大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

那覇地方裁判所 平成21年(行ク)7号 決定 2009年12月22日

主文

1  処分行政庁は,平成21年6月22日付けで申立人に対してした生活保護申請却下処分に伴う本案事件(平成▲年(行ウ)第▲号・生活保護開始申請却下取消等請求事件のうち義務付けに係る部分)の第1審判決が言い渡されるまでの間,申立人に対し,以下のとおり,生活保護を仮に開始せよ。

(1)  生活扶助として,平成21年12月から平成22年10月まで毎月1日限り5万4634円を,同年11月から毎月1日限り4万0317円を仮に支払え。

(2)  住宅扶助として,平成21年10月から毎月1日限り2万2500円を仮に支払え。

(3)  医療扶助として,平成21年6月1日から本決定の日までに要した医療費のうち,申立人の医療機関に対する未払部分に相当する金額を仮に支払い,本決定の日の翌日から仮に現物給付せよ。

2  申立人のその余の申立てを却下する。

3  申立費用は相手方の負担とする。

理由

第1申立ての趣旨

処分行政庁は,平成21年6月22日付けで申立人に対してした生活保護申請却下処分に伴う本案事件の判決が言い渡されるまでの間,同月1日から生活保護を仮に開始し,同月から毎月1日限り8万6634円及びこれらの支払日の翌日から年5分の割合による金員を仮に支払え(なお,後記第2の2記載の申立人の主張にかんがみれば,本件申立てが求める保護の種類は,生活扶助及び住宅扶助のみならず医療扶助を含むものと解される。)。

第2事案の概要

1  本件は,申立人が,平成21年6月1日,処分行政庁に対し,生活保護の開始を申請(以下「本件申請」という。)したところ,処分行政庁が同月22日付けで本件申請を却下(以下「本件却下処分」という。)したため,申立人が,本件却下処分の取消訴訟と共に提起した処分行政庁が申立人に対して生活保護を開始して生活扶助等を支給することの義務付けの訴えを本案として,生活保護を開始して生活扶助等を支給することの仮の義務付けを求める事案である。

2  申立人の主張

申立人は,70歳を超える高齢であり,○等の疾患を有しており,継続的に医師の診療を受けなければ生命を失う危険があるところ,平成20年12月1日に処分行政庁から生活保護を廃止(以下「本件廃止処分」という。)されて以降,月額2万8000円余りの年金で生活することを余儀なくされ,病死や餓死等による生命の危機に日々さらされている。したがって,生活保護開始決定がされないことにより生じる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり,かつ,本案について理由があるとみえるとき(行政事件訴訟法37条の5第1項)に該当する。

相手方は,後記3のとおり主張するが,①子らによる援助は不可能であり,友人らによる援助は善意にすぎず,現に尽きかけている状況にある。また,本件廃止処分後の診療は,病院が申立人に対して医療費の支払を猶予するなどして実現していたものであり,現在は医療費の請求をされている。さらに,異母弟による支援は一切なされておらず,その実現可能性を示す資料もない。したがって,申立人が急迫状況にあることは明らかである。そして,②平成21年3月18日に申立人が受けた年金担保貸付(以下「本件年金担保貸付」という。)は,平成20年12月に本件廃止処分を受け,急迫状況に追い込まれた申立人が,生活費や家賃を支払うためにやむを得ずに受けたものであり,本件廃止処分が実質的にも形式的にも違法であることも考慮すれば,社会通念上,真にやむを得ない状況にあったことは明らかである。

以上から,本件申請に基づき,処分行政庁は,申立人について生活保護を開始し,このうち生活扶助及び住宅扶助については,別紙「最低生活費簡易計算シート」記載のとおり,1か月あたり合計8万6634円(生活扶助6万8950円と住宅扶助3万2000円の合計10万0950円から,収入認定(年金収入)される1万4316円を控除した残額)を支給すべき義務がある。

3  相手方の主張

「生活保護行政を適正に運営するための手引について」(平成18年3月30日社援保発第0330001号厚生労働省社会・援護局保護課長通知。以下「本件手引」という。)によれば,過去に年金担保貸付を利用するとともに生活保護を受給していたことがある者が,再度借入れをし,保護申請を行う場合には,資産活用の要件を満たさないものと解し,それを理由とし,原則として生活保護を適用せず,①急迫状況にあるかどうか,②生活保護受給前に年金担保貸付を利用したことについて,社会通念上,真にやむを得ない状況にあったかどうかを勘案した上で生活保護の適用を判断すべきとされる。

この点,申立人は,生活保護受給中であった平成13年5月11日に年金担保貸付を受けるなどしたところ,本件廃止処分によって生活保護を廃止された後,本件申請の前に再度本件年金担保貸付を受けており,本件手引によれば,原則として生活保護は適用されない。また,申立人が,①本件廃止処分後も,申立人の近隣に居住する子二人及び友人等から金銭や食料の援助を受けていること,○治療のために定期通院を行うことができていること,異母弟から当座の支援を求めることが可能であることなどからすれば,急迫状況にあるとは認められず,②過去,処分行政庁に対し,年金担保貸付を利用しない旨の誓約書を提出していること,本件年金担保貸付を受けていることを秘匿して本件申請をしていること,本件年金担保貸付を生活費ではない滞納家賃等の支払に充てていることなどからすれば,申立人は資産活用を恣意的に忌避していることは明白であり,本件年金担保貸付を利用したことについて,社会通念上,真にやむを得ない状況にあったとも認められない。

以上からすれば,本案について理由があるとみえるときには該当しない。

また,上記①記載の諸点に照らせば,申立人について,償うことができない損害を避けるために緊急の必要があるということもできない。

さらに,このような生活保護開始の仮の義務付けは,公共の福祉に著しい影響を与えるものである。

第3当裁判所の判断

1  当事者間に争いのない事実及び各項掲記の疎明資料によれば,以下の各事実が認められる。

(1)  申立人は,昭和▲年▲月生まれの73歳の女性であり,夫とは死別している。子(いずれも成人)は3名おり,うち2名は沖縄県内に住んでいるが,申立人とは別に暮らしている。申立人は,生活保護受給開始時(平成8年6月)から一人暮らしである。(甲7,14,15,17,20)

(2)  申立人は,清掃員として稼働するなどしていたが,転倒して右足を怪我して入院し,働けなくなり,平成8年6月28日から生活保護が開始され,生活扶助,住宅扶助及び医療扶助を受給していた(甲1,7,17)。

(3)  申立人は,生活保護受給中の平成13年5月11日に年金担保貸付を受けたことが発覚し,処分行政庁に対し,年金担保貸付を受けない旨の誓約書を提出するなどした。このほか,申立人は,生活保護受給中も,家賃の滞納をしたり,金銭の借入れやその返済を行うなどし,処分行政庁により,複数回にわたり,口頭での指導や文書での指示を受けるなどしていた。(甲4,7)

(4)  平成20年12月1日,申立人に対する生活保護(生活扶助,住宅扶助及び医療扶助)が廃止された(本件廃止処分)。同廃止決定通知書には,廃止理由の記載はない。(甲1)

(5)  申立人は,平成21年1月7日,処分行政庁に対し,生活保護申請をしたが,同月19日,保護費を借金返済に充てることを確認したため,との理由により,同申請は却下された(甲2)。

(6)  申立人は,平成21年2月13日,独立行政法人福祉医療機構に年金担保貸付の申込みをし,同年3月18日,35万円の本件年金担保貸付を受けた(甲20)。

(7)  申立人は,平成21年6月1日,処分行政庁に対し,生活保護申請(本件申請)をしたが,同月22日,本件年金担保貸付を受け,現在受給中の年金から返済を行っていることが判明したため,との理由により,同申請は却下された(本件却下処分)(甲3)。

(8)  申立人は,本件却下処分を不服として,平成21年8月21日,沖縄県知事に対し審査請求をしたが,同年11月5日,同審査請求は棄却された(甲4,7)。

(9)  申立人は,○を患っており,平成▲年以降,A病院に通院していた(甲5,17)。

2  そこで,以下,本件仮の義務付けが認められるか否か検討する。

(1)  償うことのできない損害を避けるための緊急の必要性について

疎明資料によれば,本件廃止処分から本件年金担保貸付を受けるまでの間における申立人の収入としては,厚生年金として支給される月額2万6000円余りの金員(甲21)に加え,空き缶等の回収による収入(甲13)及び子らによる援助(甲12,13)等が認められる。しかしながら,空き缶等の回収による収入は安定していない上,2か月で1000円程度にしかならないというのであり,子らによる援助等を考慮しても,申立人の生活費,家賃及び罹患する○の治療に掛かる医療費等に著しく不足していることが認められる(甲6,12,13,16,17)。

これに対し,相手方は,申立人の近隣に居住する子二人及び友人等から金銭や食料の援助を受けていること,○治療のために定期通院を行なうことができていること,異母弟から当座の支援を求めることが可能であることなどを主張する。しかしながら,申立人が平成8年6月から本件廃止処分を受ける平成20年12月までの約12年半もの間,生活保護を受けていたことにかんがみれば,扶養義務者である子らに申立人を扶養する能力があるとは認め難く,実際に子らから申立人の扶養が困難である旨の上申がなされている(甲14,15)(このほか,住所,氏名等は開示されておらず不明であるが,申立人に対する金銭的援助は不可と記載された扶養義務者から処分行政庁に対する扶養届3通が出されている(甲9ないし11)。)。また,友人等からの援助については,扶養義務に基づくものでなく,安定して行われているとは認め難い。さらに,異母弟からの支援については,かかる支援の申出内容(那覇市福祉事務所保護課相談班長B作成の上申書)からして実現可能性が低いとうかがわれるところであり,現に支援がなされたとも認められない。なお,定期通院については,申立人から医療費の支払を猶予してもらっているとも主張されているところであって,申立人に金銭的余力があることをうかがわせる事情足り得ない。

以上によれば,申立人は,本件申請時において,必要な生活費,家賃及び医療費等に著しく不足する困窮状態にあり,本件申請時から生活保護が開始されることによって,生活扶助,住宅扶助及び医療扶助が支給されなければ,申立人が健康で文化的な最低限度の生活水準を維持することができないという損害を被るおそれがあったと認められる。そして,申立人の年齢や健康状態等も考慮すれば,遅くとも平成21年12月以降の生活扶助,住宅扶助及び医療扶助については,これらが支給されないことによる損害を金銭賠償のみによって甘受させることが社会通念上著しく不合理であることは明らかであり,償うことのできない損害を避けるための緊急の必要性が認められる。

これに対し,同年11月までの各扶助については,既に経過した期間に要した扶助であるから,原則として,これらがされないことによる損害は,金銭賠償のみによって甘受させることが社会通念上著しく不合理であるとまではいえず,償うことのできない損害を避けるための緊急の必要性があるとは認められない。もっとも,既に経過した同年11月までの各扶助のうち,その不支給が現在における申立人の急迫状況として継続している部分,すなわち,申立人の医療機関に対する未払の医療費に相当する医療扶助及び申立人が家主に対して支払を怠っている同年10月以降の家賃(甲17)に相当する住宅扶助については,これらが支給されないことによる損害を金銭賠償のみによって甘受させることは社会通念上著しく不合理であると評価できるから,償うことのできない損害を避けるための緊急の必要性が認められる。

(2)  本案について理由があるとみえることについて

本案事件は,義務付けの訴えであり,理由があるとされるためには,行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められることが必要である(行政訴訟法37条の2第5項)。この点,処分行政庁は,申立人が以前に年金担保貸付を受けるとともに生活保護を受給していた者であり,再度本件年金担保貸付を受けた上で本件申請に及んでいることを理由に本件却下処分をしたものであるところ,処分行政庁が申立人の生活保護を開始しないことが,その裁量権の範囲を超えると認められるかが問題となる。

そこで検討するに,生活保護法は,日本国憲法25条に規定する理念に基づき,国が生活に困窮するすべての国民に対し,その困窮の程度に応じ,必要な保護を行い,その最低限度の生活を保障するとともに,その自立を助長することを目的とする(同法1条)ものであり,すべて国民は,同法の定める要件を満たす限り,同法による保護を,無差別平等に受けることができる(同法2条)。また,同法により保障される最低限度の生活は,健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない(同法3条)。そして,同法による保護は,生活に困窮する者が,その利用し得る資産,能力その他あらゆるものを,その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われるものであり(同法4条1項),民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は,すべて生活保護法による保護に優先して行われる(同条2項)が,これら規定も,急迫した事由がある場合に,必要な保護を行うことを妨げるものではないとされている(同条3項)。

この点,相手方が引用する本件手引によれば,過去に年金担保貸付を利用するとともに生活保護を受給していたことがある者が,再度借入れをし,保護申請を行う場合には,資産活用の要件(生活保護法4条1項)を満たさないものと解し,それを理由とし,原則として生活保護を適用しないとされているところ,申立人がこれに該当することは明らかである。もっとも,かかる基準が生活保護法に合致するかは疑義も存し得るところであるが,この点は措いても,本件手引も,生活保護を申請した者が,①急迫状況にあり,かつ,②生活保護受給前に年金担保貸付を利用したことについて,社会通念上,真にやむを得ない状況にある場合にはなお,生活保護開始の余地があるものとしている。これを本件についてみるに,前記(1)で認定した事実等にかんがみれば,申立人が必要な生活費,家賃及び医療費等に著しく不足する困窮状態にあったと認められるから,申立人が①急迫状況にあったことは明らかである。また,申立人が前記のような困窮状態にあったことに加え,その原因と考えられる本件廃止処分から約2か月が経過したころに本件年金担保貸付の申込みをしていることなどにかんがみれば,申立人が本件年金担保貸付を受けたのは生活費や家賃等に困窮したためであると優に推認できるところであり,本件廃止処分後の平成21年1月にされた生活保護申請も却下され,生活保護が開始される目処が立っていなかったことなども考慮すれば,②申立人が生活保護受給前に本件年金担保貸付を利用したことについて,社会通念上,真にやむを得ない状況にあったと認められる。

確かに,申立人は,従前生活保護を受給しているにもかかわらず,年金担保貸付を含む金銭の借入れを行ったり,家賃を滞納したりし,処分行政庁による口頭での指導や文書での指示を複数回受けていたものであるが,申立人の生活は質素であり,浪費行為等もうかがわれず,上記借入れ等の背景として,申立人は適切に金銭を管理する能力に欠ける点があるものと認められる(甲6,8,12,17)。

上記のとおり,生活保護法は,資産や能力等を活用してなお困窮状態にあることを保護の要件とするものであるが,同要件も,申請者に対して,不可能又は著しく困難な活用を強いるものとは解されないものであって,同要件を適用するに当たっては,保護を必要とし,生活保護を申請する者のおかれた状況や,上記のような金銭管理能力を含めた同人の能力等をも勘案しながら,その者の資産や能力を活用していないものといえるか否かを検討すべきものというべきである。また,相手方が主張する本件手引によっても,生活保護受給者等が年金担保貸付を受けることにつき,他にも債務がある等の理由がある場合には,金銭管理能力習得のための家計簿記帳を指導するなどの支援を行うよう努めるべきであるともされているところ,処分行政庁が申立人に対して,そのような支援を尽くしたとは認め難い。

これらからすると,申立人について,生活保護受給中に年金担保貸付を受けたことがあり,本件廃止処分後に再度本件年金担保貸付を受けたとして,本件申請を却下すること(本件却下処分)は,処分行政庁が有する裁量権の範囲を超えるものと一応認められる。

これに対し,相手方は,①申立人が急迫状況にない旨主張するが,その主張内容は前記(1)で指摘した内容と同様であり,これを採用することはできない。また,相手方は,②申立人が年金担保貸付を利用しない旨の誓約書を提出していること,本件年金担保貸付を受けていることを秘匿して本件申請をしていること,本件年金担保貸付を生活費ではない滞納家賃等の支払に充てていることなどからすれば,本件年金担保貸付を利用したことが,社会通念上,真にやむを得ない状況にあったと認められない旨主張する。しかしながら,年金担保貸付を利用しない旨の誓約書は,相手方の主張を前提としても,従前の生活保護の受給中に作成されたものであり,生活保護の受給継続を前提とした誓約であるから,かかる誓約書を作成しているからといって,本件廃止処分後の困窮状態にかんがみれば,糊口をしのぐために申立人が本件年金担保貸付を受けたことを非難することはできない。さらに,申立人が年金担保貸付を受けていることを秘匿して本件申請をしていることは,生活保護を申請する者の態度として誠実とはいえないものの,従前の処分行政庁とのやりとり等をもかんがみれば,本件年金担保貸付を受けていることを秘匿したまま生活保護申請をしたことをもって,保護の要件を欠くということもできない。なお,相手方は,本件年金担保貸付を生活費ではない滞納家賃等の支払に充てているとも主張するが,本件年金担保貸付を滞納家賃等の支払に充てたことが不当であるということはできない。

以上によれば,処分行政庁が申立人に対して生活保護を開始しないことが,その裁量権の範囲を超えるものと一応認められ,本案について理由があるとみえる。

(3)  本件仮の義務付けにより,公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがある(行政事件訴訟法37条の5第3項)とは認められない。

(4)  保護の程度について

ア 生活扶助について

申立人は,那覇市に居住する70歳以上の単身世帯であり,その最低生活費は申立人が主張する月額6万8950円を下らないと認められる。

一方,申立人の収入認定については,前記(2)記載のとおり,申立人が本件廃止処分後生活保護を受給していなかった間に本件年金担保貸付を受けたことについて,社会通念上,真にやむを得ない状況にあったと認められることにかんがみれば,本件年金担保貸付の返済が予定されている平成22年10月までの間は,申立人主張の1か月1万4316円とし(なお,甲20参照),同返済終了後の同年11月以降については1か月2万8633円と認めるのが相当である。

したがって,処分行政庁が申立人に対して仮に支給すべき生活扶助については,平成21年12月から平成22年10月までの間は,毎月1日限り5万4634円とし,同年11月以降は毎月1日限り4万0317円と認めるのが相当である。

イ 住宅扶助について

申立人の現在の家賃は月額2万2500円を下らないと認められ(甲17),他方,これを上回る金額の疎明はない。

したがって,処分行政庁が申立人に対して仮に支給すべき住宅扶助については,平成21年10月から毎月1日限り2万2500円と認めるのが相当である。

ウ 医療扶助について

処分行政庁が申立人に対して仮に支給すべき医療扶助については,申立人が本件申請をした平成21年6月1日から本決定の日までの間,申立人が受けた診療等に係る医療費のうち,申立人の医療機関に対する未払部分に相当する金額と認めるのが相当である(生活保護法34条1項ただし書)。また,本決定の日の翌日以降の医療扶助については,現物支給によって行うのが相当である(同項本文)。

3  よって,本件申立ては,主文の限度で理由があるから認容し,その余の本件申立ては,理由がないので却下することとし,主文のとおり決定する。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例