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青森地方裁判所 昭和49年(わ)36号 判決 1974年12月09日

本店の所在地

青森県三沢市大字三沢字苗又一二二番地

青森県むつ小川原開発株式会社

代表者・代表取締役

伏見政二

本籍

東京都千代田区麹町五丁目七番地五

住居

東京都千代田区麹町五丁目七番地

会社役員

伏見政二

昭和七年三月二八日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官服部三男雄出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

1  被告会社を罰金四〇〇万円に、被告人伏見政二を懲役六月に各処する。

2  被告人伏見政二に対し、この裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、青森県三沢市大字三沢字苗又一二二番地に本店を置き、不動産売買および仲介等を目的とする資本金一〇〇万円の株式会社であり、被告人伏見政二は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括掌理しているものであるが、被告人伏見政二は、被告会社の業務に関し、法人税を免れる目的で、売上利益の全部又は一部を除外し、あるいは架空仕入れを計上して簿外資金を蓄積する等の不正の方法により、所得を秘匿したうえ、

第一、昭和四五年一二月一一日から昭和四六年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二、九七〇、五一〇円あつたのにもかかわらず、昭和四六年四月二八日、青森県十和田市西三番町一番三号所在の所轄十和田税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が一、七〇七、四四三円で納付すべき法人税額が零である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて、同会社の右事業年度の正規の法人税額八七八、八〇〇円をほ脱し、

第二、昭和四六年三月一日から昭和四七年二月二九日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五五、六六四、四六九円あつたのにもかかわらず、昭和四七年五月一日、前記税務署長に対し、所得金額が一、四六九、三四五円であり、これに対する法人税額が三九六、七〇〇円である旨の虚偽の確定申告を提出し、もつて、同会社の右事業年度の正規の法人税額二〇、一七九、四〇〇円と右申告税額との差額一九、七八二、七〇〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一、被告人伏見政二の当公判廷における供述

一、被告人伏見政二の検察官に対する供述調書三通

一、大蔵事務官の被告人伏見政二に対する質問てん末書二九通

一、大蔵事務官の横幕義浩(一二通)および下村富貴子(八通)に対する各質問てん末書

一、横幕義浩(三通)、原田輝夫および本間郁雄作成の各上申書

一、大蔵事務官作成の昭和四八年五月三〇日付銀行調査書

一、大蔵事務官作成の昭和四九年一月二四日付公表預金およびその受取利息調査書

一、大蔵事務官作成の昭和四八年五月二二日付差押てん末書二通

一、大蔵事務官作成の昭和四八年五月二四日付領置てん末書

一、登記官作成の登記簿謄本

一、押収してあるむつ小川原開発株式会社法人登記関係書類綴一冊(昭和四九年押第二七号の一)、土地売買契約書綴一冊(同押号の六)、普通預金通帳五冊(同押号の七および八)、手帳一冊(同押号の九)、普通預金通帳六冊)(同押号の一〇および一一)、契約書綴三冊(同押百号一二ないし一四)および不動産売買契約書綴一冊(同押号の一五)

判示第一の事実について

一、大蔵事務官の三戸康太に対する質問てん末書

一、大蔵事務官作成の昭和四九年一月二四日付簿外預金およびその受取利息調査書

一、足沢成男作成の回答書

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書および末納事業税額計算書(昭和四五年一二月一一日から昭和四六年二月二八日までのもの)

一、大蔵事務官作成の法人税修正確定申告書謄本(昭和四五・一二・一一~四六・二・二八事業年度分)

一、押収してある法人税確定申告書綴一冊(前同押号の二)、総勘定元帳一冊(前同押号の四)

判示第二の事実について

一、大蔵事務官の島崎梅次郎、米田武志(二通)、吉川隆(二通)、大沢政雄、仁尾敬一、村上幹男、大間清太郎、砂塚武久、山本邦子、熊谷誠一、笠石松三郎、勝孝一、小野幸夫、深渡瀬英海、柴崎景一、柳昌、村瀬銀梧、佐川由三郎および近藤昌平に対する各質問てん末書

一、近藤泰、小田勇五郎、久須美武夫、酒井淳、沢上与五郎、塩路晋一郎、中野英喜、種市岩蔵、岡田弥太郎、野月弥左男、中村喜代志および蛯名志保子作成の各回答書

一、岩田寛行、中込藤雄、新野輝雄および見城信哉作成の各上申書

一、返れい封筒三通

一、大蔵事務官作成の運用預り金関係調査書

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和四六年三月一日から昭和四七年二月二九日までのもの)

一、大蔵事務官作成の法人税修正確定申告書謄本(昭和四六・三・一~四七・二・二九事業年度分)

一、押収してある法人税確定申告書綴一冊(前同押号の三)、総勘定元帳(前同押号の五)、領収証控九冊(前同押号の一六)、領収証写一枚(前同押号の一七)、普通預金通帳一冊(前同押号の一八)、売買契約書綴一冊(前同押号の一九)、所得税源泉徴収簿一冊(前同押号の二〇)および普通預金通帳一冊(前同押号の二一)

(法令の適用)

一、被告会社

1  判示各所為について、法人税法第一五九条第一項、第一六四条第一項

2  併合罪の処理について、刑法第四五条前段、第四八条第二項

二、被告人伏見政二

1  判示各所為について、法人税法第一五九条第一項(懲役刑選択)

2  併合罪の処理について、刑法第四五条前段、第四七条本文、第一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に加重)

3  刑の執行猶予について、刑法第二五条第一項

(裁判官 立原彦昭)

右は謄本である。

昭和四九年一二月一二日

青森地方裁判所

裁判所書記官 館山信一

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