大判例

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那覇地方裁判所名護支部 事件番号不詳 判決

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  原告

1  被告らは原告に対し、各自金二六四六万五六二〇円およびこれに対する昭和五二年一〇月六日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  仮執行の宣言。

二  被告

主文と同旨

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  原告および被告比嘉豊は、昭和五一年四月、被告金武村立金武中学に入学し、現在同校に在籍中の生徒である。

2  原告は、昭和五二年一〇月五日午後四時三〇分ころ、同体育館において、同校バスケツトクラブの練習を見学していたところ、同クラブ員の被告比嘉豊からいきなり練習の邪魔だとして殴打され、その結果原告は、左眼網膜剥離の傷害を受け、視力左眼〇、〇一以下の失明状態の後遺障害を受けるに至つた。

3  被告金武村は、金武中学校の設置者として同校校長、およびバスケツトクラブ担当教諭、又は体育館の管理者をして生徒が体育館を使用している間は、常に生徒の動向に注意を払い、本件のような不祥事を防止すべき注意義務があるところ、同体育館にバスケツトクラブ担当の教諭および同体育館の管理者を置かなかつたために本件事故が発生したものであるから被告金武村は、国家賠償法一条又は民法七一五条により原告に生じた損害を賠償する義務がある。

4  被告比嘉格次郎および同良子は、被告豊の親権者として同被告を不法行為をしないよう監督すべき義務があるところ、その監督指導を怠つた不注意により本件事故は発生したから、これにより原告の蒙つた損害を賠償する義務がある。

5  損害

(一) 治療費 二〇万円

(二) 逸失利益 二〇二三万五六二〇円

原告は、昭和三八年六月一三日生れの男子で事故当時一四歳であつたから、一八歳から六七歳まで就労し年額平均二〇四万六七〇〇円(昭和四九年賃金センサス第一巻第一表全産業規模計、学歴計の全年令平均賃金)の収入を得る筈のところ、前記後遺障害により労働能力を四五パーセント喪失したため、その逸失利益の現価を新ホフマン式で年五分の割合による中間利息を控除して算定すると標記金額となる。

(三) 慰藉料 四〇三万円

原告が前記事故による左眼視力〇、〇一以下の失明状態の後遺障害を負つた精神的苦痛を慰藉するには標記金額が相当である。

(四) 弁護士費用 二〇〇万円

原告は、被告らから本件損害賠償を受けられないため、弁護士である原告代理人らを選任して本件訴の提起とその訴訟追行を委任し、その報酬として一審判決言渡の日に認容額の一割を下らない金額を支払うことを約したので、その額は標記金額が相当である。

6  よつて原告は被告らに対し、各自金二六四六万五六二〇円およびこれに対する不法行為の日の翌日である昭和五二年一〇月六日から支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する答弁

請求原因第一項を認める。

同第二項中被告豊が原告を殴打した事実を認める。原告がバスケツト練習の見学中であつたことおよびその後遺障害を争う。

同第三項中被告金武村が金武中学校の設置者であることを認め、その余は争う。

同第四項争う。

同第五項不知。

1  原告はすでに小学四年の時から眼鏡を必要とし、医師から将来失明のおそれのあることを予告されていたもので、昭和四七年四月二〇日の視力は右眼〇、三、左眼〇、二昭和五二年六月三日の視力は右眼〇、二、左眼〇、一であり、左眼〇、〇一以下の失明状態になつたのは、潜在的に保有していた弱質視力の症状が進行してきたため左眼網膜剥離の結果を招来したものであつて、被告豊の殴打の結果によるものではない。

2  かりに、被告豊の殴打が原告の前記失明状態の原因であつたとしても、被告豊は当時中学二年生であり、自己の行為の責任を弁識するに足りる能力を有していなかつたから、同人には原告に対する不法行為の損害賠償の責任はない。

3  本件事故は、金武中学校の体育館で発生したものであるが、教師の教育ないし指導上の過程すなわち正規の教育活動の一環として行われた活動の中で発生したものではなく、放課後の生徒間の喧嘩が原因である。

原告および被告豊は共に中学二年生であつたから責任能力を有しないにしても、一応学校生活にも適応し、相当程度の自律、判断能力を有しているとみられるから、教場での教育活動が終了した以上、全員が退下校するのを見届けなければ生徒の安全を保持しえないと予測しうる特別の事情がない限り担任教師には最後まで学校内で生徒を監督すべき注意義務は存しないから、本件につき放課後体育館内で部活動としてバスケツトボールの練習をしていた被告豊と練習の邪魔をしたことが原因で原告と喧嘩をした行為についてまで校長や担任教師の監督義務はなく、従つて被告金武村は、何らの責任もない。

第三  証拠(省略)

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