長崎地方裁判所 昭和31年(行モ)2号 決定 1956年2月20日
申請人 誠宏サルベージ株式会社
被申請人 香焼村
主文
本案判決確定に至るまで右行政処分の執行を停止し、右物件を破産会社香焼島工場より搬出することを禁止する。
(裁判官 林善助 田中正一 坂本喜美子)
(目録省略)
執行処分の停止の申請
東京都文京区真砂町壱五番地 申請人 誠宏サルベージ株式会社
右代表取締役 吉田種由
長崎市本大工町五八番地 右代理人 弁護士 神代宗衛
長崎市愛宕町 同 弁護士 伊吹幸隆
長崎県西彼杵郡香焼村 被申請人 香焼村
右代表者 村長 坂井孟一郎
滞納処分執行停止命令申請事件
見積価格 拾七万円也
申請の趣旨
申請人が破産者川南工業株式会社香焼島工場に於て保管中の別紙目録記載の物件につき被申請人香焼村が昭和三十一年二月十五日公売に附した滞納処分の執行は本案判決確定に至るまで之を停止し且つ被申請人等は右物件を右工場より他に搬出することを禁止する旨の御裁判を求むる。
申請の理由
一、申請人会社は元長崎産業株式会社と称していたが昭和三十一年一月十六日其商号を誠宏サルベージ株式会社と変更した。
二、別紙目録記載の物件は申請人会社が昭和三十年三月八日訴外川南工業株式会社より買受け其所有権を取得し同会社香焼島工場に於て保管中のものであるが被申請人香焼村は右物件を右訴外会社の所有なりとして同会社の固定資産滞納の故を以て差押をなし昭和三十一年二月十五日公売に附し被申請人松島幸三郎は之を代金拾万円にて競落した。申請人は被申請人松島幸三郎が右保管場所より之を搬出せんとしつゝあることを同月十七日に至り初めて確認した次第である。しかも差押物件の所在場所及数量の表示と公売物件の所在場所及数量の表示が喰違い数量を過少に表示して別紙目録記載物件全体の不正公売をなさんとしている。仍つて申請人は即日被申請人香焼村に対し電話を以て右公売の不当なることを告知したけれ共異議は勿論上級官庁に対し訴願をなす余裕は全然其機会なくしかも訴願の方法によるときは右公売による滞納処分が終結し申請人はそのため著しい損害を蒙むること必然であるので行政事件訴訟特例法第十条第二項に基き茲にその権利の保全を求むるため本申請に及んだ次第である。
疎明方法
疎第一号 資格証明書
疎第二号 売買契約書
昭和三十一年二月十八日
申請人代理人 神代宗衛
伊吹幸隆
長崎地方裁判所御中