大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

金沢地方裁判所 平成24年(ワ)443号 判決 2013年1月29日

原告

X株式会社

同代表者代表取締役

同訴訟代理人弁護士

被告

a株式会社破産管財人Y

主文

1  金沢地方裁判所平成22年(モ)第4004号否認請求申立事件について、同裁判所が平成24年7月19日にした決定を認可する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

3  この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第1請求

1  金沢地方裁判所平成22年(モ)第4004号否認請求申立事件について、同裁判所が平成24年7月19日にした決定を取り消す。

2  被告の否認請求を棄却する。

第2事案の概要

1  本件は、破産者a株式会社(以下「破産会社」という。)が、訴外b株式会社(以下「b社」という。)との間で、破産会社所有の別紙1土地目録記載の各土地(以下、これらの土地を併せて「本件土地」という。)及び別紙2建物目録記載の各建物(以下、これら建物を併せて「本件建物」といい、本件土地と併せて「本件不動産」という。)の賃貸借契約を締結した行為について、破産会社の破産管財人である被告が、b社から賃借権の譲渡を受けた原告を相手方として、金沢地方裁判所に対して破産法160条1項2号等に基づく否認請求(本件不動産の明渡し及び賃料相当損害金の支払請求)をしたところ、金沢地方裁判所が上記否認請求を認容する決定(以下「本件決定」という。)をしたため、原告がこれを不服として本件決定の取消し及び上記否認請求の棄却を求めた事案である。

2  争いのない事実等

(1)  当事者

ア 原告は、石川県<以下省略>において旅館「○○」(以下「本件ホテル」という。)を経営していた株式会社である。

イ 破産会社の債権者である訴外株式会社c(以下「c社」という。)は、平成20年9月24日、破産会社について破産手続開始の申立て(以下「本件破産申立て」という。)をし、金沢地方裁判所は、平成22年9月6日、破産手続開始決定(金沢地方裁判所平成20年(フ)第492号)をし、被告を破産管財人に選任した。

(2)  本件不動産に関する賃貸借契約等の経緯

ア 破産会社は、平成20年1月7日、b社との間で、破産会社所有の本件不動産につき、同社を賃貸人、b社を賃借人として、下記内容の賃貸借契約(以下「本件契約」という。)を締結した(乙B12)。

使用目的 旅館(ホテル)、飲食店(ナイトクラブ、カラオケスナックを含む。)及び専用駐車場

契約期間 平成20年1月1日から平成50年12月末日まで

賃料 月額700万円(消費税別)

保証金 2100万円

賃借権の譲渡 賃借人は、賃貸人の承諾の下、第三者に賃借権を譲渡することができる。

イ 本件建物は、本件ホテル(別紙2建物目録記載1及び2の各建物)及び従業員寮(同目録記載3の建物。以下「従業員寮」という。)であり、本件土地は、本件建物の敷地である。

なお、本件ホテルの敷地は、本件土地と26名の地権者が所有する土地から構成されており、原告は地権者26名と土地賃貸借契約を締結している。

ウ 従業員寮は、破産会社の従業員が同社と締結した建物賃貸借契約に基づき住居として使用していたものである。

エ 原告は、平成20年3月1日、破産会社の承諾の下、b社から本件契約に係る賃借権の譲渡(以下「本件賃借権譲渡」という。)を受け(乙B13)、本件ホテルの営業を行うようになった。

オ 破産会社の元従業員の多くは、本件賃借権譲渡に伴い、原告と雇用契約を締結して本件ホテルで稼働するようになった。また、原告は、上記ウの建物賃貸借契約における貸主の地位を承継した。

カ 原告は、平成24年9月、本件ホテルの営業を休止し、全従業員を解雇した(乙A11ないし15の3)。

(3)  否認請求及び本件決定等の経緯

ア 被告は、平成22年10月29日、原告を相手方として、金沢地方裁判所に対し、本件契約が破産法160条1項2号所定の破産債権者を害する行為に該当すると主張して、本件不動産の明渡し及び賃料相当損害金の支払を求める内容の否認の請求(以下「本件否認請求」という。)を申し立てた(乙A1)。

なお、本件否認請求の申立書は、同年12月3日、原告に送達された。

イ 金沢地方裁判所は、平成24年7月19日、本件否認請求を認容する旨の本件決定をした。

ウ 原告は、平成24年7月30日、本件決定の送達を受けたところ、これを不服として、同年8月29日、本件訴訟を提起した。

3  争点及び争点に対する当事者の主張

(1)  本件否認請求の成否

ア 本件契約が破産債権者を害する行為に該当するか(争点1)。

(被告の主張)

本件不動産に高額の被担保債権に係る担保権が設定されていても、任意売却の際に生じるいわゆる財団組入金が破産財団を増加させることや、賃借権を有する旨主張する占有者が本件不動産において本件ホテルの営業をしていることが、買受希望者をして本件不動産の買受けを躊躇させることは経験則上明らかであること、現に、本件不動産の買受希望者は、いずれも原告の退去を条件として買受希望を申し出ており、現在に至るまで本件不動産の任意売却ができない主な原因が原告による本件不動産の占拠にあること等からすれば、本件契約の締結は破産債権者を害することは明らかである。

(原告の主張)

(ア) 被告の主張は争う。

(イ) 本件契約は、被担保債権額の合計が100億円を超える担保権の設定後に締結されたものである。したがって、原告は、担保権者や担保不動産競売手続における本件不動産の買受人に対し賃借権を対抗することはできないのであるから、本件契約の締結は本件不動産の換価を困難ならしめるものではない。

(ウ) 本件不動産の評価額が約16億円であることからすれば、上記被担保債権額を上回る金額以上で本件不動産が売却されることはない。そうすると、本件不動産が売却されたとしても、破産債権者への配当原資が確保されることはないのであるから、本件契約の締結が破産債権者を害することにはならない。

(エ) 本件決定は、本件契約の存在が買受希望者に本件不動産の買受けを躊躇させていると判示している。

しかし、否認請求事件の審理中も複数名による買受けの申出があったが、被告が金額面で納得しなかったために任意売却が成立しなかったにすぎないのであるから、本件契約は本件不動産の買受けを躊躇させるものではない。

(オ) 本件ホテルに限らず、配管等の建物内の設備は、使用を中止すると、使用を再開した時に破損するおそれが極めて高くなるものである。そのため、原告が、本件契約に基づき本件ホテルの営業を継続し、配管の使用を継続していたことは本件不動産の価値の減少を防止し、価値を維持する点で、破産債権者を利する行為である。

(カ) ホテルの営業に利用されている不動産を購入しようとする者は、不動産の価値ではなく、ホテルの営業による収益からその価値を評価するのが通常である。

したがって、ホテルの営業が継続されていることは、買受希望者が価格を決める上で重要な要素である。

(キ) 以上の諸事情を総合すれば、本件契約の締結は破産債権者を害する行為とはいえない。

イ b社は、本件契約の当時、破産会社について支払の停止等があったこと及び本件契約が破産債権者を害することを知らなかったか(争点2)。

(原告の主張)

(ア) 本件契約は、本件破産申立てがなされる以前である平成20年1月7日に締結されており、b社は、同日時点において、本件契約の締結が、破産債権者を害する行為となること、すなわち、本件契約が締結されることにより、本件不動産を他に売却するなどして換価することが著しく困難になるなどとは認識していなかった。

(イ) b社は、破産手続が開始されていない段階で一般債権者のことを考えることはあり得ず、かつ、本件不動産の任意売却において買受人が買受けを躊躇することなど考えていないはずである。

(ウ) b社は、本件ホテルの営業を継続することが、本件不動産の売却のために重要であり、かつ、従業員や取引先との関係でも重要であるということから、本件契約を締結して本件ホテルの営業を行うこととしたのであり、債権者を害する意思などなかった。

(エ) b社は、本件契約の締結当時、破産会社について支払の停止等があったことを認識していなかった。

(オ) 以上によれば、b社は、本件契約の当時、破産会社について支払の停止等があったことはもとより、本件契約が破産債権者を害することも認識していなかった。

(被告の主張)

(ア) 原告の主張は否認ないしは争う。

(イ) b社が、本件契約の締結以前に、本件ホテルのいわゆる姉妹店である「△△」(以下「別件ホテル」という。)の運営を担当していたこと、同社が資金繰りが苦しい破産会社に融資をしてきたこと、b社の代表者であるC(以下「C」という。)は、破産会社の代表取締役を務めたこともあることなどに鑑みると、b社が、本件契約の締結時において、破産会社が支払停止の状態にあったことや、本件契約が破産債権者を害する行為であることを知らなかったとは考えられない。

(ウ) ある不動産に設定された担保権の被担保債権の残額が当該不動産の時価を上回る場合でも、破産手続の中では当該不動産の任意売却によって、財団組入金が生じることが多いことは、破産実務上よく知られたことであり、b社においても本件契約の締結時にこのことを十分に認識していたはずである。

ウ 原告は、本件賃借権譲渡の当時、b社に対する否認の原因があることを知っていたか(争点3)。

(原告の主張)

(ア) 争点2について主張したとおり、b社は、本件契約の当時、破産会社について支払の停止等があったこと及び本件契約が破産債権者を害することを認識していなかった。

(イ) また、原告がb社から本件賃借権譲渡を受けた平成20年3月1日には、本件破産申立てはなされていなかったのであるから、原告は、同日の時点で、本件契約が破産債権者を害することを認識していなかった。

(ウ) 以上によれば、原告は、本件賃借権譲渡の時点において、本件契約が破産債権者を害するものであること及びb社がそのことを知っていたことを認識しておらず、仮にb社に対する否認の原因があったとしても、そのことは知らなかった。

(被告の主張)

原告の主張は否認ないしは争う。

エ 従業員寮についての明渡請求が認められるか(争点4)。

(原告の主張)

本件決定は、原告の従業員が、原告との間で締結した賃貸借契約に基づき居住している従業員寮についても、原告に対し、退去して明け渡すことを命じている。しかしながら、従業員寮については、現に占有している従業員に対して退去明渡しの請求をしなければならず、現に占有しているわけではない原告に対しては同請求をできない。

そのため、原告に対して従業員寮を含む本件不動産の全体についての退去明渡しを命じた本件決定には誤りがある。

(被告の主張)

原告の主張は否認ないしは争う。

従業員寮に係る各従業員の占有は、いわゆる代理占有であり、独立の占有ではないから、原告に対し退去明渡しを命ずれば、その効力が各従業員にも及ぶものというべきである。

(2)  本件破産申立てが有効であるか(争点5)。

(原告の主張)

ア 弁護士法73条は、業として他人の債権を譲り受けて、その債権の回収を図ることを禁止しているところ、例外として債権管理回収業に関する特別措置法(平成19年法律第58号による改正前のもの。以下「サービサー法」という。)3条に基づき、法務大臣の許可を受けた株式会社は業として債権を譲り受けることができる。

イ c社は、平成20年7月31日、訴外株式会社d(以下「d社」という。)から破産会社に対する債権を譲り受け、本件破産申立てを行った。

ウ しかしながら、c社の代表者であるD(以下「D」という。)は、訴外株式会社e(以下「e社」という。)の代表者でもあるところ、e社は、平成20年8月11日、d社から訴外株式会社fに対する債権を譲り受けている。

そして、①c社とe社の本店所在地が同一であることに加え、②Dが両社の唯一の役員(取締役)であること、③両社の本店所在地には、g公認会計士事務所の表示はあるが、c社又はe社の表示はなされていないことなどの事情を踏まえると、c社とe社は、形式的には法人格を有しているが、実質的にはDが自由に管理しているものである。

そうすると、D個人が、d社から、破産会社及び訴外株式会社fに対する各債権の譲渡を受けたものというべきであるところ、こうしたDの行為は、反復継続の意思をもって他人の債権を譲り受けることとなり、弁護士法73条及びサービサー法3条に違反し、刑事上罰せられるべき行為であるから、公序良俗違反の行為であることは明らかである。

エ したがって、c社とd社との間でされた破産会社に対する債権の譲渡契約は無効である。

そうすると、本件破産申立ては、破産会社の債権者でない者によってなされたことになるから、無効である。

(被告の主張)

原告の主張は否認ないしは争う。

(3)  被告による本件否認請求が権利の濫用に当たるか(争点6)。

(原告の主張)

ア 本件不動産のように時価額に比して高額の被担保債権に係る担保権が設定されている不動産については、財団組入金が期待できないため、破産管財人が破産財団から放棄するのが一般的である。

イ また、担保権者から不動産の任意売却による財団組入金を期待できたとしても、固定資産税等の額が財団組入金の額よりも多額となるのであれば、一般債権者への配当はおろか、固定資産税等についても満額の弁済ができないことになる。

そのため、破産管財人としては、こうした事態が生じないように、当該不動産を破産財団から放棄する時期を常に念頭において任意売却を進める義務がある。

ウ 被告作成の報告書によれば、財団債権となる本件不動産の破産開始決定後の固定資産税額は、平成24年度の予定額を含めて2億6000万円であり、同じく財団債権となる破産財団の維持管理費用が約3400万円である。また、破産管財人の報酬も財団債権となる。

そうすると、破産管財人が任意売却に固執して本件不動産を破産財団から放棄しないのは、固定資産税の徴収不能額を増やし、破産管財人の報酬を増額させることを意図したものであるから、権利の濫用に当たる。

(被告の主張)

原告の主張は否認ないしは争う。

(4)  原告による相殺の可否(争点7)

(原告の主張)

ア 被告は、平成22年9月6日、金沢地方裁判所執行官E(以下「E執行官」という。)らとともに本件ホテルを訪れ、原告に対して、同月10日までに本件不動産を明け渡すように求めたため、原告は、3組の予約の申込みを拒絶せざるを得なかった。

被告は、本件不動産の明渡しを求める権限はないにもかかわらず、違法に明渡しを求めたのであるから、上記申込みの拒絶によって原告に生じた損害を賠償する責任がある。

そして、損害額は、1組の平均人数、平均宿泊費及び利益率の平均から計算すると、少なくとも12万6000円というべきである。

イ また、被告は、平成22年9月6日に本件不動産に赴いた際、原告に対し、本件ホテルの土地建物(本件不動産)内にある一切の動産について、封印執行をしたので処分しないように申し渡した。

しかしながら、当時、本件ホテルの営業は原告が行っており、本件ホテル内の食材などは破産会社の所有物ではなく、原告の所有物であったのであるから、被告が原告に対し、上記のように申し渡したことは違法である。

そして、被告の当該発言により、原告は夕食用に用意していた食材のうち同日使用する予定であったもの(翌日以降は腐敗しなくとも味が落ちて宿泊客に提供できないものを含む。)を使用することができず、別途購入せざるを得なかったところ、原告は使用できなかった食材費として少なくとも10万円の損害を被った。

ウ 以上によれば、原告は被告に対して不法行為に基づく損害賠償として合計22万6000円の支払を求める請求権を有している。

そこで、仮に被告が原告に対して金銭債権を有するとしても、同債権を受働債権とし、上記請求権を自働債権として対当額で相殺する。

(被告の主張)

原告の主張は否認ないしは争う。

本件不動産に係る封印執行において、E執行官及び被告は、原告に対し、本件建物の明渡し等に対する協力を求めたが、原告は、本件契約に基づいて占有しているから任意の明渡しには応じることはできない旨回答したため、本件ホテルに使用している建物及び当該建物の敷地上にある破産会社所有の一切の動産についてのみ、公示書を貼る方法で執行を行った。

原告が任意の明渡しを承諾しないにもかかわらず、被告が強制的に明け渡すように申し渡したわけではないから、何ら違法な点は存しない。

第3当裁判所の判断

1  認定事実

当事者に争いのない事実並びに証拠(文中掲記のもの)及び弁論の全趣旨によれば、以下の各事実が認められる。

なお、原告は、乙B第8号証及び同9号証の録音反訳書について、同反訳書に係る音声データの全内容を確認できないことを理由として、当該反訳書の証拠能力又は信用性を否定すべき旨主張するものの、当該反訳書が専門的技能を有する第三者により作成されたことは明らかであり、他方、反訳の正確性に疑問を抱くべき特段の事情が認められないことからすれば、当該反訳書の内容は正確なものと認められる。

(1)  破産会社及び同社の破産手続に関する経緯等について

ア 破産会社の目的につき、商業登記記録上には、温泉旅館の経営に加えて、不動産の売買・交換・貸借及びその仲介並びに所有・管理及び利用などが挙げられている(乙B2の1、2)。

イ 破産会社は、平成17年7月頃から、融資を受けていた訴外株式会社h銀行に対する支払を停止し、まもなく、当時のメインバンクであったd社や訴外i社などの金融機関に対する支払も停止するに至った(乙B8、9)

ウ 破産会社は、平成17年12月頃から資金繰りが困難となっていたが、平成18年に別件ホテルを好条件で売却することに成功した(乙A1、2、乙B8、9)。

エ そこで、破産会社は、本件ホテルに係る事業の売却を試み、売却先を公募したところ、6社が応募した。競争入札が実施された結果、不動産業者である訴外株式会社j(以下「j社」という。)が譲受人となることになり、譲渡価格についても、上記イの各金融機関等との調整の結果、12億円と合意される予定となった。この際、j社は、本件ホテルで稼働している破産会社の従業員の雇用を継続するとの条件を承諾していたため、破産会社もこの事業譲渡の実現を期待していた。

しかし、平成19年12月26日、d社が最終合意の直前に上記事業譲渡に反対するに至ったため、j社への事業譲渡は実現しなかった。

(以上につき、乙A1、2、乙B8、9)

オ 上記エの事業譲渡が実現しなかったことを受け、破産会社の役員及び従業員は、従業員の雇用、本件ホテルののれん、取引先などを維持するために、本件ホテルの運営をする会社を設立することとし、平成20年2月22日、破産会社の常務であったF(以下「F」という。)を代表取締役とする原告が設立された(乙B3、8、9)。

カ b社は、同社が本件ホテルの営業を行うことを目的として、平成20年1月7日、破産会社との間で本件契約を締結したが、その後方針が変更され、b社は別件ホテルの経営に専念することとなったため、本件契約に基づく賃借権を原告に譲渡し、原告が本件ホテルの経営を担当することとされた(甲2、乙B8、9)。

キ 原告は、平成20年3月1日、b社から本件賃借権譲渡を受けた後、本件不動産に加え、破産会社が利用していた備品や什器等を利用して本件ホテルを営業していた(乙B8、9)。

ク 破産会社において経理を担当し、平成17年10月31日まで同社の取締役を務めていたGは、原告に移り、引き続き原告の経理を担当している(乙B2の3、9)。

ケ 本件不動産の担保権者であるc社は、平成23年3月、金沢地方裁判所に対し、被告による本件不動産の任意売却に協力し、相応額の破産財団への組入れを認める方針である旨上申した(乙A9)。

(2)  本件ホテル等に対する封印執行の経緯について

ア 被告及びE執行官(以下「被告等」という。)は、平成22年9月6日、本件不動産に赴いて封印執行に着手した。その際、原告の当時の代表者であったF又は原告の渉外担当の従業員であったHは、被告等に対し、一両日中の明渡しは時間的に困難であるが、封印執行に応じないわけではなく猶予が欲しい、1週間も2週間も欲しいというわけではない、取引先等の調整に最低4、5日を要するなどと発言した。

そのため、被告等は、本件ホテルの建物及び同ホテル敷地内の動産の占有を同日被告に移転するものの、同月9日までの間に、原告が、従業員への説明、予約客の対応等任意の明渡しに向けた準備を進めることを前提に、事実上同月10日午後0時まで本件不動産の明渡しを猶予することとし、Fも一旦はこれを承諾した。

そして、E執行官は、原告らが使用していなかった本件ホテルの4階部分及び□□入浴施設入口部分に限定して封印公示書を貼付し、封印執行を続行した。当該封印公示書には、「本件建物内及び敷地上の一切の有体動産につき封印執行をした。」旨記載されていた。

(以上につき、甲6、乙B28)

イ その後、Fは、原告は本件契約に基づき本件ホテルを占有して正当な営業活動を展開しているのであるから、占有を被告に移転することは承服できず、引き続き上記営業を継続していく旨申し入れたため、E執行官は、Fに対し、同人の主張は執行調書に記載するので、原告においては法律に従った法的措置をとることを検討するように伝えた(乙B28)。

ウ 被告等は、平成22年9月7日も本件ホテルに赴いたところ、Fは、被告等に対し、原告が、破産会社との本件契約に基づき、引き続き営業を継続していくので、同月10日の任意の明渡しには応じられない旨述べて上記アの同月6日の意向を覆し、また、原告の従業員に対しても同様の説明を行った旨述べた。

被告等は、Fに対し、破産手続開始決定の趣旨や封印執行後の営業継続の難しさなどを説明して協力を求めたが、再考を促すにとどめ、同月9日午前中までにE執行官に検討結果を連絡するように指示した。

(以上につき、乙B28)

エ Fは、平成22年9月9日、E執行官に対し、任意の明渡しには応じず、営業を継続する旨の連絡をした(乙B28)。

オ 被告等は、平成22年9月10日、上記エのFの連絡を受け、F宅に赴き、破産財団に属する車両2台に対し、封印執行を実施するとともに、本件ホテルに赴き、破産財団に属する本件建物内及び敷地上の一切の有体動産につき封印執行を実施した。

被告等が同日使用した封印公示書には、動産類の所有関係等が明確ではなかったため、本件建物内及び敷地上の一切の有体動産(ただし、破産会社以外の者が所有する動産は除く。)につき封印執行した旨記載されていた。

(以上につき、乙B28)

(3)  c社及びe社について

ア c社及びe社は、ともに住所<省略>を本店所在地としている(甲7、8)。

イ c社及びe社の役員は、ともにDのみである(甲7、8)。

ウ c社は、平成20年7月31日、d社から破産会社に対する債権(債権額約70億円)を譲り受けた(甲7、8、乙B19)。

エ e社は、平成20年8月11日、d社から訴外株式会社fに対する債権(債権額約17億円)を譲り受けた(甲7、8)。

オ c社及びe社の目的につき、商業登記記録上には、ホテル・旅館の運営管理や、ホテル・旅館の施設に係る不動産の取得、保有、処分、賃貸及び管理、それらの事業を目的とする株式会社等への金銭の貸付け又は貸付債権の取得、保有及び処分などが挙げられているものの、債権の管理及び回収業は挙げられていない(甲7)。

カ c社及びe社は、いずれもサービサー法3条に基づく法務大臣の許可を受けたことはない(弁論の全趣旨)。

(4)  b社について

ア b社の代表者であるCは、破産会社の創業者と大学時代からの友人であり、平成16年頃以降、破産会社の経営を支援しており、本件破産申立て後である平成20年11月11日から平成21年2月19日まで、破産会社の取締役を務めていた(甲3、乙B2の2、15の1、2)。

イ b社の目的として、商業登記記録上には、旅館・ホテル等の経営や、不動産の売買、賃貸、仲介、管理及び斡旋、旅館・ホテルの経営コンサルタント事業などが挙げられている(乙B15の1ないし3)。

ウ b社は、平成17年9月頃以降、本件ホテルと姉妹関係にある別件ホテルの営業を行っていた(甲3、乙B15の3)。

エ b社は、従前から破産会社の資金繰りが苦しいときにつなぎ融資に応じており、破産会社は、遅くとも平成19年7月頃以降、b社に対し約7000万円から約1億円の短期借入金の債務を負っていた(乙B5の2、6の2、7の2、8、9)。

2  争点1(本件契約が破産債権者を害する行為に該当するか)について

(1)  破産債権者を害する行為とは、破産者の責任財産を減少させる行為をいうところ、財産を量的に減少させるもののみならず、責任財産の経済的な価値を質的に低下させるものも含むと解するのが相当である。

(2)  破産者の責任財産となる不動産に賃借権が設定されていた場合、当該不動産を任意売却するに際し、買受希望者が、賃借権の解除や賃借人からの占有の移転が円滑に行われないことを危惧して、買受けを断念したり、買受希望価格を減額することが十分に想定され、当該賃借権の存在は、任意売却の不成立や、売却価格の低下などの原因になるものと認められる。

そうすると、当該賃借権を設定する行為は、当該不動産の経済的価値を低下させるものというべきであるところ、本件契約は破産債権者を害する行為に該当するというべきである。

(3)  これに対して、原告は、①本件契約に基づく賃借権は担保不動産競売手続による買受人等には対抗できないため、当該賃借権の存在が本件不動産の換価を困難ならしめることにはならないこと、②本件不動産の時価額は、当該不動産に付された担保権の被担保債権額を大きく下回っており、当該不動産を売却しても一般債権者への配当原資が生じる可能性がないため、当該賃借権の存在が一般債権者の利益を害することにはならないこと、③原告が本件不動産を占有し、本件ホテルの経営を継続していたことが当該不動産の価値を高めていたこと、④本件契約に基づく賃借権の存在が、任意売却における本件不動産に対する買受希望の障害にはならないことなどを主張して、本件契約が破産債権者を害する行為には該当しない旨主張する。

ア しかしながら、本件契約に基づく賃借権の存在が、一般に担保不動産競売手続による場合より高額での売却が期待できる任意売却の不成立や任意売却価額の低下を招く点において、その換価を困難ならしめており、破産債権者を害する行為に当たることは前記(2)のとおりであることに加え、被担保債権額が目的物の価額を超えているときでも、目的物がいくらで換価されるかは、不足額責任主義(破産法108条1項本文)との関係で一般債権者への配当額に差を生じさせることからすると、原告の上記②の主張は採用することができない。

イ また、不動産の継続的な維持管理が、当該不動産の経済的価値の維持に貢献し得ることは否定できないとしても、必ずしも同維持管理を本件契約の賃借権に基づく占有によって行うべき必要性はなく、また、ホテル事業そのものではなく、事業に供される個別の財産のみを取得することを希望する者にとって賃借権の存在は当該不動産の価値を低下させることが明らかであるから、上記③の点は、上記(2)の認定・判断を左右するものではないというべきである。

ウ なお、破産手続において本件不動産の買受けを希望していた株式会社fの代表者は、本件契約に基づく賃借権が買受申出の障害とはならなかった旨陳述している(甲4)。

しかしながら、証拠(甲4)及び弁論の全趣旨によれば、同社は、原告に本件不動産の管理及び本件ホテルの営業を委託する意向であったことが認められ、同社は、現実の占有状態の変更を予定していなかったために上記(2)の危惧を抱く必要がなかったにすぎない。そのため、同社の上記陳述が、直ちに上記(2)の認定・判断を左右するものではないというべきである。

(4)  したがって、本件契約は破産債権者を害する行為に該当するというべきであるから、原告の上記主張は理由がなく、採用することができない。

3  争点2(b社は、本件契約の当時、破産会社について支払の停止等があったこと及び本件契約が破産債権者を害することを知らなかったか)について

原告は、b社が、本件契約の当時、破産会社について支払の停止等の事由があったことはもとより、同契約が破産債権者を害するものであることを認識していなかった旨主張する。

(1)  しかしながら、上記1(1)イ及びウ並びに(4)ア、ウ及びエの各認定事実によれば、b社と破産会社とは、本件契約締結以前から密接な関係を有していたこと及び破産会社は遅くとも平成18年頃から支払停止の状態にあったことが認められる。

そうすると、b社は、破産会社の上記財務状況を熟知していたものと推認されるところ、本件全証拠に照らしても、当該推認を覆すべき事情は認められない。

(2)  また、上記2(2)のとおり、不動産に対する賃借権の存在が、任意売却等に当たっては当該不動産の財産的価値を減少させる要因となることは、不動産取引や不動産評価に係る一般的知見に含まれるものと考えられるところ、上記1(4)イ及びウの各認定事実によれば、b社は、不動産の売買等や旅館、ホテルの経営・経営コンサルタント事業を行っており、別件ホテルの経営にも関与していたことが認められ、本件契約の時点において、上記一般的知見を有していたものと認められる。

そうすると、b社は本件契約の締結当時、破産会社の責任財産となるべき本件不動産に賃借権を設定する同契約が、破産債権者を害する行為であることを認識していたものと推認されるところ、本件全証拠に照らしても当該推認を覆すべき事情の存在は認められない。

(3)  したがって、b社は、本件契約の当時、破産会社に支払停止の事由が生じていたこと及び本件契約が破産債権者を害する行為であったことを認識していたものと認められることから、原告の上記主張は理由がなく、採用することができない。

4  争点3(原告は、本件賃借権譲渡の当時、b社に対する否認の原因があることを知っていたか)について

原告は、本件破産申立ても行われていない本件賃借権譲渡の時点で、本件契約に基づく賃借権の存在によって本件不動産の換価が困難となることなどを認識しておらず、b社に対する否認の原因があることを知らなかった旨主張する。

(1)  しかしながら、上記1(1)クの認定事実によれば、破産会社の財務状態を熟知していた経理担当者が、原告の経理を担当していたのであるから、原告は、本件賃借権譲渡の当時、破産会社に支払停止の事由が生じていたことを認識していたものと認められる。

(2)  上記1(1)ア及びウの各認定事実によれば、破産会社は不動産取引又は不動産評価について一般的な知見を有していたものと認められ、また、上記1(1)オ及びクの各認定事実によれば、破産会社の役員が原告の代表者となり、破産会社の経理担当者が原告でも経理を担当していたことが認められるところ、これらの事情を総合すると、原告は、破産会社の上記知見を引き継いでいたものと認められる。

そうすると、原告は、本件賃借権譲渡の当時、本件契約に基づく賃借権の設定が本件不動産の経済的価値を低下させるものであり、本件契約が破産会社の債権者を害する行為であることを認識していたものと推定されるところ、本件全証拠に照らしても、上記推定を覆すべき事情は認められない。

(3)  上記(1)及び(2)の検討に加えて、原告の設立及び本件賃借権譲渡に至る経緯に関する諸事情(上記1(1)エないしカの各認定事実)を供せ考えると、原告は特段の事情かない限り、b社が否認の原因である破産会社に支払停止の事由が生じており、かつ、本件契約が破産債権者を害する行為であると知っていたことを十分に認識していたものと認めるのが相当である。

(4)  したがって、原告は、本件賃借権譲渡の当時、b社に対する否認の原因があることを認識していたものと認められるから、原告の上記主張は理由がなく、採用することができない。

5  争点4(従業員寮についての明渡請求が認められるか)について

(1)  原告は、本件建物のうち従業員寮については従業員が占有しており、原告が現に占有しているわけではないから、被告は原告に対して、従業員寮の明渡しを請求することができない旨主張する。

(2)  しかしながら、本件建物のうち従業員寮について従業員が原告との間の賃貸借契約に基づいて占有しているとしても、同契約の賃貸人である原告の占有が失われるわけではなく(民法181条)、原告の占有権原である本件契約(に基づく賃借権)が否認権の行使によって破産手続との関係で効力を失うのであるから、被告の原告に対する所有権に基づく返還請求としての本件不動産の明渡請求を、原告は拒むことはできない。

そして、各従業員が従業員寮について独立の占有を有するとしても、そのことは上記判断を左右するものではない。

(3)  したがって、被告は、原告に対し、本件建物のうち従業員寮についても明渡しを請求することができるから、原告の上記主張は理由がなく、採用することができない。

6  争点5(本件破産申立てが有効であるか)について

原告は、c社とd社との間で行われた破産会社に対する債権の譲渡契約は、弁護士法73条及びサービサー法3条に違反する無効なものであり、本件破産申立ては、破産会社の債権者でない者によりなされた無効なものである旨主張する。

(1)  しかしながら、上記1(3)ア及びイの各認定事実を考慮してもなお、c社又はe社の法人格が形骸化していたことや、Dがc社及びe社の法人格を濫用していたことはいずれも認めるには足りない。

(2)  また、上記1(3)ウないしオの各認定事実によれば、証拠上認定することができるc社及びe社が行った債権の譲受けは各1回に過ぎず、c社が反復継続して債権の譲受け及び回収行為を行っていたものとは認められず、また、c社が債権の管理回収業を目的としていたとは認められない。

(3)  以上によれば、その他に原告が指摘する諸点を考慮しても、c社とd社との間で行われた債権譲渡が、弁護士法73条及びサービサー法3条に違反するものとは認められない。

そうすると、本件破産申立ては有効というべきであるから、原告の上記主張は理由がなく、採用することができない。

7  争点6(被告による本件否認請求が権利の濫用に当たるか)について

原告は、被告が破産財団から放棄されるべき本件不動産の任意売却に固執して本件否認請求を行ったことは、管財人報酬の増額を目的とした権利の濫用に当たる旨主張する。

(1)  しかしながら、上記1(1)ケの認定事実によれば、本件不動産を円滑に任意売却することができれば、破産財団から放棄した場合には生じない財団組入金の発生を期待することができる。

そうすると、破産管財人である被告が、本件不動産を可能な限り高額で任意売却することに努めることには合理性が認められる。

(2)  また、原告は、本件不動産の任意売却により財団組入金の発生が見込まれるとしても、固定資産税等の租税債権額を下回る場合には、破産管財人である被告は本件不動産を破産財団から放棄すべきである旨主張する。

しかしながら、一般に租税債権については交渉により減額され得ること(証拠(乙A11ないし14)及び弁論の全趣旨によれば、本件ホテルは、本件不動産が所在する地における重要な観光資源であり、また、雇用を創出してきたことが認められ、減額の可能性は十分に存在するものと考えられる。)に鑑みると、仮に本件不動産について、予想される財団組入金の額が、現時点での租税債権の交付要求額及び同予定額を下回るとしても、直ちに上記(1)の合理性が失われるものではないというべきである。

(3)  したがって、被告が本件不動産の任意売却を目指して本件否認請求を行ったことには合理性が認められるから、権利の濫用には該当せず、原告の上記各主張は理由がなく、採用することができない。

8  争点7(原告による相殺の可否)について

原告は、被告が原告に対して何らかの金銭債権を有しているとしても、原告も被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求権(22万6000円)を有していることから、上記金銭債権を受働債権とし、上記請求権を自働債権として対当額で相殺する旨主張する。

(1)  しかしながら、上記1(2)ア及びイの各認定事実によれば、被告は原告に対し、平成22年9月10日午後0時までに、本件不動産を任意に明け渡すように求めたに過ぎないこと、上記明渡しの期限を設定するに当たっては、原告の申出に応じて事実上約4日間の猶予を設けたこと及び原告も一旦は一定期間の猶予があれば任意の明渡しに応じることを承諾していたことが認められる。

これらの事情に加えて、被告は破産管財人として早期に破産財団に属する本件不動産の占有を確保すべき職責を負っており、被告に対し、賃借権を主張されたのみで封印執行や明渡し交渉を中止することを要求するのは適切とはいい難いことや、被告が、原告の主張する賃借権の存否を直ちに判断することは困難であるといえ、原告に対して法的措置をとることを促した上で、明渡し交渉を続行することが不適切とはいえないことなどを併せ考えると、本件不動産の明渡し交渉に関して被告の不法行為は認められない。

(2)  また、上記1(2)ア及びオの各認定事実によれば、被告は平成22年9月6日には、原告が使用していなかった部分に限定して封印執行を行っており、かつ、同月10日には、明示的に破産財団に属する動産に限って封印執行を行っていることが認められる。

そうすると、被告が、原告所有の動産について誤って封印執行した事実は認められないから、封印執行に関して被告の不法行為は認められない。

(3)  したがって、原告は被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求権を有していないというべきであるから、同請求権の存在を前提とする原告の上記主張は理由がなく、採用することができない。

9  賃料相当損害金について

以上に検討したとおり、本件否認請求により本件不動産についての原告の占有権原である本件契約(に基づく賃借権)は効力を失い、原告は被告が管理処分権を有する本件不動産を何ら権原なく違法に占有しているから、被告は原告に対し、上記占有の期間につき賃料相当損害金の損害賠償請求権を有する。

本件契約上の賃料額が月額700万円であることに鑑みると、原告が違法に本件不動産を占有することにより破産財産に与える損害額は、少なくとも月額700万円と認めるのが相当である。また、上記違法占有の始期は、本件否認請求の申立書が原告に送達された日(平成22年12月3日)の翌日と認められる。

したがって、被告は、原告に対し、上記損害賠償請求権に基づき、平成22年12月4日から本件不動産の明渡しに至るまで月額700万円の支払を求めることができる。

なお、証拠(乙B25)及び弁論の全趣旨によれば、上記賃料額は、平成21年8月1日、月額100万円に減額されているものの、これは本来賃貸人である破産会社が負担すべき必要費を原告が支出したことを踏まえた措置であることが認められるところ、上記損害額の算定に当たっては、減額前の賃料額を基礎とすべきである。

第4結論

以上によれば、本件否認請求は、破産法170条1項1号、160条1項2号の要件を満たすものと認められる一方で、原告の上記各主張は、いずれも採用することができない。

よって、被告の本件否認請求は理由があり、これを認容した本件決定は相当であるから、これを認可し、破産法175条5項、民事訴訟法259条1項を適用して仮執行宣言を付すこととし、訴訟費用の負担については民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 和田健 裁判官 吉田豊 中山洋平)

(別紙)<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例