長崎地方裁判所 昭和62年(わ)120号 判決 1987年7月14日
本店所在地
長崎県西彼杵郡琴海町村松郷三五四番地一
有限会社西村真珠養殖場
右代表者代表取締役
西村勇登
本籍
長崎県西彼杵郡琴海町村松郷三九九番地
住居
長崎市古川町一番一四号
会社役員
西村勇登
大正九年六月一一日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官米村俊郎出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人有限会社西村真珠養殖場を罰金四〇〇〇万円に、被告人西村勇登を懲役二年にそれぞれ処する。
被告人西村勇登に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人有限会社西村真珠養殖場(以下、「被告会社」という。)は、長崎県西彼杵郡琴海町村松郷三五四番一に本店を置き、真珠養殖等の業を営むもの、被告人西村勇登は、被告会社の代表取締役として、その事業全般を統括しているものであるが、被告人西村は、被告会社の右業務に関し、法人税を免れる目的をもって、その売上げの一部を除外し、仮名の定期預金としてこれを預け入れるなどの方法で所得を秘匿したうえ、
第一 昭和五八年二月一日から昭和五九年一月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得額は、二億二六五九万七三九六円で、これに対する法人税額は、九一八〇万九〇〇〇円であったにもかかわらず、同年三月三一日、同県長崎市松が枝町六番二六号所在の長崎税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額は、一億四五二三万一二三五円であり、これに対する法人税額は、五七六三万九四〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって被告会社の右事業年度の正規の法人税額との差額三四一六万九六〇〇円の法人税を免れ
第二 昭和五九年二月一日から昭和六〇年一月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得額は、二億四八二一万九九八三円で、これに対する法人税額は、一億〇二〇九万三三〇〇円であったにもかかわらず、同年四月一日、前記長崎税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額は、二億〇五八六万八八四二円であり、これに対する法人税額は、八三七六万一一〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって被告会社の右事業年度の正規の法人税額との差額一八三三万二二〇〇円の法人税を免れ
第三 昭和六〇年二月一日から昭和六一年一月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得額は、四億〇三三一万一八六一円で、これに対する法人税額は、一億六八六七万九五〇〇円であったにもかかわらず、同年三月三一日、前記長崎税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額は、二億一八四二万〇三七六円であり、これに対する法人税額は、八八六三万〇五〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって被告会社の右事業年度の正規の法人税額との差額八〇〇四万九〇〇〇円の法人税を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示各事実につき
一 被告人西村勇登の当公判廷における供述
一 同被告人の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書一一通
一 木原幸雄(三通、甲8、19、20)、鵜舟谷出、辻本達男、田口寛治、西村真一(二通)、原田信彦(二通)、内藤義昭の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 原田信彦、石原和視作成の各申述書
判示第一の事実につき
一 押収してある法人税確定申告書(昭和六二年押第二四号の1)
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲9)
判示第二の事実につき
一 押収してある法人税確定申告書(同号の2)
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲10)
判示第三の事実につき
一 押収してある法人税確定申告書(同号の3)
一 大蔵事務官作成の脱税計算書(甲11)
(法令の適用)
法律に照らすと、判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告会社については、さらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告会社については情状に鑑み同法一五九条二項を適用し、被告人西村については所定刑中懲役刑を選択することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内において罰金四〇〇〇万円に、被告人西村については同法四七条本文、一〇条により最も犯情の重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役二年にそれぞれ処し、被告人西村に対し同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 玉城征駟郎)