釧路地方裁判所北見支部 昭和53年(わ)65号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
【判旨】
(罪となるべき事実)
被告人兄弟は、共謀のうえ、
第一 <省略>
第二 前記A及びその同棲者であるB子(当時二二年)の両名に対し、強いて猥褻の行為をしようと企て、同日午前一時三〇分ころ、同町宮前二番地の三〇所在の遠軽神社裏の人家も人通りもない山道に右両名を連れ込み、同所において、右両名に対し、こもごも「ここで裸になつてやつてみれ」、「早く裸になれ」等と申し向けて脅迫し、その反抗を抑圧して右両名を全裸にさせたうえ、被告人兄弟の目前約二メートルの路上に全裸の右B子を仰向けに寝かせ、全裸の右Aをその上にのしかからせて、性交の姿態及び動作をとらせ、もつて、右両名に対し、強いて猥褻の行為をなし
たものである。
<中略>
(弁護人の主張に対する判断)
弁護人は、判示第二の罪につき、被告人両名の行為は、被害者をして性交の姿態及び動作をとらせそれを眺めるということに過ぎなかつたもので、みずから被害者に接触して猥褻の行為をしたものではないから、現行犯逮捕の罪名である強要罪ならともかく、強制猥褻罪は成立しない旨主張する。
しかし、刑法一七六条の強制猥褻罪は被害者の性的自由を主たる保護法益とするものであつて、本罪の成立には、犯人の性欲を刺激・興奮させ、または満足させるという性的意図のもとに、被害者の性的自由を侵害する行為をなせばたり、必ずしも被害者の身体に接触することを要するものではないと解すべきところ、被告人両名の判示第二の行為は、右の意図のもとになされた性的自由の侵害行為というに十分であるから、刑法一七六条前段の罪が成立するものであることは明らかである。弁護人の右主張は、採用することができない。
(梶村太市)
<後注>なお、罪数の問題もあるが、本判決は法令の適用欄においては、「被告人両名の判示第一の所為はいずれも刑法六〇条・二〇四条に、判示第二の所為はいずれも刑法六〇条・一七六条前段にそれぞれ該当するので……(中略)…、以上はいずれも同法四五条前段の併合罪なので……」と記載するのみである。