那覇地方裁判所 平成12年(行ウ)4号 判決 2003年9月24日
原告
甲
訴訟代理人弁護士
島袋隆
被告
沖縄税務署長 具志堅淳二
指定代理人
野本昌城
同
西澤芳弘
同
丸山慶一郎
同
岩本尚文
同
富田哉
同
佐藤晶子
同
西郷雅彦
同
石井昇
同
友利りつ子
同
照喜名志乃
同
藤井典明
同
我那覇隆
同
高嶺淳
主文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
被告が平成9年6月23日付けで行った、原告の同年5月9日付け平成7年分相続税に係る更正の請求に対する通知処分は、これを取り消す。
第2事案の概要
本件は、原告が、相続税の申告に当たり相続財産の価額計算を誤り、申告納税額が過大であったとして、被告に対し更正の請求をしたが、被告から更正をすべき理由がない旨の通知処分を受け、その後、異議申立て及び審査請求においても、その点に関する主張が認められなかったため、被告に対し、当該通知処分の取消しを求めたものである。
1 前提事実(証拠掲記のない事実は、争いがない。)
(1) 相続の開始
乙(以下「亡乙」という。)は、平成7年8月9日に死亡し、原告ほか亡乙の相続人ら6名は、亡乙の財産を相続した(以下「本件相続」という。)。
(2) 相続税の申告
原告は、平成8年5月2日、被告に対し、本件相続における自己の取得財産の課税価格を1億2278万5000円、納税額を2416万2500円として、本件相続に係る相続税申告書を提出した(以下「本件申告」という。)(乙1)。
(3) 更正の請求及び通知処分
原告は、平成9年5月9日、被告に対し、本件申告に係る相続財産の評価について、評価額等を誤って計算し、相続税の申告納税額が過大になっていたとして、納税額を1769万8900円と更正するよう求める請求(以下「本件更正請求」という。)をした(乙2)。
これに対し、被告は、原告に対し、平成9年6月23日付けで、本件更正請求における土地の評価について、相続税法22条に規定する時価とは認められないとして、更正をすべき理由がない旨の通知(以下「本件通知処分」という。)をした(乙3)。
(4) 増額更正処分及び賦課決定処分
被告は、原告に対し、平成9年6月26日付けで、預貯金の申告漏れを理由として、本件相続に係る相続税の納税額を2498万9900円と更正する旨の更正処分及び過少申告加算税8万2000円の賦課決定処分をした(乙4)。
(5) 原告による不服申立て
原告は、平成9年8月22日、被告に対し、本件通知処分を不服として異議申立てを行ったが、被告は、当該異議申立てと併せて前記(4)の増額更正処分及び賦課決定処分を審理した上、平成9年11月27日付けで、前記(4)の増額更正処分及び賦課決定処分の額のうち相続税額につき39万5100円を、加算税額につき3万9000円をそれぞれ取り消す旨の異議決定をするにとどまった(乙5~7)。
そこで、原告は、平成10年1月5日、国税不服審判所長に対し、上記異議決定を不服として、本件通知処分の取消しを求める審査請求書を提出した(乙8)。
これに対し、国税不服審判所長は、平成12年6月13日付けで、原告の審査請求を棄却する旨の裁決をした(甲1)。
2 争点
(1) 本案前の争点
(被告の主張)
原告は、被告に対し、平成9年5月9日付けで、課税価格を9528万2000円、納付すべき税額を1769万8900円とする更正の請求書を提出し、本件訴えにおいて、課税価格を8875万3000円、納付すべき税額を1643万1500円とし、さらに、平成14年2月19日付け原告第5準備書面において、課税価格を8775万円、納付すべき税額を1632万2500円として、更正の請求額を超えない部分の取消しも求めているが、本件訴えのうち更正の請求額を超えない部分の取消しを求める部分は、適法な更正の請求の手続を経ておらず、訴えの利益を欠く不適法な訴えというべきである。
(原告の主張)
被告の主張は争う。
(2) 本案の争点
本件申告に係る相続財産である土地の時価の評価(相続税法22条)において、固定資産評価基準(昭和38年12月25日自治省告示第158号、以下「評価基準」という。)及び財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56、直審(資)17国税庁長官通達(平成8年5月30日付課評2-3による改正前のもの)、以下「評価通達」という。)に基づく計算に、下記アないしオの点に関する評価方法、内容上の誤りがあるか。
ア 別紙A記載の土地(以下「土地A」という。)の一部及び同B記載の土地(以下「土地B」という。)の一部について、市街地周辺農地として評価額を2割減ずるべきか。
(原告の主張)
地目は課税時期の現況によって判定するとされている(評価通達7)ところ、土地Aのうち390m2及び土地Bのうち242.98m2は、次に述べるとおり、その現況において、第3種農地(農地転用許可基準第4の4)である「ガス若しくは上水道の施設又は下水道の整備している地区内にある農地」(同基準第4の4(2))、あるいは「市街地の中に介在する農地」(同基準第4の4(4))に該当し、評価通達34の(注)のイ(ハ)により、評価通達34の(3)の市街地周辺農地に該当するから、評価通達39に基づき、市街地周辺農地として評価額を2割減ずるべきである。
すなわち、当該土地部分は、家庭菜園として一時的に耕作されているものではなく、現況において、畑として労力をかけ、肥培管理を行い、作物を栽培している耕作の目的に供される土地である。被告は、<1>亡乙が当該土地部分を原告が居宅を建てる昭和54年7月30日以前から耕作していたこと、<2>その現状における耕作規模が土地Aにつき390m2、土地Bにつき242.98m2であること、<3>亡乙が北谷町農業協同組合の組合員であり組合員によって耕作されていた土地であったということ、さらに、<4>土地Bについては、擁壁等で宅地と農地に明確に区画されており、農地部分は家屋の敷地外にあることを見落としている。これらの諸点を考慮すると、当該土地部分は、家庭菜園ではなく農地と認定されるべきである。
(被告の主張)
市街地周辺農地を評価する際に80%相当額に減価することとしているのは、宅地転用が許可される地域の農地ではあるが、まだ現実に許可を受けていないことを考慮したものである。この点、土地A及び土地Bは、農業委員会等に農地として届出されておらず、農地基本台帳にも登録されていない土地であるから、評価通達34に定める宅地転用許可を要する市街地周辺農地には該当しない。
また、土地A及び土地Bは、それぞれ約半分が芋畑や野菜畑として使用されていたが、収穫物を市場に出荷したことはなく、買手がいれば売却し、残った物は兄弟や隣近所に分けていたこと、北谷町は、固定資産税評価額の評定において、土地A及び土地Bを従前から宅地と認定しており、平成9年4月ころ、原告から農地であるとの申出を受けて改めて現地確認がなされた際も、結局農地とは認定されなかったことなどからすれば、土地A及び土地Bは、その一部において畑作がされていたとも考えられるが、自家消費を目的とした家庭菜園程度のものであり、農地として認められるほどの実体を有しているものとはいえない。
したがって、現況において、土地A及び土地Bは農地とは認められないから、これらの土地を市街地周辺農地として、宅地としての評価額の80%相当額に減価すべきであるとの原告の主張には理由がない。
なお、原告は、亡乙が農業協同組合員であったことを、土地A及び土地Bを農地とすべき理由の一つに挙げるが、相続税法における土地の評価は、その土地の相続時の現況によって判断すべきものであり、農業協同組合員が耕作していたということのみで、農地として評価されるものではない。
イ 別紙C記載の土地(以下「土地C」という。)について、公衆用道路ではなく、宅地として評価を行うべきであるかどうか。
(原告の主張)
次の事実からすれば、土地Cは固定資産の評価から漏れていた宅地であり、相続財産に加算して再評価を行うのが相当である。
(ア) 原告は、北谷町長に対し、平成11年10月12日付けで、土地Cについて、固定資産の評価見直しをするよう依頼し、同年12月3日付けで、公衆用道路から宅地に現況地目が訂正され、課税されている。
この点につき、被告は、原告の一方的な申入れによって、土地Cの現況地目の訂正が行われたと主張するが、北谷町長が土地Cにつき宅地として課税したという事実は、自己の課税漏れを認めたからにほかならない。
(イ) 土地Cは、相続開始前から道路用地として収用の申出があったが、公衆用道路と認定されていたのであれば土地収用の対象とならない。
(ウ) 土地Cは、平成6年3月4日付け国土調査によれば宅地であった。
(被告の主張)
次の諸事情からすれば、相続開始年における土地Cの現況は、宅地ではなく公衆用道路であったと判断するのが相当である。
(ア) 土地Cは、面積が11.99m2と極めて狭小であるとともに、その地形も、道路と土地Bに挟まれた奥行きのない細長い土地で、該当部分が明確には特定できない土地である。現に北谷町は、固定資産税評価額の算定のための現況確認調査の成果として、相続開始年においては、土地Cを公衆用道路として認定している。
(イ) また、土地Cは、土地Bの一部と共に、平成9年9月及び同年10月に道路用地として北谷町に買い取られ、既に道路となっており、土地Cの相続開始時の現況を確認する手だてがないにもかかわらず、原告は、平成11年12月に「固定資産の評価見直しについて」を北谷町に提出し、現況地目の訂正(公衆用道路から宅地に変更)による固定資産税更正決定通知を受けている。しかし、この訂正は、本件通知処分後に行われており、当時の現況を確認できない状況であったにもかかわらず、土地Cの登記簿謄本の地目が宅地となっていることに基づいて、原告が一方的な申入れを北谷町にしたことにより行われたものである。
(ウ) さらに、原告は、更正の請求時において、土地Cを零と評価して相続税の課税価額及び納付すべき税額の計算を行っている。
ウ 土地B、土地C及び別紙D記載の土地(以下「土地D」という。)について、それぞれ1画地(利用の単位となっている1区画の土地)として個別に正面路線価等の価額判断を行うべきか。
(原告の主張)
土地Bの西側半分は農地として、その東側半分及び土地Cはコンクリート駐車場付き店舗敷地として、土地Dは居宅の敷地として利用されており、また土地Cの所有者と、土地B及び土地Dの所有者も異なるので、それぞれ利用の単位を異にする1画地の土地として個別に評価すべきである。北谷町航空写真等によっても、本件相続開始当時、土地Bないし土地Dがそれぞれ1画地を形成していることが確認できる。
また、土地Bないし土地Dは、相続開始前から個々の地番を有しており、遺産分割により所有者が異なっただけで、遺産分割等をするために宅地の分割を行ったわけではないので、評価通達10の規定する不合理な分割の場合には該当せず、各土地を個別に評価すべきである。
このように、土地Bないし土地Dをそれぞれ1画地として個別に評価を行うこととした場合、上記イで述べたとおり土地Cが宅地であることを併せ考慮すると、土地Dは二方路線となり、土地Bの東側敷地部分及び土地Cは二方路線となり、土地Bの西側農地は、正面路線のみの一路線となる。
なお、土地B及び土地Cの一部については、都市計画道路予定地として収用される計画であったため、宅地として通常の用途に供する場合に利用の制限があると認められる部分を有する宅地であった。このような宅地の価額は、利用制限がないものとして評価した価額の70%に相当する価額で評価することになっている。
以上のとおり、土地Bないし土地Dについては、上記イの(原告の主張)も加味しながら正面路線価等の価額の判断を行って、相続財産についての再評価を行うのが相当である。
(被告の主張)
土地B、土地D及び(仮に原告主張のとおり宅地と認定される場合の)土地Cは、これを一団の土地として評価すべきである。
(ア) 評価通達では、宅地の価額は1画地の宅地ごとに評価することになっており、所有する宅地を自ら使用している場合には、居住の用か否かにかかわらず、その全体を1画地の宅地とするものと解されている。
原告は、上記アの(被告の主張)のとおり宅地と認められる土地B及びこれと隣接する土地Dを遺産分割により取得して、自用地として使用しており、相続開始時に特段土地Bと土地Dの利用単位を異にするような事実は認められないから、土地Bと土地Dは一団の土地を構成している状況にある。したがって、土地B及び土地Dは、全体として1画地の宅地として評価すべきであり、個別に評価すべきものではない。
また、土地Cは、面積が11.99m2と極めて狭小であるとともに、その地形は道路と土地Bに挟まれた奥行きのない細長い土地であり、独立して宅地としての通常の用途に供することは困難である。したがって、土地B及び土地Dを原告に、土地Cを他の相続人である丙(以下「丙」という。)に帰属させる分割は、将来においても有効な土地利用が図られない著しく不合理なものであることは明白であるから、評価通達10に基づき、分割前の画地を1画地の宅地として評価すべきである。そうすると土地Cのみをもって1画地の土地と認めることはできず、土地Bないし土地Dは、全体として1画地の土地を構成するものと認めるのが相当である。
(イ) そもそも、本件土地は評価通達に定める倍率方式(評価通達11)の適用地であり、下記オの(原告の主張)のとおり、原告も本件土地の評価につき倍率方式によるものとしている。そして、倍率方式は、路線価方式のように画地調整を行うことはなく、固定資産税評価額に定められた倍率を乗じて評価するだけのものであるから(評価通達21)、不整形地補正など路線価方式を前提とする原告の主張は、倍率方式による評価を前提とする原告の主張と矛盾するものであり、失当である。
(ウ) したがって、分割前の土地Bないし土地Dは、全体として一団の土地を構成し、1画地の宅地として、三路線に面した土地として評価すべきことになる。
エ 土地Bについて、評価基準第1章3節の画地計算に基づく不整形地補正を行うべきか。
(原告の主張)
固定資産の評価であれ、相続財産の評価であれ、標準地の選定は、整形地で行われている。このような整形地である標準地について、不整形地補正等の必要性を検討すると、補正率が1.0になり、不整形地補正等がすべて行われているとの前提が成り立つ。
路線価方式で評価を行うときは、不整形地であれば不整形地補正を行うことは当然となっているが、倍率方式で評価を行う場合でも固定資産税評価の場合でも相続財産評価の場合でも、当該土地が不整形地であれば不整形地補正を行うのは当然のことであり、補正漏れ等があれば、その補正を必ず行わなければならない。
土地Bの不整形地補正について、住宅用地明細一覧表によると、平成6年度及び平成7年度については補正係数がないのに、平成9年度については補正係数がある。したがって、土地Dから分筆されている土地Bについての不整形地補正は、当然に行われなければならない。
(被告の主張)
原告は、平成6基準年度の固定資産課税台帳の登録事項の不服を固定資産評価審査委員会に申し出ておらず、固定資産税評価額を確定させているのであって、当該固定資産税評価額は、同年度において評定上考慮すべき土地の形状その他の条件を考慮した上で評価したものというべきである。
そして、固定資産税評価額の計算方法を定めた評価基準では、宅地の評価は、評価通達に定める路線価方式による評価と同じような画地計算を行うことになっている。また、評価基準の市町村における運用について規定する「固定資産評価基準の取扱いについて(依命通達)」(昭和38年12月25日自治固発第30号、以下「依命通達」という。)によれば、画地計算によることが適切であると認められる地域の宅地については、「市街地宅地評価法」を適用し、画地計算による必要がないと認められる地域の宅地については、「その他の宅地評価法」を適用することとされている。このような固定資産評価のあり方を前提とするならば、平成6基準年度において、仮に土地Bについて不整形地補正が行われていないとしても、北谷町は当該土地の形状その他の条件を考慮して不整形地補正の必要性を判断の上、当該土地に係る固定資産税評価額を決定しているものと考えるのが相当である。
さらに、依命通達を一部改正する旨の通達(平成4年1月22日自治固発第3号、以下「7割評価通達」という。)によると、宅地の評価に当たっては、地価公示法による地価公示価格等を活用することとし、これらの価格の一定割合(当分の間この割合を7割程度とする。)を目途とする旨付け加えられているが、これは、土地の価格には相当の値幅があることや、評価時点と適用時点の地価変動にも耐え得る必要があることから、評価上の安全性を配慮し、地価公示価格等の7割程度の評価額を目途としたものであり、評価の危険性を織り込み、安全性をみた比較的下値の価額で評価することとされている相続税評価の水準とも整合性を有するものである。
したがって、不整形地補正を行っていないために固定資産税評価額が時価を超えるなど、租税負担の公平を著しく害するような場合を除いては、たとえ不整形地補正を行っていないとしても、法の許容する範囲内にあるものと考えられるから、単に不整形地補正がなされていないという点のみを指摘する原告の主張は失当である。
オ 平成7年度の財産評価基準書に記載された、北谷町桑江の宅地についての固定資産税評価額に乗じる倍率(以下、単に「倍率」という。)1.2は、表示誤りであり、倍率1.1として評価すべきか。
(原告の主張)
北谷町桑江と同町吉原の平成6基準年度と平成9基準年度における「固定資産税路線価等公開地点一覧表」の路線価格はほとんど変動がないのに、財産評価基準書における倍率をみると、平成7年度では、桑江が1.2、吉原が1.1であったところ、平成8年度では、桑江が1.1、吉原が1.2と数値が逆転している。これは平成7年分の財産評価基準書に記載された北谷町桑江の宅地についての倍率の表示が誤っていたことによるものと考えられる。
また、平成6年分から平成8年分までの財産評価基準書の北谷町の倍率を見ると横ばいか上昇傾向にあり、固定資産の評価においても、一般的に平成8年度までの3年間は平成6基準年度の評価額のままで変動がなく、次の平成9基準年度において評価替えが行われている。
そうすると、平成8年度において被告が倍率を下げたことは、平成7年度の倍率表示が誤りであったこと以外に考えられない。
(被告の主張)
被告が評価通達に基づいて適正な手続を踏んでいることは明らかであり、平成7年分の財産評価基準書の適用倍率に表示上の誤りはない。
すなわち、本件の適用倍率については、北谷町桑江を標準地とし、この標準地について、3名の精通者(不動産鑑定士2名、北谷町役場職員1名)から1m2当たりの意見価格を求め、その意見価格の平均値(千円未満切捨て)の80%を評価基準額(千円未満切捨て)とし、この評価基準額を標準地の1m2当たりの固定資産税評価額で除した数値と、その倍率を適用する地域に隣接する地域の土地の評価額等との比較検討を行い、1.2という倍率が算出されている。
原告は、本件において比較すべき隣接地として北谷町吉原地区の倍率が1.1であることを前提に主張しているが、吉原地区における倍率適用地域は国道58線号沿いを含めて5か所あり、その倍率は1.1と1.2が混在しており、また、原告の住所地を含む桑江地区における倍率適用地域も5か所あり、その倍率は1.1から1.3が混在している。このように各地区内においてすら異なる倍率が適用されているにもかかわらず、その中の一地点の倍率のみを取り出して、それを他の地区の一地点の倍率と比較することには意味がない。
第3当裁判所の判断
1 被告の本案前の主張について
被告は、原告が、本件更正請求において課税価格を9528万2000円、納付すべき税額を1769万8900円として更正の請求をしている点を捉え、原告の本件訴えを、本件更正請求における請求額を超える部分の取消しを求める請求とこれを超えない部分の取消しを求める請求とに分け、同請求額を超えない部分の取消しを求める請求については、適法な更正の請求の手続を経ていないから、訴えの利益を欠き、不適法である旨主張する。
しかしながら、更正請求は、納税申告書を提出した者が、その申告内容を自己に有利に是正することを求めて、課税庁に是正権の発動を促す行為であり、これに対し、更正請求の棄却処分は、あくまでも、是正権の発動を拒否し、申告税額等について減額を認めないことを確認する効果を有するものにすぎない。けだし、税額は、申告によって確定するのであり、更正請求の棄却処分は、税額を確定する処分ではない(これを例えば増額更正処分と同列に論ずることはできない。)からである。
そうすると、本件通知処分も、更正請求に対する拒否処分であり、原告の納付すべき金額を確定するものではないから、被告の主張するような本件更正請求における請求額を超えない部分の訴えの利益を問題とする必要はないというべきである。
したがって、この点に関する被告の主張は失当である。
2 本件における主張、立証責任について
前記1のとおり、本件更正請求に理由がない旨の被告による本件通知処分は、減額更正を拒否する処分であって、税額を確定する不利益処分ではない。したがって、その取消しを求める本件訴えは、原告を含む本件相続の相続人らの申告によっていったん確定している税額を同人らに有利に変更しようとするものであるから、原告が、確定申告書の記載が真実と異なることにつき主張、立証責任を負担すると解するのが相当である。
すなわち、本件では、原告において、本件申告の際に相続税申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が、国税に関する法律の規定(本件においては相続財産の「時価」に関する相続税法22条等)に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあり、その結果、相続税申告書の提出により納付すべき税額が過大であったことについて、主張、立証しなければならないというべきである。
3 相続財産の評価方法について
相続税法22条は、特別の定めのあるものを除き、相続により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により評価する旨規定している。同条に規定される時価とは、当該財産の客観的な交換価値をいうものと解されるが、客観的な交換価値は一義的に把握し得るものではなく、相続の発生の都度これを個別的に評価するほかないとすれば、評価方法等が事案ごとに異なってしまうことは不可避である。そのため、課税実務上は、財産評価の一般的基準である評価通達に基づき、あらかじめ定められた評価方法によって、画一的な評価が行われており、このような取扱いは、徴税費用の削減のほか、納税者の間の公平、納税者の便宜という見地から見ても合理的である。したがって、一般的には、評価通達をすべての納税者に適用して財産の評価を行うことは、租税負担の実質的公平を実現することができ、租税平等の理念にかなうものということができる。もっとも、評価通達による評価の趣旨が租税負担の公平を実現するというものである以上、評価通達に定める評価方法を画一的に適用すると、かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであるなどの特別の事情が存する場合に限り、評価通達に定める評価方法以外の他の合理的な評価方法によることが許されるものと解すべきである。
そこで、以上を前提として、本件で原告が評価方法、内容上の誤りとして指摘する各点について検討する。
4 争点ア(土地A及び土地Bを市街地周辺農地と扱うべきか)について
(1) 評価通達によれば、土地の地目は、課税時期の現況によって判定すべきであり、地目の判定は、不動産登記事務取扱手続準則117条及び118条に準じて行うべきものとされている(評価通達7)。そして、同準則117条によれば、土地の現況及び利用目的に重点を置き、部分的に僅少の差異の存するときでも、土地全体としての状況を観察して定めるものとされている。より具体的には、個々の土地の地目の認定に当たっては、土地全体の状況に着目し、社会通念上妥当とするものであるとともに均衡のとれた合理的な評価を行う上において最も適合すると認められる地目を付すべきということができる。
また、農地が相続財産である場合の評価については、評価通達34により、純農地、中間農地、市街地周辺農地又は市街地農地に分類して行うこととされている。その趣旨は、農地の価額は、その農地の転用許可等の可能性に応じて、その価額に相当の高低が生ずる事実に着目し、評価上その許可等の難易の程度に応じて、農地を分類して評価しようとするものである。
そして、市街地周辺農地は、農地転用許可基準に定める第3種農地をいい(評価通達34の(注)イ(ハ))、その評価は、宅地として評価した金額から宅地に転用する場合に通常必要と認められる造成費相当額を控除した額の80%相当額とされている(評価通達39、40)。ここで、80%相当額に減価することとされているのは、宅地転用が許可される地域の農地ではあるが、まだ現実に許可を受けていないことを考慮したものとされている。
(2) そこで本件について検討するに、原告は、前記第2の2(2)アの(原告の主張)のとおり、土地Aの一部及び土地Bの一部は、第3種農地に該当し、市街地周辺農地に該当すると主張する。
しかしながら、証拠(甲1、20、23の1~3)及び弁論の全趣旨によれば、<1>土地A及び土地Bについては、農地として北谷町役場に届出等の手続がとられたことがないこと、<2>土地Aについて、その大部分を平成11年6月ころに駐車場にする際、農業委員会等に対する農地転用許可手続(農地法4条)がとられていないこと、<3>亡乙に係る農地基本台帳には、他に2筆の土地が農地として登載されていたものの、土地A及び土地Bは登載されていなかったこと、<4>土地A及び土地Bは農地基本台帳にも登載されていないこと、<5>土地A及び土地Bは、それぞれ約半分が芋畑や野菜畑として使用されていたが、収穫物を市場に出荷したことはなく、買い手がいれば売却し、残った収穫物は兄弟や隣近所に分けていたこと、<6>北谷町は、固定資産税評価額の評定において、土地A及び土地Bを従前から宅地と認定しており、平成9年4月ころ、原告から農地であるとの申出を受けて改めて現地確認がなされた際も、結局農地とは認定されなかったことが認められる。
これらの事実に加えて、前掲証拠により認められる平成7年、平成11年、平成14年及び平成15年当時における土地A及び土地Bの各状況をも併せ考えると、土地A及び土地Bは、その一部において本件相続当時から耕作されていたことは認められるものの、規模的には自家消費等を中心とした家庭菜園の域を出ていなかったと評価するのが相当である。したがって、本件相続開始当時、土地A及び土地Bの一部が、その現況において、評価通達34に定める市街地周辺農地に該当すると認めることはできず、また、かかる判断は前記(1)の評価通達の趣旨に反するものでもないというべきである。
もっとも、原告は、亡乙の耕作開始時期や同人が農業協同組合員であったことに加えて、土地Bの区画状況等を根拠として、当該土地部分を農地と認定すべきである旨主張する。確かに、原告の主張する諸点も、地目の認定に全く無関係であるとまではいえないが、相続税法における土地の評価は、あくまでも、相続開始時における現況を総合的に判断すべきものであるから、相続開始前の事情となる亡乙の耕作等の事実や擁壁等による建物との区画状況のみでは、原告の上記主張を認めるに足りない。
したがって、この点に関する原告の主張は、採用することができない。
5 争点イ(土地Cについて宅地としての評価を行うことの当否)について
(1) 土地の地目は、土地登記簿に記載されており、通常、土地登記簿上の地目と現況地目とは一致しなければならないものであるが、登記は原則として申請主義(不動産登記法25条)であることなどの理由から、土地登記簿上の地目と現況の地目とが一致していない場合がある。このような現状を踏まえて、評価基準では、地目は地積と異なり実地調査によって認定することが比較的容易であり、また、各筆の土地について均衡のとれた適正な評価を行うために、土地の評価は、土地登記簿上の地目にかかわりなく、評価基準の定めるところに従い、現況の地目によって行うものとされている。
(2) そこで本件について検討するに、原告は、<1>平成11年12月3日付けで、土地Cにつき公衆用道路から宅地に現況地目が訂正され課税されていること、<2>土地Cは、相続開始前から道路用地として収用の申出があり、公衆用道路と認定されていたのであれば土地収用の対象とならないこと、<3>土地Cは、平成6年3月4日付け国土調査によれば宅地であったことなどを根拠として、本件相続開始当時、土地Cの現況は宅地であったと主張する。
しかしながら、証拠(甲1、6の1~3、甲23の1~3、甲24、25、乙20)及び弁論の全趣旨によれば、<1>土地Cは、面積が11.99m2と極めて狭小であるとともに、その地形は道路と土地Bに挟まれた奥行きのない細長い土地であること、<2>前記のとおり、固定資産の評価において、土地の地目は現況の地目により評価するものとされ、地方税法408条によれば、「市町村長は、固定資産評価員又は固定資産評価補助員に当該市町村所在の固定資産の状況を毎年少なくとも1回実地に調査させなければならない。」とされているところ、北谷町長は、固定資産税評価額の決定に当たり、土地Cの実地調査の結果として、本件相続開始年における土地Cの現況の地目を公衆用道路と認定していること、<3>原告は、かかる認定を前提とする本件相続開始年における固定資産課税台帳に登録された事項につき、地方税法に規定する不服申立てを行っておらず、かつ、平成9年5月9日付け更正の請求書において、土地Cを公衆用道路として評価額を零とする固定資産税評価額を前提に、本件相続税の課税価格及び納付すべき税額等の計算を行っていること、<4>土地Cについては、平成11年12月3日付けで、公衆用道路から宅地に現況地目が訂正され、同土地を相続した者に平成7年度ないし平成9年度分の固定資産税が遡って課税されているものの、その直前である平成11年10月12日に、土地Cを遺産分割により取得した丙が北谷町長に対し、固定資産評価見直しを申し入れていること、<5>土地Cは、既に、平成9年10月31日に道路用地として北谷町に買い取られていることが認められる。
上記<4>認定のとおり、本件土地Cについては、現況地目が公衆用道路から宅地に変更されているものの、上記現況地目の認定替えは土地Cを取得した丙自ら申し出たことによるものであることや、土地Cは既に平成9年10月に道路用地として北谷町に買収されており、現況地目が訂正された平成11年12月ころには道路となっていると考えられること、また、北谷町により現況地目の訂正が行われた時期自体、本件相続開始から4年以上経過した後であり、平成11年12月の時点で本件相続開始時の現況を確認することは困難と考えられることからすると、前記現況地目の変更は、土地Cが本件相続時に宅地の現況にあったことを裏付けるものとは言い難い。
そして、他の前記認定事実を総合すると、土地Cは、本件相続開始当時の現況において、公衆用道路であったと認めるのが相当であって、宅地であったとは認めるに足りず、また、かかる判断は前記(1)の評価基準の趣旨に反しないというべきである。
したがって、この点に関する原告の主張は、採用することができない。
6 争点ウ(土地B及び土地Dの個別評価の当否)について
(1) 前記5で検討したとおり、土地Cは、本件相続開始時点で現況が公衆用道路であったため、本件相続税の課税対象から除外されており、また、その用途等からみて、後記土地B及び土地Dとともに利用の単位を同一にする一団の土地、すなわち1画地の宅地を構成しているものと評価することはできない。
したがって、本争点に関しては、土地Bと土地Dを1画地の宅地として評価すべきか否かを検討すれば足りることとなる。
(2) 証拠(甲1、12、18~20、21の2、甲23の1~3、乙18~20)及び弁論の全趣旨によれば、<1>原告は、利用状況は必ずしも明確でないものの、相続開始前より土地B及び土地Dを一体の土地(宅地)として利用してきたこと、<3>原告は、亡乙に関する相続開始後の遺産分割により、隣接する土地Bと土地Dを取得して、自用地としていること、<4>現在、原告は、土地Dを主として自宅建物の敷地として、土地Bの西側を自家菜園として、同土地の東側を店舗及び駐車場として使用していることが認められる。
これらの事実によれば、利用態様に若干の相違がみられるものの、隣接する土地Bと土地Dは、いずれも原告が自用に供しており、課税評価上、利用の単位を同一にする一団の土地を構成している状況にあると認められ、これらを「1画地の宅地」として評価することができる。
したがって、土地B及び土地Dを個別に評価すべきであるとの原告の主張は、その余の点について判断するまでもなく、理由がない。
(3) なお、念のため付言すると、原告は、倍率方式に基づく評価方法を主張している(前記第2の2(2)オの(原告の主張))が、倍率方式は、路線価方式のように画地調整を行うことはなく、固定資産税評価額に、国税局長の定める一定の倍率を乗じて計算した金額によって評価する方式(評価通達21、21-1)であるから、不合理分割には当たらないとか、二路線に面するなどといった路線価方式を前提とする主張は、倍率方式による評価を前提とする上記原告の主張と矛盾しており、失当といわざるを得ない。
7 争点エ(土地Bについての不整形地補正の当否)について
(1) 原告の主張は、要するに、北谷町がした土地Bの固定資産税評価額の決定について、平成9基準年度の評定において不整形地補正が行われているのであるから、平成6基準年度の固定資産税評価額も不整形地補正により修正すべきであるというものであるが、当該主張は、北谷町の決定した平成6基準年度の固定資産税評価額の評価方法自体を問題とする趣旨なのか、不整形地補正が行われていないとする平成6基準年度の固定資産税評価額を前提として相続財産の時価(相続税法22条)を評価するに当たっては、不整形地補正により修正を施すべきであるとする趣旨なのか、必ずしも明確でない。
しかしながら、仮に原告の上記主張が前者の趣旨である場合には、原告は、本件相続開始年における本件土地の固定資産税評価額について、法定期間内に固定資産評価審査委員会に対し審査の申出をするなど地方税法所定の不服申立てを行っておらず、かかる主張は失当というべきである。
他方、原告の上記主張が後者の趣旨である場合、原告は、倍率方式による評価方法を主張しているところ、倍率方式は、路線価方式のように不整形地補正などの画地調整を行うことはなく、固定資産税評価額に、国税局長の定める一定の倍率を乗じて計算した金額によって評価する方式(評価通達21、21-1)であるから、結局、当該主張は、評価通達に定める評価方法以外の評価方法によるべきであるとの主張と理解される。
しかるに、前記のとおり、評価通達に定める評価方法以外の他の合理的な評価方法によることが許されるのは、評価通達に定める評価方法を画一的に適用することによって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであるなどの特別の事情がある場合に限られるところ、原告は、住宅用地明細一覧表(甲7)において、平成6年度及び平成7年度については補正係数がないのに、平成9年度については補正係数があることなどから、平成6基準年度の固定資産税評価額について不整形地補正を行われなければならない旨主張し、単に不整形地補正が行われていないという点を指摘するのみであり、不整形地補正が行われていないことにより、固定資産税評価額が時価を超えるなど実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであるなどの特別の事情についての主張、立証はないから、原告の当該主張は理由がないというべきである。なお、7割評価通達によると、宅地の評価に当たっては、地価公示法による地価公示価格、国土利用計画法施行令による都道府県地価調査価格及び不動産鑑定士又は不動産鑑定士補による鑑定評価から求められた価格を活用することとし、これらの価格の一定割合(当分の間この割合を7割程度とする。)を目途とするものとされており、評価額が客観的時価を超えるという事態が生ずることのないようにされている。そして、本件全証拠によっても、土地Bの平成6基準年度の固定資産税評価額が、本件相続開始時の土地Bの客観的時価を超えることを窺わせる事情はない。
したがって、この点に関する原告の主張も、採用することはできない。
8 争点オ(財産基準評価書における倍率表示の誤り)について
(1) 原告は、前記のとおり、<1>北谷町桑江と同町吉原の路線価格にほとんど変動がないこと、<2>平成6年分から平成8年分までの財産評価基準書の北谷町の倍率は横ばいか上昇傾向にあり、平成9基準年度において評価替えが行われていることなどを根拠に、平成8年分の財産評価基準書において倍率を下げたのは、平成7年分の財産評価基準書の倍率の表示誤りがあったからにほかならない旨主張する。
しかしながら、評価通達21の規定する倍率方式に用いる倍率(財産評価基準書における固定資産税評価額に乗ずる倍率)は、対象となる宅地の固定資産税評価額に地価事情の類似する地域ごとに、その地域にある宅地の売買実例価額、公示価格、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等の要素を考慮して国税局長が定めるものであるから(評価通達21-2)、一般論としては、算定の基礎となる売買実例価額、公示価格等の変動に伴って変動するものということができるものの、路線価格の変動と常に連動するものではない。
(2) また、証拠(甲11の1~3)及び弁論の全趣旨によれば、<1>北谷町吉原の倍率適用地域は、原告が比較の対象地として挙げている1.1から1.2に変動したと指摘する地域を含めて5か所あり、適用される倍率も同じ北谷町吉原でありながら1.1の地域と1.2の地域が混在していること、<2>同町桑江の倍率適用地域も、平成7年分の記載が1.2ではなく1.1の誤りであると原告が指摘する地域を含めて5か所あり、適用される倍率もそれぞれ1.1から1.3までと幅があること、<3>原告が部分的に取り出して指摘する地域以外の地区を見た場合、例えば、北谷町上勢頭では、県道23号線沿いで平成6年分が1.1、平成7年分及び平成8年分が1.0と減少変動しているのに対し、県道23号線沿い以外の地域では平成6年分及び平成7年分が1.2、平成8年分が1.3と増加変動していること、<4>同様に、北谷町浜川では、国道58号線沿いで平成6年分から平成8年分まで1.2と変動がないのに対し、国道58号線沿い以外の地域では平成6年分が1.3、平成7年分が1.2、平成8年分が1.4と変動していることが認められる。そして、これらの事実によれば、財産評価基準書に記載された倍率について、同一地区内においても異なる倍率が複数適用されたり、同一地区内の隣接地域においても、ある地域の倍率の増加減少の変動が同一地区内の他の地域の倍率の増加減少の変動と必ずしも連動するものでないことは明らかである。
(3) 前記(1)、(2)で検討したところによると、原告の主張するとおり、北谷町における平成5年から平成8年までの基準地価格及び地価公示価格にほとんど変動がないこと(甲15の1~5)などを考慮しても、平成7年分の財産評価基準書に記載された北谷町桑江の倍率「1.2」との記載が表示誤りであるとの原告の主張は、推測の域を出るものではなく、当該記載が表示上の誤りであると直ちに判断することはできないというべきである。
したがって、この点に関する原告の主張も、採用することはできない。
第4結論
以上の次第で、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求は理由がない。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 西井和徒 裁判官 松本明敏 裁判官 岩﨑慎)
別紙
A 所在地番 沖縄県中頭郡北谷町
登記地目 雑種地
地積 781m2
B 所在地番 沖縄県中頭郡北谷町
登記地目 宅地
地積 485.97m2
C 所在地番 沖縄県中頭郡北谷町
登記地目 宅地
地積 11.99m2
D 所在地番 沖縄県中頭郡北谷町
登記地目 宅地
地積 695.39m2