大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

青森地方裁判所 平成10年(わ)47号 1998年7月15日

本籍

青森県西津軽郡鰺ヶ沢町大字中村町字中山ノ井二三七番地

住居

同右

肥料米穀販売業

成田正義

昭和七年八月五日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官大橋充直及び私選弁護人中林裕雄各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、青森県西津軽郡鰺ヶ沢町大字舞戸町字下富田三五番地の一四において、「成田米穀店」等の名称で肥料・米穀販売業等を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上金額の一部を除外しこれによって得た資金で家族名義の定期預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  平成五年分の実際総所得金額が三一八六万六二六三円であったにもかかわらず、平成六年三月一五日、同県五所川原市字柳町一番地所在の所轄五所川原税務署において、同税務署長に対し、平成五年分の総所得金額が二五七万三五五六円で、これに対する所得税額は四二〇〇円、これの源泉徴収額が一四万二五三〇円で差引所得税額は欠損となり、すでに源泉徴収された税額から一三万八三三〇円の還付を受けることとなる旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同年分の正規の所得税額一〇三四万二九〇〇円と右申告税額との差額一〇四八万一二〇〇円を免れ、

第二  平成六年分の実際総所得金額が六八四七万八二四四円であったにもかかわらず、平成七年三月一五日、前記五所川原税務署において、同税務署長に対し、平成六年分の総所得金額が三〇〇万二一四六円で、これに対する所得税額は一一万四三〇〇円、これの源泉徴収額が一三万九二六〇円で差引所得税額は欠損となり、すでに源泉徴収された税額から四万七八二〇円の還付を受けることとなる旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同年分の正規の所得税額二七〇七万四七〇〇円と右申告税額との差額二七一二万二五〇〇円を免れ、

第三  平成七年分の実際総所得金額が四八七八万五九六四円であったにもかかわらず、平成八年三月一五日、前記五所川原税務署において、同税務署長に対し、平成七年分の総所得金額が三六六万九四〇一円で、これに対する所得税額は二万〇二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同年分の正規の所得税額一一〇二万五五〇〇円と右申告税額との差額一一〇〇万五三〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

以下の〔 〕内に甲・乙として番号を記載したものは、証拠等関係カードに記載の検察官請求証拠の番号である。

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書九通〔乙二ないし一〇〕

一  成田守男の検察官に対する供述調書〔甲一七〕

一  大蔵事務官作成の調査書一八通〔甲一ないし一六、一八、一九〕

判示第一の事実について

一  所得税確定申告書一枚〔平成一〇年押第八号の三・甲二三〕及び修正申告書謄本〔甲二六〕

判示第二の事実について

一  所得税確定申告書一枚〔平成一〇年押第八号の四・甲二四〕及び修正申告書謄本〔甲二七〕

判示第三の事実について

一  所得税確定申告書一枚〔平成一〇年押第八号の五・甲二五〕及び修正申告書謄本〔甲二八〕

(法令の適用)

被告人の判示各所為は、いずれも所得税法二三八条一項に該当するところ、いずれも所定刑中懲役刑と罰金刑とを併科し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑について同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑について同法四八条二項により罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で、被告人を懲役一年及び罰金一五〇〇万円に処し、同法一八条により、右罰金を完納することができないときは金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

〔求刑 懲役一年及び罰金一七〇〇万円〕

(裁判官 井上秀雄)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例