大判例

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青森家庭裁判所八戸支部 事件番号不詳 決定

少年 米兵D(一九三九・四・三生)

主文

本件を青森地方検察庁八戸支部検察官に送致する。

理由

(罪となるべき事実)

別紙のとおり。

(適用法令)

少年の該所為は、刑法第二一一条後段に該当するものであるが、本件罪質・情状に照らして、少年を刑事処分に付するを相当と認め、少年法第二〇条を適用し、主文のとおり決定する。

(裁判官 松沢二郎)

(別紙)

少年は、青森県上北郡○○○町所在、米国駐留軍○○航空基地、第××××作戦中隊通信課において、テレタイプ係として軍務に服しているものであるが、テレタイプ係には予てより口径〇・四五吋自動式拳銃一挺及び弾丸が支給せられこれが携帯使用は勤務中であつて、用済の機密文書を焼却するなど特定の場合に限られ少年も日頃の勤務で屡々これを携帯していたが、偶々昭和三三年八月一日、休務で飲酒後、浅慮にも無断で右拳銃を持出し、射撃練習をしようと考え、午後五時三〇分頃、前記通信課に赴き同課机の抽出中より、同拳銃一挺及び弾丸七発装填の弾倉一個を持出し、同九時頃、基地内旧高射砲大隊兵舎附近の野外広場でこれを空中に向け一弾発射しその際弾倉を抽出して一時射撃を中止したが、凡そ拳銃のような危険物を所有する者は、その取扱に細心の注意を払い、その使用が必要と認められないときは単に拳銃より弾倉を取出すに止まらず、続いてスライドを引き薬室内の弾を抽出するか、若しくは完全な安全装置を施すなと、暴発による危険の発生を未然に防止すべき当然の注意義務があるに拘らず、少年は不注意にも前記の如く単に弾倉を抽出したに止まり、薬室内の弾丸抽出等を失念して怠り、危険なきものと軽信し、完全に発射機能を閉鎖しない右拳銃を、その儘ズボンのバンドに差込んで携帯し、更に多くの射撃を試みるべく、再度通信課に赴き重包入弾倉二個を持出した後、偶々同課附近の道路上を流していた加賀昭(死亡当時三一年)の運転するステートサイドタクシーを呼び止め、これに乗車して基地北門附近射撃場に通ずる道路を進行中、午後九時三〇分頃、同人の右後方約九〇糎の同車内後部座席で右拳銃と弾倉とを取出したが、斯る場合危険な銃器を取扱う者としては、実弾射撃は謂うに及ばず、仮令点検の為空射する場合と雖も、苟も人に銃口を向け、その他危害を与える様な方法でこれを操作したり、玩弄すべきではなく道路両側は野外であり、且当時は自動車等の通行も比較的疎であつたのであるから、須く車外に出でて行うなど、危険の発生を未然に防止すべき当然の注意義務があるに拘らず、少年は事茲に出でず、車内で操作するも危険なきものと軽信し、前記の如く拳銃等を取出すや、不注意にもその銃口を同人の右顔面に向け乍ら、これを弄んでいるうち、該所作を瞥見したか、或は物音を聞いた同人が、車を一時停止し、その頭部を半ば右に回らした瞬間、更に不注意にも不図空射を思い立つて引金を引いたため、前記の如く薬室内に残存せる一弾が発射され、同人の右頬部より左耳部後を貫き、因つて同人をして右貫通銃創に基く椎骨動脈損傷によつて流出した血液の吸引による窒息のため即死せしめ、以て叙上の注意義務懈怠の競合による重大な過失により同人を死に至らしめたものである。

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