静岡地方裁判所 平成15年(行ウ)6号 判決 2004年12月09日
原告 株式会社A
同代表者代表取締役 甲
同訴訟代理人弁護士 豊田正彦
同補佐人税理士 丙
被告浜松東税務署長 西川孝夫
同指定代理人 森田強司
同 鈴木英嗣
同 櫻井保晴
同 菅原勝哉
同 髙橋孝信
同 出雲朗仁
同 内藤宜彦
主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 被告が平成13年6月15日付けでした原告の平成11年9月1日から平成12年8月31日までの事業年度の法人税に関する過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。
2 被告が原告の平成11年9月1日から平成12年8月31日までの事業年度の法人税の更正の請求に対して平成14年2月12日付けでした更正をすべき理由がない旨の通知処分を取り消す。
第2 事案の概要
1 本件は、原告が、平成12年10月31日、被告に対し、平成11年9月1日から平成12年8月31日までの事業年度(以下「平成12年8月期」といい、他の事業年度についても同様の呼称を用いることとする。)の法人税につき確定申告書(以下「本件確定申告書」という。)を提出したところ、被告所部係官から、本件確定申告書において退職給与引当金超過額戻入として96万5598円を所得金額から減算していること(以下「本件減算処理」という。)は誤りであると指摘されたため、平成13年4月10日、被告に対し、その指摘に従った内容の修正申告書(以下「本件修正申告書」という。)を提出したが、被告は、原告に対し、同年6月15日付けで過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)をし、さらに、原告が、本件確定申告書の本件減算処理は誤りではなかったとして、平成13年10月23日、更正の請求をしたのに対し、被告は、平成14年2月12日付けで更正をすべき理由がない旨の通知(以下「本件通知処分」という。)をしたことから、原告が、被告に対し、本件賦課決定処分及び本件通知処分はいずれも違法であるとして、これら各処分の取消しを求める事案である。
2 関係法令の定め
(1) 退職給与引当金勘定について
ア 退職給与引当金勘定の繰入額の損金算入について
法人税法(平成13年法律第6号による改正前のもの。以下同じ。)54条1項は、「内国法人で政令で定める退職給与規程を定めているものが、その使用人の退職により支給する退職給与に充てるため、各事業年度において損金経理により退職給与引当金勘定に繰り入れた金額については、当該金額のうち、当該事業年度終了の時において在職する使用人の全員が自己の都合により退職するものと仮定して計算した場合に退職給与として支給されるべき金額の見積額のうち当該事業年度において増加したと認められる部分の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。」と規定している。
そして、法人税法施行令(平成13年政令第135号による改正前のもの。以下「施行令」という。)106条1項は、上記「政令で定めるところにより計算した金額」(繰入限度額)について、次の(ア)退職給与発生基準額と(イ)累積限度基準額のうちいずれか少ない金額とする旨を定めている。
(ア) 退職給与発生基準額(同項1号)
次のaの金額からbの金額を控除した金額
a 期末退職給与の要支給額(同号イ)
各事業年度終了の時において在職する使用人の全員がその時において自己の都合により退職するものと仮定した場合に、各使用人につきその時において定められている退職給与規程により計算される退職給与の額の合計額
b 当期末在職使用人の前期末退職給与の要支給額(同号ロ)
上記aに規定する使用人のうち前事業年度終了の時から引き続き在職している者の全員がその時において自己の都合により退職するものと仮定した場合に、各使用人につきその時において定められている退職給与規程により計算される退職給与の額の合計額
(イ) 累積限度基準額(同項2号、平成10年政令第105号附則12条1項)累積限度額(平成11年4月1日から平成12年3月31日までの間に開始する事業年度については、期末退職給与の要支給額の100分の33に相当する金額)から、当該事業年度終了の時における前事業年度から繰り越された法人税法54条2項に規定する退職給与引当金勘定の金額を控除した金額
イ 退職給与引当金勘定の金額の取崩しについて
法人税法54条2項は、「退職給与引当金勘定の金額(前項の規定により各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたものに限るものとし、既にこの項により取りくずすべきこととなったものを除く。以下この条において同じ。)を有する内国法人は、その使用人が退職した場合(中略)には、政令で定めるところにより、その退職給与引当金勘定の金額を取りくずさなければならない。」と規定し、施行令107条1項柱書及び同項1号は、上記「退職給与引当金勘定の金額」を有する内国法人は、「使用人が退職した場合において、その使用人が前事業年度終了の時において自己の都合により退職するものと仮定した場合にその時において定められている退職給与規程により退職給与の支給を受けるべきとき」は、「その使用人の退職の時における退職給与引当金勘定の金額のうち当該退職給与の額に相当する金額に達するまでの金額」を取り崩さなければならない、と定めている。
そして、法人税法54条3項は、「前項の規定により取りくずすべきこととなった退職給与引当金勘定の金額又は同項の規定に該当しないで取りくずした退職給与引当金勘定の金額は、それぞれその取りくずすべきこととなった日又は取りくずした日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。」と規定している。
他方、法人税法基本通達(平成14年課法2-1による改正前のもの。以下「基本通達」という。)11-4-16は、「法人が退職給与引当金勘定の金額につき、令107条1項の規定により取り崩すべき金額を超えて取り崩した場合において、当該退職給与引当金勘定の金額のうちに繰入限度超過額があるため、その超える部分の取崩額のうち繰入限度超過額に達するまでの金額を確定申告書において損金の額に算入したときは、これを認める。」として、退職給与引当金繰入限度超過額の認容について定めている。
なお、施行令107条1項柱書及び同項3号は、前記「退職給与引当金勘定の金額」を有する内国法人は、「正当な理由がないのに退職給与規程に基づく退職給与を支給しない事実があった場合」について、「その事実があった日における退職給与引当金勘定の金額」を取り崩さなければならないと定め、基本通達11-4-14は、この「正当な理由」がある場合には、「例えば、使用人に不正があった等のため解雇したときのように、社会通念上退職給与を支給しないことが相当であると認められる場合」がこれに該当すると定めている。
(2) 過少申告加算税について
国税通則法(以下「通則法」という。)65条1項は、期限内申告書が提出された場合において、修正申告書の提出があったときは、当該納税者に対し、その修正申告に基づき通則法35条2項の規定により納付すべき金額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する、と規定している。
もっとも、通則法65条5項は、同条1項の規定は、「修正申告書の提出があった場合において、その提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」は適用しない、と規定している。
3 前提事実(争いのない事実については証拠を掲記しない。)
(1) 当事者
原告は、雑貨等の販売等の業務を営む株式会社であり、退職給与規程を有している(甲10の2及び弁論の全趣旨)。
(2) 原告の平成11年8月期(前事業年度)の経理処理及び確定申告
原告は、平成11年8月期の経理処理においては、貸借対照表の負債の部に退職給与引当金勘定の金額を1287万4640円と計上し、このうち96万5598円については、当該事業年度の退職給与引当金繰入限度超過額として、当該事業年度の法人税の確定申告書の別表四「所得の金額の計算に関する明細書」(以下、単に「別表四」という。)において、同金額を所得金額に加算する申告調整をするとともに、別表五(一)「利益積立金額の計算に関する明細書」(以下、単に「別表五(一)」という。)において、同金額を利益積立金額の当期中増額分として計上した。その結果、翌期首(平成12年8月期首)現在の退職給与引当金に係る利益積立金額は、96万5598円となった。(甲12、乙4、5)
(3) 原告の平成12年8月期(本事業年度)の経理処理及び確定申告
ア 原告は、平成12年8月期中に退職した使用人7名に対し、合計885万4750円の退職給与を支給したが、各使用人の退職給与支給額及び前期末退職給与要支給額は、別紙「平成12年8月期の退職者の退職給与等について」記載のとおりである(甲10の1、甲17)。
イ 原告は、平成12年8月期の経理処理において、退職給与引当金勘定の金額のうち1143万5200円を取り崩した上、上記退職給与支給額885万4750円との差額である258万0450円を退職給与戻入として収益(益金)に計上し、他方、当期の退職給与引当金繰入として976万0680円を費用(損金)に計上した。そして、貸借対照表の負債の部に退職給与引当金勘定の金額を1120万0120円と計上した(期首退職給与引当金残高1287万4640円-退職給与引当金取崩額1143万5200円+退職給与引当金繰入額976万0680円=期末退職給与引当金残高1120万0120円)。(甲7から9、乙1から3)
ウ 平成12年8月期の退職給与引当金繰入限度額は724万8900円であり、前記退職給与引当金繰入額976万0680円のうち同繰入限度額を超える額である251万1780円が当該事業年度の退職給与引当金繰入限度超過額であった(甲7、8、乙1、3)。
エ 原告は、上記退職給与引当金繰入限度超過額251万1780円について、本件確定申告書の別表四において、所得金額に加算する申告調整をするとともに、別表五(一)において、同金額を利益積立金額の当期中増額分として計上したが、他方で、別表四において、退職給与引当金超過額戻入として96万5598円を所得金額から減算する申告調整(本件減算処理)をするとともに、別表五(一)において、同金額を利益積立金額の当期中減額分として計上した(甲7、乙1)。
オ 原告は、平成12年10月31日、被告に対し、同年8月期の所得金額を1億3520万5718円、差引所得に対する法人税額を4365万2400円とする本件確定申告書(乙1等)を提出した(争いのない事実及び乙1)。
(4) 本件修正申告書の提出及びそれに至る経緯等
ア 当時浜松東税務署の特別国税調査官部門に所属していた乙(以下「乙調査官」という。)は、本件確定申告書の審査を担当することとなり、本件確定申告書及びその添付書類の内容を検討した結果、本件減算処理が誤りであると判断した。
そこで、乙調査官は、平成13年3月28日、電話で、本件確定申告書の作成を担当した原告の関与税理士丙(以下「丙税理士」という。)に対し、退職給与引当金超過額戻入として96万5598円を別表四で減算しているのは誤りである旨を告げ、その検討を促した。これに対し、丙税理士は、検討した上で改めて連絡すると回答した。
(以上につき、甲18、乙8、11)
イ 丙税理士は、同月29日、電話で、乙調査官に対し、早急に修正申告書を提出すると伝えた(甲18、乙8)。
ウ ところが、同年4月10日になっても修正申告書の提出がなかったので、乙調査官は、同日、丙税理士の事務所に電話をして、丙税理士又はその事務員に対し、修正申告書の提出はいつになるかと尋ねたところ、丙税理士又はその事務員は、乙調査官に対し、その日の提出を回答した(甲18、乙8)。
エ 原告は、同日、被告に対し、本件修正申告書(乙3等)を提出した。
原告は、本件修正申告書の別表四においては、乙調査官の指摘に従って本件減算処理をせず、退職給与引当金超過額戻入を計上しないこととするとともに、別表五(一)においても、利益積立金額の当期中減額分を計上しなかった。その結果、本件修正申告書においては、原告の平成12年8月期の所得金額を1億3617万1316円(本件確定申告書における所得金額1億3520万5718円に、本件減算処理に係る退職給与引当金超過額戻入額96万5598円を加えた金額に相当する。)、差引所得に対する法人税額を4398万3900円とした。
(以上につき、争いのない事実及び乙3)
オ なお、原告は、同日、被告に対し、本件修正申告に基づく増加税額33万1500円を納付した(争いのない事実)。
(5) 本件賦課決定処分
被告は、平成13年6月15日付けで、原告に対し、過少申告加算税3万3000円を賦課する旨の本件賦課決定処分をした(争いのない事実)。
(6) 更正の請求及び本件通知処分
原告は、本件確定申告書の本件減算処理は誤りではなく、本件修正申告書の提出が誤りであったとして、平成13年10月23日、所得金額及び法人税額を本件確定申告書のとおりの金額とすべき旨の更正の請求をした。
これに対して、被告は、平成14年2月12日付けで、原告に対し、本件通知処分をした。
(以上、争いのない事実)
(7) 異議申立て及び審査請求等
ア 原告は、本件賦課決定処分を不服として、平成13年7月19日、被告に対し、異議申立てをしたが、これに対して、被告は、同年10月5日付けで棄却の決定をした。
原告は、この決定を不服として、同月23日、国税不服審判所長に対し、審査請求をしたが、同所長は、平成14年12月3日付けでこれを棄却する旨の裁決をし、同月5日、原告に同裁決書謄本が送達された。
(以上、争いのない事実)
イ 原告は、本件通知処分を不服として、平成14年4月1日、被告に対し、異議申立てをしたが、これに対して、被告は、同年5月23日付けで棄却の決定をした。
原告は、この決定を不服として、同年6月10日、国税不服審判所長に対し、審査請求をしたが、同所長は、同年12月3日付けでこれを棄却する旨の裁決をし、同月5日、原告に同裁決書謄本が送達された。
(以上、争いのない事実)
ウ 上記ア及びイの各棄却裁決を受けた原告は、平成15年2月25日、本件賦課決定処分及び本件通知処分の取消しを求めて本件訴えを提起した(顕著な事実)。
4 争点
(1) 本件減算処理の適否
(原告の主張)
ア(ア) 退職した使用人に不正等があったため、退職給与が減額された結果、当該使用人に現実に支給された退職給与の額が当該使用人に係る前期末要支給額を下回る場合には、当該使用人の退職時における退職給与引当金勘定の金額のうち取り崩さなければならない金額は、上記現実に支給された退職給与の額である。
この場合において、上記前期末要支給額に相当する金額を取り崩したときは、このうち上記現実支給額を超える部分の取崩額については、任意に取り崩したものにすぎず、施行令107条1項3号及び基本通達11-4-14にいう「正当な理由」による取崩しとなる。
そして、上記超える部分の取崩額のうち、繰入限度超過額に達するまでの金額を確定申告書において損金の額に算入したときは、基本通達11-4-16の定めにより、その損金算入が認められることとなる。
(イ) 本件の場合、平成12年8月期中に退職した使用人のうち、丁及び戊(以下、それぞれ「丁」及び「戊」という。)については、不正行為があったことにより、退職給与が減額された結果、両名に現実に支給された退職給与の額(合計774万2500円)が両名に係る前期末要支給額(合計1091万2500円)を下回ることとなった。
原告は、平成12年8月期の経理処理において、両名に係る退職給与引当金勘定の金額のうち上記前期末要支給額に相当する金額を取り崩したが、このうち上記現実支給額を超える部分の取崩額317万円については、「正当な理由」による任意の取崩しとなり、そのうち繰入限度超過額96万5598円に達するまでの金額を確定申告書において損金の額に算入することが認められる。
本件減算処理は、まさに上記のとおり繰入限度超過額96万5598円を本件確定申告書において損金の額に算入するものであり、適法である。
(ウ) なお、仮に、上記の前期末要支給額と現実支給額とを、丁及び戊の両名についてだけでなく、平成12年8月期中に退職した使用人7名全員についてみることにしても、同7名に係る前期末要支給額(合計1143万5200円)と同7名に現実に支給された退職給与の額(合計885万4750円)との差額258万0450円については、上記(イ)と同様に、「正当な理由」による任意の取崩しとなり、そのうち繰入限度超過額96万5598円に達するまでの金額を確定申告書において損金の額に算入することが認められる。
したがって、いずれにせよ、本件減算処理は適法である。
イ(ア) 退職給与引当金は、「無税引当分」(退職給与引当金繰入限度額を超えず、課税上損金算入が認められた部分)と「有税引当分」(退職給与引当金繰入限度額を超え、課税上損金算入が認められなかった部分。退職給与引当金繰入限度超過額に相当する。)とに区別できるが、前述のとおり丁及び戊の退職給与につき正当な理由により減額された317万円に相当する退職給与引当金の取崩しについて、無税引当分の退職給与引当金から取り崩さなければならないとする合理的な理由はない。
本件のような場合には、無税引当分の退職給与引当金から取り崩すか有税引当分の退職給与引当金から取り崩すかは法人の自由であって、原告は、有税引当分の退職給与引当金から取り崩すこともできると解すべきであり、したがって、本件減算処理を認めるべきである。
(イ) 有税引当分の退職給与引当金は、退職給与引当金繰入限度超過額として、利益積立金となっており、これを取り崩さない限り、毎期、課税対象となる。
また、施行令107条1項1号等は有税引当分の退職給与引当金の取崩しについては何ら規定しておらず、無税引当分の退職給与引当金から取り崩さなければならないとの法令の規定はない。
それにもかかわらず、課税庁が無税引当分の退職給与引当金から取り崩すことを強制し、有税引当分の退職給与引当金(繰入限度超過額)に対して繰り返し課税することは、法令によらず租税を課すものであり、租税法律主義を定める憲法30条、84条に違反する。
(ウ) 有税引当分の退職給与引当金があるときに、(a)退職した使用人に係る前期末要支給額を超えて退職給与引当金を取り崩す場合も、(b)退職した使用人に対し現実に支給した退職給与の額を超えて退職給与引当金を取り崩す場合も、退職給与引当金の取崩しにより益金が発生し、実質的に同じであるから、課税上平等に扱われなければならない。
課税庁は、基本通達11-4-16は上記(a)の場合にのみ適用があり(b)の場合には適用がないと解釈、運用するが、これは、法令の解釈を誤るばかりでなく、法の下の平等を定める憲法14条1項に違反する。
ウ 以上によれば、本件減算処理は適法である(誤った税務処理ではない)。
(被告の主張)
ア(ア) 退職した使用人に不正等があったため、退職給与が減額された結果、当該使用人に現実に支給された退職給与の額が当該使用人に係る前期末要支給額を下回る場合であっても、当該使用人の退職時における退職給与引当金勘定の金額のうち取り崩さなければならない金額は、上記前期末要支給額であって、現実に支給された退職給与の額ではない。
なぜならば、そもそも退職給与引当金は、従業員の退職の際に支給される退職金の支出をあらかじめ見越して、これに相当する金額の引当てを計上するものであって、使用人が退職したときは、あらかじめ当該使用人に支給するものと見越して計上していた金額は、以後において、引当てをしなければならない理由は存在せず、これを全額引当金から取り崩す必要があるからである。このような引当金の本来の性格からすれば、施行令107条1項1号にいう「当該退職給与の額に相当する金額」は、その使用人の退職により支給する退職給与に充てるために見越していた退職給与引当金額、すなわち、その使用人が前事業年度終了時において自己の都合により退職するものと仮定した場合に、その時において定められている退職給与規程により支給を受けるべき退職給与の額(その使用人の前期末退職給与要支給額)であり、同号の文言上も、このように解釈すべきことは明らかである。前記原告の主張ア(ア)は、同号にいう「当該退職給与の額に相当する金額」を、現実に支給した退職給与の額に相当する金額と解することを前提とするものであって、誤りである。
以上によれば、本件において、原告が施行令107条1項の規定により取り崩すべき金額は、前期末要支給額(退職した使用人7名につき合計1143万5200円)であり、原告が取り崩した1143万5200円はこれと同額である。基本通達11-4-16が適用されるのは、「施行令107条1項の規定により取り崩すべき金額を超えて取り崩した場合」であるから、本件において基本通達11-4-16の適用はない。
したがって、原告の主張は失当である。
(イ) なお、原告は、前期末要支給額に相当する退職給与引当金を取り崩した場合において、前期末要支給額と現実に支給した退職給与の額との差額は、基本通達11-4-14の「正当な理由」による取崩しとなると主張するが、基本通達11-4-14は、使用人に対して、退職給与規程に基づく退職給与を支給しなかったことに正当な理由があるか否かの判定であって、退職給与引当金の取崩しに正当な理由があるか否かの判定ではない。すなわち、基本通達11-4-14は、原告が、使用人に対して、退職給与規程に基づく退職給与を支給しなかったことには正当な理由があるから、施行令107条1項3号が適用され、原告が有している退職給与引当金勘定の金額が取り崩されることはないとするものにすぎず、正当な理由がなく前期末要支給額を下回る退職給付をした場合には直ちに退職給与引当金の全額が取り崩されることとなるにすぎない。
したがって、原告の主張は失当である。
イ(ア) 法人税法54条2項は、退職給与引当金勘定の金額は、同条1項「の規定により各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたもの」、すなわち原告のいう「無税引当金」に限るとしている。
したがって、原告のいう「無税引当金」である「退職給与引当金勘定の金額」を取り崩さなければならないことは、法人税法54条2項から当然のことである。
(イ) 退職給与引当金の繰入限度額の計算は各事業年度ごとに行われ、原告のいう「有税引当金」については、各事業年度ごとに課税された上で利益積立金となるのであり、その利益積立金に対して翌期においても課税されるということはない。
すなわち、平成12年8月期に生じた有税引当金には、平成11年8月期に生じた有税引当金が含まれているものではなく、平成11年8月期の有税引当金を取り崩さなくても(減算しなくても)、二重課税が生じるということはあり得ない。
したがって、原告が主張の前提とする「有税引当分の退職給与引当金は、退職給与引当金繰入限度超過額として、利益積立金となっており、これを取り崩さない限り、毎期、課税対象となる。」という理解自体が誤りである。
また、法人税法54条2項が、退職給与引当金勘定の金額は、同条1項「の規定により各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたもの」に限るとしていることからすれば、「無税引当分の退職給与引当金から取り崩さなければならないとの法令の規定がないにもかかわらず、課税庁が無税引当分の退職給与引当金から取り崩すことを強制している。」などという原告の理解が失当であることは明らかである。
したがって、そのような理解を前提とした上で、憲法30条、84条違反(租税法律主義違反)をいう原告の主張は、主張自体失当である。
(ウ) 前記原告の主張イ(ウ)にある(a)の場合には、法人の任意により、前期末退職給与要支給額を超える退職給与引当金の取崩額のうち、繰入限度超過額(有税引当金)に達するまでの金額を確定申告書で減算することができる(基本通達11-4-16)。
しかし、(b)の場合については、現実に支給した退職給与の額に相当する退職給与引当金のみを取り崩すことは、法人税法54条2項及び施行令107条1項1号から許されない。
憲法14条1項違反をいう原告の主張は、前記アの争点に関する自らの主張を前提としたものにすぎず、その前提において失当である。
ウ 以上によれば、本件減算処理は違法である(誤った税務処理である)。
(2) 通則法65条5項該当性
(原告の主張)
過少申告加算税の非課税に関し、「調査」と「更正の予知」との因果関係を規定する通則法65条5項の趣旨からすれば、同項の「調査」とは、実地あるいは面接調査など外部からこれを認識し得べき具体的な調査をいい、机上調査や準備調査のようなそれ自体外部から認識することができない税務官庁内部の調査は同項の「調査」には含まれないと解すべきである。なお、これに対し通則法24条の「調査」は、税務官庁内部の調査も含むとされているが、通則法65条5項の「調査」とは立法趣旨を異にするから、その内容も異にするものである。
本件においては、被告所部係官から原告の関与税理士に対し、本件減算処理が誤りであると思われるので検討願いたいとの電話連絡があっただけで、実地あるいは面接調査等の外部から認識できる調査はなかったから、通則法65条5項の「調査」があったとはいえない。
したがって、本件は、通則法65条5項の「調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当する。
(被告の主張)
通則法65条5項の規定は、更正に関する通則法24条の「調査」を前提とするものであり、両条項の「調査」の意義について別異に解さなければならない合理的な理由は見当たらず、原告主張のように外部的に認識可能な具体的な調査に限定しなければならないと解することは、客観的であるべき「調査」の範囲と「調査」に関する納税者の主観的な認識を混同するものであって妥当ではない。
そうすると、通則法65条5項の「調査」は、通則法24条の「調査」と同様に、課税庁が行う課税標準等又は税額等を認定するに至る一連の判断過程の一切を意味するものであり、課税庁の証拠資料の収集、証拠の評価あるいは経験則を通じての要件事実の認定、租税法その他の法令の解釈適用を経て更正処分に至る思考、判断を含む極めて包括的な概念として、いわゆる机上調査や準備調査等も含むと解すべきである。
本件をみると、本件修正申告書の提出は、被告所部係官が本件確定申告書を審理した際、同申告書の各別表及び同申告書に添付された営業成績報告書の退職給与引当金に関する項目をそれぞれ検討したところ、本件減算処理が誤りであることが判明したため、被告所部係官が原告の関与税理士に電話連絡をし、本件確定申告書の誤りを具体的に指摘した上で、修正申告をしょうようしたものである。
したがって、被告所部係官が本件確定申告書を精査検討し、原告の過少申告を発見したことは、通則法65条5項の「調査」に該当する。
そして、仮に原告が修正申告をしなければ、被告が更正を行ったであろうことは原告にも十分認識し得る状況であったから、本件修正申告書の提出は、調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたものであることは明らかである。
以上によれば、本件は、通則法65条5項の「調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」には該当せず、原告の主張は失当である。
第3 争点に対する判断
1 争点(1)(本件減算処理の適否)について
(1) 法人税法54条2項、施行令107条1項柱書及び同項1号は、法人税法54条1項により各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された退職給与引当金勘定の金額を有する内国法人は、その使用人が退職した場合において、当該使用人が前事業年度終了の時において自己の都合により退職するものと仮定した場合にその時において定められている退職給与規程により退職給与の支給を受けるべきときは、当該使用人の退職の時における退職給与引当金勘定の金額のうち「当該退職給与の額に相当する金額」に達するまでの金額を取り崩さなければならない旨を定めている。ここで取り崩さなければならないとされているのは、当該使用人に係る前期末退職給与要支給額(当該使用人が前期末において自己都合退職すると仮定した場合に退職給与規程により支給を受けるべき退職給与の額)に達するまでの金額であると解される。
このことは、施行令107条1項1号の「当該退職給与の額に相当する金額」の「当該退職給与」が、その直前に規定されている「その使用人が前事業年度終了の時において自己の都合により退職するものと仮定した場合にその時において定められている退職給与規程により退職給与の支給を受けるべきとき」の「退職給与」を指しているとみられることから明らかであるが、そのような文理上の理由を措いても、当該使用人が退職した以上、当該使用人の退職に備えて退職給与要支給額として引き当てておいた金額は、以後はもはや引き当てておく理由が存しなくなるのであるから、当然の理というべきである。
そして、たとえ当該使用人に不正等があったため、退職給与が減額された結果、当該使用人に現実に支給された退職給与の額が当該使用人に係る前期末要支給額を下回る場合であっても、以上の理は異なるところはないから、法人は、当該使用人に係る前期末要支給額に達するまでの金額を取り崩さなければならないというほかはなく、当該使用人に現実に支給された退職給与の額を取り崩せば足りるとする原告の主張(前記第2の4(1)ア)は失当である。
(2) また、原告は、前記第2の4(1)イの(ア)から(ウ)のとおり主張するが、それらの主張は、以下に示すとおり、いずれも採用することができない。
ア まず、原告は、丁及び戊の退職給与につき正当な理由により減額された317万円に相当する退職給与引当金勘定の金額の取崩しについて、「無税引当分」(繰入限度額を超えず、課税上損金算入が認められた部分)の退職給与引当金から取り崩さなければならないとする合理的な理由はなく、本件のような場合には、「有税引当分」(繰入限度額を超え、課税上損金算入が認められなかった部分)の退職給与引当金から取り崩すこともできると解すべきであると主張する。
しかしながら、そもそも退職給与引当金勘定は、退職給与支給時期になって一度にその支給額を費用計上・損金算入する代わりに、在職期間のうちからあらかじめ将来の退職給与の支給を見越して各事業年度ごとに相当額ずつ費用計上・損金算入しておく(なお、退職給与支給時期には、それを取り崩すとともに、退職給与を現実に支給するため、収益に計上されるべき退職給与引当金取崩額と費用に計上されるべき退職給与支給額との差額が益金又は損金となる。)という経理処理であるところ、当該使用人の退職について、費用を見越し計上して既に損金算入をした退職給与引当金勘定の金額(すなわち「無税引当分」の退職給与引当金)があるならば、当該使用人の退職があって退職給与を支給したときに取り崩さなければならない退職給与引当金勘定の金額としては、まずはその無税引当分を取り崩すことが予定されているとみるのが自然である(無税引当分は、そのことをあらかじめ予定して損金算入が認められていた部分ということができる。)。仮に、退職給与引当金勘定の金額を取り崩さなければならないときに、無税引当分の退職給与引当金があるにもかかわらず有税引当分の退職給与引当金から取り崩し、それを損金として認容することができるとすると、法人が自ら過大な引当金を計上し、繰入限度超過額を作り出しておいて、繰入限度額以内の金額についてはその引当時に損金算入をしておきながら、それに相当する範囲の金額につき、当該使用人の退職給与支給時期にも、繰入限度超過額部分(有税引当分)を取り崩したとして再度の損金算入をすることが可能となってしまい、過度の損金算入を許すという不合理な結果を招来することになる。
したがって、原告は、前記(1)のとおり退職給与引当金勘定の金額のうち当該使用人に係る前期末退職給与要支給額を取り崩さなければならないときに、無税引当分の退職給与引当金があるのであれば、そこから取り崩さなければならないのであって、原告の上記主張は採用することができない。
イ 次いで、原告は、有税引当分の退職給与引当金は、退職給与引当金繰入限度超過額として、利益積立金となっており、これを取り崩さない限り、毎期、課税対象となると主張する。しかし、ある事業年度に退職給与引当金勘定として計上した金額のうち、繰入限度額を超える部分については、その事業年度に係る課税所得の計算上損金算入が認められないとはいえ、次の事業年度にその部分に課税がされるものでは決してないから、二重課税の事態が生じることはなく、原告の上記主張は失当というほかない。
また、原告は、無税引当分の退職給与引当金から取り崩さなければならないとの法令の規定がないにもかかわらず、課税庁がそれを強制するような課税をすることは、租税法律主義を定める憲法30条、84条に違反する旨主張する。
しかしながら、既にみたとおり、取り崩さなければならない対象として施行令107条1項1号が規定しているのは、「退職給与引当金勘定の金額のうち当該退職給与の額に相当する金額に達するまでの金額」であるが、その「退職給与引当金勘定の金額」とは、同項柱書によると、「法54条2項に規定する退職給与引当金勘定の金額」とされており、その法人税法54条2項は、「退職給与引当金勘定の金額」について、「前項の規定により各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたものに限るものと」すると規定している。この「損金の額に算入されたもの」とは、まさしく「無税引当分」のことをいうものにほかならない。すなわち、有税引当分ではなく無税引当分の退職給与引当金から取り崩さなければならないとの法令の規定がまさに存在するのである。
したがって、租税法律主義の要請は満たされており、原告が憲法30条、84条違反を主張する点は採用することができない。
ウ さらに、原告は、有税引当分の退職給与引当金があるときに、(a)退職した使用人に係る前期末要支給額を超えて退職給与引当金勘定の金額を取り崩す場合も、(b)退職した使用人に対し現実に支給した退職給与の額を超えて退職給与引当金勘定の金額を取り崩す場合も、退職給与引当金勘定の金額の取崩しにより益金が発生し、実質的に同じであるから、課税上平等に扱われなければならず、そうでなければ憲法14条1項違反となる旨主張する。
しかしながら、前記(1)で説示したところからすれば、法人は、使用人に現実に支給された退職給与の額が当該使用人に係る前期末要支給額を下回る場合にも、その前期末要支給額を超えて退職給与引当金勘定の金額を取り崩さなければならない義務はないが、これに対し前期末要支給額に達するまでの金額については、上記現実に支給された退職給与の額を超えても取り崩さなければならないのであるから、上記(a)の場合と(b)の場合とはこの点において決定的に異なるといえる。
したがって、両者が課税上平等に扱われなければならないとする理由はなく、原告の上記主張は採用することができない。
(3) ところで、法人が、退職給与引当金勘定の金額につき、法人税法54条2項、施行令107条1項の規定により取り崩さなければならない金額を超えて任意的に取り崩す場合には、当該退職給与引当金勘定の金額のうちに繰入限度超過額(有税引当分。退職給与引当金勘定の金額に繰り入れたが、課税上損金算入が認められなかった部分)があるときは、上記超える部分(任意的取崩し部分)については、有税引当分を取り崩して、その損金算入を認めることが相当であり、上記超える部分の取崩額(任意的取崩額)のうち繰入限度超過額に達するまでの金額を別表四において所得金額から減算することが認められると解すべきである(基本通達11-4-16は、このことを確認したものとみられる。)。
前記(1)によれば、本件の平成12年8月期において、原告が退職給与引当金勘定の金額につき法人税法54条2項、施行令107条1項の規定により取り崩さなければならない金額は、退職した使用人7名の前期末要支給額である1143万5200円である。原告が取り崩した1143万5200円はこれと同額であり、これを超えて任意的に取り崩したものとは認められないから、本件は上記の場合(基本通達11-4-16の定める場合)には当たらない。
また、原告が平成12年8月期首退職給与引当金勘定の金額1287万4640円のうち1143万5200円を取り崩すときに、無税引当分の退職給与引当金は1190万9042円(上記退職給与引当金勘定の金額1287万4640円から、期首現在の退職給与引当金に係る利益積立金額96万5598円を控除した金額)あったから、原告はその無税引当分から取り崩さなければならなかったものであり、ここで有税引当分の退職給与引当金から取り崩したとしてそれを損金として認容する(所得金額から減算する)ことは、前記(2)アのとおり許されない。
そして、他に本件減算処理を正当化し得る法的根拠は見出せない。
したがって、本件減算処理は、違法な税務処理というべきである。
2 争点(2)(通則法65条5項該当性)について
(1) 通則法65条5項は、「修正申告書の提出があった場合において、その提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」には過少申告加算税を課さない旨を規定している。
ここにいう「調査」とは、課税標準等又は税額等を認定するに至る一連の判断過程の一切を意味し、課税庁の証拠資料の収集、証拠の評価あるいは経験則を通じての課税要件事実の認定、租税法その他の法令の解釈適用等を含む税務調査全般を指すものと解され、いわゆる机上調査のような租税官庁内部における調査をも含むものと解される。なぜならば、更正について規定する通則法24条にいう「調査」が上記のような意味での税務調査全般を指すことについては異論をみないところ、「調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知して」と規定する通則法65条5項は、通則法24条の「調査」を前提としているものとみられるし、両条項の「調査」の意義について別異に解すべき合理的な理由はないからである。
もっとも、この点、原告は、過少申告加算税の非課税に関し、「調査」と「更正の予知」との因果関係を規定する通則法65条5項の趣旨からすれば、同項の「調査」とは、通則法24条の「調査」とは異なり、実地調査や面接調査など外部から認識し得べき具体的な調査のみをいうと解釈すべきであると主張する。
しかしながら、机上調査のようなそれ自体は外部から認識することができない税務官庁内部の調査しか行われていない場合であっても、その調査の過程において、又はその調査の結果に基づいて、課税庁から納税者に連絡がされ、過少申告の指摘がされ、修正申告が促されるなどにより、納税者は、上記調査の内容を認識し、更正があるべきことを予知することがある。こうした場合に過少申告加算税が非課税とされなくても、「調査」と「更正の予知」との因果関係を規定し、自発的な修正申告に誘因を与えた通則法65条5項の趣旨が損なわれるものではない。したがって、原告主張のように同項の「調査」の意義をことさら限定的に解釈しなければならない理由はないというべきである。
(2) 本件についてみると、前記第2の3(4)の前提事実及び証拠(乙8)によれば、乙調査官は、本件確定申告書等の内容を精査して、別表四の減算項目中に本件減算処理の問題があることを発見し、それについて具体的に検討した結果、本件減算処理が法令に照らし誤りであると判断したこと、そこで、乙調査官は、丙税理士に対し、電話で連絡をとり、本件減算処理が誤りである旨を告げ、その検討を促して、修正申告をしょうようしたこと、丙税理士は、その翌日、乙調査官に対し、修正申告書を提出する旨を伝え、その十日余り後に、被告に対し、本件修正申告書を提出したことが認められる。
以上によれば、乙調査官が上記のように本件確定申告書を精査検討したことは、通則法65条5項の「調査」に該当する。
そして、上記の事実経過に照らせば、乙調査官がその調査の結果に基づき、原告の関与税理士である丙税理士に対して上記連絡をしたことにより、原告の側は、仮に修正申告をしなければ、被告による更正があるであろうことを予知し、その上で本件修正申告書の提出をしたものと認められる。
したがって、本件は、通則法65条5項の「調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当するものとは認められない。
3 結論
以上によれば、本件賦課決定処分及び本件通知処分はいずれも適法である。
よって、本訴各請求はいずれも理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 佃浩一 裁判官 三島恭子 裁判官 笹本哲朗)
(別紙)
平成12年8月期の退職者の退職給与等について
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