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長野地方裁判所松本支部 事件番号不詳 決定

主文

被告人谷口同宮淵を各懲役四月に同一之瀬を罰金四万円に同岩淵同深沢を各罰金三万円に同林を罰金二万円に同贄川を罰金五千円に夫々処する。

被告人谷口同宮淵に対し各三年間右刑の執行を猶予する。

被告人一之瀬同岩淵同深沢同林同贄川に於て右罰金を完納不納のときは各金二百五十円を一日に換算した期間当該被告人を労役場に留置する。

被告人岩淵より金八千円同一之瀬より金一万二千円同宮淵より金七千五百円同林より金千円同贄川より金二千円を各追徴する。

被告人谷口同宮淵を除く其の余の被告人等に対し公職選挙法に依る選挙権及び被選挙権を有しない期間を各三年間とする。

訴訟費用中証人望月千代孝岩淵あきの岩淵州広に支給した分は被告人岩淵、証人上条海次郎小林とし江一之瀬桝に支給した分は被告人一之瀬、証人臼井淳宮川一誠宮川安幸に支給した分は被告人宮淵、証人贄川荒太百瀬嘉郎に支給した分は被告人贄川、証人臼井〓に支給した分は被告人宮淵同深沢、証人宮下義雄飯沼利平に支給した分は被告人宮淵同林の各負担とし其の他は被告人等全部の負担とする。

理由

第一、被告人等は昭和二十七年十月一日施行された衆議院議員総選挙の選挙人にして右選挙に際し長野県第四区から立候補した議員候補者吉田正の選挙運動者であるが同候補者に当選を得せしめる目的を以て

(一)  被告人谷口は

イ、同年九月初旬頃松本市新伊勢町土田屋旅館に於て被告人一之瀬に対し同候補者の為めの投票取纒方を依頼し其の報酬並に運動資金として現金三千円を供与し

ロ、同月中旬頃同所に於て同人に対し前同趣旨の下に現金二千円を供与し

ハ、同月下旬頃同所に於て同人に対し前同趣旨の下に現金七千円を供与し

ニ、同月十日頃同所に於て被告人岩淵に対し前同趣旨の下に現金三千円を供与し

ホ、同月二十一、二日頃同町三好屋旅館に於て同人に対し前同趣旨の下に現金五千円を供与し

ヘ、同月二十一日頃同所に於て被告人宮淵に対し前同趣旨の下に現金五千円を供与し

ト、同月二十三日頃前記土田屋旅館に於て同人に対し前同趣旨の下に現金二千円を供与し

(二)  被告人岩淵は

イ、同年九月十日頃前記土田屋旅館に於て被告人谷口より同候補者の為めの投票取纒方を依頼せられ其の報酬並に運動資金として現金三千円の供与を受け

ロ、同月二十一、二日頃前記三好屋旅館に於て同人より前同趣旨の下に現金五千円の供与を受け

(三)  被告人一之瀬は

イ、同年九月初旬頃前記土田屋旅館に於て被告人谷口より同候補者の為めの投票取纒方を依頼せられ其の報酬並に運動資金として現金三千円の供与を受け

ロ、同月中旬頃同所に於て同人より前同趣旨の下に現金二千円の供与を受け

ハ、同月下旬頃同所に於て同人より前同趣旨の下に現金七千円の供与を受け

(四)  被告人宮淵は

(A)イ、同年九月十四日頃前記土田屋旅館に於て被告人深沢より同候補者の為めの投票取纒方を依頼せられ其の報酬並に運動資金として現金五千円の供与を受け

ロ、同月二十一日頃前記三好屋旅館に於て被告人谷口より前同趣旨の下に現金五千円の供与を受け

ハ、同月二十三日頃前記土田屋旅館に於て同人より前同趣旨の下に現金二千円の供与を受け

(B)イ、同月十六日頃長野県東筑摩郡麻績村八二二七臼井〓方に於て右選挙の選挙人にして同候補者の選挙運動者である同人に対し同人の妻臼井春子を通じて同候補者の為めの投票取纒方を依頼し其の報酬として現金千円を供与し

ロ、同日頃被告人林肩書住居に於て同人に対し前同趣旨の下に現金千円を供与し

ハ、同月十八日頃同村八三四八宮川安幸方に於て右選挙の選挙人にして同候補者の選挙運動者である同人に対し前同趣旨の下に現金千円を供与し

ニ、同日頃同被告人肩書住居に於て右選挙の選挙人である宮川一誠に対し同候補者の為めの投票方を依頼し其の報酬として現金五百円を供与し

(C)  同日頃松本市緑町の道路上に於て被告人林に対し右選挙の選挙人にして同候補者の選挙運動者である宮下義雄に同候補者の為め投票取纒めの報酬として供与方を依頼して現金千円を交付し

(五)  被告人深沢は

イ、同年九月十四日頃前記土田屋旅館に於て被告人宮淵に対し同候補者の為めの投票取纒方を依頼し其の報酬並に運動資金として現金五千円を供与し

ロ、同月二十五日頃同所に於て被告人贄川に対し同候補者の為めの投票及び投票取纒方を依頼し其の報酬並に運動資金として現金二千円を供与し

(六)  被告人林は

イ、同年九月十六日頃同被告人肩書住居に於て被告人宮淵より同候補者の為めの投票取纒方を依頼せられ其の報酬として現金千円の供与を受け

ロ、同月二十四日頃同所に於て前記宮下義雄に対し同候補者の為めの投票取纒方を依頼し其の報酬として現金千円を供与し

(七)  被告人贄川は同年九月二十五日頃前記土田屋旅館に於て被告人深沢より同候補者の為めの投票及び投票取纒方を依頼せられ其の報酬並に運動資金として現金二千円の供与を受け

第二、被告人宮淵同林は同年十月一日施行された衆議院議員総選挙の選挙人にして右選挙に際し長野県第四区から立候補した議員候補者萩元隼人に当選を得せしめる目的を以て

(一)  被告人宮淵は同年九月十五日頃同被告人肩書住居に於て同候補者の選挙運動者である飯沼利平より前記候補者吉田正に対する活溌な選挙運動の取止方を依頼せられ其の報酬として現金千円の供与を受け

(二)  被告人林は同日頃同被告人肩書住居に於て前記飯沼より右萩元候補者の為めの投票及び投票取纒方を依頼せられ其の報酬並に運動資金として現金二千円の供与を受けたものである。

証拠の標目(省略)

法令の適用 判示各所為中被告人谷口の第一同宮淵の第一の(B)同深沢の第一同林の第一のロの各点は公職選挙法第二百二十一条第一項第一号罰金等臨時措置法第二、四条に同岩淵の第一同一之瀬の第一同宮淵の第一の(A)及び第二同林の第一のイ及び第二同贄川の第一の各点は同条項第四号罰金等臨時措置法第二、四条に同宮淵の第一の(C)の点は同条項第五号罰金等臨時措置法第二、四条に夫々該当するところ被告人谷口同宮淵に対し所定懲役刑を選択し併合罪であるから刑法第四十七条第十条に依り重い被告人谷口につき第一のハの罪の刑に同宮淵につき第一の(A)のロの罪の刑に法定の加重をした上同被告人等を各懲役四月に処し情状に因り同法第二十五条を適用して右被告人両名に対し三年間其の刑の執行を猶予すべく其の余の被告人五名に対し所定罰金刑を選択し被告人贄川を除き併合罪であるから同法第四十八条に依り法定の加重をした上被告人一之瀬を罰金四万円に同岩淵同深沢を各罰金三万円に同林を罰金二万円に同贄川を罰金五千円に各処し右罰金を完納不能のときは同法第十八条に依り金二百五十円を一日に換算して当該被告人を労役場に留置すべく尚公職選挙法第二百二十四条に従い被告人岩淵同一之瀬同宮淵同林及び同贄川より主文表示の金額を各追徴し又被告人谷口同宮淵を除く其の余の被告人五名に対し同法第二百五十二条第一三項に依り同法に規定する選挙権並に被選挙権を有しない期間を各三年間に短縮するを相当とし訴訟費用につき刑事訴訟法第百八十一条第一項に則り主文の如く決定した。(昭和二八年六月一日長野地方裁判所松本支部)

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