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長野地方裁判所 平成8年(わ)31号 判決 1996年6月11日

裁判所書記官

日向明久

本店の所在地

長野市皆神台二四番地

法人の名称

有限会社明成住設工業

(代表者 青栁曉男)

本籍

横浜市旭区下川井町二三二五番地

住居

長野市皆神台二四番地

会社役員

青栁曉男

昭和二二年六月二八日生

事件名

法人税法違反被告事件

検察官

保倉裕

主文

被告人有限会社明成住設工業を罰金七〇〇万円に、被告人青栁曉男を懲役八月にそれぞれ処する。

被告人青栁曉男に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社明成住設工業(以下、「被告会社」という。)は、長野市皆神台二四番地に本店を置き、給排水設備工事、配管工事等を目的とする資本金五〇〇万円の有限会社であり、被告人青栁曉男は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人青栁曉男は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、架空の仕入を計上して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  平成三年一一月一日から平成四年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が、四三八六万三六一円であったにもかかわらず、平成四年一二月二八日、長野市大字南長野西後町六〇八番地の二所在の所轄長野税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二七一万九〇〇五円でこれに対する法人税額が七四万六三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一五六七万二五〇〇円と右申告税額との差額一四九二万六二〇〇円を免れ

第二  平成四年一一月一日から平成五年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三八七八万五八五五円であったにもかかわらず、平成五年一二月二七日、前記長野税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が零で、納付すべき法人税額がない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一三七七万六七〇〇円を免れ

第三  平成五年一一月一日から平成六年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が、三六八八万一四四一円であったにもかかわらず、平成六年一二月二八日、前記長野税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一二二四万四二三六円でこれに対する法人税額が三八一万五〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一三〇六万一五〇〇円と右申告税額との差額九二四万六五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠) (括弧内の甲乙の番号は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。)

判示の全事実につき

一  被告人の公判供述、検察官調書(乙一四)

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書九通(乙一ないし七、一一、一二)

一  永山実(甲二二)、青栁敬子(甲二五)の各検察官調書

一  永山実(甲二一)、青栁敬子(甲二四)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  商業登記簿謄本(乙一五)

一  売上高調査書(甲一)、仕入高調査書(甲二)、外注費調査書(甲三)、給料手当・賞与調査書(甲四)、厚生費調査書(甲六)、交際費調査書(甲七)、消耗品費調査書(甲八)、租税公課調査書(甲九)、受取利息調査書(甲一一)、道府県民税利子割調査書(甲一三)、事業税認定損調査書(甲一六)、現金預金調査書(甲一七)、代表者勘定調査書(甲一八)

一  回答書(甲一九)

一  電話聴取書(甲二〇)

判示第二の事実につき

一  申告欠損金調査書(甲一四)

判示第三の事実につき

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(乙一〇)

一  雑給調査書(甲五)、雑費調査書(甲一〇)、雑収入調査書(甲一二)、欠損金当期控除額調査書(甲一五)

(法令の適用)

被告会社につき

罰条

判示の各行為 法人税法一六四条一項、一五九条一項

併合罪の処理 刑法四五条前段、四八条二項

被告人青栁曉男につき

罰条

判示の各行為 法人税法一五九条一項

刑種の選択 いずれも懲役刑

併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重)

刑の執行猶予 刑法二五条一項

(裁判官 仲宗根一郎)

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