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釧路家庭裁判所帯広支部 昭和34年(家イ)98号 審判 1960年4月13日

申立人 丸山いし(仮名)

丸山義男後見監督人

相手方 丸山洋一(仮名)

主文

一、申立人と丸山義男とを離婚する。

二、申立人と丸山義男との間に出生した長男丸山道男(昭和二十九年三月○○日生)及び二男丸山明男(昭和三十二年一月○日生)について、その親権者をいずれも申立人と、その監護者をいずれも相手方とそれぞれ定める。

三、相手方は右の離婚に伴う財産分与及び慰藉料として、金二十万円を、次の方法により分割し、申立人方に持参または送金をして支払はなければならない。

(1)  昭和三十五年四月三十日かぎり金十万円

(2)  同年十一月三十日かぎり金十万円

四、訴訟及び調停の費用は申立人及び相手方各自の負担とする。

理由

申立人は「申立人と丸山義男とを離婚する。申立人と丸山義男との間に出生した長男丸山道男及び二男丸山明男の親権者をいずれも相手方と定める。相手方は申立人に対し左の離婚に伴う財産分与として金二十万円、慰藉料として金十万円をそれぞれ支払うこと。訴訟費用は相手方の負担とする。」旨の調停を求め、その原因として、

申立人は丸山義男の妻、相手方は同人の父であるが、相手方は義男が昭和三十四年六月八日確定した禁治産宣告の裁判により禁治産者となつたので、昭和三十四年七月三日その後見監督人が就任したものである。申立人は義男と昭和二十九年三月○日婚姻し、同人との間に同月○○日長男道男を、昭和三十二年一月○日二男明男をもうけた。ところで義男は、申立人と婚姻した当時その健康状態に格別の異常がみられなかつたのに、昭和三十二年春頃から精神に異常をきたし、帯広市所在北海道立縁ケ丘脳病院に入院して治療を受けたが、ほとんど効果がなくて異常状態が継続し、申立人はそのままで同棲生活を続けることに危険を感じたので、同年五月十五日自ら持参した固有の調度品を持つて婚家を去り、以来その生家において独自の生活を立ててきた。その後義男は前述のようにその精神病を理由に禁治産宣告の裁判をうけたが、病状は依然として変りがなく、とうてい回復の見込はたてられない状況にある。以上は民法第七百七十条第一項第四号の事由にあるので、ここに申立人は義男と離婚する旨の調停を求めるものである。つぎに申立人と義男との間に出生した前記二子はいずれも現在未成年者であるが、その父である義男には如上の理由により親権を行使する能力がないので、その親権者はいずれも申立人と定めてもらいたい。また右二子の養育監護者は血族関係及び経済的能力の両面から考えて、義男の父であり後見監督人である相手方を選任するのが最も妥当であるとおもわれる。さらに申立人と義男との婚姻生活がかように破綻するにいたつたことについては申立人の側において一片の責任もなかつたこと、本件の離婚によつて申立人はその生活のみを失い女性として極めて大きな心身の打撃を受けたこと、義男及び相手方は合せて約二百五十万円に相当する資産を有すること等の事情を考えると、相手方は申立人に対し本件離婚に伴う財産分与として金二十万円を、慰藉料として金十万円をそれぞれ支払うべき義務があるから、その支払を求める。

と述べた。

相手方は第一項を除く主文各項と同旨の調停を求め

申立人が原因として主張する事実はすべて認めるが、申立人と義男とを離婚するとの点は訴訟または審判によつて判断してもらいたい、また本件離婚に伴つて相手方が申立人に対して支払うべき財産分与及び慰藉料の総額は金二十万円が相当である

と述べた。

そこで当裁判所は申立人と相手方との各主張を検討し、これを調整したところ、相手方においても申立人と義男とを離婚すること自体については実質的に異議がなく、ただ離婚の形式について訴訟または審判における判断によつてもらいたいというところに主張の重点が存することが明らかとなり、その他右離婚に伴う附随的事項については主文第二項から第四項のとおり守めることについて当事者双方に異存がないことになつたので、結局本件事案を家事審判法第二十四条第一項にもとずく審判により処理することを相当と認め、主文のとおりに審判をする次第である。

(家事審判官 西川潔)

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