釧路簡易裁判所 平成元年(ハ)928号 判決
(抄録)
「第三 争点に対する判断
一 (クレジットカードの利用契約)
一般にクレジットカードの利用契約にあっては、当該カードに有効期間(一年ないしは三年間)が表示されており、その期間を徒過すると更新されるという仕組みになっているのが常態とされる。ところで右契約に際し、カード利用者はその交付者に対して保証人をたてることが取引上要請されている。
本件について、弁論の全趣旨によれば、Y2は、右によりY1の将来の債務を連帯保証したものと認められる。
二 (継続的契約における「将来の債務」を保証した者の地位)
たとえば手形割引契約など継続的契約による将来の債務を期間の定めなく保証した者は、相当の期間を経過した後は、保証契約を解除することができると考えるべきである。
そこで本件についてみるに、XとY1との間でなされたクレジットカード利用契約は、その性質上継続性が認められ、Y2はその連帯保証人となったものであって、弁論の全趣旨にてらせば、特に保証期間に定めがあったものとは認められない。また相当期間経過後にXに対して保証契約を解除した事実を認めることもできない。
三 (「権利失効の原則」の適用)
一般に、権利者が信義に反して権利を長く行使しないでいると、消滅時効や除斥期間を待つまでもなく、権利の行使が阻止されるものと解されるところ、本件についてみるならば、XとY1との間で締結された保証契約の日は、昭和五四年九月六日であり、その後主債務者でありカード利用者であるY1のカードは数回にわたって更新されたと推認される事情のもとにあっては、Xから保証人であるY2に対し、更新後の保証意思の確認などをして、法律関係を明確にすべき措置をとっておく必要があったものというべきである。
ところで弁論の全趣旨によれば、Xは右措置をとったとする事実は認められず、単に、当初(昭和五四年九月六日)の保証契約があったからとして、平成元年四月二七日以降に生じたY1の債務についてその保証責任を求めているのである。このような事実関係のもとにあっては、保証契約によってXに認められた権利(保証責任を求めるとする社会生活上の法的利益)も、通常想定される更新時ごとの必要な措置を放置したことにより、しかもその期間も一〇年近くであることを考えるならば、Y2においても当初の保証契約によってはもはや保証責任を問われることがないと考えるのが普通であると解される。そうだとすれば、XのY2に対する本件保証責任の追及は、信義則上からして、もはや消滅時効若しくは保証契約を解除する意思表示を待つまでもなく、Y2の利益を保護すべきであって、その利益状況に鑑みXのY2に対する権利行使は阻止されると解するのが相当である。」