釧路家庭裁判所北見支部 昭和54年(少)255号 決定 1979年9月26日
主文
少年を中等少年院(一般短期)に送致する。
押収してある現金七、〇〇〇円(一、〇〇〇円札七枚、昭和五四年押第一一号の一)は被害者Cに還付する。
理由
一 非行事実
少年はA、Bと共謀のうえ昭和五四年九月一日午前零時二〇分ころ、北見市○○コインスナック「○○○」で出会つたC(当二一年)外二名から金員を喝取しようと企て、同三〇分ころ店外に出て来た同人らに対しBにおいて木刀(昭和五四年押第一一号の二)を手にして「ちよつと待て」と呼び止めたところ、前記Cらは身の危険を感じて逃走したが、Aにおいてこれを追跡し偶々同市○○××番地先路上で転倒したCに追いつくや同人の腹部を一回蹴りつける暴行を加えたうえ「金を出せ」と要求し、もしこれを拒否すれば更にいかなる危害を加えるかもしれないとの気勢を示して同人を畏怖させ、よつて即時同所において同人から現金七、〇〇〇円(同押号の一)の交付を受けてこれを喝取したものである。
二 法令の適用
刑法二四九条一項、六〇条
三 処遇の理由
少年はこれまで窃盗、恐喝の非行歴を有するところ、昭和五四年七月末頃誘われるままに上記Aとともに暴力組織の構成員の配下となつてからは時々露店の手伝いをするほかは専ら徒遊の生活を送る状態となり、また同組織の支持・激励を受けて上記Bを加えた三名で「○○会」なる暴走族まがいのグループを組織化するべく、度々深夜迄徘徊しては半ば強制的に他の車に乗り込み同会への加入を勧誘するなどしていたものであつて、本件はそのような最中における非行である。
このように少年の非行傾向は従来から比較的に進んでいたのであるが、特に暴力組織に対する親和性の強さ並びに同組織に身を置いて以後の急速且つ極端な生活の乱れとその中で敢行された本件非行は少年の非行化の程度の深化を如実に物語るものであつて充分警戒されなければならない。
もつとも少年は今回はじめて少年鑑別所における生活を体験し、それを通じて過去の生活態度その他に対する一定の反省が芽生えつつあることは認められるけれども、それも充分強固なものと言うには程遠い。しかも保護者の少年に対する監護の熱意と能力にも大いに疑問が残るのであつて、以上の事実を総合して考慮するならば、この際少年を適当な施設に収容して規律正しい生活習慣と確固とした職業意識を身につけさせることが必要且つ相当であると考える。(その期間は少年の資質及び現在一定程度の反省を見せつつあることを考慮すれば比較的短期間で足りるものと考えられる。)
なお押収してある現金七、〇〇〇円(一、〇〇〇円札七枚、昭和五四年押第一一号の一)は被害者Cに還付すべきことが明らかであるから、これを同人に還付することとする。
よつて当裁判所は少年法二四条一項三号、少年審判規則三七条一項、少年院法二条三項、刑事訴訟法三四七条一項を適用して主文のとおり決定する。