大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

長崎地方裁判所大村支部 昭和54年(ワ)34号 判決 1981年10月01日

原告 中山蔵

被告 国

代理人 古田泰巳 烏山克 中島耕一 ほか七名

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事  実<省略>

理由

一  まず、被告の除斥期間が経過したとの主張についてみるに、民法七二四条後段は損害発生の原因をなす加害行為の時を起算点として二〇年の経過をもつて画一的に損害賠償請求権が消滅する旨を規定したものというべきところ、<証拠略>によれば、被告は本件土地のうち六畝九歩についてこれを特定しないまま、買収の時期を昭和二三年二月二日として手続を進め、買収令書の交付ができなかつたため、昭和二四年一一月八日付長崎県告示第五八三号の四をもつて自作農創設特別措置法九条に基づく公告を行ない、また、残地三反八畝二一歩についてもこれを特定しないまま買収の時期を昭和二三年七月二日として手続を進め、買収令書を交付したこと、被告はその後、本件土地のうち別紙(一)目録一記載の土地を訴外藤吉政一に、同二記載の土地を訴外久保源次郎に、同三記載の土地を訴外相坂由雄にそれぞれ売り渡し、いずれも昭和二八年二月五日にその旨の所有権移転登記を経由したことが認められるから、被告の原告に対する加害行為は遅くとも右訴外人らに対する所有権移転登記をもつて終了したというべきである。しかして、本件訴が提起されたのは昭和五四年三月二九日であることは記録上明らかであるから原告主張の損害賠償請求権は右訴提起前に二〇年の除斥期間の経過によつて消滅したことも明らかというほかはない。

右のとおりであるから被告主張の抗弁三は理由がある。

二  よつて原告の本訴請求はその余の判断をなすまでもなく理由がないから棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 牧弘二)

別紙(一) 目録 <略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例