長野地方裁判所 昭和55年(わ)79号 判決 1980年12月05日
本店所在地
長野県南安曇郡穂高町大字穂高一、六九二番地
有限会社 大王
右代表者代表取締役深澤沖正
本籍
同県同郡同町同大字同番地
住居
右 同
会社員深沢満寿美こと深澤ますみ
大正七年三月二日生
右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官玉井直仁出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告有限会社大王を罰金八〇〇万円に、被告人深澤ますみを懲役六月にそれぞれ処する。
被告人深澤ますみに対し、本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
(罪となるべき事実)
被告有限会社大王は、長野県南安曇郡穂高町大字穂高一、六九二番地に本店を置き、わさびの加工販売などを目的とする資本金五〇〇万円の有限会社、被告人深澤ますみは、被告会社の従業員として、被告会社の経理全般を統轄しているものであるが、被告人深澤ますみは、右被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、架空仕入れを計上するなどの方法により所得の一部を秘匿したうえ、
第一 昭和五一年三月一日から昭和五二年二月二八日までの事業年度における所得金額が四四、一一九、六四二円であり、これに対する法人税額が一六、七七九、四〇〇円であるにもかかわらず、昭和五二年四月三〇日、松本市城西二丁目一番二〇号所在の松本税務署において、同税務署長に対し、所得金額は一、四四八、二〇三円であり、これに対する法人税額は三八七、四〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により右被告会社の右事業年度における正規の法人税額とその申告税額との差額一六、三九二、〇〇〇円を免れ、
第二 昭和五二年三月一日から昭和五三年二月二月二八日までの事業年度における所得金額が八七、九一〇、七二三円であり、これに対する法人税額が三三、八〇九、四〇〇円であるにもかかわらず、昭和五三年四月二八日、前記松本税務署において、同税務署長に対し、所得金額は一一、〇四〇、四九七円であり、これに対する法人税額は三、一七二、三〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により右被告会社の右事業年度における正規の法人税額とその申告税額との差額三〇、六三七、一〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人深澤ますみの当公判廷における供述
一 右同人の大蔵事務官に対する供述調書(質問てん末書)一六通
一 右同人の検察官に対する供述調書
一 深澤沖正の当公判廷における供述
一 右同人の大蔵事務官に対する供述調書(質問てん末書)三通
一 右同人の検察官に対する供述調書
一 証人深澤勇市の当公判廷における証言
一 右同人の大蔵事務官に対する供述調書(質問てん末書)四通
一 右同人の検察官に対する供述調書
一 笠原幸美の大蔵事務官に対する供述調書(質問てん末書)二通
一 深澤勝美の大蔵事務官に対する供述調書(質問てん末書)
一 小野宏の大蔵事務官に対する供述調書(質問てん末書)一一通
一 右同人の検察官に対する供述調書
一 渡辺克重(二通)、望月秀雄(二通)、早川米正、望月喜一の大蔵事務官に対する各供述調書(各質問てん末書)
一 大蔵事務官手塚喜義作成の売掛金及び売店以外の売上調査書
一 大蔵事務官原正一作成の簿外買掛金調査書
一 右同人作成の個人収支調査書
一 右同人作成の個人収支明細書
一 大蔵事務官手塚喜義作成の大王農場のわさび収入金調査書
一 大蔵事務官原正一作成の深澤勇市農業(わさび)収獲量等検討書
一 右同人作成のわさび(丸堀)取引実例検討書
一 大蔵事務官小林繁治郎外二名共同作成の八十二銀行穂高支店調査関係書類
一 大蔵事務官渡辺達雄外二名共同作成の第一勧業銀行松本支店調査関係書類
一 大蔵事務官古平伸吾外一名共同作成の富士銀行松本支店調査関係書類
一 大蔵事務官藤沢範男外一名共同作成の協和銀行松本支店調査関係書類
一 大蔵事務官原正一作成の日本信託銀行松本支店調査関係書類
一 大蔵事務官滝沢光作成の松本信用金庫調査関係書類
一 大蔵事務官原正一作成の第一勧業銀行駒沢支店調査関係書類
一 右同人作成の定額郵便貯金の残高調査書
一 大蔵事務官唐沢昭善作成の割引農林債券残高及び償還益調査書
一 大蔵事務官成瀬正美外二名共同作成の農林中央金庫長野支所調査関係書類
一 大蔵事務官原正一作成の未納事業税調査書
一 松本税務署長作成の証明書三通
判示第一の事実につき
一 押収にかかる元帳(51・3・1~52・2・28)一綴(当裁判所昭和五五年押第二五号符号2)
一 同元帳(松本支店51・3・1~52・2・28)一綴(同押号符号4)
一 同売掛帳(51・3・1~52・2・28)一綴(同押号符号7)
一 同昭和五一年度売上明細書一綴(同押号符号9)
一 同買掛帳(51・3~52・2)一綴(同押号符号11)
一 同昭和五二年度買入明細書綴(同押号符号14)
判示第二の事実につき
一 押収にかかる元帳(52年度)一綴(当裁判所昭和五五年押第二五号符号1)
一 同支店元帳(52・3~53・2)一綴(同押号符号3)
一 同売上帳一綴(同押号符号5)
一 同売掛補助簿一綴(同押号符号6)
一 同本店売掛明細書(52・3~53・2)一綴(同押号符号8)
一 同買掛金補助簿(52・3~53・2)一綴(同押号符号10)
一 同仕入帳(松本支店)一綴(同押号符号12)
一 同本店買掛明細(52・3~53・2・28)一綴(同押号符号13)
一 同仕入帳(B)52年一綴(同押号符号15)
(法令の適用)
罰金 判示各事実につき法人税法一五九条一項、二項、一六四条一項(被告人深澤ますみにつき懲役刑選択)
併合罪の処理 被告有限会社大王につき刑法四五条前段、四八条二項。被告人深澤ますみにつき同法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第二の罪の刑に法定の加重)
執行猶予 同法二五条一項一号(被告人深澤ますみにつき)
(裁判官 小林宣雄)