大判例

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釧路家庭裁判所 事件番号不詳 決定

少年 S(昭和一七・五・二五生)

主文

少年を特別少年院に送致する。

少年に対して昭和三三年八月五日当裁判所がなした少年を釧路保護観察所の保護観察に付する旨の保護処分決定はこれを取消す。

理由

一、罪となるべき事実

少年は、

一、法令に定められた運転の資格をもたないで、昭和三三年六月二七日午後一時四五分頃釧路市南大通二丁目七審地先道路に於て第二種原動機付自転車を運転し無謀な操縦をなし、

二、法令に定められた運転資格をもたないで昭和三三年六月二八日午前一〇時四〇分頃釧路市末広町六丁目地先道路に於て第二種原動機付自転車を運転し無謀の操縦をなし

三、法定の除外事由がないのに、昭和三三年八月五日午前九時四五分頃釧路市北大通五丁目六番地先の交通頻繁な道路に於て自転車の後方荷台にT当一五才を乗車させて運転をなし、

四、昭和三三年七月二七日午前〇時頃少年T、Wの両名を誘つて釧路市白金町五番地建築業太田勇治方道路を通行中偶々同宅材料置場内に於て釧路市○○○町××番地△△△寮内北海道○○銀行△支店行員U二七才と、釧路市○○町×××番地北海道○○銀行××支店行員V子二八才の両名が交接しているのを見るや、これを脅してやろうと相談し、少年は同人等の反撃することを予想してその反撃に備へ同材料置場塀内にあつた直径四、三糎、長さ九〇糎の棒切れを抜き取り、左手に持ち、少年等三名は被害者の約五米前附近迄近寄り、少年は被害者に対し「お前達そこで何をしているんだ」と声を掛けたところ被害者Uは起き上つて、少年等に近ずいて来て「お前等の知つたことでない、てめい等の心配する必要はない、青二才のくせに引込んでいろ」と言つて反抗の態度に出たので少年は矢庭に左手に所持していた前記の棒切れにて被害者Uの前額部を一回殴打して頭蓋骨陥没骨折の傷害を与え、因て同傷害に依る頭腔内出血脳圧迫に依り同日午後一時五十一分死に至らしめ、

五、昭和三三年九月一二日午後一一時より翌一三日午前五時頃迄の間少年X、Y、Zの三名と家出途中共謀して中川郡池田町新大通雑貨商仲尾直治方に侵入して、同人所有の金庫一個時価一、五〇〇円相当及現金四、〇〇〇円位煙草二点時価一〇〇円相当を窃盗し、

六、昭和三三年九月一三日午後一一時二〇分より翌一四日午前〇時迄の間少年Xと共謀して上川郡清水町南一条三丁目えびす屋商店坂上直治方に侵入して、同所内から同人所有の自動整理器時価三、〇〇〇円相当及在中の現金八〇〇円相当を窃取し、

たものである。

二、適条

一、乃至二の事実 道路交通取締法第七条第一項同第二項第二号

三、の事実 道路交通取締法施行令第四一条同法施行細則第九条

四、の事実 刑法第二〇五条第一項

五乃至六の事実 刑法第二三五条

三、主な問題点

(一)  少年は、知能は準正常であるが、情意不安定、衝動的で自己統制力が充分でなく、持続性並びに社会的適応性に乏しい。

(二)  少年は、当庁に係属すること傷害事件により二回、道路交通取締法違反事件により一回の計三回に及んでおりその為昭和三三年八月五日審判の結果、保護観察処分に付せられているにも拘らず、なお反省することなく本非行を重ねたもので、この儘放置すれば再犯の虞極めて濃厚である。

(三)  少年の家庭環境は、放任的で保護能力に欠けるので今後に期待ができず、他に少年を善導するのに適切なところはなく、且本件非行が前述の如く保護観察に付されて間もなくの再犯であることを斟酌するときは、在宅による矯正教育は期待できない。

四、処遇

以上、少年の生育史からみたパーソナリテイ、環境、本件非行の態様、其の他諸般の事情を考慮すれば、少年を特別少年院に送致して規律ある生活のもとに教育を施し、もつてその健全な育成を期するのが相当と認められる。

なお、昭和三三年八月五日なした少年を釧路保護観察所の保護観察に付する保護処分決定は本保護処分と競合するので、これを取消すのが妥当である。

よつて少年法第二四条第一項第三号、第二七条第二項少年審判規則第三七条少年院法第二条に基き主文のとおり決定する。

(裁判官 津村浩司)

別紙一(少年Tに対する保護処分決定)

主文

少年を釧路保護観察所の保護観察に付する。

理由

一、罪となるべき事実

少年は、昭和三三年七月二七日午前〇時頃少年S、Wの二名と釧路市白金町五番地建築業太田勇治方脇道路を通行中偶々同宅材料置場内に於て釧路市○○○町××番地△△△寮内北海道○○銀行△支店行員U二七才と、釧路市○○町×××番地北海道○○銀行××支店行員V子二八才の両名が交接しているのを見るや、これを脅してやろうと相談し、Sは相手方が反撃してくることを予想してその反撃にそなえ同材料置場塀内にあつた直径四、三糎長さ九〇糎の棒切れを抜き取り左手に持ち、同人等は被害者の約五米前迄近寄り、Sは被害者に対し「お前達そこで何をしているんだ」と声を掛けたところ、被害者Uは起きあがつて少年等に近ずいて来て、「お前等の知つた事でない、てめい等の心配する必要はない、青二才のくせに引つ込んでいろ」といつて反抗の態度に出たので、Sは矢庭に所持していた前記棒切れにて、被害者Sの前額部を一回殴打して頭蓋骨陥没骨折の傷害を与え、因て同傷害による頭腔内出血脳圧迫に依り同日午後一時五一分死に至らしめたものである。

二、適条

刑法第二〇五条第一項

三、要保護性

少年は、その資質被影響的で無気力、自己中心的で、学業を嫌つて小学校のみで終つている、交友は何れも不良徒輩であり、家庭における保護能力の欠如、職域環境不良等に鑑みこのまま放置するときは再び罪に走る蓋然性尠しとしないが、現段階では環境調整によつて少年の健全な育成を期することの可能性が認められる。依て、少年法第二四条第一項第一号、少年審判規則第二七条第一項により主文の通り決定した。

(昭和三三年一〇月一五日 釧路家庭裁判所 裁判官 津村浩司)

別紙二(少年Wに対する試験観察決定)

主文

少年を家庭裁判所調査官補常見庄司の観察に付する。

併せて少年の身柄を○○学園(○○市××△△の△△所在)主幹に補導委託する。

なお少年に対し次の遵守事項の履行を命ずる。

一、Rの監督に服し、無断外出、外泊をしないこと。

二、真面目に学校に通うこと。

三、犯罪性のある者、又は素行不良の者と一切交際しないこと。

四、近況などにつき、月必ず一度担当調査官に郵便で報告すること。以上

(裁判官 津村浩司)

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