長野家庭裁判所 昭和39年(少)116号 1964年4月21日
主文
少年を中等少年院に送致する。
理由
(虞犯事実)
少年は二歳の時両親の離婚により、長野市○○町所在の尼寺○○庵○田○教方に引取られ以後中学三年の一二月まで養育されたものであるが、その頃少年が、宗家に入ることを拒んだことから実父O・Nの許に引取られたところ複雑な家庭環境の下にあつて、精神的安定を失い、中学校卒業後就職したが、全く保護者の指導監督に服さず○和印刷の印刷工員、○○紡績工員をはじめ十数回転職を重ね、正業を嫌つて知人を頼つて家出、放浪徒食しこの間昭和三七年八月頃偶々知り合つた○輪○一と長野市内の旅館白山荘に泊り不純異性交友をして自己の徳性を害する処為をなしその後、昭和三九年一月一五日頃から三月下旬頃まで、長野市△△町△出アパートの一室を借り結婚の意思もその見込もないのにも拘わらず○端○精(二一才)と不純交遊を続けていたが、同人の経済的援助も得られずその日の生活にも困る状態になつても正業に就く気もなく育ての親である上記○田○教方に行き金品を強要する等しており、保護者の正当な監督に服さない性癖があり、その性格環境に照し将来刑罰法令に触れる行為をするおそれがあるものである。
(適用法令)
少年法第三条第一項第三号
(要保護性)
少年は上記の非行に至つたものでありその年齢、家庭環境、少年鑑別所における鑑別結果にみる資質等に照しこの際従前の環境より遮断して相当期間適正な矯正教育を施す要あるものと認める。
よつて少年法第二四条第一項第一号、少年審判規則第三七条第一項により主文のとおり決定する。