静岡家庭裁判所 平成5年(家)522号 1994年7月07日
主文
本件申立を却下する。
理由
1 申立の趣旨
下記(1)(2)の各戸籍の長男A、同(3)の夫Aの各記載全部を削除することを許可する。
記
(1) 本籍 静岡県清水市<以下省略>
戸主 B改製原戸籍
(2) 本籍 静岡県清水市<以下省略>
筆頭者 B除籍
(3) 本籍 静岡県御殿場市<以下省略>
筆頭者 A
2 申立の理由
上記Aは、BとFとの間に出生したもので、CとAの間には母子関係は存在しないが、上記戸籍の記載が存在する。
そこで、Cは、生前Aを被告として、親子関係不存在確認の訴訟を提起して、平成5年4月13日、静岡地方裁判所において勝訴したが、被告が控訴中に、Cが同年5月22日死亡して、右勝訴判決は確定しないまま訴訟終了となったが、Cは、同人とAは親子関係がないと遺言に記載してあったので、兄弟である申立人としては、Cの意思を承継して、戸籍法113条に基づき本件各戸籍を真実の身分関係に合致させるべく本申立に及ぶものである。
3 当裁判所の判断
戸籍上親子と記載されているものを親子関係がないとしてこれに符合する訂正をするためには、確定判決によるべきであるか、戸籍法113条の訂正の方法で足りるかは争いのあるところであるが、当裁判所は、当事者間に、親子関係がないこと並びに戸籍訂正の方法により訂正することに合意がある場合に限り、裁判所が事実調査のうえ、当事者の合意が真実であると認めた場合は、戸籍法113条の訂正が可能であるが、その余の場合は、確定判決を待って戸籍の訂正をすべきものであると解する。
本件は、当事者間に、親子関係の存否及び戸籍訂正の方法によることに争いがある。
よって、本件申立は、これを却下することとし、主文のとおり審判する。
(家事審判官 多田周弘)