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釧路地方裁判所 昭和58年(ワ)147号 判決 1988年2月09日

原告

梅津三郎

右訴訟代理人弁護士

橘精三

右訴訟復代理人弁護士

加藤義明

被告

新太平洋建設株式会社

右代表者代表取締役

林敏明

被告

太平洋興発株式会社

右代表者代表取締役

根津武義

右両名訴訟代理人弁護士

組村真平

主文

被告らは原告に対し、連帯して金二一八万六六七八円及びこれに対する昭和五八年八月三一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

原告のその余の請求を棄却する。

訴訟費用はこれを四分し、その一を被告らの負担とし、その余を原告の負担とする。

この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告らは原告に対し、連帯して金一四四七万五〇〇〇円及びこれに対する昭和五八年八月三一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する被告らの答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  原告、被告らの関係

(一) 原告は、別紙物件目録記載一の土地(以下「原告土地」という。)及びその上に同目録記載二ないし四の各建物(以下、各建物をそれぞれ同目録記載の順に「原告第一建物」、「原告第二建物」、「原告第三建物」と、以上の建物を一括して「原告建物」という。)を所有し、原告第一建物において楽器店を、原告第二建物においてジュース工場を、原告第三建物においてアパートをそれぞれ経営していた。

(二) 被告太平洋興発株式会社(以下「被告太平洋興発」という。)は、原告土地の北東側隣接地である釧路市南大通三丁目二六番地の土地(以下「被告土地」という。)の上にマンション建設を計画し、昭和五五年春ころ、右建設工事(以下「本件工事」という。)を被告新太平洋建設株式会社(以下「被告新太平洋」という。)に請負わせ、同被告は、そのころから本件工事に着手し、昭和五六年四月ころ本件工事を完了した。

2  本件工事による原告の被害

原告土地及び本件土地付近(以下「本件現場付近」という。)は軟弱な地盤のため、本件工事に伴う震動等によつて地盤が変動し、その結果原告建物に別紙損傷一覧表記載のとおりの損傷が生じたほか、長年使用していた掘抜井戸は汚泥が混入しかつ水位が下がつて使用不能となる被害を受けた。

3  被告らの共同不法行為責任

(一) 被告新太平洋は、本件工事に際して、本件現場付近の地盤の強度その他の状況を調査し、工事施行によつて近隣の土地・建物に被害を与えることのないようにすべき注意義務があるのに、これを怠つて漫然工事を施行した過失がある。

(二) 被告太平洋興発は、本件工事が施行されるときは、本件現場付近の土地・建物に重大な影響を及ぼし、原告土地建物に被害を与えることが予想できたのであるから、請負人である被告新太平洋に対し、十分な注意を喚起しかつ具体的な影響を認識したときは適切な指図をするなどの措置をなすべき注文者としての注意義務があるのに、これを怠つて漫然被告新太平洋に任せたまま本件工事を続行させた過失がある。

(三) 従つて、被告らは、前記注意義務をそれぞれ怠つた共同不法行為者として本件工事により原告が被つた後記損害を賠償する責任がある。

4  損害

(一) 補修工事費

(1) 原告第一建物

四〇七万九七一四円

別紙損傷一覧表一記載の損傷部位の補修工事費用

(2) 原告第二建物

一三六万一二五三円

別紙損傷一覧表二記載の損傷部位の補修工事費用

(3) 原告第三建物

五五四万三八八〇円

別紙損傷一覧表三記載の損傷部位の補修工事費用

(二) 掘抜井戸再掘費 一五万円

(三) ジュース工場経営の休業補償費 一一四〇万円

原告のジュース工場経営は、年間売上が四八〇万円を下らない実績を有し、その原価は二〇パーセントを超えず、年間三八〇万円以上の純益を得ることができたものであるところ、原告第二建物が別紙損傷一覧表二記載の損傷を受けたことにより、原告はジュース製造を中断せざるを得なくなり、そのため顧客を失つて廃業のやむなきに至り、得べかりし利益を逸失した。従つて、原告は被告らに対し、右逸失利益を基準に、少なくともその三年間分についての休業補償を請求し得べきところ、その総額は一一四〇万円となる。

(四) アパート居住者退去による逸失利益 一〇七万一〇〇〇円

本件工事当時、原告第三建物には別紙賃借人一覧表記載のとおりの賃借人が居住していたところ、同表記載のとおり順次退去し、昭和五六年七月以降賃借人は皆無となつた。右退去の原因は本件工事の震動又は原告第三建物が別紙損傷一覧表三記載の損傷を受けたためであり、これにより原告は得べかりし家賃収入を失つた。従つて、原告は被告らに対し、右損傷の修理に要する期間、即ち少なくとも被告らの建築工事完成(昭和五六年四月ころ)後六か月間の家賃収入相当額をアパート居住者退去による逸失利益として請求し得べきところ、その総額は一〇七万一〇〇〇円となる。

よつて、原告は被告らに対し、連帯して右損害合計金二三六〇万五八四七円のうち金一四四七万五〇〇〇円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日である昭和五八年八月三一日から支払済みに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

請求原因1の事実は認める。同2の事実中、井戸水の水位が一時下がつたことは認めるが、その余の事実は否認する。同3、同4の事実は否認する。

なお、原告のジュース工場の廃業は、人工甘味料・人工着色料を使用した子供向けジュースに対する世論の動向から早晩廃業の方向にあつたものであつて、被告らの本件工事に藉口したものにすぎない。また、原告第三建物は、昭和三三年一〇月に建築されたもので既に二十数年を経過しているのだから、常時補修を行つて維持管理すべきものであるのに、原告は、これまであまり修繕などした形跡がなく、しかも本件工事後も裁判のためと称して被告らの補修の申出を全く受け付けず、全く手直しをすることなく荒れるにまかせて老朽化に拍車をかけ、このために賃借人に居住意欲を喪失させたものである。

第三  証拠<省略>

理由

一請求原因1の事実は当事者間に争いがない。

二本件工事の経過とその結果

1(一)  <証拠>を総合すると、次の事実が認められ、この認定を左右するに足りる証拠はない。

被告新太平洋は、本件の基礎工事として、昭和五五年七月三〇日から八月七日までの九日間にわたつて直径四五〇ミリメートル、長さ一二ないし一五メートルのPC杭(ただし、一部継ぎ杭をした。)七六本を打設する杭打工事を実施した。工法としては、アースオーガー(掘削機)で錐揉状に掘削した穴にPC杭を立て、これをジーゼルハンマーで打設するアースオーガー併用方式が採用され、騒音・震動が問題となるハンマー打設をなるべく少なくするように配慮したが、それでもPC杭一本当たり数百回のハンマー打設が行われた。その際の付近家屋内で感じる騒音・震動は、日常生活に支障を覚える住民がでる程で、原告の苦情によつて、釧路市環境部公害対策課において二度にわたつて騒音・震動の測定を実施したところ、うち一度は震動測定値が規制値七五デシベルを超えた76.5デシベルを示した(七五から八五デシベルは震度三の地震に相当)こともあつたため、同課から被告らに対し、騒音・震動について配慮するよう助言・指導がなされた。なお、現在ではアースオーガー併用方式は市街地では用いないようにとの釧路市の行政指導がなされており、当時においてもアースオーガー併用方式よりも震動の少ない工法がないわけではなかつたが、被告新太平洋は同工法を用いず、同太平洋興発もこの点につき格別の指示はしなかつた。そして、右の杭打工事により、原告の掘抜井戸の水位が低下した他、原告以外の付近住民複数から、被告らに対し、建物の基礎、風呂場のタイルまたは建物外壁に亀裂が生じたり、戸のたてつけが悪くなるなどの損傷が生じた旨の苦情が寄せられ、被告らにおいて補修工事がなされた。なお、原告建物は、右補修を受けた付近住民の建物よりも、被告土地に近接しているところ、被告らは原告に対しても、本件建設工事中に、雨漏りがするとの原告からの申し入れに応じ、原告建物の屋根の修理を行つた。また、被告太平洋興発は、同釧路支店不動産課長をして、被告新太平洋の実施した本件工事の管理・監督をさせていた。

(二)  <証拠>を総合すると、原告の依頼により、釧路市内で建設業を営む丸亀建設の担当者岡田進は、本件工事の完了した昭和五六年四月から三年以上経過した後である昭和五九年六月、別紙損傷一覧表のとおり補修を要する個所を写真に撮るなどして確認し、さらに二年経過した昭和六一年七月一四日、右丸亀建設は、その補修工事費用として、原告第一建物について四〇七万九七一四円、原告第二建物について一三六万一二五三円、原告第三建物について五五四万三八八〇円を要する旨の見積りをしたことが認められる。

2  右1(一)に認定した事実によると、本件杭打工事は、震動を発生させることにより近隣の建物に程度は別として一定の損傷を与える性質のものであつたと推認される。それに加えて、1の(二)で認定した別紙損傷一覧表の各要補修個所の内容は地盤の震動に起因すると考えても著しく不合理とはいえないこと(同表一の7の雨漏りについても、前記認定のとおり、被告らとして自然科学的(物理学的)因果関係を問うことなく屋根の修理をしているのであつて、社会事象としての因果関係は自認していると解することができる。)等を併せ考えると、本件工事は原告建物に要補修個所の発生に対して一定の影響を及ぼし、その損傷発生に寄与しているものといわなければならない。

三被告らの責任

1  被告新太平洋の責任

被告新太平洋は、本件工事の請負人として、本件現場付近の地盤の強度その他の状況を十分に調査したうえ、原告建物等に損害を与えないようなより震動の少ない工法で本件工事を進める注意義務があるというべきところ、前記二1(一)に認定したとおり、これを怠つて本件工事を行つたのであるから、これによつて原告が被つた後記損害を賠償すべき責任がある。

2  被告太平洋興発の責任

被告太平洋興発は、前記認定のとおり釧路支店不動産課長をして本件工事の管理・監督をさせていたのであつて、本件工事の実施、特に杭打工事による地盤震動により近隣の建物に損傷が発生することが予見できたから、注文者として、その点につき請負人である被告新太平洋の注意を喚起し、原告建物への損害発生を未然に防止する方策を講じさせる注意義務があるというべきところ、前記二1(一)に認定したとおり、これを怠つて本件工事の続行を被告新太平洋に許しているから、本件工事によつて原告の被つた後記損害を賠償すべき責任がある。

3  被告太平洋興発と同新太平洋は、注文者と請負人の関係にあるところ、右のとおりいずれについても不法行為責任があるから、連帯して損害賠償責任を負うというべきである。

四損害

1  原告建物損傷関係

前記二1(二)に認定したとおり、原告建物には別紙損傷一覧表のとおり要補修個所があるが、このうち本件工事に起因するもの、したがつて被告らが損害として賠償しなければならないものはどの範囲かについて検討する。

<証拠>によると、被告新太平洋は同太平洋興発の指示により、本件工事着工前の昭和五五年七月一四日及び同工事完了後の昭和五六年六月八日及び同月二一日に、原告建物の写真撮影をしたが、着工前の原告建物内部の撮影については原告からこれを拒否されたことが認められ、右撮影に基づく写真であることが争いのない乙第一号証(枝番を含む。)によると、本件工事着工前の時点で既に原告建物の外壁のモルタルには無数の亀裂が走り、原告第二建物の外壁タイルは一部剥離し、その入口部分においては土台と踏台の間に隙間が生じていること、本件工事完了後の原告建物の外壁の損傷は、同号各証で撮影された範囲内においては、右工事前のそれと顕著な相違のないことが認められるから、少なくとも原告建物の別紙損傷一覧表の一の11、二の3、三の4の各損傷の大半は、本件工事に起因したものということはできない。

してみると、右乙第一号証の撮影範囲外となつている原告建物の内部の損傷についても、本件工事に起因しないものが相当部分混入しているのではないかとの疑いをさしはさむ余地は十分あるといわなければならない。そして、<証拠>によると、原告第一建物は昭和四八年に建築、原告第二建物は昭和四五年に建築され、いずれも自動車交通量の多い大通りに面しており、長年にわたる自動車の通過に伴う震動が同建物に各種の影響を及ぼしたことは容易に推察されること、原告第三建物は昭和三三年に建築されたがもともと堅固な造りの建物でなかつたこと、同建物の損傷には凍上による狂いが相当影響していること、同建物は補修するよりも解体する方が経済的であると前記の丸亀建設の担当者が考えたほどであること、原告建物も時間の経過による損傷をまねがれないところ、原告は、本件杭打工事後原告建物に殆ど補修の手を加えないままにしていたことが認められる。このことに加えて、前記二1(二)で認定したとおり、丸亀建設の担当者による原告建物の要補修個所の確認は、本件工事が完了した時から三年後であり、補修費の見積りが書面でされたのは実に五年後であるから、原告建物に生じている損傷の全てが本件工事を原因として発生したものと評価することはできないし、本件工事に起因する原告建物の損傷を具体的に特定して認定することも困難である。しかし、二2に説示したとおり、本件工事が、原告建物の損傷発生に寄与していることは明らかであるから、このような場合には、建物損傷の部位・程度が具体的に特定できない故をもつて、損害の算定もできないとすることは相当ではなく、本件工事(特に、本件杭打工事)の内容・期間、生じた震動の程度、近隣建物に及ぼした一般的影響等のほか、原告建物に生じている要補修個所の内容・性質、工事前後の同建物の外見・状況、原告建物の場所的条件(自動車交通又は凍上による建物への影響の有無など)、原告建物の用途及び建築後の経過年数、要補修個所を確認した時期・補修費の見積りがされた時期等諸般の事情を考慮して、裁判所の合理的かつ合目的的裁量により、本件工事が原告建物の要補修個所(損傷)の発生に寄与した割合を判断することができるものと解するのが相当である。

そして、以上の諸事情を本件について総合的に考慮すると、本件工事が原告建物に発生している要補修個所(損傷)に及ぼした寄与の割合は、原告第一、第二建物についてはいずれも三割、原告第三建物については一割と認めるのが相当である。

ところで、前記二1(二)で認定した、原告建物の補修工事費用として見積られている金額は、その見積り時期が適当な時期かどうかは別として(この点を含めて、本件工事の建物損傷に対する寄与の割合を認定していることは前記のとおりである。)、補修工事を担当することのあるべき建設業者の見積り金額として一応損害算定の基礎とすることができると解されるから、結局、原告が本件工事により被つた建物損傷関係の損害は、原告第一建物につき一二二万三九一四円、同第二建物につき四〇万八三七六円、同第三建物につき五五万四三八八円、計二一八万六六七八円となる。

2  掘抜井戸再掘費

前記二1(一)で認定したとおり本件工事により井戸の水位が一時低下したことは認められるものの、井戸を再掘する必要性の有無及び再掘する場合の費用を認定するに足る証拠はない。従つて、右損害に関する原告の主張は理由がない。

3  ジュース工場経営の休業補償費

ジュース工場経営の休業補償費を損害として認める前提として、先ず、本件工事当時までジュース工場の経営がなされていたことが認められなければならないところ、原告本人尋問の結果にはこれに沿う供述があるものの、同尋問の結果によつて真正に成立したと認められる甲第六号証(ジュース工場の収益状況を記帳した帳簿)によると、同帳簿の記帳は、特段の事情も窺われないのに、昭和五三年一〇月分までで中断されているし、証人高野正幸は原告が本件工事前からジュースを製造していなかつたのではないかと思う旨証言しており、これら事実を併せ考えると、原告本人尋問の結果はにわかに措信することができず、他に本件工事当時までジュース工場の経営が続けられていたことを認めるに足りる証拠は存しないといわなければならない。また、ジュース工場を廃業した原因をみても、原告は、別紙損傷一覧表二の1の間隙にジュースの製造に使用する水が浸水する恐れがあつたためであると供述する一方、本件工事の震動でジュースにごみが入つてはまずいので製造をやめたかのような供述をしたり、あるいはジュースの製造を委せていた原告の弟が右震動を甘受した原告の態度に立腹してジュースの製造から手を引いてしまつたためであるかのような供述をしたりもしており、それ自体極めてあいまいである上、原告本人尋問の結果によると、原告のジュース工場は最盛期には一〇人位の従業員が稼働していたが、廃業間際には原告の妻、弟及びパートの主婦一人の合計三人となつていて営業が縮小傾向にあつたことが認められるのであるから、仮に本件工事当時までジュース工場の経営がなされていたとしても、その経営廃止の原因が本件工事の震動又は別紙損傷一覧表二記載の損傷に基づくものであると認めるには足りず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

従つて、右損害の賠償を請求する原告の主張は理由がない。

4  アパート居住者退去による逸失利益

<証拠>によると、本件工事着工当時には、別紙賃借人一覧表記録のとおりの賃借人が居住し、同表記載のとおり順次退去したことが認められる。しかしながら、弁論の全趣旨によれば本件工事の中で原告第三建物の損傷に最も大きな影響を与えたのは本件杭打工事であり、同工事は前記二1(一)で認定したとおり昭和五五年八月七日には終了しているにもかかわらず、別紙賃借人一覧表によると、最も早期に退去した賃借人においてもその退去時期は同年九月であるだけでなく、最も遅く退去した賃借人は同五六年六月まで居住していること、原告本人尋問の結果によると、原告は、本件工事着工以来、原告第三建物に何らの補修を加えていないことが認められ、これら事実に照らすと、右賃借人の退去の原因が本件工事の震動等に起因する原告第三建物の損傷に基づくものであるとする原告本人尋問の結果は容易に措信することができず、他に原告主張事実を認めるに足りる証拠はない。

従つて、右損害に関する原告の主張も理由がない。

五以上によれば、原告の本訴請求は、被告らが連帯して金二一八万六六七八円及びこれに対する不法行為の後で記録上訴状送達の日の翌日であることが明らかな昭和五八年八月三一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払うことを求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条本文、九三条一項本文を、仮執行の宣言につき同法一九六条一項を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官佐藤康 裁判官加藤新太郎 裁判官大熊一之)

別紙物件目録<省略>

別紙損傷一覧表

一 原告第一建物について

1 北側正面シャッター部分の西肩の沈下

2 北東角外部の地盤と柱との遊離

3 店舗床面の不等沈下による凹凸変型及び造り付けショーケースの歪曲

4 北側正面入口の自動ドアと床面との間隙

5 浴室南壁面の亀裂と窓の歪み

6 便所床と便器との遊離

7 一階南側和室の南壁面の雨漏り

8 二階南側廊下床面と敷居部分や壁面との間隙

9 建物の各柱が不均等に沈下し特定の柱に過重負担発生

10 その他全般的に間隙が生じている

11 全体的な外壁モルタルの亀裂及び剥離

二 原告第二建物について

1 東側壁面と土間との間隙

2 南西側ボイラー室の西側基礎に亀裂

3 全体的な外壁モルタルの亀裂及び剥離

三 原告第三建物について

1 中央廊下の波状変型

2 西側六畳間及び東側六畳間の床面の傾斜

3 全般的な間隙の拡大

4 全体的な外壁モルタルの亀裂及び剥離 以上

別紙賃借人一覧表<省略>

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