那覇地方裁判所平良支部 昭和51年(わ)17号 判決 1976年7月20日
被告人 川満明
昭三〇・一〇・一六生 無職
友利四郎
昭三一・一〇・一〇生 無職
主文
被告人川満を懲役一〇月に、同友利を懲役六月以上一〇月以下にそれぞれ処する。
被告人らに対し、未決勾留日数中各三〇日をそれぞれその刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
第一 被告人川満明は、ほか一名と共謀のうえ、昭和五一年四月二六日午後七時三〇分ころ、沖縄県平良市字西里七一八番地県立宮古高等学校職員室前庭において、同校女生徒を追いかけてきたのを同校守衛平良寛得(当五六年)に注意されたことに憤慨し、同所にあつたホース巻で同人の顔面を殴打し、よつて、同人に対し加療約一週間を要する鼻部損傷の傷害を負わせ、
第二 被告人両名は、日ごろ警察官の交通取締に対し反感を抱いていたものであるが、ほか三名と共謀のうえ、火炎びんを製造し、沖縄県宮古警察署構内に投てきし、これを炎上させて日ごろのうつぷんをはらそうと企て、昭和五一年五月一八日午前三時ころ、沖縄県平良市字下里一〇二〇番地の一の空地においてオリオンビールの空びん六本にそれぞれガソリンを注入し、布切れで点火装置を施した火炎びん六本を製造したうえ、これを普通乗用車内に携行所持して同日午前三時三〇分ころ、同市字西里一八四番地所在宮古警察署前路上に至り、運転走行中の同車内から同署の警察官宜保安彦らが同署玄関付近などで見張り警戒していた同署建物等めがけて三回にわたり右火炎びんのうち四本にそれぞれマツチで点火して投げつけ、同署前路上及び同署施設のコンクリート塀付近でいずれも発火炎上させて同署の施設等並びに右警察官宜保らに対し危険を与え、もつて火炎びんを使用して人の身体、財産に危険を生じさせ
たものである。
(証拠の標目)(略)
(法令の適用)
被告人川満の判示第一の所為は刑法六〇条、二〇四条、罰金等臨時措置法三条一項一号に、被告人両名の判示第二の所為は刑法六〇条、火炎びんの使用等の処罰に関する法律二条一項に各該当するところ、判示第一の罪については所定刑中懲役刑を選択し、被告人川満の判示第一、第二の罪は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四七条本文、一〇条により重い判示第一の罪の刑に法定の加重をし、なお、被告人友利は少年であるから少年法五二条一項を適用し、所定の刑期範囲内で被告人川満を懲役一〇月に、被告人友利を懲役六月以上一〇月以下に処し、同法二一条により未決勾留日数中三〇日を右刑に算入し、訴訟費用については刑事訴訟法一八一条一項但書により被告人らに負担させないこととする。
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 仲本正真)