高松地方裁判所 昭和34年(ワ)238号・昭34年(ワ)258号 判決
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〔争点〕本件従業員地位確認請求事件につき原告一一名と被告間の準備手続期間中、原告らから、そのうち原告一名を選定当事者に選定する旨の選定届が提出されたが、準備手続裁判官は右選定を無効と解し、右原告全員に準備手続期日を告知したところ、原告全員連名の右期日請書を提出した。その後前記被選定者のみ右期日変更申請書を提出し、当事者双方が前記告知された期日に欠席し、その後当事者双方から期日指定の申立がなかつたため、準備手続裁判官は右期日後三ケ月の経過とともに民訴法二五六条、二三八条により前記被選定者以外の原告一〇名につき訴の取下があつたものとみなした。
その後右原告一〇名につき準備手続期日の指定申立があつたため、右原告一〇名被告間の本件訴訟が前記取下があつたものとみなされたことの当否に関しなされたのが本判決であるが、後記の理由で本件選定当事者の選定は無効と判断し、本件訴訟は前記取下があつたものとみなされ終了した旨の判決がなされている。
〔判決理由〕『民事訴訟法第四七条により、選定当事者を選定する場合、選定者総員が共同の利益を有するものであることを要するが、右に「共同の利益を有する」とは、その訴訟の目的たる権利、義務が選定者全員につき同一の事実上及び法律上の原因に基づき、かつ、主要な攻撃防禦方法を共通にしているものと解すべきところ、本件記録によれば、原告らの前記準備手続期日までに主張した請求原因事実の要旨は、
(一) 前記秋田を含む原告らは、いずれも訴外四国配電株式会社(以下単に四配という。)及び訴外日本発送電株式会社(以下単に日発という。)の従業員であつたが、被告会社は、昭和二六年五月一日に設立された際、右各訴外会社と原告らとの間の雇傭契約にもとづく権利義務を承継した。
(二) ところで四配及び日発は、右被告会社の設立前である昭和二五年八月二六日付(その到達の日は同月二六日及び二七日であつて各原告らについていずれの日時であつたかは明らかに主張されていない。)で前記秋田及び原告らに対し、解雇の意思表示をした。
(三) しかし右意思表示は次の各理由により無効である。
(1) 右意思表示は原告らが共産党員もしくはその同調者であることを理由としてなされ、憲法第一四条、第一九条、第二一条、労働基準法第三条に違反していること
(2) 四配及び日発は、右意思表示の当時、各従業員を解雇する場合には日本電気産業労働組合の同意を得なければならないとの労働協約条項に違反し右同意を得ていないこと
(3) 右各会社は前記解雇の意思表示に際しその理由を示さなかつたこと
(4) 右解雇は原告らの正当な組合活動を理由とするものであるから労働組合法第七条第一号、第三号に違反するものであること
(四) 仮りに前記昭和二五年八月二六日付の四配及び日発の意思表示が期間を限つてした退職勧告であると同時に、その期間中に退職申出がないときは、同年八月三一日付で解雇する旨の期限付解雇の意思表示であるとしても、
(1) 右期限付解雇の意思表示は前記第三項の各理由により無効であるし、
(2) 右勧告にもとづき原告らがこれに応じて任意退職した形式をとつているとしても、右退職の意思表示は原告らが窮迫状態に追い込まれたためやむを得ずなしたもので真意にもとづいてなしたものではないから無効である。
というのであるが、右のように解雇或いは勧告にもとづく退職の意思表示の無効を主張して従業員たる地位の確認を求める場合、その主張立証において原告ら相互間に共通する点があることは否めないが、雇傭関係は使用者と各被傭者間の関係であつて、その終了に関する問題も、各被傭者について、各解雇或いは退職の意思表示の無効原因を個別的に検討して判断すべきものであつて、本件のように前記のとおり解雇或いは勧告にもとづく退職の意思表示の効力を争い、従業員たる地位の確認を求める場合、その権利関係が事実上或いは法律上同一の原因にもとづくものとは解し得ないし、また、前記各解雇の無効事由或いは前記勧告にもとづく原告らの退職の意思表示の効力を争うための主張立証については、必ずしも各原告間に共通であるとも予想できないものがあるから、本件訴訟においては、前記秋田及び原告らは前記「共同の利益」を有するものとは解し得ない』。(橘 盛行 大石貢二 新田誠志)