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高松地方裁判所 平成4年(わ)75号 判決 1992年7月14日

本店の所在地

香川県観音寺市観音寺町甲一七八一番地の四

有限会社

安藤青果店

(右代表者代表取締役 安藤八陽)

本籍

香川県観音寺市粟井町一七五七番地第二

住居

同市観音寺町甲一七八一番地の四

会社役員

安藤ヒデ子

昭和二年九月一八日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官松田一郎、弁護人植木修一各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社安藤青果店を罰金二〇〇〇万円に、被告人安藤ヒデ子を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人安藤ヒデ子に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、被告人両名の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社安藤青果店(以下「被告会社」という。)は、肩書地に本店を置き、青果及び食料品の販売等を目的とする資本金一〇〇〇万円の有限会社であり、被告人安藤ヒデ子(以下「被告人安藤」という。)は、被告会社の取締役て、被告会社の業務全般を統括掌理していたものであるが、被告人安藤は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するとともに架空の仕入れを計上する等の方法により所得を秘匿した上

第一  昭和六二年三月一日から昭和六三年二月二九日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が六八三九万四三四九円でこれに対する法人税額が二六九八万八四〇〇円であったにもかかわらず、同年四月二八日、香川県観音寺市観音寺町甲二七二番地の五所在の観音寺税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五七八万四一六七円でこれに対する法人税額が九五万八一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額二六〇三万三〇〇円を免れ

第二  昭和六三年三月一日から平成元年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が九九〇四万六二七二円でこれに対する法人税額が三九九二万一〇〇〇円であったにもかかわらず、同年四月二八日、前記税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七八七万七六六一円でこれに対する法人税額が一六九万一二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額と申告税額との差額三八二二万九八〇〇円を免れ

第三  平成元年三月一日から平成二年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が四七八四万六一四一円でこれに対する法人税額一八四二万七〇〇円であったにもかかわらず、同年四月二七日、前記税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五一八万五三五六円でこれに対する法人税額が八四万九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額と申告税額との差額一七五七万九八〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人安藤及び被告会社代表者代表取締役安藤八陽の当公判廷における各供述

一  被告人安藤の検察官に対する各供述調書(二通)及び大蔵事務官に対する各質問てん末書(一〇通)

一  被告会社代表者代表取締役安藤八陽の検察官に対する各供述調書(二通)及び大蔵事務官に対する各質問てん末書(九通)

一  安藤亜由美の検察官に対する各供述調書(二通)及び大蔵事務官に対する各質問てん末書(五通)

一  鳥取兼夫、牧山邦美、加藤誠治及び真鍋雅秋(二通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  杉山光夫及び須田雅夫作成の各申述書

一  古座孝、簑原尚志及び山口司作成の各証明書

一  大蔵事務官作成の簿外利益調査書、売上高調査書、仕入調査書、受取利息調査書、租税公課調査書、雑費調査書、事業税調査書、寄附金の損金不算入額調査書、損金の額に算入した県民税利子割額調査書及びその他所得(損益計算書科目)調査書

一  被告会社の定款の謄本

一  商業登記簿謄本

判示第一及び第二の各事実について

一  高橋増幸作成の申述書

一  平井肇作成の証明書

判示第一及び第三の各事実について

一  杉山光夫の大蔵事務官に対する質問てん末書二通

一  藤井進一及び吉田康一作成の各証明書

一  中澤清一作成の申述書

判示第二及び第三の各事実について

一  飯田巧一郎の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  柴田寿晶作成の証明書

判示第一の事実について

一  藤川修平の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  宮崎稔作成の証明書二通

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和六二年三月一日~昭和六三年二月二九日)

一  被告会社の昭和六三年二月期の法人税確定申告書

判示第二の事実について

一  田中智志作成の証明書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和六三年三月一日~平成元年二月二八日)

一  被告会社の平成元年二月期の法人税確定申告書

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(平成元年三月一日~平成二年二月二八日)

一  被告会社の平成二年二月期の法人税確定申告書

(法令の適用)

被告人両名の判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告会社については、さらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告会社については情状に鑑み同法一五九条二項を適用し、被告人については所定刑中いずれも懲役刑を選択することとし、以上はそれぞれ刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内において罰金二〇〇〇万円に、被告人安藤については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重いと認める判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において懲役一年にそれぞれ処し、被告人安藤に対し同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとし、訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により被告人両名の連帯負担とする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 豊澤佳弘)

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