青森家庭裁判所弘前支部 昭和46年(少)187号
主文
少年を育森保護観察所の保護観察に付する。
少年に対して昭和四四年五月二四日付をもつて言渡した少年を青森保護観察所の保護観察に付する旨の決定は、これを取り消す。
理由
(非行事実)
少年は、自動車の運転の業務に従事している者であるが、
(1) 飲酒の上昭和四五年一〇月二六日午後一一時ごろから普通乗用自動車(青○×○○○○号)を運転して帰途についたところ、当時、酔が回つて前方注視など不十分となり正常運転ができなくなる状態であつたのに、予め休息して酔の醒めるのを待つことなく、あえて前記自動車を運転して、同日午後一一時一五分ころ、○町通りから○○通り方面に向け時速約五〇粁で青森○○○丁目○○の○○番地先交差点にさしかかつたが、同所は左右の見通しの悪い交差点であり、かつ雨のため路面が湿潤しており、さらに少年自身上記のごとき酩酊状態にあることからして、十分な前方注視をなすはむろんのこと減速ないしは徐行をなすなどにより事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があるのに、これらを怠り、漫然前記同一速度で運転を続けたため、前記交差点右側から左側に進行して来た○藤○運転の普通乗用自動車(青○△○○○○号)に気付かず、自車の約四・四メートル手前に接近して初めてこれを発見したが、急制動の措置をとるいとまなく自車前部を同車に衝突させ、よつて同人に対し加療約一〇日間を要する顔面および左大腿挫傷、右肩関節部および右手関節部打撲傷の傷害を与え、
(2) 呼気一リットルにつき〇・二五ミリグラム以上のアルコールを身体に保有し、その影響により正常な運転ができないおそれがある状態で、前同日同時刻ころ同所附近で前記のとおり普通乗用自動車を運転したものである。
(適条)
(1)の事実 刑法第二一一条前段。
(2)の事実 道路交通法第六五条第一項、第一一七条の二第一号。
(要保護性)
少年は、これまでに無免許運転四回、速度違反三回および一回の業務上過失傷害の各非行を連続して敢行し、昭和四四年五月二四日当裁判所において保護観察処分に付せられ、この他に速度違反により二回にわたつて少年法第二〇条に基づく検察官への送致決定を受けるなどの前歴を有する者である。
本件非行の態様はきわめて悪質かつ危険なものであつて、上記のような前歴を有する者が、あえて本件非行に及ぶ心理は理解に苦しむものである。自己の行為がいかに人命を軽視しているか、この際、とくと反省しなければならない。保護者も本件の如き非行に対する世人の批判をよくきき、少年の同種非行の再発を防止するためまじめに対策を考えねばならない。これまでの保護者および少年の態度は無責任に過ぎる。
以上のとおりであるから、少年に対し強力な指導、監督を施すよう少年を相当期間保護観察に付することとする。従来の保護体制を一変し、効果的な指導がなされるよう特段の努力を要することを付言する。
よつて、少年法第二四条第一項第一号、少年審判規則第三七条第一項を、保護観察処分の取り消しについては少年法第二七条第二項をそれぞれ適用したうえ、主文のとおり決定する。
(裁判官 近藤敬夫)