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釧路地方裁判所 昭和47年(わ)214号 判決 1973年9月19日

事務所の所在地

標津郡標津町字標津八〇番地の五

法人の名称

標津漁業協同組合

代表者の住所

標津郡標津町字標津二番地の四

組合長理事

鈴木信近

本籍

標津郡標津町字標津二番地

住居

同番地の四

漁業協同組合役員

鈴木信近

大正五年九月一三日生

右のものらに対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官岸肇出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告標津漁業協同組合を罰金一五〇万円に、被告人鈴木信近を罰金四〇万円に各処する。

被告人鈴木が右罰金を完納することができないときは金五、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

訴訟費用は被告人鈴木信近の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告標津漁業協同組合は、標津郡標津町字標津八〇番地の五に事務所を置き組合員の漁獲物その他生産物の販売ならびに水産動植物の繁殖保護などの事業を行ない職員等に給与等の支払いをしているもの、被告人鈴木信近は昭和二八年から同組合の専務理事として、昭和四五年六月二二日から同組合の組合長理事として、同組合の業務全般を統括しているものであるが、同被告人において被告組合の業務に関し、源泉徴収に係る所得税の納付を免れようと企て

第一(一)  同組合が昭和四四年一一月一七日及び同月二〇日に伊藤義照外五一名に対して支払つた賞与は合計九九一万四、九九九円で、これに対し源泉徴収すべき所得税額は合計三五万一、〇三九円であるのにかかわらず、これを徴収せず

(二)  同組合が同年一二月九日に伊藤義照外五一名に対して支払つた賞与は合計一、四八七万二、四九九円で、これに対し源泉徴収すべき所得税額は合計六五万一、〇二九円であるのにかかわらず、これを徴収せず

(三)  同組合が同年一月一日から同年一二月末日までに伊藤義照外五一名に対して支払つた給料、賞与等の年末調整に際し前記(一)、(二)事実の賞与を除外して調整し、所得税額合計二五三万九、三三二円を徴収せず

第二(一)  同組合が昭和四五年一一月二五日及び同月三〇日に伊藤義照外五名に対して支払つた賞与は合計一、二〇三万八、四五〇円で、これに対し源泉徴収すべき所得税額は合計四三万四、六三〇円であるのにかかわらず、これを徴収せず

(二)  同組合が同年一月一日から同年一二月末までに伊藤義照外五五名に対して支払つた給料賞与等の年末調整に際し前記(一)事実の賞与を除外して調整し、所得税額合計一二一万八、〇七〇円を徴収せず

第三(一)  同組合が昭和四六年八月一〇日に松原隆一外五三名に対して支払つた賞与は合計二七〇万円四、七三〇円で、これに対し源泉徴収すべき所得税額は合計一四万二、一五六円であるのにかかわらず、これを徴収せず

(二)  同組合が同年一一月一五日に松原隆一外五三名に対して支払つた賞与は合計一、〇五六万八、八九〇円で、これに対し源泉徴収すべき所得税額は合計五一万七、三五七円であるのにかかわらず、これを徴収せず

(三)  同組合が同年一月一日から同年一二月末日までに松原隆一外五三名に対して支払つた給料、賞与等の年末調整に際し前記(一)、(二)事実の賞与を除外して調整し、所得税額合計一二五万三、七八七円を徴収せず

もつてそれぞれ各月の翌月一〇日までにこれを国に納付しなかつたものである。

(証拠)

判示全事実につき

一、被告人の当公判廷における供述ならびに同人の検察官に対する供述調書

一、被告人外二名作成の上申書

一、証人松原隆一の当公判における供述並びに同人の検察官に対する供述調書抄本

一、馴山猛、林光雄、高橋禅(昭和四七年一一月七日付)、若尾周也、藤本寿一の検察官に対する各供述調書

一、山本二郎外一名作成の調査事績報告書二通

一、根室税務署長作成の税の課税状況と題する書面

判示第一の全事実につき

一、高橋禅の検察官に対する昭和四七年一一月二八日付供述調書

一、押収の昭和四四年、四五年度賃金台帳兼源泉徴収簿(昭和四八年押三一号の1)、昭和四四年度給与計算書(同号の2)

判示第一の(一)、(二)の各事実につき

一、押収の昭和四四年度俸給支払明細書(同号の16)

判示第一の(一)の事実につき

一、押収の昭和四四年度仕訳票(同号の3)、同年度普通貯金台帳二綴(同号の18、19)

判示第一の(二)の事実につき

一、押収の昭和四四年度仕訳票三綴(同号の4乃至6)、同年度普通貯金(同号の7)、定期発行簿(同号の21)、無記名定期貯金発行簿(同号の22)

判示第二の全事実につき

一、押収の昭和四四、四五年度賃金台帳兼源泉徴収簿(同号の1)

判示第二の(一)の事実につき

一、押収の昭和四五年度仕訳票三綴(同号の8乃至10)、月掛個人別カード(同号の20)

判示第三の全事実につき

一、押収の昭和四六年度賃金台帳兼源泉徴収簿(同号の11)

判示第三の(一)、(二)の各事実につき

一、押収の月掛個人別カード(同号の20)

判示第三の(一)の事実につき

一、押収の昭和四六年度仕訳票二綴(同号の12、14)同年度俸給支払明細書(同号の17)

判示第三の(二)の事実につき

一、押収の昭和四六年度仕訳票二綴(同号の13、15)、メモ(賞与関係)(同号の23)

(適条)

判示第一の(一)乃至(三)、第二の(一)(二)の各事実は被告組合については所得税法二四四条一項、二四〇条一項に、被告人については同法二〇四条一項にそれぞれ該当するので、被告人につきいずれも罰金刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告組合を罰金一五〇万円に、被告人を罰金四〇万円に各処し、被告人が右罰金を完納することができないときは同法一八条により金五、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、訴訟費用は刑訴法一八一条一項本文により、被告人鈴木信近に負担させることとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 一之瀬健 裁判官 小杉丈夫 裁判官今井理基夫は出張のため署名押印することができない。裁判長裁判官 一之瀬健)

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