静岡地方裁判所 平成16年(行ウ)18号 判決 2005年9月15日
原告 甲
同訴訟代理人弁護士 阿部浩基
同 宇佐美達也
被告 三島税務署長
山下和博
同指定代理人 峯金容子
同 信本努
同 相馬扶美子
同 鈴木秀幸
同 八木重樹
同 鈴木智子
同 青島邦好
同 寺澤寿
主文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求の趣旨
1 被告が、平成15年1月7日付けでした原告の平成13年分相続税に係る重加算税賦課決定処分(ただし、平成15年11月11日付け更正処分及び加算税の変更決定処分により一部減額された後のもの。)を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
第2請求の趣旨に対する答弁
主文と同旨
第3事案の概要等
1 本件は、平成13年分の相続税につき、被告から重加算税の賦課決定処分を受けた原告が、上記の相続税申告は、共同相続人である乙の財産隠ぺいに基づくものであり、原告が「事実の隠ぺい又は仮装行為」を行ったものではない上、原告は、上記相続税の申告手続を乙ではなく、丙税理士(以下「丙税理士」という。)に委任しており、また、乙の上記財産隠ぺいを認識しておらず、これを認識しようもなかったのであるから、上記重加算税の賦課決定処分は、国税通則法68条1項(以下、国税通則法を単に「法」という。)所定の課税要件を欠いた違法なものであると主張して、同処分の取消しを求めた事案である。
2 法令の定め
法68条1項は、「第65条第1項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(略)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(略)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に100分の35の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。」と規定している。
3 前提事実(争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により明白な事実)
(1) 原告の父丁(以下「被相続人」という。)は、平成13年1月27日に死亡し、相続(以下「本件相続」という。)が開始した。
相続人は、長女の戊、二女の原告、三女のA、長男のB(以下「B」という。)、二男の乙(以下「乙」という。)の5名であった。
(2) 上記相続人らは、本件相続開始後、丙税理士に対し、本件相続に係る相続税(以下「本件相続税」という。)の申告手続を依頼し、同税理士は相続財産の調査及び申告書作成の業務に当たった。
(3) 本件相続税の申告書(以下「本件当初申告書」という。)は、原告ら相続人全員の押印がなされた上、丙税理士を経由して、平成13年11月27日、本件相続に係る期限内申告書として被告に提出された(甲1、乙6)。
(4) ところが、被告の税務調査の結果、本件当初申告書には、別表1「本件隠ぺい財産の明細」記載の総額2億3293万9112円の現金及び預貯金が相続財産から除外されていることが判明したため、原告ら相続人全員は、平成14年12月9日、被告に対し、本件相続税の修正申告書(以下「本件修正申告書」という。)を提出した(甲2、乙7)。
(5) 被告は、本件修正申告書の提出を受けて、平成15年1月7日、原告に対し、加算税の賦課決定処分(このうち、重加算税の賦課決定処分を、以下「本件処分」という。)を行った(甲3)。
(6) その後、B及び乙は、相続税の物納に際し相続財産を実測したところ、公簿面積を上回っていたことから、同年9月17日、被告に対して、相続税の修正申告書を提出したところ(乙8)、被告は、これに基づき、原告に対し、同年11月11日付けで相続税の更正処分及び加算税の変更決定処分を行った(乙1)。
(7) 原告は、平成15年2月28日、本件処分に対して異議を申し立てたが(乙10)、被告は、同年5月26日、これを棄却する決定をした(甲4)。原告は、この棄却決定を不服として、同年6月23日、国税不服審判所長に対し、本件処分に対する審査請求をしたところ、国税不服審判所長は、平成16年3月11日、原告の審査請求を棄却する旨の裁決をした(ただし、平成15年11月11日付けでされた変更決定処分後のものに対して)ことから、原告は、本件訴訟を提起するに至ったものである(甲5、6)。
なお、本件各課税処分及び本件裁決の手続の経緯等は、別表2「課税の経緯」記載のとおりである。
4 本件処分における原告に対する重加算税の金額
本件処分における原告に対する重加算税額(ただし、平成15年11月11日付け更正処分及び加算税の変更決定処分により一部減額された後のものである。)は、506万1000円である。原告は、このうち、本件処分が重加算税の課税要件を充たすかどうかを争うものであり、その余の算出根拠となる数額、計算関係については争っていない。
5 争点及びこれに対する当事者の主張
(1) 本件処分が重加算税の課税要件を欠いた違法なものといえるかどうか。
ア 原告の主張
(ア) 重加算税は徴税の実効性を担保するために納税者に課される一種の行政上の制裁であるから、法68条1項にいう「隠ぺい又は仮装」の主体は、納税者本人又は納税者本人から委任ないし準委任を受けた受任者に限られると解すべきである。
(イ) 乙に本件相続税の申告手続を委任していないこと
被告は、原告が本件相続税の申告手続について、申告書の作成等を税理士に依頼することも含め、その一切を乙に一任していたと主張するが、原告は、本件相続税の申告手続を丙税理士に委任したのであり、乙に委任したのではない。原告が相続財産の範囲や本件当初申告書の内容について調査確認等を行わなかったのは、本件相続税の申告手続の一切をその道に精通し被相続人とも懇意で信頼も厚かった丙税理士が行うものと信頼していたからである。原告が、乙に委任していたからではない。
(ウ) 原告が乙の財産隠ぺいを認識しておらず、これを認識することもできなかったこと
原告は、本件相続が開始される相当以前から、被相続人と離れて暮らしていたため、相続財産を詳細に把握できるような立場にはなかつた。また、乙が本件隠ぺい行為を行ったのは相続開始前であり、相続開始後、原告が遺産の詳細を知ろうとしても相続開始前に解約された預貯金の存在を想定して、そこまで調査することは極めて困難である。乙は、本件相続開始前の多額の預貯金の解約について他の相続人には口をつぐんでいたのであり、仮に原告がこの点を乙に問い質したとしても、同人が正直に答えることはなかったはずである。実際、平成13年11月10日に相続人全員で集まり、遺産分割協議をした際も、乙は、Bから「遺産は全部でこれだけか。」と質問されたのに対し、「全部です。」と嘘を付いていた。このような場合、隠ぺいされた預貯金について現実的で有効な確認方法はなかったものといわざるを得ない。
したがって、原告が乙の財産隠ぺいを認識しておらず、これを認識することもできなかったことは明らかである。
(エ) 以上より、本件処分は重加算税の課税要件を欠いた違法なものである。
イ 被告の主張
(ア) 原告が乙に対して本件相続税の申告手続を一任していたこと
本件において、原告は、本件相続税の申告手続を乙に委任したことはなく、丙税理士に委任していたと主張する。
しかしながら、乙3ないし5によれば、①原告は、本件相続税の申告手続について自ら関与するつもりはなく、相続財産の調査等を含む申告手続全般について、その一切を乙任せにしていたこと、②他の共同相続人も、原告と同様、本件相続税の申告手続について乙に任せていたこと、③原告は、本件相続財産について、自ら調査したことがなく、本件当初申告書についても、その内容を自ら確認することはもとより、乙に対して内容の確認さえ行っていないこと、④上記申告書の提出以前に、被相続人の遺産であることを認識しながら、乙から現金を受け取っていたことが認められ、そうだとすれば、仮に原告と乙との間において、明示的に本件相続税の申告手続について委任する旨の約定が交わされていなかったとしても、少なくとも原告を含む4名の相続人間においては、当然に乙が相続人を代表して相続財産を整理する等の申告手続に向けた準備行為をし、税理士に対して申告手続等を依頼するなどの行為を一任する旨の暗黙の合意があったことは明らかである。
したがって、原告は、乙に対して、相続税の申告書の作成等を税理士に依頼することも含め、相続税の申告手続に付随する一切の行為を行うことを委任していたというべきである。
(イ) 原告に対して法68条1項を適用することの適法性について
a 納税者の申告義務と申告の委任
納税者に申告義務の課された申告納税方式の国税では、納税すべき税額は、原則として納税者の申告によって確定し、当該税額が税務署長等の調査したところと異なる場合に限り、税務署長等の処分によって確定する(法16条1項1号、2項1号)。
このような制度が定められた理由は、税の申告が、課税要件事実を最もよく知る納税者自身によってされるからであって、この趣旨に照らせば、納税者の申告義務とは、第1に、法定申告期限内に申告書を提出する義務であり(この義務違反が無申告加算税である。)、第2に、納税者において最もよく知る課税要件事実を正しく反映させた申告書を作成し、これを提出すべき義務であり(この義務違反が無申告加算税及び過少申告加算税である。)、第3に、特に課税要件事実を隠ぺい又は仮装することにより、税務署長等の調査による是正を妨げてはならない義務である(この義務違反が重加算税である。)。
納税者が申告手続を第三者に委任した場合でも、課税要件事実を最もよく知り得る者が納税者であることに変わりはないから、納税者は、第1に、当該第三者をして法定申告期限内に申告書を提出させるばかりでなく、第2に、当該第三者において課税要件事実を正しく反映させた申告書を作成することができるよう、課税要件事実を漏れなく開示・提供し、第3に、当該第三者が課税要件事実を隠ぺい又は仮装し、過少申告に及ぶことのないよう注意すべき義務を、その申告義務の一環として当然に負うものと解される。
そして、第三者に上記の委任をする納税者は、適切な受任者を選任し、いつでも事務処理状況の報告を求め(民法645条)、いつでも委任契約を解除し(同法651条1項)、委任終了時に遅滞なく、てん末の報告を受ける(同法645条)など、委任契約に基づいて自己の申告に関する受任者の事務処理をコントロールする手段を有している。
したがって、納税者が相当な注意を払えば、申告手続を委任した第三者の隠ぺい又は仮装による過少申告を防止することができたのに、これを防止しなかったと認められる場合には、当該納税者に重加算税を課すことができるというべきである。
b 本件への適用
本件において、原告は、①本来、共同相続人の一人として自ら相続税を負担する者として、適切に申告義務を果たすべき立場にあるにもかかわらず、乙に対して相続税の申告手続を一任し、②相続財産の範囲や本件当初申告書の内容についても自ら調査確認せず、また、同申告書が正しい内容かどうか乙に対して何ら問うことさえせずに漫然と押印し、③その後も何らの行為に出ることなく、本件相続税の申告手続について乙に任せきりにして放置したのである。
のみならず、原告は、本件当初申告の前である、平成13年3月ころ、乙から、被相続人名義の郵便貯金から引き出した現金を、被相続人の遺産であることを認識した上で受け取っているのであるから、そうした場合、なおさらのこと当該郵便貯金からの出金額が相続税の申告書に適正に反映されているか、他に同様な事実がないかを確認し、正しい申告を行うのが当然であるにもかかわらず、そのような確認すら行っていない。
加えて、本件隠ぺい財産が2億円以上に及ぶことも併せ考慮すると、本件においては、原告が、本件当初申告書の提出前にその内容を確認し、疑問点について乙に問い合わせたり、他の共同相続人と相談する等の当然のことをしさえすれば、乙が相続財産の一部を隠ぺいしていた事実が判明し、同人の不正行為を容易に防止することができたはずである。
以上によれば、原告が乙に相続税の申告手続を委任するについて、相当の注意義務を怠ったことは明らかであり、このような原告に対して、法68条1項を適用し、重加算税を賦課することは何ら問題がないというべきである。
(2) 重加算税と過少申告加算税との関係について
ア 原告の主張
重加算税の賦課決定処分と過少申告加算税の賦課決定処分とは別個独立の処分であるから、本件においても、重加算税賦課決定処分が取り消される場合には、加算税額の全てが取り消されるべきである。
イ 被告の主張
最高裁昭和58年10月27日第一小法廷判決・民集37巻8号1196頁は、過少申告加算税と重加算税とは、ともに申告納税方式による国税について過少な申告を行った納税者に対する行政上の制裁として賦課されるものであって、同一の修正申告又は更正に係るものである限り、その賦課及び税額計算の基礎を同じくし、ただ、重加算税は、過少申告加算税の賦課要件に該当することに加えて、当該納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出するという不正手段を用いたとの特別の事由が存する場合に、当該基礎となる税額に対し、過少申告加算税におけるよりも重い一定比率を乗じて得られる金額の制裁を課することとしたものと考えられるから、両者は相互に無関係な別個独立の処分ではなく、重加算税の賦課は、過少申告加算税として賦課されるべき一定の税額に加重額に当たる一定の金額を加えた額の税を賦課する処分として、当該過少申告加算税の賦課に相当する部分をその中に含んでいるものと解するのが相当であるとした上、重加算税の賦課決定に対する審査請求において、所定の加重事由は認められないが、過少申告加算税の賦課要件の存在が認められる場合には、国税不服審判所長は、当該賦課決定のうち過少申告加算税に相当する額を超える部分のみを取り消すことができる旨判示しているのであり、本件で仮に重加算税の賦課要件がないと判断されても、過少申告加算税に相当する金額を超える限度において重加算税額が取り消されるべきである。
第4当裁判所の判断
1 事実の認定
前記前提事実、甲7、8、乙2ないし6、証人丙の証言、原告本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実を認定することができる。
(1) 乙は、本件相続開始直前の平成13年1月11日から同月23日にかけて、被相続人名義の預貯金中、総額2億3293万9847円の預貯金を解約したが、うち2億0514万4539円は自己の預貯金口座に入金保管し、その残りを現金として自宅に保管するなどしていた。これについて、乙は、被相続人から、平成12年12月初めころ、「自分が育ったこの土地を守ってほしい。」「通帳があるから(金を)下ろせ。」などと指示されたので、相続税対策として行ったものである、と説明している。
(2) 乙は、平成13年3月ころ、上記(1)で既に解約してあった被相続人名義の郵便貯金分に相当する535万9355円を、それが被相続人の預貯金を解約してできたものであることを告げて相続人全員に均等に分配した。しかし、残りの2億2700万円余を保管していることは、原告らや丙税理士に話さなかった。
(3) 前記前提事実(2)記載のとおり、原告を含む各相続人は、本件相続税の申告手続を丙税理士に依頼していたが、申告書作成の前提となる相続財産の調査の方法について、丙税理士は、これをもっぱら乙に頼っており、例えば、不動産名寄台帳、公図、預金、有価証券等の資産関係の資料も、葬儀費用の請求書、領収書等の費用関係の資料も、乙に問い合わせ、資料を受領していた。これは、乙が被相続人の近隣に住み、被相続人と生活をほとんど共にしていたので、最も良くその事情を知っていると考えたことと、丙税理士としては、問い合わせ等の窓口が一本化されている方が調査を行う上で便宜であったためであった。そのため、丙税理士から原告らへの問い合わせは生前贈与の有無程度に止まった。そして、このように、丙税理士が乙を頼って調査を行うことは、原告も十分了承しており、この理由として、原告は、本人尋問において、乙が被相続人の近くで生活をしていて財産状況などを分かっていることを挙げ、乙が丙税理士に資料等を届けることは「任せたというか、お願いはした」と述べている(同尋問調書40項)。
(4) ところが、乙は、丙税理士に交付した資料中から、前記(1)記載の預貯金を除外していたので、同税理士が作成した本件当初申告書中には、これらの相続財産の記載がされなかった。また、原告らが分配を受けた前記(2)の535万円余の貯金についても、丙税理士に報告はなく、原告も、この点を同税理士に相談したこともなかったので、これも本件当初申告書には記載がされなかった。原告は、自らの本件当初申告書を見たものの、これらの記載漏れには気付かず、本件当初申告書の内容に何の疑問も抱かなかった。
このようにして、原告らの相続税申告は、丙税理士が作成した本件当初申告書によって、前記前提事実(3)のとおりにされた。
なお、原告は、自ら相続財産の調査をする意欲は持っておらず、現実に調査は全く行わなかったし、乙に対し、丙税理士への報告を正確なものにするようになどの注意を与えたこともなかった。
2 争点(1)(重加算税の課税要件)について
(1) 重加算税の制度は、納税者が過少申告をするについて課税要件事実の全部又は一部の隠ぺい、又は仮装という不正手段を用いた場合に、過少申告加算税よりも重い負担を課し、行政上の制裁を科することによって、悪質な納税義務違反の発生を防止し、もって申告納税制度及び徴収納付制度による適正な徴税の実現を確保しようとするものである。そして、法は「納税者が(中略)事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し」と規定しているが、上記制度趣旨にかんがみると、申告納税の納税者が税額の計算、申告書の作成、提出等の納税申告事務を親族その他の第三者に委任した場合において、当該第三者がした隠ぺい・仮装行為に基づく申告について、納税者がどこまで責任を負うべきかについては、納税者と当該第三者との関係、当該行為に対する納税者の認識及びその可能性、納税者の黙認の有無、納税者が払った注意の程度等に照らして、個別、具体的に判断されるべきものであり、第三者の行為であるとの理由だけで当該納税者の責任が生じないということはできないのである。このような場合であっても、上記の事実関係を基礎にして、納税者が当該第三者に対する選任、監督上の注意義務を尽くすことにより、第三者の隠ぺい・仮装行為を防止することができたと認められる場合には、第三者の不正行為を納税者の行為と同視し得るものとして、その防止を怠った当該納税者に対して重加算税を賦課することができるものと解すべきである。
(2) これを本件についてみると、前記認定事実によれば、原告は、本件相続税の申告手続を丙税理士に依頼したものの、同税理士が申告書を作成する前提となる相続財産調査については、自らこれを行うつもりはなく、財産状況を良く知っている乙にもっぱら任せていたものと認定できるのである。そして、丙税理士といえども、同税理士自身が行う調査には限界があり、正確な相続財産状況を把握するためには、これを最も良く知っている相続人の協力が不可欠であることは常識的な事柄であるから、上記のような本件申告手続の状況からは、原告が、丙税理士とともに、乙にも、申告手続を委任していたとの評価をすべきである。
そして、原告は、乙に対し、丙税理士への報告を正確にするようにとの注意をしたことはなく、自らも、受領した100万円を超える分配金について丙税理士に報告することもせず、自らの申告書を見ていながら、この記載がないことについても気付かなかったのである。しかし、この分配金の報告を丙税理士に行っていれば、これは乙から丙税理士に報告されていない貯金であるから、他の預貯金についても丙税理士に報告がないものが存在するのではないかとの疑問が生ずることはあり得たと思われるし、乙の隠ぺい方法が、相続開始時点の直前に多額の預貯金を解約し、これを自らの預貯金に切り換え、又は現金として所持するという大胆かつ単純な方法によるものであって、税務署からの調査後、乙はこれら隠ぺいを直ちに認めていること(乙2)からすると、このような疑問の発生がきっかけとなって、相続人間で話し合い、丙税理士に相談するなどの行為がされて、預貯金の全貌が判明することも十分あり得たと思われる。このような事情を考えると、原告の乙に対する監督には重大な落ち度があったものといわざるを得ない。
このように、原告は、丙税理士の他、弟である乙にも本件相続税の申告手続を委任したものであるところ、乙に対する監督に重大な落ち度があったこと、乙の行った隠ぺい行為は大胆かつ単純なものであって、乙も税務調査後には直ちにこれを認めていること、このような本件の事情を総合してみれば、隠ぺい行為自体は乙が行ったものであっても、この監督を怠っていた原告に対して重加算税を課すことができるというべきである。
したがって、本件処分は、重加算税の課税要件を充たすものであり、原告に重加算税を賦課した本件処分に違法はない。
3 以上の次第で、原告の請求は、争点(2)(重加算税と過少申告加算税の関係)を検討するまでもなく理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 佃浩一 裁判官 三島恭子 裁判官 鈴木和孝)
別表1 本件隠ぺい財産の明細
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別表2 課税の経緯
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