静岡地方裁判所 昭和31年(行)1号 判決 1956年11月02日
静岡県榛原郡吉田町片岡二一八一番地
原告
宗教法人皇治教神祇陰陽道
殖産興業寮信徒共同購買販売
協同利用組合本部
右代表者主管者
木舟直太郎
静岡県島田市扇町
被告
島田税務署長
大島久三郎
右指定代理人
村松実
野村光司
伊藤休治
右当事者間の昭和三十一年(行)第一号差押取消請求事件について、左のとおり判決する。
主文
本件訴を却下する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
原告代表者は、被告が、昭和三十年九月十七日吉田電報電話局第二三八番の電話加入権を差押えた処分及び同月十九日別紙目録記載の不動産を差押えた処分をいずれも取消す、訴訟費用は被告の負担とする。旨の判決を求め、その請求の原因として、
一、被告は、訴外三浦彌太郎の所得税滞納処分として、前記差押処分をしたが、同訴外人は、昭和二十九年三月十日、前記差押物件をも含めて、営業用資産一切を原告に贈与し、廃業したので、同人に対する所得税賦課処分は違法であり、これに基く前記各滞納処分は取消さるべきである。
二、同訴外人の滞納処分として、原告が権利を有する電話加入権及び原告所有の右物件を差押えることは違法であり、差押処分は取消さるべきである。
なお、右差押処分に対しては、適法に再調査並びに審査の手続を経たものである。
と述べ、
乙号証中、第二号証第 号証の一は不知、その余はいずれも成立を認める、と述べた。
被告指定代理人は、主文と同旨の判決を決め、予備的に、原告の請求を棄却する、訴訟費用は原告の負担とする旨の判決を求め、
(一) 訴却下を求める理由として、
原告は、国税徴収法所定の適法な不服申立手続を経ていない。
即ち、原告は被告の本件差押処分に対し、昭和三十年九月二十九日被告に対し再調査請求をなし、昭和三十一年一月三十一日棄却され、この決定は同年二月三日頃原告に告知されたが、法定の期間を経過した同年三月二十日名古屋国税局長に審査の請求をなし、同年六月十三日不適法として却下されたものである。
(二) 請求棄却を求める理由として、
原告主張の差押処分をしたことは認めるが、その余の原告主張事実は否認する。
と述べ、
立証として、乙第一、第二号証第三、第四、第五号証の各一、二を提出した。
理由
真正に成立したものと認められる乙第一、第二号証第三、第四、第五号証の各一、二を綜合すれば被告主張の(一)の事実が認められ、これに反する証拠はない。
従つて、本件差押処分については、適法な不服申立手続を経ていないので、本件訴は不適法として却下されるべきであり、訴訟費用の負担について民訴法第八十九条を適用し主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 戸塚敬造 裁判官 土肥原光圀 裁判官小谷卓男は転任につき署名捺印することができない。裁判官 戸塚敬造)
目録
静岡県榛原郡吉田町片岡二三九九番
田 一反一畝四歩
同所二四七三番の一
田 二反二九歩
同所三一〇六番の一
田 五畝
同所同番の二
田 五畝
同所同番の三
田 五畝八歩
同町片岡字薬師寺前二七三〇番
畑 一畝二一歩