務の弁済とみなすと規定されていることから,みなし弁済と認められる場合を除き,残存する元本に充当され,元本が完済となった場合には,その時点で貸金債務は消滅し,原告には法律上支払義務はなくなっているのであるから,そのような状態の下で,原告が支払いを続けた金員は過払金となり,これは,被告が法律上の原因なく利益を受けたというべきであり,被告の不当利得となるものと解される。

イ 被告が一般消費者への無担保貸付を主要な業務内容とする株式会社であることからすると,被告は,原告の制限利率を超える被告に対する支払いにつき,みなし弁済と認められる場合を除き,不当利得となることについて認識をしていたものと解される。そして,被告が本件訴訟において,「被告が利息制限法の上限金利を超える利率で原告と取引したのは,貸金業の規制等に関する法律第43条に規定されるいわゆるみなし弁済が成立するものとの認識からである」と主張するのみで,本件弁済につきみなし弁済が認められる要件等について具体的な主張立証をしていないことからすれば,被告が,原告の被告に対する本件弁済について,みなし弁済が成立するものと認識していたと解することはできないから,被告は,原告の本件過払金による利得につき,法律上の原因がないことについて,悪意であったと認めることができる。

(2)  争点(2)について

ア 利息発生の起算日について

上記のとおり,被告は,原告の被告に対する弁済について,みなし弁済が成立するものと認識していたと解することはできないから,別紙計算書に記載のとおり本件貸金債務について原告の支払いが過払いとなった時点から当該過払金に対する利息の支払義務があると認められる。

イ 利息の利率について

被告は商人であり,利得物を営業のために利用し,収益を上げていることは明らかであり,また,本件不当利得の原因関係が商行為に当たる金銭消費貸借契約であることからしても,その利率は商事法定利率により年6分とすべきである。

3  以上によれは,本件貸金契約に基づく貸付及び返済について,制限利率を適用し,超過利息を順次貸付元本に充当して計算すると,原告の過払金は,別紙計算書に記載のとおりとなる。

よって,原告の本訴請求は,理由があるからこれを認容し,主文のとおり判決する。

(裁判官 萩原髙德)

<以下省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例