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静岡簡易裁判所 平成16年(ハ)336号 判決 2004年10月25日

京都市下京区烏丸通五条上る高砂町381-1

原告

株式会社シティズ

同代表者代表取締役

●●●

静岡県●●●

被告

●●●

静岡県●●●

被告

●●●

同訴訟代理人

●●●

主文

1  被告等は,原告に対し,連帯して金280万9031円及びこれに対する平成16年3月1日から同月29日まで年15パーセントの割合,同月30日から支払ずみまで年21.9パーセントの割合による金銭を支払え。

2  原告のその余の請求を棄却する。

3  訴訟費用は被告等の負担とする。

4  この判決の1項及び3項について仮に執行することができる。

事実及び理由

第1請求

被告等は,原告に対し、連帯して金309万3867円及びこれに対する平成16年3月1日から同月29日まで年15パーセントの割合,同月30日から支払ずみまで年21.9パーセントの割合による金銭を支払え。

第2請求の原因(事実)の要旨

1  貸金契約

契約の日 平成15年7月30日

借り主 被告 ●●●

金額 金350万円

利息 年29.0パーセント

遅延損害金 年29.2パーセント

弁済方法 平成15年8月から同20年7月まで毎月28日限り各元金5万8000円(最終回は金7万8000円)と経過利息を原告の本店・支店に持参又は送金して支払う。

特約 支払いを怠ったときは期限の利益を失う。

2  連帯保証人

被告 ●●●

3  貸金業の規制等に関する法律(以下「法」という)43条について

(1)  原告は貸金業者である。

(2)  原告は,契約を締結したとき,被告●●●に対し,後記の1の事項が記載された法17条1項,同法施行規則13条に定める貸付契約説明書を交付した。

(3)  原告は,被告●●●に対し,契約締結の前に後記の1及び2の事項が記載された法17条2項,同法施行規則14条に定める保証契約説明書(概要及び説明書)を交付した。

(4)  保証契約締結のとき,同被告に対し,後記の1及び3の事項が記載された法17条3項,4項,同法施行規則14条に定める貸付及び保証契約説明書を交付した。

4  被告●●●は別紙計算書1の通り,約定の利息・元金の一部として任意に弁済をした。

5  原告は,前記弁済の都度直ちに,弁済者に対し,前記弁済に対応する後記の4の事項が記載された法18条,同法施行規則15条に定める受取証書を交付した。

6  期限の利益を失った日 平成16年3月29日

そこで,原告は,被告等に対し,連帯して,貸付金残額金309万3867円及び平成16年3月1日から同月29日まで年15パーセントの割合による利息,同月30日から支払ずみまで年21.9パーセントの割合による遅延損害金の支払いを求める。

第3被告等の答弁

1   請求の原因1及び2の事実は認める。

2   同3の(1)の事実は認める。

3   同3の(2),(3),(4)の事実は否認する。原告から被告等に交付された貸付契約書及び保証契約説明書は法43条に定める要件を満たしていない。

4   同4の事実について

被告被告●●●が原告主張の通り支払ったことは認めるが,任意に支払ったという点は断固否認する。

5   同5の事実は否認する。同受取証書は法43条に定める要件を満たしていない。

6   同6の事実は認める。

第4理由

1  請求の原因の1の事実(貸金契約),同2の事実(連帯保証契約)は争いがない。

2  同3の(1)の事実(原告が貸金業者であること)は争いがない。

同3の(2)の事実は甲3号証によって認められる(原告の主張を説明書ではなく貸付契約の内容を明らかにする書面を交付したと解する。法17条1項は「説明書」の交付義務を規定したものではない)。

同3の(3)の事実は甲4号証によって認められる。

同3の(4)の事実は甲3号証によって認められる(原告の主張を保証契約説明書ではなく保証契約の内容を明らかにする書面を交付したと解する。法17条3項,4項は「説明書」の交付義務を規定したものではない)。

(前記各書面は法令に規定された事項が記載されている)

3  同4の事実(弁済の任意性)について

被告●●●が原告主張の通り弁済したことは争いがないが,被告等はその任意性について否認している。原告は被告●●●の弁済について,任意に弁済したと主張するのみでその方法について送金したのか、持参したのか等その任意性について,何等具体的な事実を主張,立証しない(償還表の通りの弁済の事実のみをもって任意性が推定されるものではない)。

4  同5の事実(受取証書の交付)について

原告は受取証書を交付したと主張するがこれを証明する証拠はないが,送付したと主張するものと解する。そこで判断する。

甲6号証ないし12号証の領収書兼利用明細書(控)については,前述の通り弁済方法が明らかでなく、弁済金額をどのようにして確認したのか等不明であり,その作成過程が明らかでない。

甲13号証ないし19号証の領収書郵送控によると,郵送したように考えられるが,いつ,誰が,どのような資料に基づいて,どのような手順で作成されたのか等が明らかでない。

したがって,前記領収書兼利用明細書(控え)及び領収書郵送控のみによって直ちに適法に受取証書の交付があったと認定することはできない。

5  以上の次第であるから法43条を適用することはできない。

6  請求の原因の6の事実(期限の利益を失ったこと)は争いがない。

7  以上の次第であるから,原告の請求は別紙計算書2の通り利息制限法の限度で認容することにし,主文の通り判決する(訴訟費用は全部被告等に負担させる)。

(裁判官 植松敏彦)

1 貸付年月日,賃付金額,返済方法及び損害金の約定とその内容,期限の利益の喪失特約,商号・住所地,登録番号,債務者が負担すべき元本及び利息以外の金銭等

2 保証金額,保証期間,保証契約の種類及び効力,保証の対象となる貸付の種類,主債務者と連帯して義務を負担する旨,解除事由等

3 保証契約年月日,保証金額,保証期間,保証契約の種類及び効力,保証の対象となる貸付の種類,生債務者と連帯して義務を負担する旨,解除事由等

4 受領年月日,受領金額及び利息・損害金,元本への充当額,当該返済後の残債務額,貸付年月日に代わる契約番号,商号,住所地,登録番号等

<以下省略>

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