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高松地方裁判所 昭和59年(行ウ)1号 判決 1987年8月27日

原告

学校法人倉田学園

右代表者理事

倉田キヨエ

右訴訟代理人弁護士

白川好晴

被告

香川県地方労働委員会

右代表者会長

武田安紀彦

右訴訟代理人弁護士

佐藤進

右指定代理人

光中等

池田雅之

関誠一

川西邦俊

参加人

香川県大手前高等(中)学校教職員組合

右代表者執行委員長

中内正嗣

右訴訟代理人弁護士

三野秀富

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告が、参加人を申立人とし、原告を被申立人とする香労委昭和五七年(不)第八号不当労働行為救済申立事件(以下「本件救済申立事件」という。)について、昭和五九年一月二七日付けでした命令を取り消す。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二当事者の主張

一  請求原因

1  被告は、本件救済申立事件について、原告に対し、昭和五九年二月二二日に同年一月二七日付け命令書(その記載内容は、別紙(略)命令書のとおりである。以下「本件命令書」という。)の写しを交付し、右命令書記載のとおり、救済申立てを認容する命令(以下「本件命令」という。)を発した。

2  しかし、本件命令は、本件命令書の理由「第2 判断及び法律上の根拠」1の(1)に摘示された原告の主張のとおり、参加人が使用者の利益代表者の参加を許すもので、労働組合法二条但書一号に該当するものであるから、不当労働行為の救済申立てをする資格が参加人にないのに、それを看過して発せられた点で違法であり、仮にそうでないとしても、不当労働行為の成否についての判断を誤った違法なものである。

よって、原告は、本件命令の取消を求める。

二  請求原因に対する被告の認否及び主張

1  請求原因1の事実を認めるが、同2の主張は争う。

2  被告は、本件命令書の理由「第2 判断及び法律上の根拠」1の(2)記載のとおり、参加人が労働組合法二条及び五条二項の規定に適合する旨の決定をしている。ところで、不当労働行為の救済申立てをした労働組合が右各規定に適合するものであるか否かの審査は、被申立人である使用者の法的利益の保障を目的とするものではないから、使用者は、救済命令が右各規定の要件を欠くものの申立てに基づいて発せられたことを理由として、その取消を求めることはできないものである。したがって、この点に関する原告の主張は、それ自体失当である。

3  被告が本件救済申立事件につき不当労働行為を認定して本件命令を発した理由は、本件命令書に記載のとおりである。

三  被告の主張に対する原告の認否及び反論

1  本件命令書の理由「第1 認定した事実」記載の事実は、すべて認める。

2  本件命令は、次のとおり、不当労働行為の成否につき判断を誤っている。

(一) 原告は、従前から、その就業規則一四条一二号で、職員が書面による許可なく校内で業務外の印刷物を頒布することを禁じていたところ、参加人は、これを知りながら、あえて右許可を得ることなく、本件命令書の理由「第1 認定した事実」2の(1)記載のとおり、業務外の印刷物の配布をした(以下、この配布行為を「本件ビラ配布」という。)。そこで、原告は、主導的な立場で右配布を指揮する等した参加人の執行委員長中内正嗣及び書記長北里泰俊の両名に対し、本件命令書の理由「第1 認定した事実」2の(3)記載のとおり、減給の懲戒処分(以下「本件減給処分」という。)をしたものである。

(二) 本件命令は、本件ビラ配布を正当な組合活動であると解し、したがって、原告が右両名に本件減給処分をしたことは、正当な組合活動を理由とする不利益取扱いであるとともに、参加人の運営に対する支配介入であると判断している。しかしながら、本件ビラ配布を正当な組合活動とする余地はないから、右判断は失当である。

(三) 本件ビラ配布が正当な組合活動であるとはいえないことについての原告の主張は、本件命令書の理由「第2 判断及び法律上の根拠」2の(2)に記載されたとおりである。

(四) これに対し、本件命令は、参加人は企業内組織であるので、法によって保障された団結権等を確保するための情宣活動として、原告の施設内で「職場ニュース」を配布する必要性が十分に認められるとした上で、これを一つの論拠として、参加人が本件ビラ配布程度の情宣活動をすることは特段の事情のない限り許されるべきであると判断している。(本件命令書の理由第2、2(3)の<1>、<2>)。

しかしながら、参加人がその情宣活動として「職場ニュース」を配布する必要性を有していること自体は原告もこれを争わないが、右必要性は、原告の施設内で配布する必要性に直結するものではなく、参加人は、原告の施設を利用せずとも、郵送等の方法で配布をなしうるのである。のみならず、仮に、原告の施設内で配布する必要性があるとしても、単にそれだけでは、原告が右配布を受忍すべき義務を負う理由とはなしえないのであって、本件命令の立論は失当である。

(五) また、本件命令は、参加人が本件ビラ配布程度の情宣活動をすることは特段の事情のない限り許されるべきであると判断する論拠の一つとして、組合掲示板の設置が認められていないことを挙げている(本件命令書の理由第2、2(3)の<2>)。しかし、組合掲示板の設置が認められていないからといって、原告の施設内、ことに職員室内で「職場ニュース」を配布してもよいということになるものではないから、右立論も失当である。

(六) 更に、本件命令は、本件ビラ配布が始業時刻よりも一時間以上も前に、誰も出勤していない職員室内で行われたこと等からして、配布された「職場ニュース」が生徒の目に触れる可能性は少なく、また、職員によって就業時間中に読まれる可能性も少ないように判断している(本件命令書の理由第2、2(3)の<2>、<3>)。しかし、配布された「職場ニュース」は、その後出勤して来る職員が手に取るまでは机上に放置されているのであるから、その配布の生徒及び職員に対する影響は、それが始業時刻直前に配布された場合と全く同様であるので、右判断は失当である。

なお、右影響の点につき、本件命令は、現に生徒が「職場ニュース」の内容を見たことによって弊害があったことの疎明がないとか、朝礼時等に職員が「職場ニュース」に目を奪われて注意が散漫になるようなことがあっても、それは「職場ニュース」配布の当然の結果ではなく、校長等において注意を与えれば足りることである旨述べている。しかしながら、「職場ニュース」が職員室内で配布された場合に、生徒がその内容を見る可能性及びそれによって教育上の弊害を生じる可能性があること、職員も就業時間中にそれを読む可能性があることは、否定できないところであって、これらの可能性がある以上、その配布を規制することには合理的根拠があるものというべきである。

第三証拠(略)

理由

一  請求原因1の事実は、当事者間に争いがない。

二  原告は、本件命令が不当労働行為の救済申立てをする資格のない参加人の申立てに基づいて発せられたものであるから違法である旨主張する。

しかしながら、弁論の全趣旨によれば、被告は、本件命令発出前において、参加人に右資格がある旨の決定をしていることが認められるところ、不当労動行為の救済申立てをした労働組合が労組法二条及び五条二項の規定に適合するものであるか否かの審査は、使用者の法的利益の保障を目的とするものではない(最高裁判所昭和三二年一二月二四日判決・民集一一巻一四号二三三六頁参照)から、仮に右審査につき結論を誤った違法があるとしても、右違法は、使用者の法律上の利益には関係がないものである。そうすると、使用者が救済命令の取消訴訟において右違法を主張することは、行訴法一〇条一項に照らし、許されないところであるから、原告の右主張は、それ自体失当というほかはない。

三  そこで、本件命令が不当労働行為を認定したことの当否について判断する。

1  本件命令書の理由「第1 認定した事実」記載の事実は、当事者間に争いがない。

2  (証拠略)を総合すると、次の事実を認めることができる。

(一)  参加人は、その結成当初から、丸亀校の教職員に対する情宣活動として、職場ニュースと題する機関紙(ビラ)の配布活動を行っている。本件ビラ配布は、右活動の一環としてなされたものである。

(二)  本件ビラ配布を直接担当したのは、参加人の組合員の浜近仁史であった。本件ビラ配布は、丸亀校の職員室に同人しかいない状態で行われたので、配布中のトラブル等は一切なかった。また、当日丸亀校では、始業時刻の午前八時二五分(右配布の約一時間一〇分後)から職員室で職員朝礼が行われたのを始め、その後も平常どおりの業務が行われたが、本件ビラ配布がなされていたためにそれらの業務に支障が生じる等のことも全くなかった。

(三)  本件ビラ配布は、就業規則一四条一二号所定の許可を得ることなく行われたが、参加人の本件ビラ配布に至るまでの経緯は、次のとおりである。

(1) 参加人は、結成の翌々日である昭和五一年一〇月四日から同月二〇日ころまでの間は、原則として丸亀校の校門の外で職場ニュースを配布した。その後、参加人は、約三か月の間、職場ニュースとして配布予定のものを原告に提出し、原告の許可を得てから放課後(午後四時一五分以降)に、丸亀校の職員室内で職場ニュースを配布したが、その後は、再び原則として校門の外で職場ニュースを配布するようになった。これは、参加人が職場ニュースの配布の都度、それにつき原告の閲読を受け、その許可を得てからそれを配布するというのでは労働組合としての自主性・主体性を欠くと反省したことによる。

(2) 参加人は、昭和五二年三月一七日及び同年一〇月一五日に開かれた団体交渉の席上で、職場ニュースの配布は参加人の最も基本的かつ重要な活動であるので、これを原告の許可なくして校内で就業時間外に配布することを認めてもらいたい旨要求したが、原告は、就業規則一四条一二号の存在を盾に取って、参加人が右のような組合活動をすることは一切認めない旨述べて、これを拒否した。

(3) その後、参加人は、職場ニュースは原告の業務に差し障りのない限り職場内で配布するのが当然であるという基本的見解の下に、できるだけ校内で職場ニュースを配布することとし、この方針に基づき、昭和五三年五月八日、翌九日及び同月一六日に、いずれも原告の許可を得ることなく丸亀校の職員室内で職場ニュースを配布した。この配布は、いずれも始業時刻前に、職場ニュースを二つ折りにして各教員の各机上に置くという方法でなされたもので、それがなされたことによって丸亀校における業務に支障が生じる等のことはなかった。これに対し、原告は、それが就業規則一四条一二号に違反してなされたものであるとして、参加人の執行委員長であった星野人史に対し、前二回の配布に関し同月九日に訓告の、最後の配布に関し同月一六日に戒告の各懲戒処分をした。

(4) 参加人は、昭和五三年七月七日、右各懲戒処分の件を含む原告側の種々の行為について、被告に不当労働行為の救済申立てをした(香労委昭和五三年(不)第一号不当労働行為救済申立事件)。参加人は、右戒告処分後しばらくの間は職場ニュースを校内で配布するのを控えていたが、右の申立てをしてから、再び原告の許可を得ることなく職員室内で職場ニュースを配布するようになった。その配布は、いずれも就業時間外(始業時刻前又は放課後以降)に、職場ニュースを二つ折りにして各教員の机上に置くという方法でなされたが、各教員は、一般に、配布された職場ニュースの取扱いには慎重になっており、それが配布されたことによって丸亀校における業務に支障が生じる等のことはなかった。しかし、原告は、それが配布される都度、参加人の執行委員長や書記長に対し「警告書」を出し(これが出された回数を執行委員長についてみると、昭和五四年六月までこれを務めた星野人史に対しては、昭和五三年七月一〇日から昭和五四年五月二八日までの間に計三一回、同人に代わって執行委員長となった中内正嗣に対しては、昭和五四年七月四日から昭和五六年一月七日までの間に計三一回にのぼる。)、更に、昭和五六年一月二〇日からは、訓告、戒告、厳告と徐々に重い懲戒処分をするようになった(右中内に対しては、同年五月一八日までの間に訓告が二回、戒告が三回、厳告が二回行われた。)。

(5) その後、参加人は、右救済申立事件について和解が試みられるようになったため、昭和五六年六月以降、職員室内で職場ニュースを配布するのを控えるようになった。しかし、右和解は成立するに至らず、被告は、昭和五七年六月二五日付けの命令書(<証拠略>)で、原告が右(3)記載の各懲戒処分をしたことが労組法七条一号及び三号の不当労働行為に該当するとして、原告にこれを撤回すべきことを命じる旨の主文を含む救済命令を発した。そこで、参加人は、右(3)のような態様での職場ニュースの配布が認められたものとして、今後このような配布活動を行うことについて原告と話し合うため、同年七月二六日以降、右救済命令の実行についてという議題で団体交渉を行うことを求めたが、原告は、「命令」の実行というようなことを団体交渉の議題とすることはできないとしてこれを拒否し、同年八月一四日には、右救済命令について取消訴訟(当庁昭和五七年(行ウ)第三号不当労働行為救済命令取消請求事件)を提起した。その後、原告と参加人は、同年九月一七日、議題を「ビラ配布について」とした上で、参加人の職場ニュース配布問題について団体交渉を行ったが、原告は、その席上においても、参加人が原告の許可を得ることなく校内で職場ニュースを配布することは認められないとの立場を変えなかった。本件ビラ配布は、このような状況の中で、参加人が職員室内での職場ニュース配布を再開した第一回目のものである。なお、参加人は、本件ビラ配布に対しても本件減給処分がなされたこと等から、現在は、校門の外で職場ニュースを配布している。

(四)  以上のとおり、原告は、一貫して、参加人が原告の許可なく丸亀校内で職場ニュースを配布することは一切認めないとの立場をとっているが、これは、参加人の校内での組合活動は原則として一切認めないとの基本的見解に基づくものである。参加人は、昭和五二年一〇月一五日及び昭和五三年五月九日に開かれた団体交渉の席上で、組合掲示板の設置を要求し、その後も毎年これを要求しているが、原告は、右のような見解に基づき、これを拒否して現在に至っている(なお、右(三)の(5)記載の救済命令は、参加人の組合掲示板設置要求について誠意をもって団体交渉に応じるべきことをも命じている。ちなみに、右救済命令は、他に原告が前記中内を昭和五三年度に学級担任から外したこと及び参加人の組合員の武田博雅に退職を勧奨したことについて、それぞれ労組法七条一号及び三号の不当労働行為を認定している。)。そのほか、原告は、昭和六〇年末ころ以降、参加人が丸亀校内で組合員から組合費の徴収をすることについても、就業時間の内外を問わず、これを禁止する措置をとっている。なお、原告は、参加人がその事務所の所在地を原告の所在地と同じところにしていることに異議を述べており、参加人あての郵便物が来ても、同所にはそのような団体はないとして、これを郵便局に送り返すという扱いをしたこともあった。

3  以上の事実に基づいて、原告が本件ビラ配布を理由に本件減給処分をしたことが不当労働行為に該当するか否かを検討する。

(一)  本件ビラ配布は、原告の許可を得ることなく丸亀校内で行われたものであるから、形式的には、就業規則一四条一二号に違反するものであることが明らかである。

(二)  ところで、労働組合による企業の物的施設の利用は、本来、使用者との団体交渉等による合意に基づいて行われるべきものであり、利用の必要性が大きいことのゆえに、労働組合又はその組合員が企業の物的施設を組合活動のために利用する権限を取得し、また、使用者において労動組合又はその組合員の組合活動のためにする企業の物的施設の利用を受忍しなければならない義務を負うとすべき理由はない。したがって、労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ることなく企業の物的施設を利用して行った組合活動は、使用者の施設管理権を侵し、企業秩序を乱すものとして、原則としてこれを正当なものとすることはできないが、これらの者に対しその利用を許さないことが使用者の施設管理権の濫用であると認められるような特段の事情がある場合には、正当な組合活動として許容されることがあるものと解するのが相当である。そうして、企業施設内における組合活動としてのビラ配布を許さないことが使用者の施設管理権の濫用であると認められる特段の事情があるか否かは、ビラ配布の態様及び目的並びにビラの内容やビラ配布に対する使用者の態度など諸般の事情を総合考慮して判断すべきである。

(三)  そこで、本件についてこれをみることにする。

(1) 本件ビラ配布は、始業時刻の一時間一〇分前までの五分間に、一名の配布担当者以外は誰もいない職員室で、印刷面を内側に二つ折りにして職場ニュースを各教員の机上に置くという方法でなされたものである。配布された職場ニュースの枚数は四十数枚であり、その記載内容にも特に問題とすべき点はなく、その内容自体等からみて、右配布は、参加人の労働組合としての情宣活動の一環としてなされたものであることが明らかであった。以上のような本件ビラ配布の態様及び目的並びに配布された職場ニュースの内容に照らすと、本件ビラ配布は、原告の業務を阻害し、その企業活動に特段の支障を生じさせるものではなかったと考えられる。

もっとも、職員室の教員の机上に配布された職場ニュースが、早目に登校して職員室を訪れる生徒の目にとまることがありうることは容易に推認される。しかし、生徒がそれを手に取って読むことは考え難いし、そうしたことがあったとしても、その内容に生徒の教育上問題となるものがなかったことは前記のとおりであるから、右の点は、前記判断を左右するものとは解されない。また、出勤してきた教員の中には机上に配布された職場ニュースを始業時刻後に読む者がいないとは限らず、それによる原告の業務の阻害が多少生じることが考えられないではないけれども、この点は、参加人が原告の企業施設外で配布を行い、又は、原告の許可を得て企業施設内で配布を行った場合でも同様であるから、それが前記判断の妨げとなるとは解されない。

(2) 右(1)の点に、<1>前記2の(三)で認定したとおりの参加人が本件ビラ配布をするに至るまでの経緯(すなわち、参加人は、その最も重要な活動として、機関紙たる職場ニュースを丸亀校の教職員に配布するということを結成当初から行い、一時期は、前記就業規則所定の許可を得てから配布するという方法をとったものの、記事内容について原告の検閲を受けて職場ニュースを配布することは労働組合としての自主性・主体性を損うものであるとして、これをやめるとともに、原告に対し、参加人が右許可を得ることなく校内で職場ニュースを配布するのを認めるよう要求したが、原告は、右就業規則の存在を盾に取って右要求を拒否し続けていたものであること)によれば、原告は、記事内容の検閲により参加人の情宣活動を制約する目的をもっていたものであることを優に推認することができること、<2>そのほか、前記2(四)で認定したとおりの原告の参加人の組合活動に対する態度や組合掲示板の設置が認められていないことなどの事情を総合考慮すると、本件ビラ配布については、原告がこれを許容しないのは原告の施設について有する権利の濫用に当たるものと解するのが相当であり、したがって、右行為は、参加人の正当な組合活動であるというべきである。

(四)  そうすると、原告が本件ビラ配布を理由に、参加人の執行委員長中内正嗣及び書記長北里泰俊に対し本件減給処分をしたことは、正当な組合活動を理由とする不利益取扱いであるとともに、参加人の運営に対する支配介入であるというべきであるから、本件減給処分が労組法七条一号及び三号の不当労働行為に該当するものとして、原告にその撤回等を命じた本件命令は相当であって、その取消を求める原告の請求は理由がない。

四  以上の次第で、原告の本件請求は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき行訴法七条、民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 渡邊貢 裁判官 水島和男 裁判官 小田幸生)

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