高松地方裁判所 昭和46年(わ)147号 判決 1971年12月23日
本店所在地
香川県大川郡大内町三本松二二二番地の一
友国手袋株式会社
本籍
同県同郡同町三本松二二二番地の一
住居
右同所
会社代表取締役
友国誉富
大正一〇年一〇月一五日生
右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官難藤務出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人友国誉富を懲役四月に、同友国手袋株式会社を罰金三〇〇万円に、それぞれ処する。
被告人友国誉富に対し、本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社は、香川県大川郡大内町三本松二二二番地の一に本店を置き、手袋等の製造販売を営む資本金一、六〇〇万円の株式会社であり、被告人友国誉富は同会社の代表取締役としてその業務全般を掌理しているものであるが、被告人友国誉富において、被告会社の業務に関し、法人税を免れる目的をもつて、
第一、昭和四三年二月一日より同四四年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得は四六、一四四、九八四円で、これに対する法人税額は一五、四四九、五〇〇円であつたにも拘らず、売上金の脱漏、架空仕入の計上、および棚卸資産の一部除外などの方法により利益を除外し、その利益金を銀行に架空名義をもつて預金するなどの不正手段により所得を秘匿した上、昭和四四年三月三一日、香川県大川郡長尾町所在の所轄長尾税務署において、同署々長に対し、所得金額が一七、四七七、〇九五円で、これに対する法人税額は、五、四二三、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告会社の右事業年度における法人税一〇、〇二六、〇〇〇円をほ脱し、
第二、昭和四四年二月一日より同四五年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得額は五二、三〇一、五三九円で、これに対する法人税額は一七、五九七、五〇〇円であるにも拘らず、前同様の不正手段により、所得を秘匿した上、昭和四五年三月三一日、前記所轄長尾税務署において、同署々長に対し、所得金額が二八、四八九、一五四円で、その法人税額が九、二六七、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、被告会社の右事業年度における法人税八、三三〇、一〇〇円をほ脱し、
たものである。
(証拠の標目)
一、被告人友国誉富の高松国税局収税官吏に対する質問てん末書六通
一、同被告人の上申書二通
一、小橋正水作成の脱税額計算書二通および上申書二通
一、西村正、永峰、朝国久美子、友国すず子(二通)、中島賢之助、金田善雄、丸橋精一、辻本信光、柏木幸孝、松尾好規、北尾武彦、梶山逸人、浜口哲夫、中山明彦、塩見邦彦の高松国税局収税官吏に対する各質問てん末書および長谷部篤蔵の仙台国税局収税官吏に対する質問てん末書。
一、佐藤栄吉他一名作成の調査書類
一、武内千根作成の銀行調査書二通
一、森崎達雄、溝淵桂一作成の各上申書
一、森崎達雄(四通)、溝淵桂一、矢野邦章、須賀利雄、吉永勝彦、中村泰(二通)、伊藤善次郎、田中康一(二通)、井山宗一、三登輝彦、高井邦夫作成の各証明書
一、須賀利雄作成の照会事項回答書
一、押収にかかる手帳二冊、請求書付領収書一枚、法人税決定決議書綴一冊(昭和四六年押第五〇号の一ないし四)
(法令の適用)
一、該当法条 被告会社について、法人税法一六四条一項(一五九条一項)、被告人友国誉富について、同法一五九条一項(所定刑中いずれも懲役刑選択)
二、併合加重 被告会社について、刑法四五条前段、四八条二項、被告人友国誉富について、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をなす。)
三、執行猶予 被告人友国誉富について、刑法二五条一項一号よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 上野智)